AI技術は想像を超えるスピードで進化しており、先日のAI戦闘機対有人戦闘機の模擬戦闘(結果は未公表のまま)では「ほぼ互角だった」と空軍長官がコメントしていますが、AIが相当の威力を発揮したようです。空軍の頂点にたつパイロットへの衝撃を考慮した言い方になっている可能性もありますね。The National Interest記事からのご紹介です。
アメリカ空軍のめざす忠実なウイングマンが現実に近づきつつある。さらに重要なのは、人工知能(AI)が制御する航空機が、人間パイロットと同等の能力を発揮する可能性があるということだ。これは、最近F-16ファイティング・ファルコンを改良した、自律制御のX-62A VISTA(可変飛行シミュレーション試験機)で飛行を体験したフランク・ケンドール空軍長官の評価である。
DARPAのACE(Air Combat Evolution)プログラムのAIと機械学習を取り入れたこの航空機は、自律型プラットフォームに支えられた有人の第6世代戦闘機を含む「システム・オブ・システム」の開発を目指す空軍のNGAD(Next Generation Air Dominance)プログラムに大きく貢献することが期待されている。
5月2日にカリフォルニア州エドワーズ空軍基地(AFB)で行われたケンドール長官のフライトは、空軍が自律操縦のF-16ファイティング・ファルコンが有人戦闘機の模擬ドッグファイトを実施したと発表した数週間後に行われた。ケンドールによると、自律型戦闘機のコックピットにいる間、AIは戦闘機を操縦し、2,000時間から3,000時間の経験を持つ飛行士が操縦する有人F-16との「交戦」をシミュレートできたという。
ワシントンDCで開催されたアッシュ・カーター・エクスチェンジ会議で、長官は「ほぼ互角の戦いだった」ことを示唆した。しかし、経験の浅いパイロットに対しては、AIやオートメーションの方がより良いパフォーマンスを発揮しただろう」と述べた。
Air & Space Forces誌が報じているように、飛行時間2,000~3,000時間のパイロットは "上級パイロット"とみなされ、"指揮官パイロット"という最上位の格付けの一段下に位置する。
ケンドールは、AI制御の航空機はまだ配備の準備が整っていないと明言したものの、非常に良い進展が見られており、"一般的に言って、AIが人間よりもこの仕事をこなせるようになる状況は容易に想像可能"と付け加えた。
忠実なウィングマンは誰に忠実なのか?
空軍のコラボレイティブ・コンバット・エアクラフト・プログラムは、NGADの取り組みの一部となりそうな自律型航空機を開発している。それは、有人戦闘機をサポートする無人の忠実なウィングメンで構成されるだろう。
戦闘機のパイロットは、全体的な交戦戦略の策定、ターゲットの選択と優先順位付け、採用すべき最適な兵器の決定など、依然として大きな決断を下す。操縦や交戦戦術の詳細など、低レベルの機能は自律システムに任せることになりそうだ。
しかし、米軍があらゆる種類の武装無人戦闘システムを持つ可能性があるという事実は、オペレーターに牙を剥く可能性のある「殺人ロボット」に対する懸念につながっている。現実世界で『ターミネーター』のような展開は誰も見たくない。
「AIを規制し、完全な自律性を規制する必要性について、コミュニティでは多くの議論があります」とケンドール長官はさらに説明する。「すでに、戦争における暴力の適用方法を規定するルールがあります。それは武力紛争法と呼ばれている。しかし、必要なのは、この種の問題にどのように適用するかを考えることです。結局のところ、マシンを作り、テストし、それを世に送り出し、使用する責任は人間にある。ですから、私たち全員が同意した規範を遵守するために、そのような人々にどのように責任を負わせるかを考えなければなりません」。
中国やロシアを含む敵対する国もこの技術に注目しているため、アメリカはこの技術を開発しないわけにはいかないと空軍長官は認めた。
「未来は明らかに現実になりつつある。「残る唯一の問題は、誰が最初にそこに到達するかということだ。そして、敵対国に比べて作戦の有効性を制限するような制約を私たち自身に課し、それをどのように乗り越えていくかということだ」。
忠実なウイングメンが本当に忠実であり続けることを祈ろう。■
by Peter Suciu
May 10, 2024 Topic: Security Region: Americas Blog Brand: The Buzz Tags: MilitaryDefenseF-16Air ForceArtificial IntelligenceLoyal Wingman
Author Experience and Expertise: Peter Suciu
Peter Suciu is a Michigan-based writer. He has contributed to more than four dozen magazines, newspapers, and websites with over 3,200 published pieces over a twenty-year career in journalism. He regularly writes about military hardware, firearms history, cybersecurity, politics, and international affairs. Peter is also a Contributing Writer for Forbes and Clearance Jobs. You can follow him on Twitter: @PeterSuciu. You can email the author: Editor@nationalinterest.org.
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