中国の動きを念頭に米側は情報収集衛星、軍事通信衛星など軍の活動を支える軌道上のアセットの防御を真剣に考えざるを得ない立場に追い込まれています。そこで下院有力議員から宇宙での敵対行為について見解が示されたということでしょうか。
Cyber Attack On Satellite Could Be Act Of War: HPSCI Ranking
CAPITOL HILL: 米衛星へのサイバー攻撃は戦争行為とみなすべきとの発言が米下院常設情報特別委員会の民主党筆頭議員アダム・シフから出た。
- この発言を当然と思う向きもある一方で軍事衛星、情報衛星がサイバーで妨害されるだけで戦闘行為の要件が成立するのかは以前から議論されてきた。「森で木が倒れる現場に誰も居なくて木が倒れる音が聞こえるのだろうか」 軍と情報機関の高官の面々がサイバー問題への回答に極めて慎重なのは諜報活動と攻撃行為の間に線を引くことが大変困難なためだ。
- 「我が国の探知警報システム(スパイ衛星群)に対する行為は挑発行為と受け止める。好戦的な行為でないとしても外国が不可逆的な行為を始めた場合で、周波数妨害はその例」とシフ議員は声明文を発表した。
- 対応策は複雑とシフ議員は空軍協会主催の朝食会前に報道陣に語った。まず誰が攻撃をしかけたのか特定せねばならない。次に実行犯の情報をどこまで公表するかを決める。その際はどこまでの情報を安全に公表できるかで変わってくるとシフ議員は述べた。条件がすべて合えば、米側は敵国の衛星の一つを標的にする。あるいは地上基地を狙う。あるいは別目標を設定する。すべてにおいて十分な配慮が求められる。
- 「当然ながらこちら側の情報衛星にも防衛措置を搭載するなど自衛策が可能だ。だが問題は実施した場合に国際的にはどう受け止められるかだ。防御機能を搭載した衛星は軌道上の兵器に変わるといえるからだ」
- また「報復の応酬が続けば敵味方双方が高い代償を払うことになる」と同議員は発言。
- 宇宙戦の課題でも一番難しいのが攻撃の定義だ。攻撃と断定するには標的として狙われたうえ攻撃手段が法的な条件を満たすことが必要だ。宇宙空間で敵の動きを抑える対策は極秘情報であり、シフ議員も明らかせず代わりに以下発言をしている。
- 「宇宙装備について詳しく述べることはできないが、攻撃方法は多数ある。運動エネルギーで地上からの攻撃も可能だ。妨害もできる。作動不能にすることもできる。サイバーでの攻撃も可能で、宇宙空間で別の機体からの攻撃も可能だ。そこでこちらのこれからの宇宙システムの回復力を確保し、既存システムで回復力が不足するものについては防衛策、サイバー攻撃への護りを確保していく」
- システムが攻撃を受けても回復力を発揮できれば大きな違いが生まれる。今後この話題はもっとお伝えすることができよう。■
面白いです。Colin Clark氏の記事にはいろいろ考えさせられます。
返信削除http://breakingdefense.com/2016/06/space-command-readies-for-war-with-space-enterprise-vision/
も翻訳されたら、いかがでしょうかと思います。space-library.com 松田