スキップしてメイン コンテンツに移動

シャングリラ対話へ向かう機内でカーター長官が語った内容に注目


精彩を欠く末期のオバマ政権でこの人だけが光を出しているように思えてなりません。中国からは冷戦時代の思考だと批判されているようですが、むだに緊張を作り出し結果自らの首を絞めているのは中国でしょう。次期政権にも現行路線が継承されることを強く望みます。

US Won’t Back Off On Korean Missile Defense, South China Sea: SecDef

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on June 02, 2016 at 10:06 AM

Sydney J. Freedberg Jr. photo
Defense Secretary Ash Carter speaks to reporters en route to Singapore.
ABOARD SECDEF1:  アシュ・カーター国防長官はシンガポールのシャングリラサミットへ移動する専用機内で報道陣に太平洋での連盟づくりに向かう米国を批判する中国に全く動じていないと述べた。
  1. カーター長官は土曜日に行うスピーチで重要点二つに触れるだろう。
  2. まず今月中に韓国と米国はTHAADミサイル防衛装備の韓国配備を発表する公算が大きい。中国がTHAAD配備に反対を表明しているのはTHAADが北朝鮮ミサイルよりも中国領空内での迎撃を行うと危惧しているためだ。カーター長官は報道陣に「これは同盟国同士で決めたこと」と繰り返し発言しており、あくまでも自衛のためと強調、つまり中国政府の関与すべきことではないと述べている。
  3. 7月にはハーグで国連海洋法条約にもとづき南シナ海を巡る中国-フィリピンの意見対立で裁定が出る見込みだ。(これ以前に出る可能性もある) 中国はかねてから裁定に従うつもりはないとしており、逆に防空識別圏(ADIZ)を一方的に設定する可能性を示唆している。一方的に同地区での航空航行の権限を主張すると挑発行為と受け止められかねないが、「仮に宣言があっても東シナ海でのADIZ設定の時と同様に軍の活動に影響は出ないだろう」と国防高官は述べている。
Ryan Lim - Malacañang Photo Bureau (Public Domain) via WikimediaPhilippine president-elect Rodrigo Duterte
フィリピン
  1. 南シナ海情勢を複雑にするのがフィリピンの大統領当選者、大衆迎合主義のロドリゴ・デュテルテで、アメリカとの同盟関係に疑問を投げかけている。現政権は退任間際になり米国との同盟を強化し、強化防衛協力合意(EDCA)によりA-10ウォートホグがフィリピンから南シナ海のパトロール飛行をしているが、あくまでも短期展開で今後の予定は発表されていない。
  2. カーター長官は報道陣に戦略的に重要な位置にありながら軍事的に脆弱な同国との同盟強化に疑問の余地がないと述べ、「EDCAに基づく活動は順調に推移している。方針変更は全く考慮していない。フィリピン新政権ともこれまで同様に共同でことにあたり民主的に成立した同盟国として処遇する」と語っている。
  3. 「フィリピンが『自らの進路を選択する』ことは理解できる」と国防高官がドゥテルテ自身の言い回しを引用して述べている。「フィリピンとの同盟関係すべてでフィリピン自身に選択の余地を残しているのは事実」
  4. カーター長官は今回のシンガポール訪問でフィリピン、中国それぞれの代表と会見する予定はなく、フィリピンの新国防大臣はまだ指名もされておらず、中国国防相はシャングリラに参加しないので、長官に同格の相手はいないことになる。ただし意見交換の機会はたくさんあり、カーターの部下は途中から今週土曜日に北京に飛び、第六回戦略安全保障対話(SSD)に臨む。
  5. SSDは米中高官会議の一環だ。会合に先立ち、関係者はワシントンで5月19日に戦略的安全保障の議論点を整理している。そのひとつに「忌憚のない、建設的な議論を双方が行い戦略的安全保障を論じる。海洋問題も含む」とある。外交的な表現だが米中が向かい合い強硬発言をしてにらみ合う(忌憚がない)様子が南シナ海の航行の自由を巡り想像できるだろう。建設的とは大げさに反対せず今後も会合を継続するが意見一致を見なかった内容を確認書あるいは論点として残すことだ。
  6. いかにも米中の安全保障議論の実態を表す話だ。

Missile Defense Agency photoTHAAD missile launch.
韓国のミサイル防衛
  1. 「中国とは競合の一方で協力の余地は十分ある」とカーター長官は述べ、北朝鮮へ中国が圧力をかけていることを評価する。「北朝鮮の行為には各国が不満を覚えている」
  2. だが記者の一人が尋ねた。(失敗したとはいえ)北朝鮮がミサイル試射を五回連続実施しており脅威対象としての再評価が必要ではないのか。
  3. 「テスト結果に関係なく、同国がミサイルを運用しようとしているのは明らかだ」とカーター長官は答え、「結果に関係なく、挑発行為である。安定を損なう行為であり、国連安全保障理事会決議に違反している」
  4. ミサイル実験を脅威と受け止めた韓国が米THAAD装備の展開を求めてきたのは事実だ。THAADは短距離用のペイトリオットミサイル防衛を補完できる。(ともに米陸軍の装備であり、太平洋で陸上兵力が軽視されがちな中で重要な存在だ) カーター長官はシンガポールで韓国国防相と会い、「当然この話題が出るだろうが、多く議論することにならないだろう。すでに実施に向けて動いているからだ」と述べた。
  5. 「これは同盟国同士で決めることで、米国と韓国間で北朝鮮ミサイル攻撃に対応する動きだ」とカーターは述べ、「同盟国による決定であり、両国が決めることだ」とした。
  6. 「まだ技術的な課題はある」と国防高官が述べている。つまり政治面、戦略面で今やTHAAD配備は実施すべきかの問題ではなく、どう実施するのかの問題だという。「まもなく公表するが、時期をお伝えできる立場ではない」
Navy photoP-8 Poseidon
「節度ある安全保障ネットワーク」
  1. 米国は韓国、フィリピンと正式な同盟関係を長期間にわたり維持し強化しているが、その他条約関係がない国とも軍事的つながりを強化する段階にきている。かつては非同盟を標榜したインドが米国との関係を強化している。かつては米国に敵対したヴィエトナムで米国は人道援助用装備を配備し、強力な武器の輸出でも制限を解除している。
  2. シャングリラ対話を主宰するシンガポールは沿海戦闘艦のローテーション配備を受け入れ、P-8ポセイドン部隊も受け入れた。カーター長官はシンガポール国防相とP-8に搭乗する。P-8は軽武装だが監視装置の性能は高く中国は警戒しており、中国戦闘機が数回にわたり危険な接近飛行を企てている。
  3. 「節度ある安全保障のネットワークが着実に大きな進展を示している」とカーター長官は総括した。「特定の相手は想定していない。特定の相手を孤立化させる意図もない」
  4. 特定国は孤立化させないかもしれないが、中国に圧力をかけることで行動を変えさせ法の支配による国際秩序を受け入れさせようとしているのは明らかだ。■

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM

たった2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想は明らかに中国との軍事対決を意識し、米国の技術優位性を活用しようとしている

  レプリケーターはわずか2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想 Repeated war gaming shows that large networked swarms of drones that can cover vast areas would be critical to winning a brawl over the Taiwan Strait. USAF/CDC レプリケーターには米軍の戦い方を大きく変える可能性があり、中国の量的優位を正面から覆そうとするもの  国 防総省は、中国の急速な軍事力整備に対抗する最新戦略を発表した。 レプリケーター Replicatorの名称で、「小型、スマート、安価、多数」を特徴とする、攻撃可能な自律型プラットフォーム「数千」機の実戦配備に重点を置く。この構想は、中国の大規模な軍に対抗する方法として、米国の技術革新を活用するもので、同時に、AIアルゴリズムの恩恵を受ける無人システムに任務を負わせようとするものでもある。 レプリケーター・プログラムは、キャスリーン・ヒックス国防副長官  Deputy Defense Secretary Kathleen Hicks が、ワシントンで開催された全米国防産業協会のエマージング・テクノロジー会議で発表した。 レプリケーターが相手にする脅威について、ヒックス副長官は「PRCの最大の利点は質と量である」とし、急速に多様化する中国の対アクセス/領域拒否能力がもたらす特別な課題にも言及した。 ヒックス副長官は、レプリケーターのアプローチには歴史的な前例があると付け加えた:「私たちが経済と製造基盤を動員するときでさえ、アメリカの戦争勝利戦略が、敵対国の船と船、あるいはショットとショットのマッチングだけに依存したことはめったにありません」とし、ロシアのウクライナへの全面侵攻に言及するかのような辛辣なコメントを付け加えた:「結局のところ、私たちは競合他社のように国民を大砲の餌にはしていません」。 対照的に、レプリケーターは、「敵国を出し抜き、敵国を戦略的に出し抜き、敵国を巧みに操ることによって、敵国を圧倒する」米国の能力を基礎とし、それを継続する。 レプリケーターが実現すれば、どのような構成になるのだろうか? ヒックスは、このプログラムが「明日の技術を習得する」こと、すなわ