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2024年5月23日木曜日

ドローン群に対抗できる高出力マイクロ波兵器IFPC-HPMの実地テストが中東で始まる。

安価なロケット、ドローンに高価なミサイルで対抗するのでは早晩経済的に行き詰まります。そのため、運用コストが桁違いに安い指向性エナジーやレーザー技術を応用した対抗手段の開発が急ピッチで進んでおり、手始めに脅威が日常となっている中東で活動する米中央軍にテスト用装備が送付されることになりました。Breaking Defense記事からのご紹介です。横須賀や東京都心で非合法なドローン空撮を許している日本でも物理的な防御策を真剣に検討すべき時期に来ています。

IFPC-HPM [2]

IFPC-HPM prototype. photo provided by Epirus

米中央軍がドローン群対策で高出力マイクロ波をテストする


米陸軍は、開発仕様のC-UASシステムを中東に派遣する


ンディ・ジョージ参謀総長Gen. Randy Georgeによると、ドローンの群れを阻止する設計の高出力マイクロ波のプロトタイプ4基を受け取った米陸軍は、性能の確認のため中東に送る準備をしている。

 今日、上院歳出小委員会で証言したジョージ参謀総長は、米中央軍に送られたストライカー搭載レーザーのように、陸軍の高出力マイクロ波試作機が "直ちに "中東に向かうと議員に語った。

 陸軍報道官デイブ・バトラー大佐は、必要な承認がすべて整えば、間接火器防護能力-高出力マイクロ波(IFPC-HPM)プロトタイプ4基はすべて中央司令部内の管轄地に向かうことを確認した。

「狙いは、兵士、開発者、テスターが実際の環境で隣り合わせに座り、より良いものにするため調整することです」(バトラー)。

 ドローンやその他の空中からの脅威の急増は、それらに対抗するための新しいシステム、特に1ショットあたりの殺傷コストが低いシステムを迅速に開発し、実戦投入する軍事競争を促進した。高エナジー・レーザーや高出力マイクロ波などの指向性エナジー・システムは、長年の開発を経て、陸軍の取り組みが実用化されつつあることに希望を与えている。ジョージはこの瞬間を利用して、兵士たちに実際の脅威や粉塵のような現実の状でテストさせようとしており、CENTCOMがその最初の目的地となる。

 例えば2月、ジェームズ・ミンガス副参謀総長は、ストライカーに搭載された50キロワット・レーザーのプロトタイプ4台がすでに現地に送られたと初めて明らかにした。最初の現場フィードバックでは、そのレーザークラスと車両に関連するサイズ、重量、パワーの問題を報告している。

 「私たちが発見しているのは、各種出力レベルでの指向性エナジーに関する課題がどこにあるかということです」と、陸軍の調達責任者ダグ・ブッシュは先週、上院軍務空陸小委員会で語った。「その[50キロワット]出力レベルは、熱放散、電子機器の量、戦術的な環境での車両の摩耗や破損のような固定サイトと比較して、常に移動しなければならない車両に組み込むことが困難であることが判明した」。


 指向性エナジー機動短距離防空(DE M-SHORAD)構想の命運がかかっている一方で、ブッシュは、20キロワット級のシステムは「いくつかの」固定サイトセットアップで「成功している」と述べた。(4月下旬、Military.comは、同軍が20キロワットのPalletized High Energy Laser(P-HEL)も海外に送ったと最初に報じた)。

 そして今、Epirus社が製造した4台のIFPC-HPMプロトタイプを兵士が手にする時が来た。つい先週、同社は4基がすべて軍に納入され、兵士が新装備訓練を終了したと発表した。また、単体のドローンと "複雑化する飛行パターンを利用した"群れの両方に対する技術開発テストも完了した。■



CENTCOM bound: Army soldiers slated to test high-powered microwaves against drone swarms - Breaking Defense


By   ASHLEY ROQUE

on May 21, 2024 at 4:37 PM


2013年12月20日金曜日

レーザー兵器の実戦テストでUAS含む飛翔体の連続命中に成功---レーザー兵器は戦術的に有効な手段になるのか


US Army Vehicle-Mounted Laser Successfully Demonstrated Against UAS and Other Targets

UAS Vision December 16, 2013

U.S. Army Space and Missile Defense Command

Eric Shindelbower/Boeing
米陸軍の宇宙ミサイル防衛司令部ー米陸軍部隊戦略司令部U.S. Army Space and Missile Defense Command(SMDC)/Army Forces Strategic Command が合同で車両搭載型高出力エネルギーレーザー兵器による初の照射演習を行い迫撃砲弾90発以上、無人機数機をそれぞれ空中で捕捉迎撃することに成功した。
  1. 陸軍高出力エネルギーレーザー機動実証装置 Army High Energy Laser Mobile Demonstrator (HEL MD)のテストで11月18日と12月10日にホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)内の高出力エネルギーレーザーシステムテスト施設High Energy Laser Systems Test Facility (HELSTF) で実施した。
  2. これはHEL MDがフル出力で行った初の実証で装備構成はレーザー発生器、ビーム照準器を車両に搭載したもの。代理レーダー(高性能多モードレーダー)がレーザー光線を割り振り交戦を支援した。
  3. HEL MDは指向性エネルギーによりロケット弾、砲撃、迫撃弾、無人機、巡航ミサイル等に対する防衛能力を実証するプロジェクトとして開発中だ。HEL MDを統括しているのはSMDC技術センターだ。
  4. 迫撃弾と無人機(UAS)は米軍・同盟国部隊が実際の戦闘で遭遇する脅威の代表として選ばれた。
  5. システムの効果は低出力、中出力放射実験(2011年)で実証済みで、今回は高出力テストをHELSTFで行った。今回の実証で移動式ソリッドステイト方式レーザー兵器システムにより迫撃弾、UASに対応可能であることが確認され、同時にUASが搭載する情報収集・監視・偵察センサー類にも有効だとわかった。
  6. 今回のテストでは10 kWクラスのレーザーを使ったが、将来は50 kWクラスをHEL MD本体に搭載し、さらに100 kWに拡大される。作動を支援する熱および電力サブシステムも将来の出力強化に対応させ、有効射程距離は拡大させ照射時間を短縮するのが今後の課題だ。
  7. ビーム管制システムbeam control system (BCS)はドーム状で500馬力の大型高機動戦術トラックHeavy Expanded Mobility Tactical Truck (HEMTT)の屋根上のに搭載されている。ビーム照準器は360度回転可能で、鏡を使い方向を指示し、焦点をあわせる。レーザービームは光速(毎秒30万キロメートル)で移動し比類ない精度で命中する。
  8. 「HEL MDが迫撃弾、無人機に連続命中して破壊したのは今回がはじめてです。」とマイク・リン(ボーイング指向性エネルギーシステムズ副社長)Mike Rinn, Vice-President, Boeing Directed Energy Systemsは語る。
  9. 「かなりの成果です」と認めるのはテリー・バウアーTerry Bauer(高出力エナジーレーザー機動実証プロジェクトの陸軍責任者)だ。
  10. レーザー光線の外周はおよぞ25セント硬貨大。迫撃弾の直径は60ミリメートルで命中すると迫撃弾内部の構造が過熱され、空中で中程度の爆発を発生させる。
  11. 「命中すると金属片として本来の命中地点に落ちてきますが爆発せず地面に刺さるだけです。つまり、弾丸を石に変えるのと同じですね」(バウアー)
  12. UASが搭載したセンサー類機能がレーザーで無効になるのかに関心が集まっていたが、実際に搭載カメラの機能が止まり、次に尾翼を破損させるためレーザー照射がされた。「機体は墜落した」(バウアー)
  13. ペンタゴンで経費節約が叫ばれる中、レーザー兵器は低価格と陸軍関係者は発言し、「一発あたりコスト」はディーゼル燃料のコーヒーカップ相当と同じだという。2013年度で開発は7年目だが、予算はおどろくことに12.4百万ドルにすぎない。
  14. そうなると戦術的に使える兵器となる。なぜならレーザーは「連続破壊手段」になるからだとバウアーはいい、各目標を一発で迅速にし止めることが可能だという。
  15. 陸軍は来年早々に装備システムをフロリダのガルフコーストに移動させ「雨天曇天その他の条件」での作動を試すとバウアーは言う。ボーイングがHEL MD開発の主契約社になっている。