ウクライナはNATO加盟しなくてもこうすれば平和を確保できる(19fortyfive)―ウクライナの軍事力が成長するまでロシアが放置しておくでしょうか。記事の論調は楽天すぎるのでは。米国がそれまで平和を担保する前提でしょうか
戦うウクライナの戦車。 画像出典:クリエイティブ・コモンズ
ドナルド・トランプ大統領の「平和構築者」としての願望は、ウクライナで最も厳しい試練を受けることになるだろう。トランプ戦争を取引で終わらられると信じている。それは正しいが、真の課題は銃を黙らせることよりも、ウクライナの長期的な安全保障と生存を確保する方法で銃を黙らせ続けることだ。それは可能だ。
停戦は通常、双方が戦闘を続けても戦時目標を達成できないと認識したとき成立する。ウクライナで3年近く戦争が続き、何十万人もの命が奪われ、両国の経済が壊滅的な打撃を受けた今、その時点は目前に迫っている。実際、ウクライナとロシアは個別に和平交渉に入る意思を示している。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が占領中の地域の地位に関する議論は、戦争犯罪や賠償金に関する同じく微妙な問題とともに、後日に延期できることさえ示唆している。
従って、双方が現在の前線とほぼ同じ、停戦交渉で言うところの「コントロールライン」に沿って紛争を実質的に凍結させることに合意することは想像に難くない。
どちらの側にとっても、このような合意が受け入れられるかどうかは、将来の安全保障が保証されるかどうかにかかっている。ウクライナにとっては、NATOに加盟し、ロシアのさらなる侵略を抑止するための相互安全保障(またはそれに匹敵するもの)の恩恵を受けられる見通しが確実ならそれだけで十分なようだ。ロシアにとっては、ウクライナがNATOから離脱しないという確実な見通しだけが、停戦を可能にする。
しかし、この一見両立しがたい難問は、現在では多かれ少なかれ無意味になっている。ウクライナがNATOに加盟する可能性は常に低かったが、ドナルド・トランプが当選したことで、可能性はさらに後退した。 したがって現在の課題は、プーチンにロシアが戦闘を続けても得るものはないと納得させる一方で、ゼレンスキーにはウクライナが戦闘をやめても失うものは何もないと納得させることである。
この方程式の最初の部分は、米国とその同盟国が、戦場でのウクライナ支援やこれまで以上に懲罰的な制裁の発動を通じ、ロシアが交渉に応じなければ、ロシアにさらなる苦痛が生まれるだけであることを示せばよい。
トランプ大統領はすでにそう述べている。第二の部分は、正式なNATOによる安全保障の代わりに、ウクライナが今後何年、何十年にもわたってロシアの再犯を確実に抑止できる強力な国防力を整備し、維持できるよう支援することである。
控えめに言っても、これは困難な課題である。ウクライナはロシアとベラルーシの一部との陸上境界線を守る必要があり、その長さは2000キロに及ぶと推定される。ウクライナの都市や重要なインフラも同様に、空爆やサイバー妨害、破壊工作から守る必要があり、黒海を通る重要な海上商業ルートも守らなければならない。
しかし、それは不可能ではない。ウクライナがすでに戦場で達成した成果をもとにした我々の計算では、総兵力約60万人で、密集した地雷原やその他の種類の障害物で固められた外縁部の防衛境界線を守ることができる。この兵力の4分の1は平時に配備される徴兵兵であり、残りは予備役兵で、必要なときに前線に動員される。
ウクライナの外縁部防衛線は突破される可能性があるため、ロシアの突破口を防ぐため、十分な訓練と装備を備えた約15万人の現役兵で構成される移動可能な戦略予備軍も維持する必要がある。
同時に、ウクライナの都市と重要なインフラは、外部からの補給のための時間を稼ぎ、何カ月も続く攻撃にも耐えられるような十分な本数を持つ防空・ミサイル防衛網で保護される。サイバー防衛とサイトセキュリティも同様にアップグレードされるだろう。
最後に、ウクライナは、控えめではあるが、この戦いで発揮してきた非常に印象的な海軍力と空軍力を維持すべきである。ロジスティクス、武器調達、管理、リクルート、訓練を担当する「組織的軍隊」の必要性を加えると、我々の計算では、制服組の総兵力は約100万人で、やはり約半分が現役(一部は徴兵制、一部は職業志願制)、残り半数が即応予備役となる。
ウクライナの人口問題のため、このような部隊を設立し維持するのは容易ではないが、不可能ではない。時間が経てば、より省力化された軍事技術の出現により、必要となる人員規模は減少するかもしれない。
いずれにせよ、ウクライナの国防予算は、現在では天文学的な額となっているが、自国の国庫にとっても、外国の援助国にとっても、管理しやすい規模に縮小することができる。これは、イスラエルや韓国が現在自国の安全保障に費やしている額と変わらない。
何よりも、このような戦力は、(邪悪ではあっても)理性的なロシアの計画者たちを、将来の戦争では迅速かつ決定的な勝利が不可能と結論づけるだろう。■
About the Authors
Paul B. Stares holds the General John Vessey Chair at the Council on Foreign Relations, where he directs the Center on Preventive Action. Michael O’Hanlon holds the Phil Knight Chair in Defense and Strategy at the Brookings Institution.
How Ukraine Can Secure Peace Without NATO Membership
By
Paul B. Stares and Michael O' Hanlon
https://www.19fortyfive.com/2025/01/how-ukraine-can-secure-peace-without-nato-membership/
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