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10月, 2016の投稿を表示しています

歴史に残らなかった機体④ ボーイングX-32

本当にダサい外観の機体ですが、評価基準が違っていれば採用になっていたかもしれない機体です。F-35だってどっこいどっこいですが、採用されていればもう少しはスムーズに配備されていたでしょうか。それともやはり技術開発で手こずり同盟各国への販売で開発費のもとをとる商戦が繰り広げられていたのでしょうか。誰にもわかりません。ボーイングには黒歴史というところでしょうか。 We go to war so you don’t have to A Boeing X-32 demonstrator. JSF Program Office photo A Goofy-Looking Plane Could Have Replaced the F-35 Stealth Fighter Boeing’s X-32 was … hideous by ROBERT FARLEY https://warisboring.com/a-goofy-looking-plane-could-have-replaced-the-f-35-stealth-fighter-aace8664ab68 国防総省にはF-35以外の選択肢もあった。1990年代にボーイング、ロッキード・マーティンが戦闘機の大型商談をめぐり争い、空軍、海軍、海兵隊、その他同盟諸国での採用を競った。ボーイング案がX-32、ロッキード案がX-35で、ペンタゴンはF-35を採択した。 別の結果になっていたどうなっていただろうか。ボーイング案のみ、あるいは両機種を採用していたら。 開発の経緯 冷戦終結でペンタゴンは共用戦闘機構想で運用部隊の維持費用含み事業経費切り詰めを図った。 三軍は運用中の第四世代機の後継機種を求めており、F-15、F-16が空軍で、F/A-18およびAV-8Bが海軍、海兵隊で供用中だった。 そのため新型戦闘機には通常離着陸型、STOVL型の双方が必要となった。 DoDの歴史を見ても各軍共通仕様の機体開発にはろくな成果があがっていないが、今回は各軍横断での「共用性」に高度生産技術を組み合わせて慎重に調達活動を展開すれば意味のある機体を各軍に供給できるはずとの期待が高まった。 関係者全員が競作の勝者が各国空軍向けの需要も取り込めることを理解していた。端的に言えば、

★建造中の中国新型空母を推理する

なるほど中国の目指す空母戦闘力の整備はまだ道途中ということですね。しかし中国の構想は米国のように世界各地を対象に空母戦闘群を送ることではなく、中国が中核的権益と認識する西太平洋の防護にあるはずですから米国並みの巨大空母を整備する必要はないのです。カタパルト方式をものにするのかが注目ですが、何れにせよ建造中の新型艦は技術の国産化のための習作ということでしょうか。 Everything We Know About China's New Aircraft Carrier Robert Farley October 28, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/everything-we-know-about-chinas-new-aircraft-carrier-18224?page=show ゆっくりだが着実に中国初の国産空母が姿を表しつつある。2015年に建造開始した中国二番目の空母は2017年ないし2018年に供用開始するといわれてきたが、2020年近くになる可能性も出てきた。情報の欠如で観測が先行しており、改めて基本的な疑問が表出している。遼寧(CV-16)の例と同様にアナリスト陣を悩ます論点は多い。まず艦名が不詳だ。遼寧では中国ウォッチャーは結局艦名を推定できなかった。今回も同様で「山東」との説、 施琅 Shi Lang、 鄭和  Zheng Heとの説もあるがとりあえず「CV-17」としておく。 CV-17でわかっている事項をまとめてみた。 外観はどうか 大連造船所で建造中のCV-17写真を見ると中国最初の空母と外観が類似しているようだ。艦体の大きさも遼寧都ほぼ同一で、スキージャンプ甲板をもち、動力は通常型だろう。アンドリュー・エリクソンはCV-17はガスあるいはディーゼル/ガス混合タービン方式だと見ている。 ひとことでいえばCV-17はロシアのアドミラル・クズネツォフの従兄弟といったところだ。中国が一部で設計を変更している可能性があるが中核部分では極めて類似している。基本設計が確立できれば建造を長期間続けることはよくあり、米海軍もニミッツ級空母の建造を40年近く継続している。 建造面 CV-17は中国

中国海警局の新型艦はフリゲート艦へ転換可能。日本も注意すべき存在

中国の海警局の存在はさんざん知れ渡っているでしょう。今回海軍仕様の艦艇が加わることで大きく存在意義が変わることを記事は指摘しているわけですが、尖閣でさんざん騒いでも海上自衛隊が出てこない=エスカレートさせる名目が立たない中国として同艦を尖閣に動員すれば線引が一気に難しくなりますね。 China's New Coast Guard Vessels Are Designed for Rapid Conversion into Navy Frigates Lyle J. Goldstein October 29, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/chinas-new-coast-guard-vessels-are-designed-rapid-conversion-18221 中国海警局China Coast Guard (CCG) はアジア太平洋地区の戦略を論じる際に真っ先に注目を集める組織で特に複雑な様相を示す南シナ海でその傾向が強い。米海軍情報部は同組織のカッターで編成する艦艇規模を世界最大と認定し、フィリピンと係争中のスカボロー環礁、ヴィエトナムとの間で発生したパラセル諸島沖の石油掘削施設案件でも姿を現した。大型化を続ける「白い船体」の同局所属カッターは中国の新海洋戦略の先兵と解釈されている。 これまでの西側の解釈ではCCGは艦船の大きさ、行動範囲、通信能力、組織のいずれでも中国の国力を誇示し、近隣国の漁民を排除し、海上法執行(MLE) に当たる各国艦船を怖じ気つかせることが目的とされてきた。今回はさらに槍先を尖らせようとしている。新型カッター818型が艦番号46301をつけまもなくCCGへ配備される。注目されるのは同艦が人民解放軍海軍(PLAN)の054型フリゲートをMLE仕様にした点だ。054型は各種兵装・センサーを搭載し海軍アナリストが高く評価し、PLANは同型艦をアデン湾の海賊対策で多用している。 米側や西側アナリストが気づいていないのは同艦によりCCGが新しい水準の任務実施能力を獲得することで、特に武装面で注意が必要だ。もっと警戒すべきは新型艦が海軍予備兵力となり、比較的簡単に軍艦に転用できることだ。中国の

POTUSポルカ 米大統領の移動で動員される機材各種と発生経費をGAOが分析

大統領が一回訪問するだけでこれだけの支援体制が動員されるわけですね。文中にはありませんが、国家最高司令官としてE-4Bも緊急時に備え運用されていたはずです。ま、一種の移動サーカスのようなものでしょう。それだけに電子メール問題で煙が出てきたヒラリー・クリントンには軍は一様に否定的な反応を示しており、仮に同人が当選しても軍関係者は微妙な感情を持ったまま対応するのでしょうね。 THINGS WITH WINGS POTUS Polka In the Sky Oct 28, 2016 by John Croft in Things With Wings http://aviationweek.com/blog/potus-polka-sky ボルカは軽快なフットワークが必要だ。今回公表された米政府会計検査院(GAO)のまとめでは同様に合衆国大統領(POTUS)が公務あるいは私用で足を伸ばすと軍や国土安全保障庁の機材、人員が動き回っていることが改めて証明されている。 監査ではオバマ大統領による2013年2月15日から18日を対象に公務私用双方の出張を精査している。米国東部ほとんどを旅程に組んだ大統領はまずシカゴへ飛びハイドパークアカデミーで演説し、一般教書演説で述べた経済提案について意見を交換している。シカゴからパームビーチ(フロリダ)へ飛び、タイガー・ウッズ他とゴルフを楽しんだ。 報道ではこの週末旅行の経費を報じている。総額3.6百万ドルで国防総省が2.8百万ドル、残りを国土安全保障庁と分担している。興味をそそられるのは大型機他装備が準備されていることで、今回の監査はジョン・バラッソ上院議員(共、ワイオミング)の請求で行われた。 出張にC-17が3機、C-130は2機、さらにC-5が一機動員され、26回の移動で15空港を移動している。ここにさらに大統領専用機のVC-25A(ボーイング747-200B)「エアフォースワン」が加わるが、海兵隊第一ヘリコプター飛行隊のVH-3D、VH-60N、MV-22Bは空輸されPOTUSのゆくところあらゆる場所あらゆる機会に随行している。 GAOが以下まとめている。 「第89空輸飛行隊を隷下におく航空機動軍団が機材を準備し、大統領移動に伴う貨物を輸送する。旅行の内容により使用機材はC

DARPAの進めるコックピット自動化の現状 ALIASシステムで操縦士一人体制が生まれるか

いつも一歩先を狙う技術開発を進めるDARPAからの新しい成果報告です。すべてが人間が行うよりも信頼でき学習できるAIがあれば積極的にこれを使えばよいという発送のようですね。頑固一徹にチェックリストを読み上げるのは良いのですが、本当にチェックになっていない形骸化があるとすれば問題なのでこの技術は有望と見て良いのではないでしょうか。(ターミナル1共通記事) DARPA Flies Plane with Robot Co-Pilot Kris Osborn October 27, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/darpa-flies-plane-robot-co-pilot-18213 各種チェックリスト項目や安全手順はコンピュータがずっと早く、安全かつもれなく実施できるはずだ。 ペンタゴンの研究開発部門が実証をめざすのは航空機自動化の全く新しい段階で人間の持つ問題解決能力にコンピュータ化したロボット機能を組み合わせることだ。 これを国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)は航空機乗員コックピット作業自動化システムALIASと呼ぶ。 ALIASの中核は認識能力で人間の頭脳は状況が急速に変化しても問題解決できる能力を有するが、一定の手順はコンピュータが実施したほうが実効性が高いと研究者は見る。 ALIASのソフトウェアはオープンインターフェースでパイロットが操作するタッチパッドや音声認識に対応し機体操作が自律的に行えるようになる。 例としてチェックリスト手順や安全手順のチェックがあり、エンジン状況、高度計、照明、スイッチレバー類は今までより迅速かつ、安全で効率よく確認をコンピュータが自動的に行なってくれる。 「乗員が通常行う仕事ですが当たり前すぎて退屈になることがあります。ALIASがチェックリストや点検を代わりに行い結果だけをパイロットに教えます。パイロットはもっと大事な飛行任務に専念できるわけです」とオーロラ・フライト・サイエンシズ社長兼CEOのマーク・チェリーが語っている。 航空機運用には多様な作業があり、緊急時の手順、ピッチ、ロール、エンジン状況の点検ライト、自動操縦等は乗員の手を煩わせず実施できる。 LIAS

シリア上空での米ロ軍用機衝突は回避できるか

そもそもシリア問題を放置した挙句、ロシアの全く別の意図による介入を許してしまったのはオバマ政権の失策です。シリア上空の空域で米ロ間の衝突が発生すれば事態がエスカレーションしかねません。両国間の理性ある行動が期待されます。 Report: Russian, U.S. Jets Have Close Encounter Over Syria アレッポを空爆するTu-22M3  / Russian Defense Ministry via AP       BY: Morgan Chalfant October 28, 2016 10:43 am http://freebeacon.com/national-security/russian-american-jets-close-encounter-syria/ 米ロ軍用機がシリア上空で数日前に異常接近していたことが判明した。 10月28日のAFPが米関係者の発言を引用し、ロシア戦闘機一機が米軍機にシリア上空で同月17日に危険な接近飛行をしたと報道している。 大型スパイ機に随行したロシアジェット機が米軍機の近くを飛行し、「半マイル以内」まで近づいたと米空軍ジェフ・ハリガン中将が述べている。 匿名の防衛関係者はこのロシア機が「通過する際にジェット噴流がわかるくらい接近していた」と述べている。 米ロはリシア上空での空中衝突を回避するホットラインを開設している。今回は米側パイロットからロシア機に交信を試みたもののうまくいかなかったという。 ハリガン中将は同地域で米ロ軍用機の接近遭遇が急増しているとも述べ、ロシア機が意図的に米軍機に接近飛行を10日に一回のわりで実施しているという。 米ロ間の緊張はシリアをめぐりここ数週間高まっており、きっかけは停戦協定の不調とともに両国間の通信連絡が中断したことだ。 ロシア・シリア軍はアレッポで一般市民並びに米国が支援する反乱勢力を空爆しており、オバマ政権がシリア政府軍への攻撃を検討中と伝えられるとモスクワは作戦行動中のシリア空軍を標的とする連合軍は撃墜すると警告している。■

主張 クリントン当選を期待する国の存在がトランプへの一票を正当化する

報道界が必死になりクリントン優勢の機運を盛り上げてきたにも関わらずここに来てもクリントンのリードはごくわずか、というのは投票日当日に大きなどんでん返しがあっても不思議ではないということで、最初からクリントン優勢と信じ込んでいる向きには不安な気持ちが広がっているでしょう。   20世紀政治の延長を選ぶか、21世紀になりあらゆる点で見直しを図るのかの選択で、米国からの便宜供与を受けている既得権層が自らの存続をかけ必死になるのは理解に堅くありません。  果たしてその期待どおりに進むのでしょうか。 Foreigners Want Hillary Clinton for President: A Good Reason to Vote for Donald Trump Doug Bandow October 28, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-skeptics/foreigners-want-hillary-clinton-president-good-reason-vote-18218?page=show ヒラリー・クリントンは世界の大統領候補なのか。ある見出しは「世界はクリントンに期待」とある。 背景には醜悪とも言えるドナルド・トランプの大衆迎合主義がある。ただしアメリカだけの話ではない。フィリピンのロドリゴ・ドュテルテはトランプ以上に「トランプ的」である。ヨーロッパにも大衆の受けを狙った政党が乱立しており、一部政権に参画しているものもあれば次回国政選挙で政権奪取を狙う党もある。マリヌ・ルペンが大統領となればトランプよりも過激になるだろう。 だがもっと大きな懸念事項は世界各国を支援する超党派政策をトランプが継続するとは思えないことだ。第三世界では米財政支援に頼り切る国が多い。トランプは「対外支援」の用語を口にしておらず、米国から雇用を奪い不法移民を流入させるような国には資金提供を打ち切る可能性が高い。 西側の経済援助が各国の開発に大きな貢献をしたと証明することは難しい。被援助国エリート層は恩恵を受けているが、豊かな国の貧困層から資金を調達したのが対外援助の本質で貧しい国の富裕層を肥やしているといわれてきた。その恩恵を

もし戦わば⑧ 日本は中国の侵攻にこう対応する

沖縄では今日も防衛体制整備に反対する住民(沖縄以外の住民含む)がとんでもない行動をしているようですが、現実世界に背を向けているのはちょうど成田闘争に参加した人たちと同じではないでしょうか。法執行のため機動隊員が各地から派遣されているのも成田と同じですが、沖縄では30年間も辛抱強く待っている余裕はないはずです。国家などない方がいいなどと平気で言えるような人は中国や北朝鮮にぜひ旅行してもらいたいものです。 Japan's Master Plan to Defend Itself from China Kyle Mizokami October 23, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/japans-master-plan-defend-itself-china-18147 これまで日本の本土防衛方針は凍結されたままだった。冷戦時にはソ連が北方国土を侵攻する想定で強力な機甲部隊でソ連軍上陸を阻止し、空軍部隊で爆撃機を撃退し、海上部隊がシーレーンを確保し、米軍到着まで持ちこたえる想定だった。 この防衛方針が冷戦終結でゆらめいたがゾンビのように生き残ったのはそれ以上によい案がなかったためだ。だが今や中国の軍事力が増強され北京が尖閣諸島の領有を堂々と主張するにいたり、日本も防衛部隊再編で南方での新しい脅威へ対応せざるを得なくなっている。 中国の軍事費は毎年10パーセント以上の増額を18年間続けた。2010年に突然中国が尖閣諸島の領有を主張すると中国の脅威が急浮上してきた。 「動的防衛案」と言われる方針は完全な方向転換で、北海道に代わり尖閣、琉球諸島が焦点となった。以前の構想では戦車中心の防衛体制をおく第七装甲師団が中心的存在だったが、今度は新編成の迅速展開揚陸部隊(旅団規模)が中心だ。 この揚陸旅団が新防衛体制の中核で九州佐世保に駐とんし、日米の揚陸艦艇で迅速な移動を目指す。2017年に初期作戦能力を2千名規模で確立し、後に3千名に拡大される。 同旅団の核が西部方面普通化連隊という大隊規模の軽歩兵部隊で日本の揚陸作戦の知見を一手に握る部隊だ。同部隊は米海兵隊の揚陸作戦演習アイアンフィスト、ドーン・ブリッツに2000年以来参加しており