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ウクライナを救えるか 米陸軍の155mm砲弾の増産がやっと軌道に乗ってきた。消耗戦の様相のウクライナではやはり数量が物を言う。

 


An ammo handler at Blue Grass Army Depot in Kentucky prepares 155mm projectile rounds for repalletization in 2022.

An ammo handler at Blue Grass Army Depot in Kentucky prepares 155mm projectile rounds for repalletization in 2022. U.S. ARMY / DORI WHIPPLE



月産10万発の砲弾生産の目標が見えてきたと米陸軍が発表



ロシアによるウクライナ侵攻以来、生産量を6倍に増加させるための新たな追加措置が発表された


陸軍は、ウクライナ支援法案の可決を受けて、155mm砲弾の月産量を3倍に増やす方向であると、副参謀長が本日述べた。

 ジェームス・ミンガス副参謀長は、シンクタンクCSIS主催のイベントで、「可決された追加措置により、来年夏までに10万発になるだろう」と語った。

 ミンガス大将によれば、これは陸軍工廠が今月生産すると予想される3万発の3倍以上であり、ロシアが2022年にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、6倍に増加することになるという。

 陸軍関係者は、10万発の目標達成は、ウクライナ補正の前バージョンで要求された31億ドル次第だと述べている。

 陸軍は生産施設を拡大し、アーカンソー、カンザス、テキサスに新たな生産施設を計画していると、陸軍取得チーフのダグ・ブッシュは昨年述べている。砲弾はアメリカ政府が生産を管理する数少ない弾薬のひとつである。

 テキサス州の生産施設への投資により、「砲弾の処理能力と生産性が83%向上した」と、ジェネラル・ダイナミクスのフェベ・ノバコビッチCEOは水曜日の決算説明会で述べた。同社は、陸軍向けに大砲製造工場を運営している。

 この増強は、民間企業が管理しているヨーロッパの155ミリ砲製造とは対照的である。ウクライナに砲弾を発注する欧州政府は、欧州以外の顧客と競争しなければならず、製造業者に生産設備の拡張や改善を直接命令することはできない。

 1月、EUのジョゼップ・ボレル首席外交官は、3月までに100万発の155mm弾をウクライナに引き渡す目標を達成できないだろうと述べ、引き渡し予定時期を2024年末に再設定した。エストニア国防省の最高公務員であるクスティ・サルムによれば、ヨーロッパのメーカーに今日発注された弾丸は、ウクライナに届くまでに少なくとも1年かかるという。

 ウクライナのルステム・ウメロフ国防相は2月、ウクライナが1日あたり約2000発の砲弾を発射しているのに対し、ロシアはその3倍を発射していると述べた。ウクライナはNATO設計の155ミリと105ミリの砲弾、それにソ連設計の152ミリと122ミリの砲弾を混ぜて使っている。

 今月初め、欧州司令部のクリス・カボリ司令官は議会での証言で、ロシアは5対1の割合でウクライナを撃ちまかしており、米国の追加支援がないと、10対1の割合でウクライナを撃ち負かすだろうと述べた。

 砲弾は、ホワイトハウスが水曜日に発表した、ウクライナへの新たな10億ドルの各種軍事援助の一部となる。一発およそ3000ドルの155ミリ砲弾にどれだけの資金が投入されるかは明言されていない。しかし、仮に資金の4分の1が大砲に充てられるとすれば、約8万発の弾丸はウクライナの6週間分にすぎず、しかも発射数を下げた状態でしか持ちこたえられないことになる。■


The goal of 100K artillery shells per month is back in sight, Army says - Defense One


The new supplemental renews the push to boost production sixfold since Russia’s Ukraine invasion.

BY SAM SKOVE

STAFF WRITER

APRIL 24, 2024


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