スキップしてメイン コンテンツに移動

INDOPACOM司令官の交代式典がハワイで行われた。退任アキリーノ提督の警告と新任パパロ提督の横顔について

今回はStars and StripesとDefense Oneの記事から合成して作成しました。


Adm. John Aquilino, right, outgoing commander of U.S. Indo-Pacific Command, and Adm. Samuel Paparo, incoming commander of USINDOPACOM exchange salutes during the USINDOPACOM change of command ceremony on Joint Base Pearl Harbor Hickam, May 3.Adm. John Aquilino, right, outgoing commander of U.S. Indo-Pacific Command, and Adm. Samuel Paparo, incoming commander of USINDOPACOM exchange salutes during the USINDOPACOM change of command ceremony on Joint Base Pearl Harbor Hickam, May 3. U.S. NAVY / MASS COMMUNICATION SPECIALIST 1ST CLASS JOHN BELLINO


パパロがINDOPACOMの舵を取る

今が "最も危険な時 "だと退任するアキリーノ提督が述べた


ョン・アキリーノ大将は、金曜日USSアリゾナ記念碑とUSSミズーリを見下ろす桟橋で行われたVIPで埋め尽くされた式典の中で、INDOPACOMの指揮権をサミュエル・パパロ海軍大将Adm. Samuel Paparoに渡した。

 パパロは36カ国と世界人口の半分強を含む広大な地域をカバーする戦闘司令部を率いる。INDOPACOMの隷下には、米太平洋艦隊、海兵隊太平洋方面軍、米陸軍太平洋方面軍、太平洋空軍、太平洋特殊作戦司令部がある。

 ロイド・オースティン国防長官とチャールズ・ブラウン・ジュニア統合参謀本部議長が交代で壇上に立ち、アキリーノの在任期間を賞賛し、直近では米太平洋艦隊を指揮していたパパロを歓迎した。

 オースティンは、地域の同盟国やパートナーとの協力強化に向けたアキリーノの監督、グアムの統合ミサイル防衛システムの優先順位付け、1億3千万回分のCOVID-19ワクチンの地域配布の支援などを称賛した。また、第12海兵機動連隊を沖縄に駐留させ、防衛協力強化協定に基づきフィリピンの新拠点4箇所への米軍アクセスを拡大したことでも、同提督の役割を評価した。

 中国は「インド太平洋を支配する意志と能力を併せ持つ」唯一の国であり、台湾海峡や南シナ海などで「ますます強圧的な行動をとり続けている」と、ロイド・オースティン国防長官は金曜日に述べた。

 ジョン・アキリーノ提督のリーダーシップの下で、米インド太平洋軍は「この瞬間に対応するべく立ち上がった」とオースティンは述べた。

 統合参謀本部議長のC.Q.ブラウン大将は、アキリーノが太平洋艦隊司令官を務めていた時に太平洋空軍を率いていた。

 アキリーノ自身は40年の勤務で現在は「最も危険な時期」だが、司令部は難局に立ち向かう準備ができていると述べた。

 アキリーノは感情で声を震わせながら、失った友人を列挙し、交戦中の部隊が航空支援を必要としていることを無線で聞いたときの感覚を決して忘れないと語った。

  しかし「私はぐっすり眠れる。実のところ、パッピーが操縦桿を握っていることを知っているから、3年ぶりに眠れる」と述べた。

Adm. Samuel Paparo, commander of U.S. Indo-Pacific Command, delivers a speech during the change of command ceremony on Joint Base Pearl Harbor-Hickam, May 3, 2024. During the ceremony, Paparo assumed command from Adm. John Aquilino, who retired with 40 years of service in the Navy. (John Bellino/U.S. Navy)


 パパロは海軍飛行士出身で、以前はバーレーンで米第5艦隊と海軍中央軍を指揮していた。海軍の公式経歴によれば、海軍戦闘機兵器学校を卒業し、F-14トムキャット、F-15イーグル、F/A-18ホーネットなどの戦闘機を操縦してきた。海上での作戦指揮の中には、日本の横須賀海軍基地での第195打撃戦闘飛行隊、ドワイト・D・アイゼンハワー打撃群に所属していた第7空母航空団の指揮、第10空母打撃群の指揮などがある。

 パパロは「我々の世界は、(中国の)厄介な行動とその急速な軍備増強という複雑な問題に直面している。「インド太平洋地域における中国のますます強引で拡張主義的な主張に答える準備を整えなければならない。「INDOPACOMは、パートナーとともに、国際的なルールに基づく秩序によって合意された平和を破壊する試みを否定し、防御する立場にある」と続けた。「米国と同盟国、パートナーは、1世紀近くにわたり世界の安全保障と幸福の柱となってきた、安定し開かれた国際システムを堅持する」

 パパロが太平洋艦隊で過ごした期間は、とりわけ、乗員非搭乗システムの実験を加速させたことで特徴づけられる。2022年、彼は海軍初の無人水上艦船部門を設立し、今月には第2部門が立ち上がる。最近では、台湾からの中国侵略軍を撃退するために、数百から数千の小型無人機からなる「地獄絵図」 “hellscape”部隊構想を提唱している。

 2021年5月に始まったパパロの米太平洋艦隊司令官としての在任は、レッドヒル燃料施設事故と重なり、同合同基地内および近隣のほぼ10万人にサービスを提供する飲料水システムが汚染される結果となった。パパロが命じた調査で、訓練の不備や効果的でない指揮統制など、海軍の多くの欠陥が流出につながったと結論づけた。2022年3月、オースティンは第二次世界大戦時代の燃料施設の閉鎖を命じた。

 金曜日の式典で、オースティンはINDOPACOMがレッドヒルの "安全な燃料除去を保証し、最終的な閉鎖のために海軍に移管された"と評価した。式典会場のディアスから5マイルほど離れた場所では、流出事故により長期的な健康被害を受けたとする家族による集団訴訟の連邦審問が続いている。■


Paparo takes helm of INDOPACOM as Aquilino retires from 40-year Navy career | Stars and Stripes

By WYATT OLSON STARS AND STRIPES • May 4, 2024

Paparo takes the helm at INDOPACOM - Defense One

BY JENNIFER HLAD

SENIOR NEWS EDITOR, DEFENSE ONE

MAY 3, 2024 10:08 PM ET



コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...