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2024年9月22日日曜日

ウクライナ、ロシア領内への攻撃にATACMSミサイル投入を検討中 (The War Zone)

 The head of the House Foreign Affairs Committe says he was told by Secretary of State Antony Blinken that the U.S. will give Ukraine the green light to use ATACMS in Russia.  

DoD



ロシア国内へのATACMS発射がウクライナに許可されれば、国境から約320キロ以内の標的も危険にさらされ、エスカレーションが懸念される


院外交委員会の委員長は、アンソニー・ブリンケン国務長官から、米国はウクライナに対し、ロシア領内でATACMSを使用する許可を与えると伝えられたと述べた。

  

ブリンケン国務省艦は、ウクライナに対し、米国製の陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)短距離弾道ミサイルをロシア国内で使用できると伝える予定であると、下院外交委員会の委員長が述べた。


「2日前にブリンケン長官と話をした。彼は英国の同僚(外相のデイビッド・ラムジー)とともにキーウを訪問し、ATACMSによるロシア攻撃を許可するよう伝えるつもりだ」と、マイケル・マコー委員長(共和党、テキサス州選出)は金曜日、Axiosの記者ジュリーグレース・ブルフケに語った。ブルフケ記者は火曜日にこのコメントをツイートした。


マコー・下院外交委員の補佐官によると、この発言は正確である。


「議長はテキサス州で開催されたトリビューン・フェストでそう述べた」と、この補佐官は火曜日の朝、本誌に確認した。


バイデン政権は、ほぼ200マイルの射程距離を持つATACMSをウクライナがロシア国内で使用することを禁止してきた。同様に、英国はウクライナが寄贈した空対地巡航ミサイル「ストーム・シャドー」をロシア国内で使用することを許可していない。


火曜日の記者会見で、ブリンケン長官は、バイデン政権がATACMSの政策を変更するかどうかについて質問された。


「申し上げられるのは、ウクライナのパートナーの意見に耳を傾けるということだけです。私たちは両者とも、今後数日のうちに首相とバイデン大統領に報告する予定です。そして、金曜日に彼らが会う際に、この件が取り上げられるものと期待しています」と彼は述べた。


ブリンケン長官は、バイデン政権がウクライナがロシアでATACMSを使用することを認める可能性を示唆した。


「侵略行為に対しウクライナを支援する我々の取り組みの初日から、ウクライナがロシアの侵略行為に対処する上で最も効果的な手段を必要な時に確実に手にできるようにすることが重要であると考えています。「そして、皆さんもご存じのように、私たちは戦場の状況、つまりロシアが特定の場所で特定の手段を用いて行っていることに基づいて、継続的に調整と適応を行ってきました。そして、それは私たちがこれまでに行ってきたことすべてに一貫して見られる特徴です。」


しかし、米国当局者は本誌に対し、「ATACMSの使用に関する方針に変更はない」と述べた。


英国国防省当局者も同様の姿勢を示した。


「ストーム・シャドーに関し英国の立場に変更はない」と、火曜日の朝、国防省高官はウォー・ゾーンに語った。「我々は、国際人道法に従って、ロシアの違法な攻撃に対するウクライナの明白な自衛権を支援するために軍事援助を提供している。英国が提供した装備はウクライナの防衛を目的としていることは明白だ。


バイデン政権は、ウクライナがM142高機動砲ロケットシステム(HIMARS)またはM270 多連装ロケットシステム(MLRS)から発射される誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)弾薬を使用することを許可した。射程距離は最大約50マイルである。


米国やウクライナとは異なり、オランダはこのような制約はないと発表した。


ウクライナは、オランダから提供された兵器を使用してロシアのどこにでも攻撃できると、同国の国防相がフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙に語った。


ルーベン・ブレケルマンズは、ロシア国内への攻撃許可には、オランダがウクライナに提供しているF-16戦闘機の使用も含まれると述べ、ウクライナに供給している兵器の使用制限を解除するよう他の西側諸国に呼びかけた。


「ウクライナには自衛する権利がある。国境地域やロシアの飛行場から攻撃された場合、それらの軍事施設を標的にすることができる」と彼は述べた。


ブレケルマンズは、敵のミサイルにも同様のことが当てはまると付け加え、オランダの兵器でロシアのミサイルを迎撃できると述べた。


イランがロシアに弾道ミサイルを供給すれば、米政権がATACMS政策を変更するきっかけになるのではないかという話もある。


火曜日、ブリンケンはロシアがこれらの兵器を受け取ったことを認めた最新の米国高官となった。


「テヘランに対して、公にも非公式にも、この措置は危険なエスカレーションにつながるだろうと警告してきた」とブリンケン長官は述べた。「数十人のロシア軍人がイランで、最大射程距離が75マイルの短距離弾道ミサイルシステム「ファトフ360」の使用に関する訓練を受けてきた。ロシアは現在、これらの弾道ミサイルの輸送を受け、数週間のうちにウクライナでウクライナに対して使用する可能性が高い」


イランがロシアに弾道ミサイルを提供したことに対して、米国と英国は幅広い新たな制裁を発動した。米国務省は、イランから無人機関連の機材を密輸しているとされる複数のロシアの海運会社に加え、イラン航空に対しても制裁を発動した。英国もイラン航空に加え、イランとロシアの軍指導者や部隊、企業に対しても制裁を発動した。


無人機およびミサイル部隊に関連する3人のイラン軍将軍に加え、制裁対象となったのは、軍事輸送航空(VTA)司令部、第924国家無人航空センター、ロシア航空宇宙軍(VKS)である。


「英国政府は本日、ウクライナの戦場での使用を目的としてイラン政権が弾道ミサイルをロシアに譲渡したことを受け、イランとロシアに対する新たな重大な措置を発表する」とロンドンは発表した。「これは、ウクライナにおけるさらなる人道的荒廃と人命の損失をもたらす意図を持つロシアへの致命的な武器の譲渡計画を中止するようイランに呼びかけた英国および国際パートナーからの再三の警告に続くものである」


ウクライナ外務省は月曜日、ウクライナ駐在のイラン・イスラム共和国臨時代理大使シャリアール・アムゼガールを呼び出し、イランのミサイルに対する「深い懸念」を表明した。


「ウクライナ外務省が9月7日付で発表した関連コメントは、イラン外交官に手渡され、イランが弾道ミサイルを侵略国家に供給したことが確認された場合、ウクライナとイランの二国間関係に壊滅的かつ取り返しのつかない結果をもたらすという厳重な警告が添えられていた」と、ウクライナ外務省はTelegramで発表した。


月曜日にイラン政府高官はこれらの主張を否定した。


「ロシアにミサイルは発射されておらず、この主張は一種の心理戦である」と、ハタム・アル・アンビア中央本部の副司令官であるファズロラ・ノザリ准将は述べた。ロイター通信はイラン労働通信を引用して報じた。


一方、ウクライナ大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーの事務所の責任者は、弾道ミサイルの脅威は、ウクライナが寄贈された長距離兵器をロシア領内に向け使用することを許可すべきもう一つの理由であると述べた。


「ロシアへの弾道ミサイルの供給に対して、ウクライナは、テロを回避するために、西側の武器でこれらのミサイルが保管されている倉庫を破壊する許可を得るべきである」と、アンドリー・エルマクはテレグラム上で述べた。ただし、ミサイルを供給したのが誰であるかは明言していない。「民主主義国家は、専制国家のテロに反応しなければならない。テロ国家ロシアに対する攻撃は防衛である。そして、防衛はエスカレーションではない」


米国がATACMSカードを切ることで、ロシアがイランの弾道ミサイルを使用するのを思いとどまらせようとする可能性については、2年前に検討したことがある。これは、ATACMSがウクライナに承認される前のことだ。これをロシアの標的に拡大しても、同様の効果があるだろう。


バイデン政権がウクライナによるロシアへのATACMS使用をまだ許可していない主な理由は、核保有国との紛争をエスカレートさせることへの懸念である。ロシアのプーチン大統領はたびたび核戦争の脅威を口にしているが、これまでのレッドライン、例えばウクライナへの戦車やF-16の供与などは、モスクワによる目立った行動を引き起こすには至っていない。今後数日のうちに、新たなレッドラインが消されることになるのかどうかが明らかになるだろう。■



Ukraine Using ATACMS Missiles To Strike Inside Russia Now On The Table

Allowing Ukraine to use ATACMS inside Russia would put even hardened targets at risk within nearly 200 miles of the border, but escalation fears loom over the decision.

Howard Altman

Posted on Sep 10, 2024 5:39 PM EDT

https://www.twz.com/news-features/ukraine-using-atacms-missiles-to-strike-inside-russia-now-on-the-table


2024年7月10日水曜日

ウクライナ情勢報告:ウクライナ(およびNATO)による Tu-22M3バックファイア盗難計画を阻止したとロシアが主張しているが...

 Russia claims Ukraine plotted to steal one of its Tu-22M Backfire bombers.  

PHOTO BY RUSSIAN DEFENCE MINISTRY/ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES



ウクライナへのロシアのミサイル攻撃で重要な役割を果たしてきたTu-22M爆撃機は、以前もウクライナの陰謀の標的となっていた


シア当局は、Tu-22M3バックファイア-C爆撃機のパイロットを説得して盗み出そうとしたウクライナの試みを再び阻止したと発表した。

ロシア連邦保安庁(FSB)は、ウクライナ特殊部隊が「NATO諸国の特殊部隊」と共謀し、パイロットに爆撃機を「ハイジャック」させ、ウクライナに持ち込もうとしたと主張した。

 FSBによれば、国名不詳のNATO加盟国が計画の「準備と実行」に関与していたという。

 「ウクライナの諜報機関は、金銭的報酬とイタリア国籍付与のためにロシア軍パイロットをリクルートし、ウクライナへ同爆撃機を飛ばし着陸させるよう説得するつもりだった」とFSBは主張した。

 ロシアのタス通信は、この作戦で集められた情報の結果、ウクライナのオゼルノエ空軍基地が攻撃されたと報じた。日付や証拠は示されていない。キエフ・ポスト紙は、「ウクライナの第39戦術航空旅団の本拠地である同基地での既知の唯一の攻撃は、ロシアの全面侵攻初期の2022年2月27日だった」と報じた。NASAのFire Information For Resource Management System (FIRMS)は月曜日に火災の兆候を示していない。


A satellite image shows no fires at the Ozerne Air Base in Ukraine. FIRMS



 ウクライナがロシア人パイロットを誘き寄せてバックファイア爆撃機を盗み出そうとしたとして非難されるのは、少なくとも2度目である。この長距離、核搭載可能なジェット機は、ウクライナへのKh-22/Kh-32シリーズ(AS-4キッチン)超音速スタンドオフ巡航ミサイルの発射に大きく関わっている。

 ウクライナ当局は、2022年夏にSu-34フルバックやSu-24フェンサーと同様にTu-22M3を強奪しようとした奇妙な計画が裏目に出たことを認めている。

 ウクライナ国家安全保障局(SBU)は昨年、この事件を受け、ウクライナ軍人が国家反逆罪で起訴されたと発表した。

 SBUによれば、事件を調査した結果、ロシアが2022年7月23日にウクライナの「カナトヴェ飛行場」に「大規模なミサイル攻撃」を行うのに十分な情報を得たため、起訴されたという。SBUはリリースの中で、この攻撃は司令官を殺害し、17人の飛行士を負傷させ、2機の戦闘機を破壊し、滑走路といくつかの建物に「大きな損害」をもたらしたと述べた。

 ウクライナは2023年8月、ロシア人パイロットにMi-8AMTShヒップ戦闘輸送ヘリコプターをハイジャックさせることに成功した。マキシム・クズミノフが国境を越えて飛行機を飛ばした。

 だがパイロットの遺体は2月、スペイン地中海沿岸のアリカンテ地方にあるビリャホヨサの団地下の駐車場スロープで発見された。報道では、正体不明の武装集団に殺害され、12発の銃弾が撃ち込まれたとされている。■


Ukraine Situation Report: Plot To Steal A Tu-22M3 Backfire Thwarted Russia Claims

Tu-22M Backfire bombers, which have played a key role in Russian missile attacks on Ukrainian cities, have been the target of a previous Ukrainian plot.

HOWARD ALTMAN


https://www.twz.com/air/ukraine-situation-report-plot-to-steal-a-tu-22m3-backfire-thwarted-russia-claims



2024年5月10日金曜日

ウクライナを救えるか 米陸軍の155mm砲弾の増産がやっと軌道に乗ってきた。消耗戦の様相のウクライナではやはり数量が物を言う。

 


An ammo handler at Blue Grass Army Depot in Kentucky prepares 155mm projectile rounds for repalletization in 2022.

An ammo handler at Blue Grass Army Depot in Kentucky prepares 155mm projectile rounds for repalletization in 2022. U.S. ARMY / DORI WHIPPLE



月産10万発の砲弾生産の目標が見えてきたと米陸軍が発表



ロシアによるウクライナ侵攻以来、生産量を6倍に増加させるための新たな追加措置が発表された


陸軍は、ウクライナ支援法案の可決を受けて、155mm砲弾の月産量を3倍に増やす方向であると、副参謀長が本日述べた。

 ジェームス・ミンガス副参謀長は、シンクタンクCSIS主催のイベントで、「可決された追加措置により、来年夏までに10万発になるだろう」と語った。

 ミンガス大将によれば、これは陸軍工廠が今月生産すると予想される3万発の3倍以上であり、ロシアが2022年にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、6倍に増加することになるという。

 陸軍関係者は、10万発の目標達成は、ウクライナ補正の前バージョンで要求された31億ドル次第だと述べている。

 陸軍は生産施設を拡大し、アーカンソー、カンザス、テキサスに新たな生産施設を計画していると、陸軍取得チーフのダグ・ブッシュは昨年述べている。砲弾はアメリカ政府が生産を管理する数少ない弾薬のひとつである。

 テキサス州の生産施設への投資により、「砲弾の処理能力と生産性が83%向上した」と、ジェネラル・ダイナミクスのフェベ・ノバコビッチCEOは水曜日の決算説明会で述べた。同社は、陸軍向けに大砲製造工場を運営している。

 この増強は、民間企業が管理しているヨーロッパの155ミリ砲製造とは対照的である。ウクライナに砲弾を発注する欧州政府は、欧州以外の顧客と競争しなければならず、製造業者に生産設備の拡張や改善を直接命令することはできない。

 1月、EUのジョゼップ・ボレル首席外交官は、3月までに100万発の155mm弾をウクライナに引き渡す目標を達成できないだろうと述べ、引き渡し予定時期を2024年末に再設定した。エストニア国防省の最高公務員であるクスティ・サルムによれば、ヨーロッパのメーカーに今日発注された弾丸は、ウクライナに届くまでに少なくとも1年かかるという。

 ウクライナのルステム・ウメロフ国防相は2月、ウクライナが1日あたり約2000発の砲弾を発射しているのに対し、ロシアはその3倍を発射していると述べた。ウクライナはNATO設計の155ミリと105ミリの砲弾、それにソ連設計の152ミリと122ミリの砲弾を混ぜて使っている。

 今月初め、欧州司令部のクリス・カボリ司令官は議会での証言で、ロシアは5対1の割合でウクライナを撃ちまかしており、米国の追加支援がないと、10対1の割合でウクライナを撃ち負かすだろうと述べた。

 砲弾は、ホワイトハウスが水曜日に発表した、ウクライナへの新たな10億ドルの各種軍事援助の一部となる。一発およそ3000ドルの155ミリ砲弾にどれだけの資金が投入されるかは明言されていない。しかし、仮に資金の4分の1が大砲に充てられるとすれば、約8万発の弾丸はウクライナの6週間分にすぎず、しかも発射数を下げた状態でしか持ちこたえられないことになる。■


The goal of 100K artillery shells per month is back in sight, Army says - Defense One


The new supplemental renews the push to boost production sixfold since Russia’s Ukraine invasion.

BY SAM SKOVE

STAFF WRITER

APRIL 24, 2024


2024年5月6日月曜日

イスラエルが不満を感じる旧型ペイトリオットミサイルを退役させ、ウクライナ支援に転用される可能性が出てきた

 


Business Insiderがイスラエルのペイトリオットミサイルについて、イスラエルが低評価のPAC2を退けるので、これを防空ミサイルが喉から手が出るほどほしいウクライナへ供与するのではと観測記事を掲載しましたのでご紹介しましょう。


US soldiers participate in Patriot missile training at Mount Eitam, Israel in 2018.

US soldiers participate in Patriot missile training at Mount Eitam, Israel in 2018. Sgt. 1st Class Jason Epperson/US Army



  • イスラエルは米国製ペイトリオット防空システムに感銘を受けたことがない

  • 1991年にはイスラエルに向け発射されたイラクのスカッドミサイルの迎撃にペイトリオットが失敗した事が大きい

  • イスラエルにペイトリオットは不要でも、ウクライナは切実に必要としている


スラエルはペイトリオット防空システムに決して満足していないがウクライナは自国の存続にこれが不可欠と考えている

 このため、イスラエルが旧式ペイトリオット部隊をシャットダウンし始めた一方で、ウクライナは自国の都市と軍隊を防衛するためにペイトリオット・ミサイル増設を懇願する奇妙な状況が生まれている。

 イスラエルとウクライナのペイトリオットに関する経験は、全く異なっている。イスラエルは1991年、イラクが発射した約40発のスカッド弾道ミサイルにペイトリオットを初めて実戦使用した。だがイスラエルはペイトリオットの哀れな性能に失望し、関係者はわずか1発、あるいはゼロ発のスカッドしか撃墜できなかったと推定している。

 イスラエルがペイトリオットを再び戦闘に使用したのは、2010年代にシリアから飛来したドローンとSu-24爆撃機を撃墜してからだ。それまでにペイトリオットはまったく異なるシステムになっていた。イラクのスカッドなどに対する初期の失敗から、システムの大規模アップグレードが行われ、標的を直接攻撃し運動エネルギーで破壊するアクティブ・レーダー・シーカーを搭載したミサイルが開発された。これらの新型「ヒット・トゥ・キル」ミサイル、PAC-3の価格は1発約400万ドルと見積もられている。一方で低性能のPAC-2は近接信管ミサイルで、飛来するミサイルの近くで爆発させて排除する。

 2023年初頭にPAC-2とPAC-3両方の迎撃ミサイルを搭載したペイトリオットを受け取って以来、ウクライナは、ロシアが迎撃不能な極超音速兵器として宣伝していたキンジャル・ミサイルの撃墜に成功し、今年初めには、少なくとも1基の発射台を前線近くに移動させ、ロシアで最高性能の戦闘機12機を撃墜した。

 ペイトリオットはイスラエルのミサイル・シールドの一部に過ぎず、10月7日のハマスのテロ攻撃をきっかけに、イランとその代理人によって激しいテストが行われている。イスラエルには、より安価で自国内に構築できる選択肢が他にある。

 「イスラエルは以前から、ペイトリオットを補完、あるいは置き換える、先進的な国産システムを探していた」と、リスク情報会社RANEの中東・北アフリカ上級アナリスト、ライアン・ボールは本誌に語った。

「イランがイスラエルに対してミサイルを乱射して間もない時期に、このような事態が発生したことは驚きではない。イスラエルはペイトリオットを時代遅れと見ているのだと思う」。

 欧州政策分析センターの防衛専門家、フェデリコ・ボルサリも、イスラエルがより先進的な対ミサイルシステムを開発したことが、ペイトリオット退役の決定に大きく影響していると考えている。

 「イスラエルがペイトリオットPAC-2ユニットを退役させるという決定は、より高度な能力、特にアイアンドームとデイビッズスリングによる防空アーキテクチャの近代化と漸進的強化の過程に沿ったものだ」とボルサリは本誌に語った。

 「特に後者のスタナーミサイルは、PAC-2のGEM-Tミサイルの160kmに比べ、空力的脅威に対する交戦距離が長い(公開されている仕様では最大300km)。「デイビッズスリングの最大射程能力はペイトリオットのPAC-3より高いと思われるが、2つのシステムの交戦範囲はほぼ同じだ」。

 またデイビッズスリングのトラックに搭載されたELM-2084レーダーが "機動性と迅速な再配置 "の利点を追加すると指摘した。

 「デイビッズスリング迎撃ミサイルは、短射程のアイアンドームとの統合により、最近イランが仕掛けたような飽和多脅威攻撃にも対抗できるように設計されている」とボルサリは指摘しデイビッズスリングが"低空飛行攻撃 "の迎撃や敵の発射体の追尾に効果的であると指摘した。

 彼はまた、スタナー・ミサイルはペイトリオット・ミサイルよりも安価であり、したがって費用対効果が高いと指摘した。

 イスラエルは以前、長い間保管され使用されていなかった年代物のホークミサイルの米国からのウクライナ向け供与の要請を拒否した。

 だがアナリストには、ペイトリオットについては別の可能性を考えている。

 「イスラエルがペイトリオットを米国に戻し、そこからウクライナに移送する可能性は十分にあると思う。「ロシアのウクライナ戦争によって、イスラエルが必要とする155ミリ弾薬が枯渇してしまったからだ。

ペイトリオットが最終的にウクライナに配備されなくても、地域内の別の国に譲渡される可能性はないとは言えない。ヨルダンは10月にペイトリオットミサイルの配備をアメリカに要請し、4月13日にはイランの弾幕を阻止するのに貢献した。

 「ヨルダンや湾岸アラブの同盟国であるアラブ首長国連邦、バーレーン、あるいはサウジアラビアなど、他の第三者国にペイトリオットを譲渡することも、米国が地域全体の防空を強化するため必要だ」とボールは言う。

 ボルサリは、アメリカとヨーロッパ諸国がウクライナのためにイスラエルのPAC-2砲台を獲得することは極めて重要だと主張する。

 「前線全体をカバーするには不十分だが、ロシアがウクライナの都市に対するテロ攻撃を強める中、ウクライナの防空を大幅に強化することができる。「イスラエルはこれまで、ウクライナに軍事支援を提供するよう求める声に抵抗してきたが、アメリカやその他の国からの圧力によって、この移転が可能になるかもしれない。

 「ヨルダンへの引き渡しも可能だが、状況を考えれば、西側諸国はウクライナを優先するだろうし、そうすべきだ」。■




Israel is retiring its Patriot missile batteries. They could help a struggling Ukraine.

Paul Iddon May 3, 2024, 4:57 AM JST






2024年5月5日日曜日

ロシアがM1A1エイブラムス戦車を撃破し、初の車体捕獲に成功(2024年4月28日)---回収した同戦車は補修後、プロパガンダ目的に使われるが、重要技術の流出が心配だ

 


恐れられていた事態が現実に鳴りました。旧型とはいえ、エイブラムズ戦車を入手したロシアは徹底的に車体構造や性能を研究するでしょう。The War Zoneの速報を御覧ください。



2024年4月28日、ウクライナのベルディチ近郊で、ロシア軍が歴史上初めてM1A1エイブラムス戦車を鹵獲した。内部が焼損するなど大きな損傷を受けた戦車は、67トン近い重量があったため、2台のBREM-1回収車により運び出された。この出来事は、ロシア国防省が確認したように、エイブラムス戦車がウクライナでロシア軍の手に渡った初めての出来事である。

 鹵獲されたエイブラムス戦車は、モスクワのポクロナヤ丘で開催される「デッド・アイアン」と名付けられた展示会で、NATOやウクライナの装備品の数々と展示される。2024年5月1日に開幕し、今月いっぱい開催されるこの展示会では、ブラッドレーM2A2やCV9040歩兵戦闘車、レオパルド2A6戦車など、さまざまな軍事機器が展示される。

 ロシアのエンジニアリングと修理グループが回収と輸送を綿密に管理した。そのプロセスは、人員と設備の安全を確保するための最初のエンジニアリング調査から始まった。その後、戦車は修理施設に移され、現在、線路や電気系統の一部、その他の主要部品の交換を含む修復作業が行われている。

 ウクライナの第47機械化旅団が運用していた戦車は、当初ランセット無人機の攻撃を受け、その後、対戦車誘導弾(ATGM)が命中した。この作戦は、ロシアの第15個別衛兵機動ライフル旅団(別名ブラック・フッサー)によって実施され、戦車は動けなくなり、戦車の運転手は死亡したと報告されている。この戦車は、後にロシア軍に鹵獲された戦車と同一であると推測されている。

 エイブラムス戦車の発見と交戦は、コールサイン "Rassvet "を使用したブラックハッサーズのドローンオペレーターによって調整されたことが追加で明らかになった。戦車はツェントラルナヤ通りとミラ通りに沿って北東に向かい、前方のロシア軍陣地から約1.5キロ離れたステポヴェに向かっていた。戦車の破壊後、ロシアの第15分離歩兵機動小銃旅団はテレグラム・チャンネルで作戦の成功を公に認めた。

 激しく損傷し焼けただれたM1A1エイブラムス戦車であっても、軍事技術者にとっては価値がある。戦車の構造や材質から、その製造技術や装甲組成に関する重要な洞察を得ることができる。この情報は同戦車の脆弱性と強みを理解するのに役立ち、防御戦術の開発や自国の装甲車の設計を強化するのに有益だ。

 さらに、光学システム、通信機器、エンジン部品など、現存するあらゆる部品も技術分析の対象となる。これらの部品は、米軍ハードウェアの技術水準を評価し、特に電子戦やサイバーセキュリティの分野における潜在的な脆弱性を特定するのに役立つ。このような装備の研究はまた、戦略的な軍事計画を支援し、技術的な回復と試験の実力を示すことによって能力と士気を強化し、ロシア国民に大きなプロパガンダ効果をもたらす。

 M1A1エイブラムス主力戦車は、オリジナルのM1エイブラムスの改良型で、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズによって1985年8月から1993年初頭まで生産された。この戦車の主武装システムは120mm M256滑腔砲で、各種弾薬を発射できる。このうちM829A1APFSDS-T弾は4000メートルの距離まで有効性を維持する劣化ウラン貫通弾を装備し、M830高爆発性対戦車(HEAT)弾は3000メートル離れた要塞目標に適している。M1A1は砲塔と車体に120mm弾を40発収納できる。また、同軸7.62mm機関銃、砲塔に取り付けられた補助7.62mm機関銃、指揮官ハッチに配置された12.7mmブローニングM2 HB機関銃も装備している。

 防御面では、M1A1の装甲はチョバム複合材料と劣化ウランプレートを統合し、様々な弾道および爆発性の脅威から防御するように設計されている。■


Russia Destroys Ukrainian M1 Abrams Tank - Warrior Maven: Center for Military Modernization


2024年5月2日木曜日

ATACMS長距離型の投入でウクライナはロシアをけん制可能となった。米国はなぜもっと早く供与しなかったのか。

 Business Insider記事がATACMS長距離型のもたらす効果について指摘しています。なぜ、これをもっと想起に供与しなかったのか、バイデン政権の優柔不断さが今更ながら悔やまれれるところです。

A still from a video shared by the General Staff of the Ukrainian Armed Forces of ATACMS in use at night time

A still from a video shared by the Ukrainian military of ATACMS in use. General Staff of the Ukrainian Armed Forces/Screengrab via X


ウクライナが取得したATACMSでクリミアが「軍事的に無価値」になる可能性を専門家が指摘している


メリカはウクライナに長距離攻撃兵器ATACMSを提供し、ウクライナはさっそく同兵器でクリミアにあるロシア自慢のS-400防空ランチャーを攻撃した。

 あるアナリストは、この兵器はクリミアを「軍事的に無価値」にする可能性があると述べている。

 先週、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、アメリカがATACMSとして知られる陸軍戦術ミサイル・システム約100機をウクライナに極秘に輸送したと報じた。

 アメリカは以前、短射程型のATACMSを送り、昨秋のウクライナの戦闘を助けた。しかし、最近送られたバージョンは、約190マイルを射程におさめる。

 2014年にロシアに占領され、ウクライナの軍事戦略にとって極めて重要なクリミアも射程内に入った。

 ウクライナに詳しい軍事アナリストのフィリップ・カーバーは、ラジオ・フリー・ヨーロッパに対し、「ATACMSの納入は大きなブレークスルーだ」と語り、この兵器は「クリミアを軍事的に無価値にできる」と語った。

 ウラジーミル・プーチン大統領がクリミアを占領して以来、クリミアは厳重に要塞化されてきた。クリミアには、ロシアの黒海艦隊司令部であるセヴァストポリ港がある。

 また、占領下のウクライナ南部への重要な物流拠点と軍事補給路としての役割も果たしており、ロシアによるミサイル攻撃やドローン攻撃の発射台にもなっている。

 ウクライナはこれまでにもクリミアに多くの打撃を与えてきた。ロシアの黒海艦隊やセヴァストポリ港を大幅に弱体化させ、半島とロシアを結ぶ戦略的なケルチ橋を定期的に狙ってきた。

 これらは、空や海軍の無人偵察機や、おそらくイギリスとフランスが供与したストームシャドウ/SCALPミサイルなど、さまざまな兵器によって実施されてきた。

 しかし、ATACMSには、ストームシャドウよりもはるかに高速で移動できるという重要な利点がある、とラジオ・フリー・ヨーロッパは報じている。

 4月中旬、ウクライナはクリミア北部のヂャンコイ軍事基地を攻撃したと主張した。米政府高官は後に『タイムズ』紙に、この基地はウクライナのATACMSの標的のひとつだったと語った。

 先月、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ支援策に合意するよう議会に求めた際、クリミアの飛行場を標的とする重要な兵器としてATACMSの存在を指摘した。

 「我々がこれらのジェット機を破壊できると知れば、ロシアはクリミアから攻撃しなくなるだろう」とゼレンスキー大統領はワシントン・ポスト紙に語った。「水上艦隊と同じだ。我々は領海から彼らを追い出した。今度はクリミアの空港から放逐する」。


Ukraine's new ATACMS could make Crimea 'militarily worthless,' war expert says

Mia Jankowicz May 1, 2024, 1:06 AM JST


2024年4月21日日曜日

ロシアのTu-22M3バックファイアをS-200ミサイルで撃墜した: ウクライナのスパイ局長が明かす

 The War Zone記事からのご紹介です。Tu-22バックファイヤーをS-200ミサイルで撃墜したとのウクライナ情報部の主張で、これまでミサイルを多数打ち込まれてきたウクライナからすると溜飲が下がる思いなのでしょうね。

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A Tu-22M3 with a Kh-22 supersonic cruise missile under the port wing.&nbsp;<em>Dmitriy Pichugin via Wikimedia Commons</em>

A Tu-22M3 with a Kh-22 supersonic cruise missile under the port wing. Dmitriy Pichugin via Wikimedia Commons



ウクライナ国境から約200マイル地点で可変翼爆撃機を墜落させたとキーウが主張している


クライナは、ロシアのTu-22M3バックファイアC爆撃機を迎撃し、同機はロシア南部のスタブロポリで撃墜したと本日発表した。TWZの独占取材に応じたウクライナ国防省情報総局(GUR)の責任者であるキリロ・ブダノフKyrylo Budanov中将は、ロシア爆撃機はソ連時代のS-200(SA-5 Gammon)長距離地対空ミサイルによって撃墜したと述べた。

 もしそうだとすれば、ウクライナがTu-22M3(あるいは他のロシアの長距離爆撃機)を撃墜させた事例は前例のない出来事となる。

 ソーシャルメディアに掲載されたビデオでは、航空機が地面に向かって急旋回し、後部胴体が炎上している様子が映っている。その後の写真とビデオでは、爆撃機の残骸が地上にあり、まだ燃えている。

 映像が流れた直後、ウクライナは爆撃機撃墜の撃墜を主張した。

 GURはウェブサイトで、爆撃機は「ウクライナ空軍との協力による特別作戦で撃墜された」と述べた。

 GURによれば、問題のTu-22M3はウクライナへのミサイル攻撃から帰還中に、「以前ロシアのA-50長距離レーダー探知管制機を撃墜したのと同じ手段で、ウクライナから約300キロ(186マイル)の距離で撃墜した」という。

 「同機はスタブロポリまで飛べたが、そこで墜落した」。

 ブダノフ中将は本誌に対し、問題のTu-22M3はS-200砲台から308キロ(約191マイル)離れた地点で交戦したと、より詳細な情報を提供した。

 GURのビデオには、防空システム司令部の内部が映っており、Tu-22M3を墜落させるために使われた兵器、あるいは少なくとも作戦を調整するために使われたことを暗示している。

 GURスポークスマン、アンドレイ・ユーソフが最初のTu-22M3が攻撃され、2機目のTu-22M3が方向転換を余儀なくされたと述べているとラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティーが報じた。「別のミサイルがウクライナに向け発射されなかったことを意味する」(ユーソフ)。

 ロシア国防省は、Tu-22M3が「スタブロポリ領内で、戦闘任務を終え基地に帰還中に墜落した」ことを確認した。同省は、国営通信社タスが引用した声明の中で、4人の乗組員全員が脱出したと述べた。同関係者によれば、乗員のうち3人は地上で生存が確認され、4人目の捜索は継続中という。機体は人口の少ない地域に墜落し、地上での死傷者はなかったと同省は付け加えた。

 しかし、ウラジーミル・ウラジミロフ・スタブロポリ州知事によれば、2人の乗組員が脱出し(おそらく成功)、3人目が死亡、もう1人が行方不明であるという。知事は、墜落現場は同領土の北西に位置するクラスノグバルデイスキー地区であると特定した。

 ロシア国防省は事故原因を「技術的な不具合」とし、これは初期情報に基づくもので、バックファイアは墜落時に弾薬を搭載していなかったと述べた。

 未確認情報によると、Tu-22M3は昨夜ドニプロペトロフスク地方を目標とした攻撃に使用された可能性がある。

 Tu-22M3はウクライナで主にKh-22/Kh-32シリーズ(AS-4キッチン)超音速スタンドオフ巡航ミサイルを発射し、多用されている。

 事件の場所からすると、航空機は北オセチアのモズドク空軍基地に向かっていたと思われる。この基地は、最も近いウクライナ国境から約400マイル離れた場所にある。

 GURがA-50メインステイ空中早期警戒管制機に言及したことについて、ウクライナ当局が同型機2機を空中で破壊したと主張していたため、興味深い。

 ウクライナは、今年1月14日にアゾフ海上空でA-50を撃墜したと発表し、2月23日にはロシアのクラスノダール地方上空でもう1機を撃墜したと主張している。その後、2機目の残骸が地上で燃えている画像が公開された。ロシアのメディアはその後、死亡した乗組員のリストを公表したが、これらの主張のうち最初のものについては目視による確認は取れていない。

 ウクライナ当局は、2機のA-50が撃墜されたと主張しながらも、どのような武器が使われたかをこれまで明らかにしていなかった。

 このため、注目された撃墜の原因を確認しようとするアナリストたちから多くの憶測を呼ぶことになった。特に2機目のA-50の撃墜は、一部の非公式情報源によってS-200地対空ミサイル・システムによるものとされていたが、今回のブダノフのコメントがそれを裏付けたようだ。

 過去にペイトリオット防空システムは、ロシア領空内を飛行する固定翼戦術機やヘリコプターを撃墜するために使用され、約100マイルの射程距離の航空機を標的とすることに成功したと報告されている。

 このことは、S-200が今回使用されたというブダノフの主張を裏付けるものだろう。このことは、システムの古さだけでなく、本格的な侵攻が始まってからの状況についての疑問も考慮すれば、驚くべきことである。2010年時点では、ウクライナには4基のS-200砲台があり、国土の大部分を防空していたが、12基が非稼働状態だったと報告されている。さらなる報告によると、S-200は2013年に退役したが、2022年2月以降、陸上攻撃用として再び使用されるようになったようだ。

 ウクライナは、これらのミサイルを発射可能な複数の場所だけでなく、かなり実質的な予備を保有している可能性が高い。本誌が過去に推測したように、ウクライナはこれらのミサイルを別の場所からも発射できるような、ある種の移動式または展開可能な発射装置を開発している可能性もある。

 S-200が通常使用する5V28シリーズ・ミサイルは、1段式の液体燃料モーターと、4つの固体燃料ブースターのクラスターを搭載し、全長約35フィート、直径約34インチ、後期型の最大射程は約186マイルである。

 その一方で、今日の交戦で目標捕捉とミサイル誘導がどのように達成されたのかについては疑問が残ったままで、S-200がより近代的なレーダーと連動するように改造された可能性が指摘されている。

 ウクライナの国防関係者は本誌に対し、ウクライナがS-200用の最新の誘導システムを製造するため「パートナーからの支援」を受けていることを認めた。「ミサイル自体は優れた操縦システムを持っているので、適切な誘導が提供されれば、かなり近代的な武器になる」とこの関係者は付け加えた。

 Tu-22M3に関しては、ロシアの長距離爆撃機3機の中で最も数が多く、全機がウクライナ戦争で使用されている。

 Tu-95MSベア-HとTu-160ブラックジャックがもっぱら亜音速の航空発射巡航ミサイル(ALCM)を搭載しているのに対し、Tu-22M3は前述のKh-22/32と同様に無誘導自由落下爆弾も搭載できる。超音速ミサイルはウクライナの防空にとって特にやっかいな標的だったようだが、ウクライナ空軍によれば、昨夜2発のKh-22ミサイルの撃墜に成功したという。しかし同時に、Kh-22/32はALCMに比べて射程が短いため、Tu-22M3は目標に近づいて武器を発射しなければならず、ウクライナの防空網に交戦できる可能性が高まる。

 ロシアの空戦におけるバックファイアーの重要性は、昨年8月にロシア北西部のノヴゴロド地方にあるソルツィ空軍基地を標的としたドローン攻撃で実証された。画像には、攻撃後に基地で激しく燃えるTu-22M3が写っており、ロシア国防省は爆撃機の1機が"損傷"したと認めている。

 ウクライナのドローン攻撃は、他の爆撃機基地に対しても行われており、長距離ドローンだけでなく、短距離のホビータイプのクアッドコプターも使用されている。

 Tu-22M3は、本格侵攻が始まった時点で約60機がロシアに配備されており、モスクワの長距離爆撃機の中で最も数が多い。

 おそらくもっと重要なことは、今日の事件に関するウクライナの主張が事実であれば、ロシア爆撃機が空中でも地上でも脆弱であることを指摘することになる。ロシア航空宇宙軍の戦術の見直しと、防空システムに責任があった場合の検討を余儀なくされるかもしれない。■


Russian Tu-22M3 Backfire Shot Down With S-200 Missile: Ukraine’s Spy Chief

Kyiv claims that the swing-wing bomber was brought down nearly 200 miles from the Ukrainian border by a modified S-200 air defense system.

BYHOWARD ALTMAN, THOMAS NEWDICK|PUBLISHED APR 19, 2024 11:31 AM EDT