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ヴァージニア級攻撃型原潜の後継艦SSN(X)の概略が浮上。ヴァージニア級からさらに戦力性能がアップする。問題は毎年2隻超の建造能力の実現だろう。目標は2050年度に達成する。

  米 海軍は現行のヴァージニア級原子力攻撃型潜水艦(SSN)の後継艦について研究開発を2021年度中に開始する。新型艦はヴァージニア級より全幅が広がりシーウルフ級並みとなり、将来登場する水上、水中の脅威によりよく対応でき、最新の静粛化推進方式を採用し、各種技術を搭載するはずだ。   議会調査サービス(CRS)が2021年5月10日発表した文書では米海軍の次世代攻撃型潜水艦SSN(X)の概略に触れている。以下、CRSによるSSN(X)に関する報告書から引用する。   「海軍が2020年度にまとめた30年計画(FY2020-FY2049)建艦計画では、SSN(X)一号艦は2031年度調達とあり、同年にはヴァージニア級潜水艦一隻も調達する。2032年度、2033年度にヴァージニア級の最終調達として4隻を調達し、各年2隻を調達する。その後のSSN(X)調達も毎年2隻で2034年度に開始する。30年建艦計画でSSNを毎年2隻調達していくとSSN66隻を調達でき、現行の海軍SSN戦力整備目標は2048年度に達成できる。   トランプ政権が2020年12月9日付で公開した海軍建艦計画が2022年度30年建艦案の基礎となっており、SSNでは72隻から78隻を整備目標としている。この目標を達成するのは2040年代後半となり、2035年度から2041年度には毎年3隻、2042年度から2050年度には毎年2.67隻の建造が必要だ。   新型SSN(X)でも対潜戦(ASW)を重視し、移動速力とステルス性はヴァージニア級を超える水準とする。さらにSSN(X)は兵装搭載量が増え、搭載ペイロードの種類もヴぁージニア級を超え、敵の高性能艦、無人水中機UUVに対抗しながら、同盟国艦艇との協調性も確保する。   CRSのSSN(X)報告書ではさらに「 海軍ではSSN(X)の設計で3案を検討し、ヴァージニア級SSNを発展させる案、コロンビア級SSBNを原型とする案、完全新規設計案がある。   「産業界にはSSN(X)の艦体直径はヴァージニア級の34フィートより大きく、シーウルフ級SSNおよびコロンビア級SSBN(それぞれ40フィート、43フィート)に近づくとの意見がある。   「2021年4月にCBOが2020年12月9日付の30年間海軍建艦案文書に対する検討結果を発表しており、2021年度ドル価値で

マラバール演習2017が始まったが、日本国民が戦略思考できるのはいつ?

写真は今回の演習のものではなく、くらま(DD-144)が写っているので以前の共同演習の際のものですね。日本国内でこの演習の意義、インド太平洋の秩序の維持=中国へのメッセージの重要性を理解している人がどのくらいいるのでしょうか。オーストラリアが中国マネーに目がくらみふらついているのは中国にとって奇貨なのでしょうね。しかし海上自衛隊はいつになったら「護衛艦」の名称をやめるのでしょうか。国内向け海外向けでつかいわけるのはダブルスピークのようですね。 US, India and Japan launch joint naval exercises to keep China in check 米、印、日共同海軍演習の狙いは中国へのけん制だ By: Vivek Raghuvanshi, July 11, 2017 (Photo Credit: MCSN Alonzo M. Archer/US Navy) http://www.defensenews.com/articles/us-india-and-japan-launch-naval-exercises NEW DELHI —米国、インド、日本三カ国の海軍がマラバール2017演習をベンガル湾で開始した。 米海軍USSニミッツ、インドのINSヴィクラマディティア、海上自衛隊からJSいずもの空母三隻が参加し、第21回演習は7月10日から17日の会期で幕を開けた。今回の狙いのひとつがインド洋で存在感を高めつつある中国の動きへの対抗だと専門家はみている。 米第11打撃群司令ウィリアム・バーン少将はチェンナイに集まった報道陣にマラバール2017の戦略的なメッセージは国名は出さずに「誤解の可能性を排除」することで、「こちらは結束している」と示すことと述べている。 グルプリ―ト・クラナ(インド海軍大佐・国家海洋財団専務理事)は「マラバールの本質はインドと米国の共同演習であり、日本も参加して拡大したが各国の国家戦略をインド太平洋地区で集結させ、海洋軍事協力体制を機能させることにある」と述べる。 「今年の演習の特色は空母運用、防空、対潜戦(ASW)、水上戦、臨検拿捕(VBSS)、捜索救難、共同操艦、戦術行動」だとインド国防省の公式報道資料にある。 インド海軍の花形は空母INSヴィクラ

★電子戦能力整備が今後急成長分野になる。専用電子戦機材開発も検討中

空軍最後の電子戦専用機材EF-111Aレイヴンは1998年に退役している。 ステルス命だった空軍がやっと現実の厳しさに気付いてこれまでの努力の不在を一気に埋めようと必死になっているのでしょうか。電子戦の技術が相当進展し、装備の小型化も進んでいますが電力、容量を考えると737サイズは必要ではないでしょうか。空軍としては次期主力戦闘機PCAの派生型にして投資効率を高めたいでしょうね。各軍共同研究しても結局はそれぞれの仕様に落ち着くのではないでしょうか。ここでもF-35の悪夢は繰り返したくない思惑があるようです。 Electronic Warfare ‘Growing’; Joint Airborne EW Study Underway 電子戦は「成長分野」、各軍共用EW機材開発の検討が進行中 By SYDNEY J. FREEDBERG JR. on June 23, 2017 at 3:22 PM http://breakingdefense.com/2017/06/electronic-warfare-growing-joint-airborne-ew-study-underway/ ARLINGTON: 二十年間も放置されたままだった電子戦での対応がゆっくりだが良い方向に向かっているとEW担当国防副長官が評している。予算増に加え、(非公表の)新戦略案が国防長官官房で準備されており、各軍トップから一様に関心が高まる中、将来のジャミング機材で共同検討が続いている。 ウィリアム・コンレイは「一か月、二か月いただければ」もう少し詳しくお話しできると現在進行中の統合空中電子攻撃の代替策検討について空軍協会で語っている。 William Conley この件の背景に触れよう。電子戦とは敵の無線周波数(RF)を探知し、欺瞞し、妨害する科学技術と言える。また無線通信網からレーダーまですべてがRFを使っていることからEWは近代戦の成否を握っているといえよう。冷戦終結後のロシアがソ連時代のEW機材を確保したままだったのに対し米陸軍と空軍は装備を大幅に減らした。特に空軍は最後の高性能ジャミング機EF-111レイヴンを1998年に用途廃止した。EC-130Hが少数残っているが、EWは海軍に任せている。空軍はステルス機のF-2

アイオワ級戦艦の現役復帰は実現可能性なし

保存中の退役空母再就役の話がありましたが、戦艦はどうでしょう。米国には戦艦の最終進化形アイオワ級四隻が残っています。ホームズ教授がウィスコンシン勤務だったとは知りませんでした。記事の出稿が前後しましたが、文末の現代の艦船の脆弱性のくだりはフィッツジェラルド事件であらわになりましたね。   Why America's Battleships Will Never Make a Comeback 米戦艦の現役復帰が不可能な理由   James Holmes June 17, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/why-americas-battleships-will-never-make-comeback-21199?page=show 戦艦には神秘的な要素がある。ワシントン内外で米海軍増強の話題が出ると必ずアイオワ級巨大戦艦の現役復帰を強く主張する向きが現れるのは毎度お約束だ。第二次大戦時の戦艦を呼び戻すのは突飛な話題ではない。1914年建造のUSSテキサスに超兵器を搭載しソ連を吹っ飛ばそうというのではない。日本帝国海軍のスーパー戦艦大和を引き上げ宇宙空間で使おうというのでもなく、宇宙人の侵略からUSSミズーリでハワイ諸島を守るものでもない。 第二次大戦時に日本との一騎打ちを想定して建造された戦艦は朝鮮戦争、ベトナム戦争、冷戦時に現役復帰している。最後の作戦行動は1988年だ。アイオワ級は朝鮮戦争後ほぼ30年間モスボール保存されていた。(ベトナム戦争時に短期間復帰したUSSニュージャージー除く)冷戦後もモスボール状態だ。事例では戦艦の復帰は可能と示されている。ただし現役復帰させてもコスト、労力、人的資源の投入に見合う効果があるか疑問だ。 数字に騙されてはいけない。レーガン時代の海軍大増強で戦艦四隻の現役復帰に1988年価格で17億ドルかかった。2017年価格にすると一隻8.78億ドルだ。この数字から海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦一隻の価格で強烈な砲火力を有する艦二隻を復帰できるとした。バーク級駆逐艦の最新建造単価は19億ドルと議会予算局はまとめている。一隻分の予算で二隻が手に入るのは魅力だ。沿海戦闘艦三隻分の予算で戦艦二隻を復帰できる。沿海戦

★★空母キティ・ホーク、ペリー級フリゲート艦の現役復帰案が浮上中

うーんこれはどうなんでしょう。モスボール係留中の劣化を克服し、新装備を搭載しても乗員が旧式艦の装備に習熟するのに時間がかかりその間にも供用期間が減ります。数合わせにしかならないのでは。ペリー級フリゲートは使い勝手はよさそうですが、VLS搭載の必要はないのでは。低水準の脅威環境なら十分現状でも対応できそうですね。LCS沿海域戦闘艦支持派にはフリゲート艦復帰は都合悪いでしょう。日本にはモスボール保存がないのでわかりませんが、たしかに米海軍はベトナム戦争、湾岸戦争にアイオワ級戦艦を復帰させていましたね。独特の技術水準を維持しているようです。 MC3 KYLE D. GAHLAU—U.S. NAVY US Navy Looking At Bringing Retired Carrier USS Kitty Hawk Out Of Mothballs 米海軍が退役空母USSキティー・ホークの現役復帰を検討か Bringing back its last operational conventionally powered supercarrier would help the Navy make its 12 carrier fleet goal a reality. 最後の通常動力大型空母の復帰は海軍が求める空母12隻体制の実現の近道になるか   BY TYLER ROGOWAY JUNE 8, 2017 http://www.thedrive.com/the-war-zone/11316/us-navy-looking-at-bringing-retired-carrier-uss-kitty-hawk-out-of-mothballs 米海軍が目標とする355隻体制の実現に向かう中で(現状は275隻)一つの方策は現役艦船の耐用年数を延長することである。さらにモスボール保存中の艦船を現役復帰させる案も検討している。その中で可能性が高いのが最後の通常動力大型空母USSキティー・ホーク(CV-63)だ。 海軍の海上システムズ司令部を率いるトーマス・ムーア中将は保存中艦船は大部分が復帰もままならない状態であるが、USSキティー・ホークは違うと述べている。「保存中の空母でキティー・ホークは真剣に検討対象

ミッドウェイ海戦75周年、中国軍事戦略家は戦史から何を得ているか

今年はミッドウェイ海戦から75周年の節目です。戦史から何を学ぶのか。日本では失敗の代名詞として細かい点にこだわる傾向があるようですが、中国は本質の戦略論で同じ事例を分析しているようです。米海軍大学校准教授が中国記事を読んで分析していますのでご紹介しましょう。   What Do China's Military Strategists Think of the Battle of Midway?  中国軍事戦略思考家はミッドウェイ海戦をどう理解しているか China likely recognizes that once wars are started with America, even when militarily successful, they may be extremely difficult to end. 中国もいったんアメリカと交戦すれば、軍事的に成功しても戦争終結が極めて困難だとわかっているのだろうか Lyle J. Goldstein  June 4, 2017 http://nationalinterest.org/feature/what-do-chinas-military-strategists-think-the-battle-midway-20990?page=show 1942年の6月に米海軍航空部隊は日本帝国海軍の主力空母4隻を海底に沈めて歴史の流れを変えた。勝因には戦略、暗号解読、急降下爆撃機の技量、訓練の蓄積、運のよさに加え少なからぬ勇気と犠牲が加わった。 エドワード・「レム」・マッシー少佐の例を挙げよう。1930年の海軍兵学校卒でニューヨーク州出身の少佐は米海軍初の魚雷投下で命中を上げている。本人が率いる飛行隊が1942年2月にクウェジェリン礁付近で日本海軍に打撃を与えている。運命の6月4日朝に少佐は飛行隊を率いてミッドウェイ海戦の大きな局面となった空母飛龍攻撃に向かった。「僚機は隊長機が大きな火の玉になるのを見た」 マッシー少佐はむき出しのコックピットに乗り乗機TBD(アヴェンジャー)から250フィート下に魚雷を投下したが、命中で発生した炎から逃げることができなかった。海戦の結果を知るものからすればアヴェンジャー隊の犠牲は無駄死にではないと言える。デ

★米海軍の進める電磁レイルガンの最新動向

ONRはリスク低減策を模索し、EMRGの砲身耐用期間を延長し毎分10発の発射を実現しようとしている。Source: John Williams/USN レイルガンの実用化を一番恐れるのはロシア、中国、北朝鮮といったミサイルで西側を脅かそうとする勢力でしょう。それだけに米側も開発の実態を極力秘匿しておきたいようで、予算要求案を見ても一括要求都市レイルガン自体の開発予算はわからないようにしています 。 USN recharges railgun science and technology effort 米海軍はレイルガン研究開発に引き続き取り組む姿勢を強化   Geoff Fein, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly 06 June 2017    米海軍は2018会計年度予算で電磁レイルガン(EMRG)の艦艇搭載は要求せず、かわりに研究開発に予算を引き続き計上し試作型のテストを2019年度に実施をめざす。 2018年度予算で海軍が要求するのは93百万ドルで研究開発試験評価 (RDT&E)を数点の革新的海軍試作装備 (INPs) に投入するとし、EMRGもその中に含まれる。ただしレイルガンへの要求額は明らかでない。海軍がEMRG研究開発単体の予算額の公表を避けているからだ。 実際の予算額がどうであれ、EMRGは目標の32メガジュール毎分10発発射で長期間稼働可能砲身の実現にむけて引き続き開発を続けると海軍研究部門ONRでEMRGを担当するトム・バウチャーがJane'sに述べている。 一般の艦載砲と異なりEMRGは電力で砲弾を発射する。(弾頭はつけない)射程は100カイリ超となる。磁界が高電流で生まれ、金属製導体(アーマチャア)を加速し、4,500から5,600マイルで砲弾を発射する。 現在開発部門が取り組む課題は以下の分野だ。毎分10回発射の実現、EMRGの砲身内部の耐用期間を延長できる素材の模索、内部の熱管理、EMRGの電源管理システムの作成である。■

5月31日、新型空母フォードを米海軍が受領

米海軍としてはやれやれというところでしょう。発電容量を大幅増加させているのは将来のレーザー等新兵器を見越しているのでしょう。フォード級は三隻の予定ですが、途中でニミッツ級と交代していきます。なお、三号艦はエンタープライズとなります。 Sailors man the rails as the Gerald R. Ford returns to Norfolk on April 14, 2017, after conducting builder’s sea trials. The first-of-class ship is the first new U.S. aircraft carrier design in 40 years. Mass Communication 3rd Class Matthew R. Fairchild/Navy At Long Last, Supercarrier Gerald R. Ford Delivered to the Navy ついにスーパー空母ジェラルド・R・フォードが海軍に引き渡された POSTED BY: HOPE HODGE SECK JUNE 1, 2017 https://www.defensetech.org/2017/06/01/long-last-supercarrier-gerald-r-ford-delivered-navy/ 建造に8年かかり、三隻建造する新型空母の一番艦が海軍に引き渡された。ジェラルド・R・フォードがハンティントン・インガルス工業から5月31日夜に納入され、今年夏の就航に一歩近づいた。 「大きな意味のある夜になった。ジェラルド・フォードにはほぼ10年間かかりきりだったので」とトム・ムーア中将(海軍海上システムズ本部司令官)が戦略国際研究所に集まった聴衆に6月1日に語っている。「受領前公試は大変うまく行った。海軍は昨夜フォードを受領した」 フォードはニミッツ級10隻に続く新型空母でニミッツ級最終艦ジョージ・H・W・ブッシュは2009年に就航していた。フォード級はニミッツ級とほぼ同じ大きさだが、小型艦橋、エレベーター数削減などの工夫で搭載機数が増えている。 新技術も数々導入されており、電磁式航空機発進システムEMALSや高性能拘束ギ