「ドローン空母」で従来型空母は陳腐化する(19fortyfive)―超大型空母にまで進化した空母戦力の信奉者は戸惑い、反発(特に既存利益がある産業界)を示すでしょうが、経済と技術の変化が答えを出してくるはずです
MQ-25。- Creative Commons
ドローン空母が従来型空母に取って代わる可能性がある: 批評家たちは空母の終焉を予測してきた。潜水艦、対艦ミサイル、「空母キラー」の弾道ミサイルは、真珠湾攻撃以来空母が享受してきた支配に終止符を打つとされている
伝統的な空母は別の脅威に直面している。航空機ではなくドローンを運用する空母に取って代わられようとしているのだ。これらの空母はまた、自動化され、無人艦になるかもしれない。
ドローン空母の時代が来る
ドローンを搭載した空母の形式は複数案ある。「空母打撃群で従来の空母と一緒に補助的な全機UAV搭載空母を含めば、全体的な出撃率が増加する」とシンクタンクRANDの報告書は主張している。「米海軍が全機UAV搭載空母の設計と使用方法を理解すれば、いつの日か、従来型空母なしで他の艦船と運用されるようになるだろう。やがて全機UAV搭載空母が、空母打撃群の目玉となるかもしれない」。
空母は軍艦であると同時にコンセプトでもある。 71パーセントが水である地球上で紛争や危機的状況の近くを航行できる移動飛行場の利点はあまりにも多い。 これは特にアメリカにとって真実であり、空母に投資するのは世界的な権益を持っているからで、陸上航空戦力が必ずしも解決策にならない遠隔地にあることも多い。
しかし、空母が発進させる航空機には人間のパイロットがいなければならないと、どこに書いてあるのか? 単なる偵察システムだったドローンは、過去70年で致命的な弾薬運搬手段、ミサイル搭載の攻撃プラットフォーム、空中タンカーへ進化し、空中戦闘機になりつつある。
ドローンを搭載した「空母」は、従来型空母が直面していた最大の問題を解決するだろう。従来型空母のコストは驚異的で、10万トンの米フォード級原子力空母の場合、1隻約130億ドルだ。英国のクイーン・エリザベス級(65,000トン)でさえ、ガスタービンを動力源とし、カタパルトを備えていないものの、1隻単価は約40億ドルだ。F-35Bのような1機あたり1億ドルの有人航空機を30機から90機搭載する空母航空団のコストを加えると、なぜ米海軍が11隻の空母しか持たず、そのすべてに膨大な過重労働を強いているのかは明らかだ。
有人航空機の発艦は、艦船の設計者と海軍予算にジレンマをもたらす。従来型空母は、F/A-18E/Fスーパーホーネットのような機体を発進させるためカタパルトと長い飛行甲板を備えた大型で高価な船か、あるいは小型の「スキージャンプ」飛行甲板と短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のどちらかであり、航空機の性能に限界がある。
ドローンを搭載した空母は、こうしたジレンマの多くを回避できるだろう。今日の空母は、パイロットが許容できるGフォースを受けながら、航空機を発進・回収するのに十分な長さが必要だ。UAVがより短い距離で発進・回収され、今日の航空機の発進・回収に使用されているものより大きな引張強度を持つ先進素材が採用されれば、飛行甲板の長さでの制約は緩和される可能性がある、とRANDは指摘している。
トルコにはドローン空母のような艦艇がすでにある
ドローン対応のフラットトップへの改修は迅速に可能だ。その一例が、トルコの新しい水陸両用強襲揚陸艦「アナドル」(2万7000トン)で、30~50機のUAVとUCAV(無人戦闘機)、ヘリコプター、海兵隊、水陸両用強襲車両を搭載できる。政治的な理由でF-35Bをアナドルに装備する計画が頓挫し、トルコはF-35をTB3ベイラクタルやキジレルマ(空対空戦闘用に設計されたジェット動力無人機)など戦闘用無人機に置き換えた。
ドローンが多くの空母艦載機に取って代わろうとしているように見えるが、空母自体のロボット化が進む可能性がある。無人艦船は、量的にも洗練度においても増加の一途をたどっている。 海軍は自律型スピードボート、ロボット掃海艇、無人潜水艇を採用しつつある。 海軍が十分な人員の確保と維持に直面していることを考えれば有人艦艇でも自動化が進んでいるのは当然だろう。
定期的なメンテナンスやダメージコントロールなど、艦船の機能を広く自動化することで、ドローン空母は乗員数を減らするだろう。 「これらの変化は乗数効果をもたらす可能性がある: コックから憲兵までの需要が減少するため、オペレーターがいなくなるごとに、乗組員から大きな人数が減ることになる」とRANDは指摘している。
RANDは、UAVを搭載した空母をロボットが護衛する、ドローン中心の空母打撃群まで想定している。 「レーダーやソナーなどのセンサーを搭載できるものもあれば、他の艦船のためのオフサイト・ストレージとして機能する補給艦もある。その他のロボット艦は、"ミサイル、魚雷、レーザー、その他の電磁兵器を搭載し、打撃群内の有人艦の要員から指示される "可能性がある」。
それでも、ロボット空母がドローンの大群を出撃させることで海戦が一変するまでには、ハードルが多数ある。 最大の問題は信頼性と接続性だ。殺傷力を行使する決定や、これらのプラットフォームに搭載されたAIが状況を正しく処理できない場合のために、人間がループ内に残る必要がある。しかし、無人機と人間のオペレーターとのリンクを可能にする帯域幅には限りがあり、指揮統制は常に脆弱なままだろう。
ジャミングも問題だ。ウクライナは2023年に毎月1万機の無人機を失っていたが、ほとんどがロシアの電子妨害によるものだった。光ファイバーケーブルで無人偵察機を制御することで、ウクライナとロシアの無人偵察機は妨害電波を回避できるようになったが、テザー接続されたUAVの航続距離は10マイル程度しかない。
未来に向かうドローン空母
とはいえ、ドローンやAI技術の進化がめまぐるしいスピードであること、そして従来型空母のコストが高騰していることを考えれば、ドローン搭載空母の実現には可能性が十分ある。ドローン搭載空母が明日の戦闘部隊の基幹となるかもしれない。■
‘Drone Carries’ Could Make Aircraft Carriers Obsolete
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著者について 防衛専門家 マイケル・ペック
ビジネス・インサイダー、フォーブス、ディフェンス・ニュース、フォーリン・ポリシー誌などに寄稿する防衛ライター。 ラトガース大学で政治学の修士号を取得。TwitterとLinkedInでフォローする。
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