RC-135リベットジョイント偵察機が前例のない任務をメキシコ沖で遂行した理由に注目(The War Zone)―トランプ政権は麻薬流入の阻止に本気です。そのために軍の投入もためらいません。なぜ前政権はこれをしなかったのでしょうか
USAF/Google Earth composite (flight track line for illustrative purposes only)
悪名高いカルテルが活発な地域に隣接するカリフォルニア湾の狭い海域上空で、48時間で2回の飛行任務を遂行した。
オンラインのフライト追跡データによると、米空軍のRC-135Vリベットジョイントが昨日、メキシコのバハ半島と本土の間のカリフォルニア湾で、極めて異例な飛行を行った。戦略的偵察機は今日も同様の飛行を行った模様だ。
リベットジョイントは米国で最も優れた情報収集能力を持つ機体のひとつで、同機がメキシコ沖に現れたことは重大な進展である。これは、ドナルド・トランプ大統領就任以来、メキシコとの国境沿いでの作戦に対する米軍による支援が大幅に増加していることや、麻薬カルテルに対する米軍による前例のない直接行動の可能性が取り沙汰されていることと関連している。
追跡ソフトウェアによると、機体番号64-14845のRC-135Vは2月3日、ネブラスカ州オファット空軍基地から南カリフォルニア上空に向けて南西に飛行した。オファット空軍基地は第55航空団の拠点であり、空軍のリベットジョイント機の大半を管理しているほか、その他にも各種ISRおよび高度に専門化された指揮管制機を管理している。同機はその後、バハ半島の太平洋沿岸に沿い南に向かい、カリフォーニア湾上空へ移動した。その後、同機は同じルートを逆方向にたどりオファット空軍基地に戻った。
追加の飛行追跡データによると、64-14845は本日、ほぼ同じルートで出撃したことが示されている。
1月3日(左)と1月4日(右)に追跡された、RC-135Vのシリアル番号64-14845を示すADS-B Exchangeのスクリーンショット。ADS-B Exchange
1月3日以前にも、カリフォーニア湾上空をリベットジョイントが飛行していた可能性もあるが、本誌は独自にそれを確認できていない。
カリフォーニア湾は比較的狭いとはいえ、中央には公海および公空があり、64-14845が飛行中にメキシコ領空に入った形跡はない。
メキシコ沖での64-14845の活動について問い合わせたところ、米空軍は米北軍司令部(NORTHCOM)に転送した。また、ワシントンD.C.のメキシコ大使館にも問い合わせた。
RC-135V/Wリベットジョイント。米空軍
西半球での作戦、特に麻薬対策作戦を支援するためにRC-135V/W リベットジョイントが使用されていることは広く知られているわけではないが、新しいことでもない。特に、リベットジョイントは北米軍の任務を遂行するためある程度定期的に飛行している。
さらに、太平洋側のバハ付近の国際空域で、通常はカリフォルニア州南部の沖合の訓練区域での演習支援を目的として、RC-135V/Wが飛行しているのが確認されている。
とはいえ、どう考えても、カリフォルニア湾でのリベットジョイントのの出撃は、非常に珍しいものであり、同機にとっては全く新しい収集エリアである。そこから、64-14845はメキシコ北西部に耳を傾けることができた。同地域は、悪名高いシナロア・カルテルの影響下にある。
旅客機サイズのRC-135V/Wには、通信やその他の電子送信を傍受するさまざまなシギント(SIGINT)システムが搭載されている。また、この航空機は、無線からレーダーまで、それらの信号を発信する発信源の位置を特定し、分類することもできる。
典型的な任務では、RC-135V/Wの乗組員は24名以上で構成され、その中には、収集した情報を即座に分析できる言語学者、電子戦担当官、その他の情報専門家も含まれる。リベットジョイントには、広範な通信アレイも搭載されており、データをほぼリアルタイムで現地の近隣部隊に送信したり、あるいは世界中のノードに送信して、さらなる分析や配信を行うことができる。
リベットジョイントの乗組員構成を示す空軍のブリーフィングスライド。下部の注釈は、機上での情報データの「処理、解析、配信」、すなわち PED 能力に言及しており、情報をほぼリアルタイムで送信できることを示している。米空軍
傍受した通信の雑音や位置情報、その他の情報を組み合わせることで、特定の個人またはグループのいわゆる「生活パターン」を把握することができる。そして、その情報は、情報収集戦略のさらなる改善や、標的を絞った地上襲撃や攻撃の計画・実行に役立つ。
同様に、リベットジョイントが提供するデータは、特定の地域における敵対勢力または潜在的な敵対勢力、特に防空部隊や指揮統制ノードの配置状況を詳細に記した、いわゆる電子戦力図の作成にも役立つ。ただし、これはメキシコ沖の飛行には当てはまらない。
カリフォーニア湾上空のリベットジョイント飛行は、カルテルの活動やその他の違法行為に関する貴重な追加情報を提供できる可能性がある。また、カルテルの重要地域で何が起こっているかについてより正確な状況認識も可能になる。これは、1月にトランプ大統領が就任して以来、国防総省が南の国境周辺での存在拡大について公式に発表している内容に沿ったものである。
「南西部の国境全体において、現役の軍人たちが、人員、車両、船舶、航空機に関するリアルタイムの状況認識を提供し、また、[米国税関・国境警備局] の資産のオペレーターレベルのメンテナンス、移動、配置についても [米国税関・国境警備局] と協力するものと期待しています」と、米軍高官は先月語っていた。「また、状況認識を高めるために、追加の空中偵察、監視、支援部隊が国境に移動する可能性もあると予想しています。」
USNIニュースは昨日、米海軍の海上哨戒機P-8Aポセイドンが現在、米軍のISR支援強化として、メキシコ国境に沿って飛行を行っていると報じた。P-8Aはまた、広範なSIGINT能力を備え、電子光学および赤外線ビデオカメラを搭載した砲塔も装備している。
RC-135V/W他のISR機が収集した情報は、陸上および海上での阻止活動の支援を含め、米情報機関や法執行機関に提供される可能性がある。米軍は、麻薬密輸やその他の違法行為の疑いがあるものについて、航空偵察プラットフォームからほぼリアルタイムで情報を収集し、国境沿いの法執行機関に提供する実績をすでに持っている。
また、メキシコ当局に対しても、麻薬対策やその他の作戦を支援するために、特定の情報を提供している可能性もある。メキシコ大統領のクラウディア・シェインバウムは、米国との貿易戦争を回避するため表向きの合意の一環として、麻薬密売対策の支援として、国境の自国側に1万人の軍隊を配備することを約束した。シェインバウムの前任者であるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは、2021年に1万人の軍隊を国境に派遣することで合意しており、これはジョー・バイデン前大統領政権との間で結ばれた以前の合意の一部であった。
カリフォーニア湾にリベットジョイントが現れたのも、標的攻撃を含む、メキシコの麻薬カルテルに対する米軍の直接行動の可能性について公然と議論されている最中である。先週金曜日、ピート・ヘグセス国防長官はFoxニュースのインタビューで「あらゆる選択肢がテーブルの上に置かれる」と述べたが、行動の決定はすべてトランプ氏に委ねられると付け加えた。
空軍のRC-135V/Wが提供する能力は、その存在がそのような作戦意図の先駆けとなり、利用可能な情報収集の質と量を劇的に増加させる可能性があることを意味する。リベットジョイントは、より大規模な作戦に備える段階で、この一般的な役割で日常的に使用されている。一例として、トランプ大統領の就任1期目の2018年4月、米国主導によるシリア国内の複数の目標に対するミサイル攻撃に先立ち、リベットジョイントがシリア沖で日常的に飛行していた。
同時に、RC-135V/Wは世界中で定期的に情報を収集するためにも使用されている。記事執筆時点では、そのような直接的な軍事活動が差し迫っている、あるいは計画されている兆候は一切ないことを強調しておくことが重要だ。さらに、たとえメキシコ政府の明確な承認を得て飛行が行われたとしても、そのような行動を取れば、広範囲にわたる影響が及ぶ。
しかし、カリフォーニア湾でリベットジョイントの出撃を公然と行うことを国境で拡大する米軍の存在と併せて考えると、メキシコ全体にわたる広範なシグナルを明確に麻薬カルテルに送っていることになる。■
RC-135 Rivet Joint Surveillance Jet Just Flew Unprecedented Mission Off Mexico
An RC-135V flew two sorties in the past 48 hours over the tight confines of the Gulf of California that sits adjacent to a notorious cartel hot spot.
Joseph Trevithick
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