スキップしてメイン コンテンツに移動

E-4B後継機のコンセプト・アートからわかった興味深い特徴について: VC-25B(ボーイングが改修に苦労中)との共有化はできない? 747として最後に残る機体になりそう

 



NAOCあらためSAOCとしてシエラネヴァダコーポレーションが受注に至ったことは先にお伝えしました。同社から発表のコンセプト図からThe War Zoneがあれこれ推察してくれましたのでご紹介します。予想通り機体は製造済み747-8となり、同じ機体の改修に手こずっているボーイングと並行して作業が進んでいきますが、記事もし適しているように共用できる領域もあるはずで、今後ボーイングとSNCが接近する可能性もあるでしょう。


SAOC will replace the E-4B, now we have a better idea of what it will look like.


Sierra Nevada Corporation




シエラ・ネバダによる「生存可能な空中作戦センター」のコンセプトには、E-4Bとの共通点と相違点がある


エラネバダ・コーポレーション(SNC)は、軍用機の大規模な改造でよく知られる企業だが、老朽化した空軍のE-4B「ナイトウォッチ」国家空挺作戦センター(NAOC)機の後継機SAOCとして130億ドル相当の契約を獲得した。核硬化対策を施した航空機は4機あり、主に1970年代に調達されたもので、747-200型機をベースにしている。SNCは、E-4B後継機のコンセプト画像を初公開し、注目に値する特徴を明らかにした。


 今回想定されるSAOCの機体数はE-4Bの機体数を上回るとあり、退役が目前に迫っている別の機体の役割も担う可能性もある。


All four E-4Bs on the ramp together at the same time. (USAF)

All four E-4Bs on the ramp together at the same time. (USAF)


 第一に、SAOCがボーイング747-8をベースにした機体になることはほぼ確実だ。こ747の生産ラインは2022年に閉鎖され、ジャンボジェットの長い歴史に終止符が打たれた。そのため、機体は中古で入手するしかない。747-8は155機しか製造されず、そのうち旅客機仕様の747-8iは55機しか製造されなかった。これは、ボーイングが将来のエアフォース・ワン用にVC-25B型に改造しているのと同じタイプで、これも中古で入手したものである。SAOCプログラムの要求を満たすには、4発エンジンが必要であることなどから、747がほぼ唯一の選択肢となった。

 コンセプト・アートでは、E-4B後継機は、象徴的な白と青のペイント・スキームを含め、現行機によく似ている。しかし、747-8iは-200より大きく、内部空間は4,800平方フィート近くもあり、新しい主翼と、より強力で効率的なGEnxハイバイパス比ターボファンエンジンを備えている。また、細長いアッパーデッキの「ハンプ」を備え、従来の747-200以降の機体よりさらに広い内部空間を確保している。


 SNCのコンセプト・アートを見る限り、この軍用機747-8iの新型機には空中給油システムが搭載されている。これは、空中給油機能を備えた先代のVC-25Aからの大きな変更である。これは物議を醸している。この能力は緊急時にのみ使用されるものだが、VC-25Aは標準的な航続距離よりもはるかに長く、一度に数日間も上空にとどまることができるという事実が、冷戦末期に必要とされた重要な能力だった。今日、E-4BはVC-25A乗組員の空中給油訓練に使われている。


 特筆すべきは、給油レセプタクルの位置が、VC-25AとE-4Bで共通の機首の膨らみから、コックピットエリアすぐ上のハンプの上に移動したことだ。


空中給油スリップウェイ/レセプタクルは機首からコックピットの上、747-8iのハンプの上に移動した。(SNC、アメリカ空軍)

 空中給油は、E-4Bの長距離任務や有事任務で定期的に使用されている。例えば、国防長官が世界各地を飛び回る際、E-4Bを使用することが多いが、その際何度も空中給油が行われるため、航空機は給油のために着陸することなくそのまま飛行できる。大規模な危機の際、E-4Bを飛行させておくことが、機体の存続と「ビジネスケース」の鍵となるため、747-8の航続距離が前モデルより大幅に向上しているにもかかわらず、この能力が維持されること、少なくともそのように表現されることは驚くことではない。それでも、給油口の移動は、E-4Bの非常にわかりやすいシルエットの一面を変えることになる。



 コンセプトアートによると、E-4Bのユニークなプロフィールで、変わっていない部分として象徴的な衛星通信ドームがある。E-4Bが誕生して以来40年間、衛星通信スイートは技術的に長い道のりを歩んできたにもかかわらず、今回も同様の設置を見ている。


An E-4B aircraft sits on the tarmac at Travis Air Force Base, Calif., Sep. 11, 2017.  (U.S. Air Force photo by Louis Briscese)

An E-4B aircraft sits on the tarmac at Travis Air Force Base, Calif., Sep. 11, 2017. (U.S. Air Force photo by Louis Briscese)


 新しいSAOCコンセプトの背骨上に長方形のデザインの追加衛星通信アンテナシステム数点も見られる。E-4Bでこのエリアは基本的に空飛ぶアンテナファームである。VC-25Aも背骨に沿って同様の場所にブロードバンド衛星通信機能をアップグレードしている。


A top-down look at SNC's SAOC concept. (SNC)

A top-down look at SNC's SAOC concept. (SNC)


 また、尾翼上部の先端には、衛星生中継テレビ用に民間機や民間航空機に設置されているものと同様の、新しい衛星通信システムが見える。これはペンタゴンの空中コマンドセンターにとって重要な機能だろう。いずれにせよ、スターリンクのような弾力性のあるコンステレーションを活用することを含め、宇宙ベースの通信は、今後アメリカの核抑止力を支える戦略的通信でますます重要な役割を果たすだろう。そのため、機体の背骨にはアレイが散らばることになろう。


 地上エントリーポイントに接続する視線データリンクアンテナ用の2つの膨らみも、新しいコンセプトアートに見られる。これらは、ジェット機が安全な通信のために地上の通信サイトに直接「接続」するため不可欠なものだ。また、翼端の後縁と水平尾翼の前縁にある4本の高周波(HF)無線「スティンガー」のようなアンテナも存在する。



 ここで言及する価値のある、クォーター・サイド・アートとトップダウン・アートの間に非常に興味深い大きな相違点がある。トップダウン視点では、翼の下、翼根付近から2つのポッドのようなものが伸びている。これが何のためにあるのか、なぜ他のパースにはないのかは不明だが、追加通信機器がデザインに組み込まれた理由の1つとして考えられる。このようなポッドはE-4Bに存在しない。また、将来的に新しい技術やミッションに必要なものをSAOCに簡単に組み込むことができるようになるかもしれない。


 海軍の弾道ミサイル潜水艦との通信に使用される長い超低周波トレーリングワイヤーの後続ワイヤーアンテナも欠けているように見える。コンセプト画像にリール式アンテナがないのには、何か理由があるのかもしれない。


 もちろん、これらすべてはプログラムが軌道に乗るにつれて、特に要求が変われば変更される可能性があるが、現状では、この新型機は少なくとも見た目はE-4Bの直接の後継機となる。それでも、疑問の余地がある部分もある。


 発電や核爆発による電磁パルスへの硬化、一部の通信やその他多くのサブシステムなど、同じ機能で多数がSOACとVC-25Bの両方に必要となる。この種の開発には莫大な費用がかかる。同じ機体を使う2つのプログラムの間にどれだけクロスオーバーがあるかは不明だが、完全に二分するのは無駄のように思える。E-4の開発は、数十年前のVC-25プログラムに直接利益をもたらした。特に、2つの別々の請負業者が別々の機体構成を開発していることを考慮すれば、今回がどの程度そうなのかは現時点では不明だ。特に空中給油口の場合、SOAC用にすでに開発されているのに、VC-25Bで省略するのは奇妙に思える。以前のVC-25AとE-4Bのユニークな二分化のように、VC-25B機への給油訓練はSAOC機で行われる可能性がある。


 SAOCが最終的にどのような機能を持つことになるのかについてはまだよくわからないが、これらのコンセプトアートは、少なくとも現時点では、予想される一般構成を理解するのに役立つ。また、これらの航空機多数が、海軍の老朽化したE-6Bマーキュリーからルッキング・グラス空中司令機能と地上弾道ミサイル発射任務を引き継ぐかどうかもわからない。E-6Bは現在、弾道ミサイル潜水艦発射通信とルッキング・グラス双方の役割を担っている。


 海軍は、ボーイング707から派生したE-6Bを、C-130Jスーパーハーキュリーズをベースとした新しいTACAMO機に置き換えようとしている。747-8iは運用コストがはるかに高く、C-130Jの数分の一の飛行場にしかアクセスできないが、E-4Bが現在遂行している幅広い任務にははるかに適している。これには、国防総省の最高指導部やアメリカ大統領さえも空中で生存可能な指揮統制ノードとして機能することも含まれる。


 少なくとも航空ファンにとっては、「空の女王」747をベースにした最も魅力的で希少な航空機のひとつE-4Bが、747の究極バージョンに取って代わられるという事実は、確かにエキサイティングなことだ。ナイトウォッチのクルーや、これらの古い航空機を空中で維持するすべての人々にとっては、さらにエキサイティングなことに違いない。冷戦の暗黒時代以来見たこともないほど世界中の戦略的危機が高まっている今、このタイプの最高の機体に移行することが能力を高める。


 SNCにとって、このプログラムには絶対的なリスクとリターンがある。この種の契約は、歴史的にプライムが交付を受けるのが当然であったため、同社にとって大きなチャンスである。さまざまな製品を提供する中で、SNCは既存の航空機を軍や情報機関が望む形に改造することで、信頼と名声を築いてきた。同時に、ボーイングがVC-25B計画でいかに苦戦しているかを見れば、このような事業の複雑さがわかる。特に海軍はE-6Bを廃棄してC-130JをTACAMOに導入するスケジュールで動いており、その過程でルッキング・グラスの任務を放棄することになるため、SAOCへの期待も高まる。■


E-4B Doomsday Plane Replacement Concept Art Has Some Interesting Features

The Survivable Airborne Operations Center concept from Sierra Nevada Corp. has major similarities and differences with its E-4B predecessor.

BYTYLER ROGOWAY|PUBLISHED APR 29, 2024 4:20 PM EDT

AIR


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...