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2025年9月1日月曜日

西側がウクライナへ与える安全保障保証とはどんな形になるのか(Defense One)

 U.S. President Donald Trump meets with Ukrainian President Volodymyr Zelensky at the White House on August 18, 2025, in Washington, D.C.

2025年8月18日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで、ドナルド・トランプ米大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。ANNA MONEYMAKER/GETTY IMAGES


和平合意には少なくとも五つの構造が必要となる。

週、トランプ大統領がホワイトハウスでゼレンスキー大統領や欧州諸国の指導者らと行ったハイレベル会談を受け、和平合意が成立した場合のウクライナに対する安全保障の具体像に注目が集まっている。ウクライナが、紙の上では強固に聞こえるが実際には無意味となる保証に警戒するのは当然だ。1994年のブダペスト覚書——ウクライナが世界第3位の核兵器を放棄する代わりに得た約束は、2014年にロシアによって破られた——は今も戒めとなっている。

ウクライナの長期的な安全保障最も効果的に保証できるのはNATO加盟だ。しかし短期的には、トランプ大統領が繰り返し表明している通り、米国はこの構想を支持せず、米軍のウクライナ駐留にも同意しない。この政治的現実を踏まえ、政策立案者はウクライナ安全保障の多層的アプローチを検討すべきだ。単独の措置では不十分だが、組み合わせれば現時点で可能な最も強固な保護を提供できる。

第一段階として、和平合意後もロシア軍がウクライナ領内に残留する場合に備え、占領線の両側をパトロールできる民間監視団を設置する。信頼性を確保するため、ウクライナとロシア双方が受け入れ可能な組織が主導する必要がある。トルコ系諸国機構や湾岸協力会議は、いずれも地政学的な役割拡大を志向しており、実行可能な選択肢となり得る。このような監視団が全ての紛争を解決するわけではないが、脆弱な停戦を安定させ、戦闘再開のリスクを低減させる助けとなるだろう。

第二の要素は、欧州の有志連合の創設である。つまり、抑止力として、またウクライナの主権に対するコミットメントを可視化する手段として、ウクライナに部隊を派遣する意思のある欧州諸国による連合部隊だ。英国、フランス、カナダ、トルコ含む複数の国が、部隊派遣の可能性を示唆している。部隊は輪番制で展開し、占領線からは離れるが、将来の侵攻ルート沿いに配置さればよい。さらに連合は、ポーランドとルーマニアの基地から運用するウクライナ領空警備任務を確立すべきである。黒海での海上パトロールも不可欠だ。安全で開放された黒海は、ウクライナ経済だけでなく広範な地域安定にとって重要である。

第三の層は米国に関わる。ウクライナに米軍を駐留させなくとも、ワシントンは不可欠な役割を果たせる。米国は欧州連合を支援するため、空中給油、情報共有、航空・海上哨戒といった「遠隔作戦能力」を提供すべきだ。ウクライナ国外に米軍を事前配置し、迅速な展開を可能にすれば抑止力はさらに強化される。米国はまた、ウクライナとの州兵州間協力プログラム(SPP)を再開すべきだ。1993年以来、カリフォーニア州兵はSPPを通じウクライナと軍事相互運用性の向上に取り組んできた。しかしこれらの取り組みは2022年以降中断している。政策立案者はこのプログラムを復活させ、米ウクライナ軍事関係を深化させるべきだ。

もう一つの重要な分野は防衛産業協力である。戦争はウクライナの防衛部門、特に無人システム分野の発展を加速させた。より緊密な協力は、米国企業に最先端技術へのアクセスを提供すると同時に、ウクライナの国内能力を強化するだろう。

何よりも、米国の軍事支援は和平合意後も継続されねばならない。ウクライナ軍は最終的に同国安全保障の主要な担い手であり、ロシアは休戦期間を再軍備に利用することはほぼ確実だ。ウクライナが回復力と能力を維持することは米国の利益にかなう。

第四の層として、ウクライナによる欧州大西洋地域への関与深化を図るべきだ。NATO加盟は現時点で困難で、EU加盟プロセスも長期化するが、ウクライナを近づける実践的措置が必要だ。NATOはウクライナに現代戦センター・オブ・エクセレンスを設置し、同盟国がキーウの戦場経験から学ぶ手助けができる。ウクライナは再びNATO即応軍への貢献が可能であり、国内に同盟の足跡を残さずとも相互運用性を高められる。全てのNATO首脳会議ではNATO-ウクライナ理事会のセッションを組み込み、適切な場合には他のハイレベル会合にもオブザーバーとしてウクライナを招請すべきだ。こうした措置は、将来の加盟の可能性を残しつつ、ウクライナの欧州大西洋家族における地位を制度化するものである。最後に、NATOがウクライナ軍を訓練する任務を承認する可能性は低い。国内・国外を問わずだ。しかし欧州連合(EU)は共通安全保障防衛政策枠組みの下で介入できる。ウクライナ西部のヤヴォリフ戦闘訓練センターにおけるEU・ウクライナ共同訓練作戦は、規模は小さくとも重要な象徴的・実践的価値を持つ。

最終段階として、NATOの東部戦線で強化が必要だ。これらの措置はウクライナの安全を直接保証しなくても、地域の安定とNATOの抑止態勢強化には不可欠だ。和平交渉後も、ロシアが東欧への脅威を継続することは歴史が示している。NATOは強化された前方展開を維持すべきであり、核負担分担におけるポーランドの役割拡大を真剣に検討すべきだ。数十年にわたり、複数のNATO加盟国は米軍のB61核爆弾を配備し、これを投下可能な核・通常両用航空機を運用してきた。ポーランドをこのグループに加えることは、強力な抑止メッセージとなる。同様に重要なのは、欧州における米軍兵力の維持だ。政策立案者は、停戦を兵力削減の理由と解釈する誘惑に抵抗すべきである。過去の撤退は侵略者を大胆にするだけだった。

トランプ大統領には、正しいビジョンと政治的勇気、外交手腕をもって、平和構築者としての自らのレガシーを確固たるものとしつつ、ウクライナ及び広範な大西洋横断共同体の長期的な安全保障を保証する結果を形作る機会がある。安全保障に対する多層的アプローチは、不完全であっても、ウクライナがNATOの正式加盟国として正当な地位を占めるまで最善の道筋を提供する。■


What Western security guarantees for Ukraine might look like

At least five layers will be required for any peace deal.

BY LUKE COFFEY

SENIOR FELLOW, HUDSON INSTITUTE

AUGUST 25, 2025 04:29 PM ET

2025年7月3日木曜日

ウクライナで災害の懸念が高まる中、米国が武器の輸送を停止(TWZ) — 弾薬類の備蓄水準が危機的で米国に余裕がなくなっています。ヨーロッパも同様でしょう。 ロシアは当然この状況を喜んでいます




ロシアの遠距離攻撃の
強化を受ける中、防空ミサイル迎撃システムが削減対象のトップになるとウクライナには痛い。

クライナ当局は、トランプ政権が重要な防空迎撃ミサイルやその他の弾薬の供給を停止したというメディア報道にもかかわらず、少なくとも一部の米軍装備品が引き続き提供されており、これらの移転が中止されるという通知は受けていないという。このニュースは、ロシアが空爆を強化している特に重要な時期に伝えられた。

 今週初め、モスクワは開戦以来最大規模の空爆を実施し、ウクライナ空軍によると477機のドローンと60発のミサイルを発射した。米国からの武器の供給に重大かつ急激な不足が生じれば、戦場に広範な影響を及ぼす可能性がある。

 水曜日、ウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーの側近は、ペイトリオット迎撃ミサイルが引き続き提供されていると述べた。「本日現在、供給は継続中です」と、ウクライナ大統領府長官の顧問ミハイル・ポドリアクはウクライナ・フリーダムTVに述べた。「ペイトリオットシステムのような、ウクライナ全土の民間人を明確かつ大幅に保護する迎撃ミサイルの供給を停止することは、非常に奇妙であり、非人道的な行為に見えます」 ウクライナ国防省(MoD)によると、キエフは武器供給の停止について正式な通知を受けていない。「ウクライナは、防衛支援の供給スケジュールの合意内容に関し中止や変更に関する公式通知を受けていないため、事実に基づくデータに基づき、供給の各要素の詳細を確認している」と、MoDは東部時間水曜朝に発表した声明で述べた。「ウクライナ国防省は、米国当局との電話会談を要請し、詳細をさらに明確にする予定です。米国との連絡の結果は、ウクライナ国防省と外務省のレベルで報告されます」。火曜日、ナショナル・パブリック・ラジオは、ニック・シフリンがXで述べた内容として、米国がペイトリオット地対空防衛システム用のPAC-3 MSE迎撃ミサイルの供給を停止したと報じた。また、米国製の高機動ロケットシステム(HIMARS)とM270 MLRSから発射される誘導式多連装ロケットシステム(GMLRS)の地上対地誘導弾薬、 155mm砲弾、スティンガー携帯式地対空防衛システム(MANPADS)、AIM-7 スパロー空対空ミサイル、およびヘルファイアミサイルも含まれる。さらに、ウクライナの退役高官は水曜日に本誌に対し、米国がウクライナが「フランケンSAM」と呼ばれる防空システムの一部として使用している、米国製熱追尾式AIM-9Mサイドワインダー空対空ミサイルの再利用品を供給停止していると述べた。米国がこれらの武器をウクライナに送っていないのかホワイトハウスに問い合わせたところ、火曜日にメディアに対して、この決定は米国の武器備蓄水準の維持に基づくものであるとの回答があった。「この決定は、米国防総省が、米国が世界各国の軍事支援および援助について検討した結果、米国の国益を最優先するために下されたものです」と、ホワイトハウス副報道官のアンナ・ケリーは述べた。「米国軍の強さは依然として揺るぎないものです。イランに聞いてみてください」とケリーは付け加えた。マシュー・ウィテカー米国 NATO 代表は、ケリーの声明を補強し、水曜日にフォックスニュースに対して、「これがアメリカ第一の現実です。まず、米国のニーズに対応しなければならない」と述べた。

 Politico は、この決定は、国防総省の弾薬備蓄の見直しを経て下されたものであり、砲弾、防空ミサイル、精密誘導弾の総数が減少しているとの懸念につながっている、とこの問題に詳しい 3 人の情報筋を引用して報じた。同誌が最初に武器供与停止を報じた。中国からの挑戦が強化され、イランとの新たな緊張が高まる中、米国の備蓄が不足しているとの懸念は長年続いている。これに加え、ロシアから欧州への脅威も存在している。トランプ政権の決定にどの程度の武器が含まれるか、その影響が戦場に及ぶまでの時期は現時点では不明だ。ただし、ニューヨーク・タイムズは「一部の米当局者が火曜日に、これらの弾薬は数ヶ月後にウクライナに輸送される予定ではなかったと述べた」と伝えている。「先週、トランプ大統領はハーグでのNATO会議の場でウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナへの追加武器売却に前向きだと述べた。しかし、その時点で国防総省では既に一時停止が計画されていた。ウクライナ外務省は、米国臨時代理大使ジョン・ギンケルに対し、米国軍事支援の遅延は戦争を長期化させるだけだと述べた。これはキエフ・インディペンデントが伝えた。ギンケルは、ウクライナの首席外交官アンドリー・シビハの要請で、副外相マリアナ・ベツァと会談した。ウクライナ側は「ウクライナの防衛能力支援の遅延や躊躇は、ロシアが戦争とテロを継続するのではなく、平和を追求するよう促すだけだ」と警告した。予想通り、武器供給停止のニュースはモスクワで歓迎されている。「「私たちの理解では、この決定の理由は倉庫の空っぽさと、倉庫にこれらの武器がないことだ。いずれにせよ、ウクライナに供給される武器が少なければ少ないほど、特別軍事作戦の終結が近づく」と、クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフは電話で記者団に述べた。クレムリンは、ロシアのウクライナに対する不法な戦争を「特別軍事作戦」と呼んでいる。


分析:ロシアのドローンやミサイルがウクライナに向けて記録的な数で発射されている中、トランプ政権がウクライナへの武器供給を停止する決定を下したのは、ロシアが東部で攻勢を継続するほか、ウクライナ北部のスミー地域でも大攻勢を展開していることからである。今年初め、米国当局者は、和平プロセスについて協議するための大統領執務室での記者会見で、ドナルド・トランプ米大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が激論を交わしたことを受け、ウクライナへの武器および一部の諜報製品の提供を一時的に停止すると発表した。ロシアが地上戦闘とウクライナの都市への空爆を継続する意向であることを考えると、今回の供給停止は、トランプ政権のこれまでの措置よりも、ウクライナにとって壊滅的な影響をもたらす可能性がある。

 ロシアの侵攻から 3 年半近く、大規模な戦闘が続き、数百億ドルの軍事装備が提供されたほか、イスラエルによるハマス、ヒズボラ、そして後にイランとの戦争への支援、紅海周辺でのフーシの危機への対応など、米国の武器備蓄は極度の圧力にさらされている。備蓄要件の慢性的な過小評価、急速に拡大が困難な極めて限られた生産能力、高度な兵器に組み込まれる多くの部品の特殊性により、アメリカの弾薬備蓄を補充するには時間がかかる。産業基盤の拡大に多額の投資が行われてきたにもかかわらず、兵器の生産量の増加率よりも、消費率が明らかに上回っている。予備として保管中だった旧式システム多数を移転したため、持続的な紛争、特に大規模な紛争でより高度な弾薬の在庫が枯渇した場合、代替手段がなくなっている。これは、中国に関して顕著な懸念事項となっている。

 現時点で、これらの備蓄が実際にどのような状況にあるのか、また、その備蓄量の決定の根拠は何かは不明だ。バイデン政権は、ロシアが攻撃を継続する限り、武器の供給は際限なく継続すると繰り返し表明してきたが、その発言は現実と一致していなかった。また、その後発生し、備蓄にさらなる圧力をかけている紛争も考慮されていなかった。本誌が長年指摘してきたように、アメリカの武器庫は底なしの金庫ではない。その補充には、数ヶ月ではなく、数年、あるいは数十年もの時間と巨額の資金が必要となる。バイデン大統領は、ウクライナ戦争勃発後、業界に重要な武器の生産を加速させるため、国防生産法を適用しないことを選択した。これは後から見れば重大な誤判断だったかもしれない。しかし、トランプも同様の措置を講じなかった。同時に、ウクライナの最も熱心な支持者の多くは、現政権に不信感を抱いている。現在の備蓄の実態を把握せず、その状況を独立した分析で確認しないまま、ホワイトハウスがウクライナを見捨てたとの批判が浮上するだろう。少なくとも米軍の物流面から見れば、そうする必要はない。主要な武器の生産拡大が進行中であり、世界の余剰兵器在庫が既に戦争維持のために動員されている状況下で、ウクライナが何をできるかは不明です。欧州はさらに支援を強化する可能性があるが、数十年にわたる無視の結果、自国の兵器在庫を急いで増強している状況です。米国は長年、NATO諸国の低在庫が枯渇した際に介入する供給国と見られてきた。この状況は以前から警告されており、新たな発見ではない。現在、米国が信頼できるまたは少なくとも寛大な安全保障パートナーではなくなったため、欧州の同盟国は新たなインフラ整備を進めつつ、手に入る限りの武器を調達しようとしている。これらはすべて実現までに数年を要する。

 これまで確認された武器のリストから判断すると、ウクライナにとって最大の課題は、ロシアのミサイルとドローンの絶え間ない攻撃から空域を防衛することだ。大規模なミサイル攻撃は、大量の兵器を吸収している。ウクライナは最も高性能で高価なミサイルの使用を抑制する一方、長距離ドローンや一部の巡航ミサイルに対抗する新たな方法を考案しているが、これは単純な数の上での戦いであり、ロシアはますます優位に立つだろう。

 ドローンは驚異的なペースで生産されており、より高度な形態も開発されている。ロシアは工業基盤を戦時水準に拡大している。中国からの供給がこれに大きく貢献している。ロシアはイランから輸入したシャヘド-136ドローンの生産能力が爆発的に拡大し、今後もさらに増加する見込みだ。シャヘド-136はウクライナの都市部攻撃用の主要なスタンドオフ兵器として使用されている。ロシアはまた、キーウ含む地域に雨あられと降り注ぐより高度な巡航ミサイルと弾道ミサイルの供給を継続するため、あらゆる手段を講じている。そのため、ウクライナへのミサイル供給の削減は、モスクワにとって明らかに歓迎すべき発表だ。

 155mm砲弾とM31誘導砲弾の削減や停止の可能性も非常に懸念される。砲兵は前線での継続的な火力支援に不可欠であり、この点でロシアは既に数量面で大きな優位性を有しているが、GMLRS弾薬はウクライナにロケットの発射点から50マイル離れた地点への迅速な精密攻撃能力を提供しる。これらの武器は紛争の定番となっており、ウクライナは防空施設から人員の集結地、砲兵陣地、橋梁、指揮拠点まで、あらゆる目標の外科的破壊に活用している。

 この状況がどのように展開し、ウクライナが長期的にどの程度の供給減少に直面するかは、今後の動向を見守る必要がある。欧州の対応も注目される。しかし、いずれにせよ、米国がウクライナに提供していた武器(特に高度なタイプ)という命綱は、かつてのようなものにはならないことが明白だ。■






Fears Of Disaster Brewing For Ukraine As U.S. Halts Weapons Shipments Over Stockpile Concerns

Air defense interceptors are atop the list of items being curtailed as Russia's ability to pummel Ukraine from afar is growing.

Howard Altman, Tyler Rogoway

Published Jul 2, 2025 3:15 PM EDT

https://www.twz.com/news-features/fears-of-disaster-brewing-for-ukraine-as-u-s-halts-weapons-shipments-over-stockpile-concerns


ハワード・アルトマン シニア・スタッフライター 

ハワードは『ザ・ウォー・ゾーン』のシニア・スタッフライターであり、以前は『ミリタリー・タイムズ』のシニア・マネージング・エディターを務めていました。以前は、タンパベイ・タイムズで軍事問題を担当するシニアライターとして働いていました。ハワードの作品は、Yahoo News、RealClearDefense、Air Force Timesなど、さまざまなメディアに掲載されています。


タイラー・ロゴウェイ編集長

タイラーは、軍事技術、戦略、外交政策の研究に情熱を注ぎ、防衛メディア分野でこれらのテーマにおける主要な声として確立しています。彼は、人気のある防衛サイトFoxtrot Alphaの創設者であり、その後The War Zoneを立ち上げた人物です。

2025年2月4日火曜日

ウクライナはNATO加盟しなくてもこうすれば平和を確保できる(19fortyfive)―ウクライナの軍事力が成長するまでロシアが放置しておくでしょうか。記事の論調は楽天すぎるのでは。米国がそれまで平和を担保する前提でしょうか

 Ukraine tanks fighting.

戦うウクライナの戦車。 画像出典:クリエイティブ・コモンズ



ナルド・トランプ大統領の「平和構築者」としての願望は、ウクライナで最も厳しい試練を受けることになるだろう。トランプ戦争を取引で終わらられると信じている。それは正しいが、真の課題は銃を黙らせることよりも、ウクライナの長期的な安全保障と生存を確保する方法で銃を黙らせ続けることだ。それは可能だ。

 停戦は通常、双方が戦闘を続けても戦時目標を達成できないと認識したとき成立する。ウクライナで3年近く戦争が続き、何十万人もの命が奪われ、両国の経済が壊滅的な打撃を受けた今、その時点は目前に迫っている。実際、ウクライナとロシアは個別に和平交渉に入る意思を示している。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が占領中の地域の地位に関する議論は、戦争犯罪や賠償金に関する同じく微妙な問題とともに、後日に延期できることさえ示唆している。

 従って、双方が現在の前線とほぼ同じ、停戦交渉で言うところの「コントロールライン」に沿って紛争を実質的に凍結させることに合意することは想像に難くない。

 どちらの側にとっても、このような合意が受け入れられるかどうかは、将来の安全保障が保証されるかどうかにかかっている。ウクライナにとっては、NATOに加盟し、ロシアのさらなる侵略を抑止するための相互安全保障(またはそれに匹敵するもの)の恩恵を受けられる見通しが確実ならそれだけで十分なようだ。ロシアにとっては、ウクライナがNATOから離脱しないという確実な見通しだけが、停戦を可能にする。

 しかし、この一見両立しがたい難問は、現在では多かれ少なかれ無意味になっている。ウクライナがNATOに加盟する可能性は常に低かったが、ドナルド・トランプが当選したことで、可能性はさらに後退した。 したがって現在の課題は、プーチンにロシアが戦闘を続けても得るものはないと納得させる一方で、ゼレンスキーにはウクライナが戦闘をやめても失うものは何もないと納得させることである。

 この方程式の最初の部分は、米国とその同盟国が、戦場でのウクライナ支援やこれまで以上に懲罰的な制裁の発動を通じ、ロシアが交渉に応じなければ、ロシアにさらなる苦痛が生まれるだけであることを示せばよい。

 トランプ大統領はすでにそう述べている。第二の部分は、正式なNATOによる安全保障の代わりに、ウクライナが今後何年、何十年にもわたってロシアの再犯を確実に抑止できる強力な国防力を整備し、維持できるよう支援することである。

 控えめに言っても、これは困難な課題である。ウクライナはロシアとベラルーシの一部との陸上境界線を守る必要があり、その長さは2000キロに及ぶと推定される。ウクライナの都市や重要なインフラも同様に、空爆やサイバー妨害、破壊工作から守る必要があり、黒海を通る重要な海上商業ルートも守らなければならない。

 しかし、それは不可能ではない。ウクライナがすでに戦場で達成した成果をもとにした我々の計算では、総兵力約60万人で、密集した地雷原やその他の種類の障害物で固められた外縁部の防衛境界線を守ることができる。この兵力の4分の1は平時に配備される徴兵兵であり、残りは予備役兵で、必要なときに前線に動員される。

 ウクライナの外縁部防衛線は突破される可能性があるため、ロシアの突破口を防ぐため、十分な訓練と装備を備えた約15万人の現役兵で構成される移動可能な戦略予備軍も維持する必要がある。

 同時に、ウクライナの都市と重要なインフラは、外部からの補給のための時間を稼ぎ、何カ月も続く攻撃にも耐えられるような十分な本数を持つ防空・ミサイル防衛網で保護される。サイバー防衛とサイトセキュリティも同様にアップグレードされるだろう。

 最後に、ウクライナは、控えめではあるが、この戦いで発揮してきた非常に印象的な海軍力と空軍力を維持すべきである。ロジスティクス、武器調達、管理、リクルート、訓練を担当する「組織的軍隊」の必要性を加えると、我々の計算では、制服組の総兵力は約100万人で、やはり約半分が現役(一部は徴兵制、一部は職業志願制)、残り半数が即応予備役となる。

 ウクライナの人口問題のため、このような部隊を設立し維持するのは容易ではないが、不可能ではない。時間が経てば、より省力化された軍事技術の出現により、必要となる人員規模は減少するかもしれない。

 いずれにせよ、ウクライナの国防予算は、現在では天文学的な額となっているが、自国の国庫にとっても、外国の援助国にとっても、管理しやすい規模に縮小することができる。これは、イスラエルや韓国が現在自国の安全保障に費やしている額と変わらない。

 何よりも、このような戦力は、(邪悪ではあっても)理性的なロシアの計画者たちを、将来の戦争では迅速かつ決定的な勝利が不可能と結論づけるだろう。■


About the Authors 

Paul B. Stares holds the General John Vessey Chair at the Council on Foreign Relations, where he directs the Center on Preventive Action. Michael O’Hanlon holds the Phil Knight Chair in Defense and Strategy at the Brookings Institution. 



How Ukraine Can Secure Peace Without NATO Membership


By

Paul B. Stares and Michael O' Hanlon


https://www.19fortyfive.com/2025/01/how-ukraine-can-secure-peace-without-nato-membership/


2024年10月20日日曜日

.ウクライナは核兵器を再度保有すべきか? (National Security Journal)

 Nuclear Weapons

Image Credit: Creative Commons.

週、ウクライナのヴォロドミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナの戦後のジレンマを明らかにした。 「NATOを例外とし、今日、私たちは有効な同盟関係を知らない」。 

 この発言は、ロシア・ウクライナ戦争の停戦は、ウクライナの安全が確保されて初めて恒久的な平和をもたらすことを痛感させるものだった。 

 とはいえ、この発言が注目を集めたとはいえ、ウクライナが核兵器を再保有する合理的な道はないだろうし、仮に再保有したとしても、そのような核兵器はウクライナの安全を保証するものではない。 


ウクライナの核兵器保有は可能だったのか? ゼレンスキー大統領は、ウクライナがソ連から引き継いだ核兵器を放棄したことを、今日のウクライナの不安の決定的な原因として挙げた。しかし、一部の「ポップ・リアリスト」たちが安易に主張する内容とは裏腹に、独立後も核兵器を保持することは、ウクライナにとって決して妥当な選択肢ではなかった。 

 核戦力の維持には莫大な費用がかかり、ロシア、欧州、米国との関係を悪化させ、ウクライナの経済回復を阻害し、技術的な観点からも困難を極めただろう。 

 2014年に自国の防衛費を支払うのがやっとだったウクライナは、核兵器を持ってとても安全そうなウクライナではない。 

 とはいえ、ウクライナが「草を食べる」と決めたなら、おそらく何らかの核備蓄を構築できるだろう。 

 比較的人口が多く、産業も盛んで、核技術の歴史もある高学歴の国であるウクライナは、おそらく兵器製造に必要な材料と技術能力をかき集めることができるだろう。 

 しかし、これでウクライナの問題が解決するわけではなく、新たな、より危険な問題が発生するかもしれない。 


なぜ核兵器なのか? 核兵器の目的は抑止力にある。核兵器は脅威としてしか使用されることはないはずだ。 


ロシアが抑止されないとしたら? 核兵器は地政学的な "免罪符 "ではない。インドとパキスタンは、核兵器を持っているにもかかわらず、互いに軍事作戦を行ってきた。ロシアとアメリカは、核兵器があるにもかかわらず、互いに代理戦争を行ってきた。イギリスとイスラエルは、核兵器を保有しているにもかかわらず、非核保有国から通常攻撃を受けてきた。 

 核兵器を保有すれば、ウクライナはロシアにとってより脅威的な存在となり、モスクワが通常攻撃を仕掛けるインセンティブが高まる可能性さえある。 

 そのような場合、ウクライナは領土を守ることが、核による完全消滅の可能性に見合う価値があるかどうかを判断する必要がある。 


ウクライナはまた、核運搬システムに莫大な投資をする必要がある。地理的な理由から、弾道ミサイル潜水艦(最も生存率の高い運搬システム)は不可能なため、ウクライナは航空機と弾道ミサイルに頼る必要がある。どちらもロシアの先制攻撃に対して非常に脆弱であり、おそらく安全な第2次攻撃能力を持つとは見なされない。 


エスカレーションの懸念から、ロシアは敵対行為の開始時にウクライナの核施設やウクライナの指揮統制システムを標的にしないかもしれない。とはいえ、ウクライナはこれらの施設やシステムに対する攻撃に備える必要があり、そのためには莫大な資金が必要となるため、通常攻撃からウクライナを防衛する能力は制限される。 

核兵器はまた、ロシアが過去30年にわたって行ってきたような政治的・経済的干渉をウクライナに免れるものではない核の脅威は、ロシアの犯罪ネットワークのウクライナへの浸透やウクライナの宗教団体の破壊を防ぐことはできない。 

ロシアの資金がウクライナの政治システムを腐敗させたり、国境地域の主要な関係者を買収したりするのを防ぐことはできないサイバー攻撃や、ロシアがウクライナの政治に浴びせる容赦ない偽情報の流れを防ぐことはできない。 


これからどうなるのか? ゼレンスキー大統領は熟達した国際政治家に成長し、これらの問題をすべて認識している可能性が高い。彼の発言は、世界平和のためにウクライナが放棄したもの、そしてウクライナが支払わざるを得なかった代償を思い起こさせる、修辞的なジェスチャーとして受け止めるべきだろう。 


ウクライナの将来の安全を保証する最良の手段は、NATO加盟か、米国、フランス、英国との拘束力のある安全保障協定である。とはいえ、核兵器に言及して、ウクライナの安全保障の追求に一石を投じることになった。 ■



著者について ロバート・ファーレイ博士 2005年よりパターソン・スクールで安全保障と外交の講義を担当。 1997年にオレゴン大学で理学士号、2004年にワシントン大学で博士号を取得。 著書に『Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force』(University Press of Kentucky、2014年)、『Battleship Book』(Wildside、2016年)、『Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology』(University of Chicago、2020年)、最近では『Waging War with Gold』がある: Waging War with Gold: National Security and the Finance Domain Across the Ages」(リン・リエナー、2023年)。 ナショナル・インタレスト』、『ディプロマット』、『APAC』、『ワールド・ポリティックス・レビュー』など、多くの雑誌やジャーナルに寄稿: APAC』、『World Politics Review』、『American Prospect』など。 また、『Lawyers, Guns and Money』の創刊者であり、シニア・エディターでもある。 この記事で 国防, 特集, 軍事, 核兵器, ロシア, ウクライナ, ウクライナ戦争 Written ByRobert Farley ロバート・ファーレイ博士は2005年からパターソン・スクールで安全保障と外交のコースを教えている。 1997年にオレゴン大学で理学士号、2004年にワシントン大学で博士号を取得。 著書に『Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force』(University Press of Kentucky、2014年)、『Battleship Book』(Wildside、2016年)、『Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology』(University of Chicago、2020年)などがある。 ナショナル・インタレスト』、『ディプロマット』、『ワールド・ポリティックス・レビュー』、『APAC』、『World Politics Review』など、多くの雑誌に寄稿: APAC』、『World Politics Review』、『American Prospect』など多数の雑誌に寄稿。 また、『Lawyers, Guns and Money』の創刊者であり、シニア・エディターでもある。


Nuclear Weapons for Ukraine?

By

Robert Farley


https://nationalsecurityjournal.org/nuclear-weapons-for-ukraine/