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間近に迫ってきた米・ウクライナの鉱物取引合意(The War Zone)―ウクライナ戦の最新状況(2025年2月21日現在)、状況が急速に変化しているのでフォローも迅速に行います

The US. and Ukraine are close to signing a deal over mineral rights.

(ウクライナ採取産業協会)


ウクライナ情勢報告:鉱物取引が締結されれば、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の間の緊張が和らぐだろう。


クライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国と数千億ドル規模の可能性がある鉱物協定を近く締結する予定であると、ホワイトハウスのマイク・ウォルツ国家安全保障補佐官が金曜日述べた。この動きは、ドナルド・トランプ米大統領がロシアとの戦争を終結させるための取り組みの一環で、また、キーウに提供してきた数十億ドルの軍事援助を回収する契約であると、米国の指導者は述べている。

 「結論から言うと、ゼレンスキー大統領は協定に署名するつもりであり、それはごく近い将来に実現するでしょう」とウォルツは保守政治活動協議会(CPAC)でのスピーチで述べた。

 ゼレンスキー大統領は金曜日夜のスピーチで、同協定が間近に迫っている可能性を示唆した。

 「本日、ウクライナと米国のチームが、両国政府間の合意案の作成に取り組んでいます。これは、両国関係を強化できる合意であり、その有効性を確保するために、詳細を詰めることが重要です。公正な結果となることを期待しています」と彼は述べた。

 「合意は早ければ土曜にも署名される可能性があるが、まだ完成していない」と、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。正確な条件は不明。この合意が成立するかどうかについて尋ねられたトランプは、金曜日に大統領執務室で記者団に対し、「彼らはそれを望んでいると思う。彼らはそれを良いと感じている」と述べた。

 Axiosは、米国高官とこの問題に直接詳しい情報筋の話として、合意に署名し、悪化しているゼレンスキー・トランプ関係を修復するために、米国とウクライナ両国の当局者が金曜の朝まで徹夜交渉したと報じた。

 保留中の合意により、米国はウクライナのアルミニウム、ガリウム、チタンなど重要な鉱物の埋蔵物へのアクセスが可能になる、とウォルツは述べた。以前にもお伝えしたように、ウクライナはマイクロチップや電気自動車のバッテリーに不可欠な素材を保有しており、軍事的にも重要な価値がある。トランプ大統領は、ウクライナ支援の負担を軽減する方法としてこれを宣伝しており、ウォルツは、米国のキーウへの支援額は1750億ドルを超えていると主張しているとガーディアン紙は報じている。

 この数字は、以前にも説明したように、キール世界経済研究所のウクライナ支援トラッカーがまとめた情報と矛盾しており、それによると、米国はウクライナに1200億ドル弱を提供している。国防総省の数字によると、そのうち半分以上にあたる665億ドルは、武器の寄付という形での直接的な安全保障支援に充てられている。


キール研究所がまとめたデータによると、ウクライナへの支援ではヨーロッパがアメリカを上回っている。(キール研究所)


先週、スコット・ベッセン財務長官は、計画の草案をゼレンスキー大統領に提示し、ウクライナは約5000億ドル相当のレアアースをアメリカに提供するとガーディアン紙は説明している。

 迫り来る鉱物資源取引に関するニュースは、ウクライナを交えない米国とロシアによるサウジアラビアでの和平協議を受けて、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の言葉の応酬がエスカレートし続けている中での発表となった。

 金曜日、トランプ大統領はFox Newsのラジオ番組の司会者ブライアン・キルミードに対して、ゼレンスキー大統領を交渉下手な人物と酷評し、ベッセン長官の訪問を「危険」で「時間の無駄」と表現した。

 トランプ大統領はキルミードに「2人は合意に近づくことすらできなかった」と語った。しかし、ウクライナ政府当局者は、提示される前に検討する時間はわずか数時間しかなかったと述べた。

 マルコ・ルビオ国務長官は、ゼレンスキー大統領との合意について「非常に動揺している」と述べ、ウクライナの指導者がルビオ長官とJ.D. バンス副大統領との会談の結果を誤って伝えたと主張した。

 ゼレンスキー大統領は合意を望んでいるが、議会承認が必要だと述べた、とルビオ長官は語った。

 しかし、「2日後、ゼレンスキーが『私はその取引を拒否した』と発言していると知りました。私は彼に『そんなことは絶対にない。そうはしない』と伝えました。まあ、あの会議ではそんなことは起こりませんでした」とルビオ長官は説明した。「何かで動揺し始めていますね。私たちは彼らを助けようとしているのです」。

 以前にも述べたように、取引をまとめることと、資源を抽出して処理することはまったく別のことだ。

 ウクライナの鉱物資源の半分以上は、2022年9月にロシアのプーチン大統領が併合した4地域に含まれており、そのうちの相当な部分をロシア軍が占領していると、今月初めインディペンデント紙が報じた。これにはルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンが含まれるが、ヘルソンには鉱物資源としての価値はほとんどないと同紙は付け加えている。2014年にロシア軍に併合・占領されたクリミア半島にも、数十億ドル相当の鉱物資源が眠っているとインディペンデント紙は付け加えている。

 困難はともかく、双方とも鉱物資源取引に価値を見出しているようだ。この協定に署名すれば、ここ1週間で高まったトランプ大統領とゼレンスキー大統領の間の緊張を和らげるのに大きく役立つだろう。



最新情報

戦場では、ウクライナ東部のドネツク地域で戦闘の大半が依然として続いているが、ロシアの強い圧力にもかかわらず、その軍勢はほとんど前進できていない。Institute for the Study of War(ISW)の最新評価から、主な要点を以下に挙げる。

  • クルスク:ロシア軍は2月20日、クルスク州で攻撃作戦を継続したが、確認された前進はなかった。

  • ヘルソン:ロシア軍は2月20日、ハリコフ方面への地上攻撃を継続したが、前進はなかった。

  • ルハンスク:ロシア軍は2月20日、ボロヴァ、クピヤンスク、リマン方面への攻撃作戦を継続したが、前進はなかった。

  • ドネツク:ロシア軍は最近、ヴェリカ・ノボシルカ付近で前進した。2月20日、ハシブ・ヤール、クラホヴェ、シヴェルスク、トレツク方面で攻撃作戦を継続したが、前進はしなかった。一方、双方とも最近、ポクロフスク方面で前進した。

  • ザポリージャ:ロシア軍は2月20日、ザポリージャ州西部で攻撃作戦を継続したが、前進は確認されていない。


米ロの非公式協議が続く

ロイター通信は金曜日、ウクライナでの戦争の今後について非公式な協議を行うため、ここ数か月間、米国とロシアの代表者がスイスでひそかに会合を開いていると報じた。このニュースは、ゼレンスキーがワシントンとモスクワの最近の交渉から排除されたことに憤慨しているという内容だ。

 非公式会合は「トラック2会合」と表現され、緊張緩和を目的とした非公式外交の一種とロイターは報じ匿名の情報筋3名を引用した。


トランプのゼレンスキーへの評価

 トランプ大統領は、和平交渉から排除されていることへのゼレンスキーの懸念について、引き続き非難した。「彼は、和平に介入しようとしているサウジアラビアとの会合に自分が参加していないと不満を漏らしている」と、トランプ大統領はFox Newsの司会者ブライアン・キルメイドに語った。「まあ、彼は3年間、一体何をしているのかわからない大統領と会議を続けてきた。彼は3年間会議を続けてきたが、何も達成できなかった。だから、正直に言って、会議に出席することは重要ではないと思う。彼は3年間そこにいた。取引を成立させることを非常に難しくしている」

 キルミードは何度も口を挟み、大統領に戦争を仕掛けたのはロシアであることを認めさせようとした。

 「しかし、その責任は誰にあるかご存知ですよね」とキルミードは口を挟んだ。ロシア大統領「…ウラジーミル・プーチンが、正当な理由もなく、権利のない土地を取り戻そうとして侵攻したのです…」

 また、BBCの報道によると、トランプは、ウクライナで占領した領土の広さから、いかなる和平交渉においてもロシアが優勢であると主張した。

 「ロシアは戦争の終結を望んでいると思う。本気でそう思う。彼らは多くの領土を占領しているから、有利な立場にあると思う。カードは向こうにある」と、トランプはエアフォースワン機内でBBCに語った。

 ロシアが平和を望んでいると信頼しているかと尋ねられたトランプは、「私はそう思う」と答えた。

 ロシアは、ウクライナでの戦争終結をめぐる米国との最近終了した交渉第1ラウンドで、NATO軍の東方からの撤退を要求したと、フィナンシャル・タイムズが報じた。これにより、トランプ政権が「平和条約締結に同意する可能性がある」という懸念が欧州の各首都で高まったと、同紙は示唆した。

 ルーマニア大統領の首席補佐官兼国防・国家安全保障顧問は、米国代表団はモスクワの要求を拒否したが、最終的にワシントンがプーチン大統領に譲歩しないという保証はないと述べた。

 「私の理解では、状況は刻々と、あるいは日ごとに変化する可能性がある」とクリスティアン・ディアコネスクはアンテナ3テレビに語ったとFTは指摘した。ディアコネスクは、トランプ大統領によるゼレンスキー大統領への痛烈な批判、および「協議開始前からロシアに譲歩していた」米国指導者について言及したとFTは伝えている。

 ディアコネスクは「今週初めのリヤド会談に出席したロシア代表団が、NATO撤退について『アメリカを説得できなかった』と強調し、さらに、来週英仏首脳がワシントンを訪問し、トランプ大統領にこの要求を飲まないよう説得するだろう」とFTは報じた。

 ゼレンスキー大統領を「独裁者」呼ばわりするなど、トランプ大統領の厳しい発言に反対する米国議会議員が増加している。


米国政界でトランプ発言に疑問を表する議員が続いている

 共和党上院議員のなかには、アラスカ州のリサ・ムルコウスキー、メイン州のスーザン・コリンズ、サウスダコタ州のジョン・スーンなど、大統領の見解に異を唱える議員もいる。

 「私はゼレンスキー大統領を独裁者と呼ぶことは決してしない」とムルコウスキー議員は記者団に語った。「誰が戦争を始めたのかは明らかだ。プーチンの指示によるロシアの仕業に決まっています。」 

 トム・ティリス上院議員(共和党、ノースカロライナ州選出)もまた、トランプ大統領のプーチン大統領支持に疑問を呈した。

 「私は彼の直感はかなり良いと思っています」と、トランプについてティリス議員は語った。「しかし言いたいのは、安定した世界の将来でウラジーミル・プーチンの居場所があると考えている人は、ウクライナに行った方が良いということです。彼らはヨーロッパに行った方が良い。そして、この男が癌であり、私の生涯において民主主義に対する最大の脅威であることを理解するために時間を費やすべきです」

 アリゾナ州選出の民主党上院議員マーク・ケリーも同様の立場を取っている。「同盟国のひとつを『独裁者』と呼ぶのは、その国が実際に独裁者から自国を守っているというのに、馬鹿げている」とケリー議員は述べた。「私はゼレンスキー大統領と何度も会談し、ウクライナの人々が祖国を守るためにどれほど懸命に戦っているかを理解している。トランプ大統領がそうしないとしても、私はプーチン大統領に対抗するウクライナの人々と共に立ち続けるつもりだ」。


ロシアは戦勝宣言を2月24日に準備?

 ウクライナ国防情報局(GUR)は金曜日、ロシアが2025年2月24日という「丸い日付」までに、ウクライナとの戦争における「勝利」を発表する準備をしていると主張した。「さらに、前述の計画には『ロシアのNATOに対する勝利』という話も含まれている可能性がある。なぜなら、モスクワのプロパガンダは長い間、ウクライナとの戦争をNATOとの戦争として描いてきたからだ」。

 ISWは、トランプ大統領がこの戦争や米国の支援、その後の交渉プロセスについて述べたいくつかの発言に反論するとして、ファクトシートを作成した。


英仏首脳がワシントンDC訪問で平和維持部隊構想を説明

 英紙『テレグラフ』によると、英首相のキア・スターマーは、来週ワシントンでトランプ大統領と会談する際に、英仏によるウクライナでの平和維持部隊の可能性について詳細を説明する予定であるという。

 同紙によると、その計画では、3万人未満の兵士を「現在の最前線から離れたウクライナの都市、港、および原子力発電所などの重要なインフラ施設に展開する」という。

 スターマーはトランプに対し、「ロシアが休戦条件に違反した場合に、東ヨーロッパに配備された米国の戦闘機とミサイルで致命的な武力行使を行う」よう促すと、テレグラフ紙は指摘している。「計画について説明を受けた欧米の政府高官」のコメントを引用している。

 「戦争で荒廃した国に大規模な軍を駐留させるのではなく、この任務は、情報収集、監視、偵察機、無人機、衛星などによる『技術的監視』に依存し、『現状の完全な把握』を行うことになるだろう」と、テレグラフ紙は欧米政府高官のコメントを引用して報じた。「この作戦は、ウクライナの領空を再開し、民間航空機運航を可能にするために、『攻撃を監視し、撃墜する』のに十分な火力で支援されることになるだろう」と、情報筋は付け加えた。

 また、商業船舶の航路に対するロシアの脅威を監視するため、海軍の哨戒艦も黒海に派遣される予定である。


フランスは国防予算をGDP5%相当に増額する

 フランスTV Infoニュースによると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、自国の軍事支出を国内総生産(GDP)の2.1%から5%に増やす案を提示した。この動きは、米国が「もはやNATOを通じて欧州を守るつもりはない」との懸念から出たものであると、同メディアは指摘している。

 「我々は、フランスとヨーロッパが防衛と安全保障を強化するために、さらに再投資を行わなければならない時代に突入している」とマクロンは述べた。さらに、「5%がフランスにとって適切な数字なのかどうかはわからないが、いずれにしても、引き上げる必要がある」と付け加えた。


EUの最新軍事支援パッケージ

 EU諸国は、少なくとも60億ユーロ(63億ドル)相当の軍事支援パッケージをウクライナに用意していると、ポリティコは3人のEU外交官を引用して報じた。同ニュースサイトは、この支援は「米国主導の対露協議の開始にあたり、キーウの戦略的位置を強化するために集められている」と説明している。

 このパッケージには、150万発の砲弾から防空システムまであらゆるものが含まれる予定で、「2022年のロシアによる全面侵攻以来、EUが提供する最大の軍事援助パッケージとなるだろう。また、2月24日に欧州委員がキーウを訪問する予定で、訪問に先立って発表される可能性もある」とポリティコは指摘した。 

 外交官2名は、このパッケージは「各国がウクライナに送れる物資を在庫から探し出すことで、最大100億ユーロ(105億ドル)以上に増額される可能性がある」と述べたとポリティコは報じた。EU外相は、来週ブリュッセルで開かれる定例会議で、月曜日にこのパッケージを検討する予定である。


ウクライナ戦の維持も不可能になるほど経済が脆弱になったロシア

ISWは最近のXスレッドで、「ウクライナにおけるロシア軍の損失率が現在のペースで続けば、今後数か月の間に、ロシアは物資、人員、経済の面で制約に直面し、中長期的にウクライナでの戦争を維持する能力に圧力がかかる可能性が高い」と指摘した。

 さらに、プーチン大統領がロシア経済を堅調であると描こうとしているにもかかわらず、ウクライナへの全面侵攻で同国のインフレ率は上昇している。

 ロシアは主に高額の個人支払いで志願兵を募っており、募集を維持するため支払額を大幅に増額せざるを得なかった。ISWは、「ロシアの貸し手は、ロシアの経済的将来とクレムリンの財源の支払い能力について、不確実性の兆候を示している」と述べた。「プーチン大統領のウクライナにおける長期戦は、ロシアのソブリン・ウェルス・ファンドの着実な侵食とインフレ拡大でロシアの国家資産を破壊している。クレムリンはここ数か月、軍人への給付金に関する国家支出の削減を試みており、これほどの高額支出を継続することはできず、コスト削減の方法を見つけなければならないことを認識している」。

 これらの要因が、現在のロシアの軍事組織が「ロシア軍が現在の攻撃作戦のペースを維持するために必要な人員を確保できない」状況を生み出しているとISWは指摘している。

 ロシア国民に不安を抱かせないよう、クレムリンは「ここ数か月間、ロシア経済が国内および国際的な聴衆に対して強く安定しているように見せかける情報キャンペーンを行っている。ロシア経済の状況は、クレムリン当局者が公に認めているよりも厳しい可能性が高い」とISWは指摘した。


凍結中のロシア資産をEUが没収する

ポーランドのドナルド・トゥスク首相は「欧州連合(EU)に対し、制裁措置により凍結中のロシア中央銀行の資産を没収し、ウクライナへの今後の財政支援に充てるよう」要請したと、Euronewsが報じた。

 「これまでに、欧州連合は、その領土内に保有されている資産(推定2100億ユーロ(約2200億ドル)相当)の臨時収入のみを使用し、戦争で疲弊した国への財政および軍事支援を行ってきた」と、同誌は報じた。「しかし、資産没収という選択肢は依然として危険な道である。なぜなら、その資金はロシアの主権財産と見なされており、国際法によって保護されているからだ。

 「もう十分話し合った。今こそ行動を起こす時だ」と、トゥスク首相は木曜日投稿した。「ロシアの凍結資産からウクライナへの支援資金を調達しよう」。


ウクライナ降伏兵を処刑するロシア

 フィナンシャル・タイムズは、ロシアが降伏したウクライナ人を処刑する政策をとっていることを示すとするドキュメンタリーを制作した。

この映画は「ロシア兵がウクライナ人捕虜を処刑する事件の増加を調査し、殺人事件の背後にいるロシア人の正体を明らかにしている」と、FTは報じた。クリストファー・ミラー氏は指摘した。


迎撃ミサイル在庫がなくなったウクライナ

ロシアによるウクライナに対するミサイルや無人機による攻撃は激しさを増しており、ウクライナは迎撃ミサイルを使い果たしてしまったと、ゼレンスキー大統領はさらなる支援を訴えました。

 「ミサイルの迎撃手段が何もありません」と、ウクライナの指導者は最近不満を漏らした。「司令官は朝の5時に私に電話をかけてきて、『8つの目標が接近していますが、ペイトリオット防空システム用のミサイルがありません』と言います」。

 ウクライナは米国および同盟国から、ペイトリオット・ミサイル・システムの数個バッテリーと多数のミサイルを受け取っており、最近では米国がイスラエルの在庫から提供した約90基の迎撃ミサイルの寄贈もあった。


UAVへの評価

 無人機がウクライナのロシアに対する防衛において重要な役割を果たしていることは驚くことではない。英国王立国際問題研究所(RUSI)の新しい研究は、無人機がどれほど効果的であったかを示しており、ウクライナの兵器庫にあるあらゆる武器の中で、ロシアの装備に最も大きな損害を与えている。電子戦(EW)、天候、同じエリアで複数の無人機が作動することによる干渉などの課題にもかかわらず。

 「戦術的UAVには重大な制限がある」と報告書は述べています。「ウクライナ軍のFPV(一人称視点)の60%から80%は、戦線の状況や操作者の技量にもよるが、目標に到達できない。目標に命中したもののうち、装甲車両を攻撃した際には、大半が目標システムを破壊できない。

歩兵を負傷させる成功率は高いと報告書は指摘している。

 「さらに、電子戦や天候により無人機が長時間にわたって運用できなくなることも多い。無線周波数で遠隔操縦されるFPVの場合、複数の無人機を時間的・空間的に集中させることも難しい。なぜなら、互いの誘導システムに干渉する可能性があるからだ」と報告書は続いている。

「こうした制約があるにもかかわらず、戦術的無人機は現在、ロシア軍の損傷・破壊されたシステムの60%から70%を占めている」とRUSIは結論づけている。


ロシアのドローン対策への対抗策を見つけたウクライナ

ウクライナの無人機攻撃に対する防御策として、一部のロシア軍部隊は、アンテナが多数取り付けられ、ポータブル電源に接続されたバックパック型の電子戦対策機器を装備している。また、散弾銃や弾薬を携行しているが、ロシア軍の無人機対策システムは、兵士や装備を守る能力として寿命が短いように思われる。

 今月初め、ウクライナ軍の一人称視点ドローンによる攻撃から輸送隊を守るために、ロシア軍が1マイル(約1.6キロ)にわたるメッシュネットの「トンネル」を使用していることをお伝えした。しかし、ウクライナ軍はすぐに回避策を見つけた。ネットを破壊すればいい。

「これは、可燃性の熱混合物を搭載したドローンを使用したり、あるいは、従来のFPVドローンと交戦する前に、重爆撃機型などの他のタイプのドローンを展開してネットを破壊する方法が考えられます」と、ウクライナのタイフーン・ドローン部隊の司令官マイケル氏は最近、フォーブス誌に語った。


ロシアがシャヘド無人機を改良

 ロシアは、Shahed-136ドローンを改良し、より強力な爆発力を与えたと、ウクライナ国防情報局(GUR)が発表した。

 「改良型のShahed-136は、現在90キログラムの弾頭を搭載しており、以前の50キログラムのバージョンのほぼ2倍の爆発力があります」と、キーウ・インディペンデント紙によると、GURは説明している。

シャヘドの破壊力を大幅に強化したものの、ペイロードの重量増加により、射程距離は1,350キロメートル(839マイル)から約650キロメートル(404マイル)に減少した。射程距離は限定されるが、近距離攻撃ではより致命的なものとなる。


フランケンSAM

英国国防省は、動画でコンテナ型の地対空ミサイルシステム「グレイヴホーク」の詳細を紹介している。このシステムは、ソ連時代の熱追尾式空対空ミサイルR-73を改良して迎撃ミサイルとして使用するものだ。英国とデンマークが共同開発した ウクライナ向けに英国とデンマークが共同開発したGravehawkは、一般的に「フランケンSAM」と呼ばれる一連の最新システムで、ウクライナ軍の兵器庫にある既存装備を活用して、緊急に必要とされる追加の防空能力を迅速に提供することを目的としている。


北朝鮮軍に対するGURの評価

モスクワと平壌の合意により、北朝鮮軍がロシアのクルスク地方でウクライナ軍と戦うことになったが、これは双方にとって有益であると、GURの司令官は述べている。

 ロシアに展開する北朝鮮軍は、ロシア軍の支援を受けながら、近代戦争の現場での経験を迅速に積んでいる。これは、東アジアでの安全保障の力学を再形成する可能性がある憂慮すべき展開だと、キリロ・ブダノフ中将は朝鮮日報に語った。

 「この戦争は、関係国の軍事能力を総動員するものとなりました。21世紀の全面戦争を直接経験しているのは、ウクライナ、ロシア、そして北朝鮮の3カ国だけです。北朝鮮軍は、今後、過去と根本的に異なる存在となるでしょう」とブダノフ中将は説明した。中将は、例として、北朝鮮がロシアに供給したKN-23ミサイルを挙げた。

 「当初、その精度は著しく欠陥があり、誤差は500メートルから1,500メートルでした。しかし、ロシアのミサイル専門家が技術的な修正を加え、問題は解決しました。現在では、同ミサイルははるかに精度が向上し、より大きな脅威となりました」。

 彼は、この技術的進歩は、北朝鮮ミサイルの射程圏内にある韓国と日本にとって深刻な安全保障上の影響を及ぼす可能性があると警告した

「北朝鮮は、この戦争で戦闘経験を積み、軍事技術を近代化しようとしている」とブダノフ中将は述べた。「これはアジア太平洋地域の安全保障情勢に長期的な影響をもたらすだろう」


ルーマニアがロシア無人機侵入に強硬な対応を取る

ドナウ川沿いのウクライナの港を標的としたロシア製無人機の多数の侵入に直面し、ルーマニアは、これらの兵器を撃墜する軍事権限を付与する一歩を踏み出した。

 ルーマニアのDigi24メディアによると、「この新たな立法イニシアティブは、許可なくルーマニア領空に侵入したロシア製無人機は撃墜可能と定め、これまで不可能だったのは、我が国が戦争状態にないためである」という。「上院で決定的な票決が行われ、その後、暫定大統領のイリエ・ボロジャンによって法律が公布されなければ、この立法改正は適用されない」


ロシアが占領地で鉄道を整備中

ロシアは、占領下のマリウポリ、ボルノヴァハ、ドネツクを結ぶロストフ・オン・ドンからの鉄道サービスを本格的に開始したと、マリウポリ市議会が2月20日に報告した。

「ロシア占領軍は、ロストフ・オン・ドンからマリウポリおよびヴォルノヴァハに軍事装備を輸送するルートを短縮するために、この支線を建設した。次の段階は、この路線をクリミアまで延長することだ」と、ウクライナのニュースサイト「United24」によると、占領研究センターは述べた。■


U.S.-Ukrainian Mineral Deal Getting Close To Fruition

Ukraine Situation Report: If signed, the mineral deal could sooth growing tensions between Trump and Zelensky.

Howard Altman


https://www.twz.com/news-features/u-s-ukrainian-mineral-deal-getting-close-to-fruition


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  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...