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次世代戦闘機F-47受注でボーイングが安堵する理由(Breaking Defense) ― しかし、同社の防衛部門の案件で予定通り実現し利益を計上できているものがない現状を見ると、不安も残るのですが

 


ボーイングが米空軍向け次世代戦闘機の製造権を獲得した。このことが同社の将来にとって何を意味するのか掘り下げる(2024年夏時点の記事の再録)


編集者注:以下の記事は、当初2024年7月1日に「空軍が第6世代戦闘機の計画を審議する中、ボーイング社にとって多くが懸かっている」というタイトルで発表された。これは、空軍の次世代航空優勢(NGAD)計画の先行きが疑問視されていた時期の記事である。ボーイングがNGAD契約を獲得し、F-47と呼ばれる戦闘機の製造を行うことが発表されたことを受け、本誌はこの記事を再掲載する。ボーイング防衛部門の将来への影響を洞察する内容となっている


ーイングが苦境に立たされている。規制当局は同社の商業事業を精査中で、その苦境は連邦検察官の注目も集めている。また、固定価格開発契約により、同社の防衛部門は多額の資金流出を余儀なくされているが、経営陣は流出を食い止めるようと全力を尽くしている。

 少なくとも防衛事業に関しては、ボーイング経営陣は、未来志向の航空優勢技術が状況を好転させるのに役立つことを期待している。そして、その目的を達成するために、同社は数十億ドルを投じ、F/A-18ラインが終焉を迎えようとしているセントルイスにある戦闘機生産拠点に新たな製造施設を建設する計画に賭けている。

 しかしここ数週間、ボーイングの野心的な拡張計画に潜在的な問題が持ち上がっている。新施設建設の必要性を推進する主要顧客である米空軍が、次世代の航空優勢(NGAD)戦闘機計画の将来について公然と疑問を投げかけ始め、西への玄関口である同地でどのような作業が行われるかについて疑問が生じている。

 Defense Newsのインタビューで、ケンドール空軍長官は、空軍は第6世代戦闘機の開発に尽力しているが、そのコンセプトはより低コストで、エンジンも安価で先進性の低いものに変更する必要があると述べた。また、空軍が予定通り今年中にNGADの契約を結ぶかどうかについては言及を避けた。

 「次世代防空システムのファミリー構想は健在です」と、ケンドール長官はDefense Newsに語った。「NGADプラットフォームの設計コンセプトが正しいかどうかを検討しているところです。... より低コストで、トレードオフを達成できるかどうかを検討しているところです」

ボーイング社にとって、NGADの決定は特に重要です。ライバルであるロッキード・マーティンとノースロップ・グラマンの両社は、F-35とB-21の数十年にわたる利益性の高い航空機契約をすでに獲得していますが、ボーイングのF-15EX生産ラインの長期的な見通しは、主に海外顧客の確保に依存している。

 要するに、ボーイング社の防衛部門は、KC-46や新型エアフォース・ワンといったプログラムの損失を相殺できる、大きな収益を生み出すフランチャイズを確保できれば、大きな弾みがつく。勝利を収めることができれば、さらに、ステルス機を次々と開発する競合他社に遅れを取らないため必要なエンジニアリングの才能を維持できるだろう。

 また、将来的に、協調戦闘機(CCA)として知られる無人戦闘機の製造契約がまだ残っている可能性もあるが、海軍は独自の第6世代戦闘機の開発計画を延期しており、ボーイングの防衛事業を活性化させるための当面の唯一の機会は、空軍のNGAD契約となっている。

 「ええ、当社はリスクにさらされているのです」と、同社の航空優勢部門の責任者であるスティーブ・ノードランドは、6月26日の記者団とのブリーフィングで、空軍のあいまいな姿勢や、軍事戦略や政治環境の変化の可能性から生じる不確実性について尋ねられた際に述べた。(他のメディアと同様に、本誌も同社訪問に関して便宜を受けている。)

 ノードランド氏にとって気まずいのは、ボーイングがNGADの競争への関与しているとは公式に確認できないことだ。しかし、同社が注目度の高いこの契約を巡ってロッキードと競合していることは広く信じられている。それでも、ノードランドは、米国が中国に先んじたいのであれば、航空優勢のため大きな生産能力が必要だと確信していると明言した。

「次世代の戦闘機が開発されると信じたいですね。問題は、それがいつなのか、そして誰が開発するのかということです」(ノードランド)。

 一部には、NGADが中止された場合、国防総省は戦闘機メーカーとしてボーイングを失い、ロッキードが唯一のメーカーとなることを懸念している。

 「F-15EXがそのうち退役し、F/A-18も(退役が)見えてきているという状況で、このままいくと戦闘機を製造する企業は1社だけになってしまう」と、新アメリカ安全保障センターの防衛プログラムディレクター、ステイシー・ペティジョンは言う。

しかし、B-21やセンチネル大陸間弾道ミサイルなど、請求書のリストを前にして、空軍はNGADを現金化する以外に選択肢がないかもしれないと、事情に詳しい複数の関係者は述べた。「空軍はかなり追い詰められている」と、空軍に近い関係者は述べた。 


大きな「賭け」をする

NGADは今年中に発注されるとの期待があり、軍の航空部門の将来にとって重要なプログラムであると軍指導層が強調する一方で、外部からは、このプログラムの候補2社は不完全な選択肢であるという指摘もなされてきた。

 ロッキードがF-35の生産問題の克服に苦戦し、ボーイングが自社の防衛航空宇宙プログラムにおける技術的およびサプライチェーンの問題多数に苦慮する中、NGADの最終選定は「空軍がこれまで強いられてきた中で最悪の選択」に等しいと、エアロダイナミック・アドバイザリーのマネージング・ディレクターで、長年にわたりボーイングを批判してきたリチャード・アブラフィアは述べている。「第5世代および第6世代戦闘機の独占権をロッキードに渡しますか?それとも、ボーイングが、何とかして遂行できると期待しますか?」と述べ、ボーイングに新しい先進航空機を開発できる設計チームがあるか不明だと付け加えた。

 それでも、NGADは今夏に最終選定の決定が近づいているように見えたが、6月中旬にケンドールとサービス部門のトップであるデビッド・オールビン大将が、同プログラムは遅延または中止の必要があるかもしれないという懸念を突然表明した。

 これは、エンジニアリングチームや開発チームを新規採用で強化し、NGADのデモ機を設計・飛行させ、最新製造プロセスを採用した第6世代ジェット戦闘機を製造する新施設に多額の資本投資を行ってきた業界にとって、悪いニュースとなる可能性がある。

 NGADの勝利にこれほど公に賭けている企業はボーイングをおいて他にない。セントルイスでは、ボーイングは先進戦闘機施設と呼ばれる新しい製造センターに推定18億ドルを投資している。この施設は110万平方フィートの建物で、2026年の完成が予定されている。

 その先に新しい最終組み立てセンターが建設され、上述ノードランドによると、新型機はそこで「最後の仕上げ」を受ける。その後、航空機は、閉鎖済みのマクドネル・ダグラスの納品用建屋内に建設される新しい納品センターに移送される。各施設は、セントルイス・ランバート国際空港に隣接している。

 さらに西のアリゾナ州メサでは、ボーイングが先進複合材製造センターの起工式を行った。同センターでは、先進複合材を使用して将来の戦闘機用の部品を製造する。また、ボーイングは最近、デイトナビーチにあるエンブリー・リドル航空大学に新たなエンジニアリングハブを設置すると発表した。ここでは、「軍用機プログラムと先進技術能力」に重点的に取り組むという。

 極秘プログラムを目的としたボーイングの新しい戦闘機工場および関連施設は、理論的には商業プロジェクトなど他の用途に転用できる可能性があると、ノードランドは述べている。「まだその段階には至っていませんし、正直に申し上げて、社内ではそのような話は出ていません」。

 アナリスト陣には、NGADの中止が最終的にボーイングおよびその他の産業基盤にどのような影響を与えるかについて意見が分かれています。

 ペティジョンは、空軍上層部はNGADから離れる場合の防衛部門への影響を慎重に考えなければならないと述べた。これらの考察は、本誌取材に応じた議会スタッフと業界関係者によっても繰り返されており、業界の統合について懸念が表明された。特にボーイングとエンジンメーカーが具体的に挙げられた。(次世代適応推進システムと呼ばれる別のコンテストでは、GEアエロスペース社とプラット・アンド・ホイットニー社がNGADのエンジン開発をめぐって争っている。)

 ある関係者は、NGADの中止決定は「産業基盤全体に壊滅的な影響を及ぼす可能性がある」と述べた。

 NGADの管理および生産面について、空軍に近い筋は「ボーイングの能力に対する不安が極めて大きい」と語った。しかしその一方で、「ボーイングがNGAD製造を請け負えない場合、同社にとって非常に大きな影響がある」という意見もある。

 セントルイスでは、ボーイングの現在の生産努力は、やや複雑な状況にある。同社は2027年にF/A-18スーパーホーネットの生産ラインを閉鎖する予定だが、空軍は2025会計年度以降はF-15EXの購入を停止する計画である一方、イスラエルから最大50機のジェット機に関する大型受注で同ラインは継続される可能性があり、インドネシアやポーランドなどの潜在的な顧客も存在する。

 また、ボーイングは最終的には空軍練習機や海軍のMQ-25無人給油機を販売することで利益を上げると会社幹部は言うが、これら固定価格プログラムでは、今年第1四半期のT-7でる9400万ドルの費用計上を含め、20億ドル以上の見込み損失が発生している。

 しかし、NGADがボーイングの防衛事業にとって依然として不可欠であると考えるアナリストは皆無ではない。

 「ボーイングがこれを獲得できる保証はまったくなかったと思います。これは希望を象徴したものだと思います」とアブラフィアは述べた。「しかし一方で、NGADがキャンセルされた場合、正直なところ、空軍がF-15を追加調達する可能性は十分にあります」。

T-7練習機の受注残数百機(ボーイングは輸出を目指している)と、F-15EXの海外販売の可能性により、海軍または空軍が新たな戦闘機を必要とするまで、ボーイングのセントルイス生産ラインは維持されるだろうと、ティールグループの航空宇宙アナリストであるJ.J. ガートラーは見ている。 

 ボーイング社にとって将来のチャンスのひとつとして、空軍のCCAプログラムがある。同社は、同プログラムの最初のインクリメントで試作機製造契約を獲得できなかったが、今年後半に開始予定の同プログラムの次の段階で再度挑戦できる可能性がある。

 また、産業能力を維持するために空軍がとる可能性のある別の選択肢として、ロッキードやボーイングのような航空機メーカーが他社の設計の製造をする契約が考えられる、とガートラーは述べた。この前提は、NGADの設計と製造を切り離し、航空機をできるだけ効率的にかつ安価に製造することを望む、前空軍調達最高責任者のウィル・ローパーによって支持された。

 「空軍が言っているような機数のCCAを製造するとなると、単独で製造するのは誰にとっても難しいでしょう」とガートラーは語った。「空軍は他社の設計を製造するアイデアにもオープンです。そしてボーイングは、どのようなものであれ、効率的な製造者となる立場を望んでいます」。

 その可能性について尋ねられたボーイングのノードランドは、CCAのようなプログラムについては、詳細次第だと述べた。

 「その詳細にこそ問題があると思います。なぜなら、本当に問題となるのは、つまり、多くの問題が関わってくるのですが、必要な知的財産(IP)は何か?そして、そのIPの真の所有者は誰なのか?という点です」。 

 セントルイスのボーイング社ビル100の7階から同社の次世代建造物を眺めながら、ノードランドは、拡張費用を考慮すると、苦境に立たされている同社に投資家の関心を惹きつけておく必要があると指摘した。

 「当社はただやみくもにやっているわけではありません。計画に基づいて行動しています。そして、毎日その計画について考えています。新しいニュースを知るにつれ、方針を変更する可能性もありますし、しない可能性もあります」。

 NGADの将来が不安定な中、ノードランドは、ボーイングが次世代航空機向けの基盤を整えるための積極的なアプローチが国防総省に受け入れられることを期待していると述べた。「当社はある程度の賭けに出なければなりません。そして、は顧客の意見に耳を傾け、前向きに取り組んでいます。そして、顧客がそれを評価してくれることを願うばかりです」。

政治的な戦いになる可能性

NGADを計画通りに継続するかどうかとは、最終的には政治的な判断に委ねられる可能性がある。

 空軍の考え方に詳しい情報筋によると、NGADの決定が再評価される可能性がある決定ポイントが今年存在する。中でも最も重要なのは11月の大統領選挙で、その結果、空軍の新たな文官指導部が発足し、NGADを存続させるために他の予算を犠牲にする可能性がある。

 空軍の新型第6世代戦闘機に対する揺れ動く姿勢について、まだ公に意見を表明した議員はいないが、ミズーリ州選出のエリック・シュミット上院議員の議会スタッフは、セントルイスにあるボーイングの施設にとって、このプログラムの重要性を強調した。

 「議員はボーイングがNGAD契約を獲得することを望んでいますが、より広い視点に立つと、将来の紛争で航空優勢を維持し、産業基盤を構築するためには、NGADプログラムの継続を確実にするということが極めて重要です」と補佐官は述べた。

 別のシュミット議員の補佐官は、プログラムの中止は「産業界に絶対的に誤ったメッセージを送ることになる」と付け加え、国防関連企業が将来の投資に消極的になる「悪影響」を及ぼす可能性があると述べた。

 議会では、すでに衝撃的な方針転換と受け止められ、空軍が今後どのように制空権任務を遂行するのかという疑問が投げかけられている。ある補佐官は、決定は長年、軍幹部が議員たちに語ってきたことと矛盾していると述べている。

 「過去10年の間、空軍上層部の幹部たちが中国に対抗するために第6世代の能力が必要だと主張するのを聞いてきました」と、その補佐官は語った。「空軍が突然、説明なしにその主張を放棄し、未実証のCCAこそが答えだと言うのは理解を超えています」。

 しかし、これまで議会は概ねNGADを支持してきたものの、戦闘機の機数が減少していることへの懸念から、NGADを継続することは戦闘航空戦力の残る部分を犠牲にし、中国と戦うため必要な戦闘機の機数を確保できないという主張が強まる可能性がある。

 「現時点では、コラボレーティブ・コンバット・エアクラフトのような費用対効果の高い能力ソリューションが、戦力構造上の課題に対処する上で空軍にとって最重要であることは明らかです」と別のスタッフは述べた。

 2025会計年度の承認法案の上下両院版には、空軍が戦闘機部隊の必要要件に関する報告書を提出することを義務付ける文言が含まれており、下院はNGADがその計画にどのように適合するのかについての見解を求めており、上院は2030年代および2040年代に航空優勢任務を遂行する計画について、詳細な情報を要求している。

 シュミット上院議員以外にも、NGADの積極的な支持者として、現在上院軍事委員会の共和党筆頭議員であるミシシッピ州選出の上院議員ロジャー・ウィッカーが挙げられる。ウィッカー議員は、11月の選挙で共和党が上院で勝利した場合、上院軍事委員会議長に就任する見込みだ。

 ウィッカー議員は国防予算の「世代的」増額を求め、5月に発表した白書の中で、ウィッカー議員によると「戦力構造の悪循環の加速」に陥らないため必要であるとして、CCAの拡張購入を主張していた。しかし、同議員はNGADの犠で戦闘用無人機プログラムへの投資拡大が生まれてはならないと指摘している。「CCAがあっても、空軍は次世代航空優勢プログラムを予定通りの数で展開することが可能であり、またそうしなければならない」。■


Why Boeing’s F-47 NGAD next-gen fighter win was existential for the company

Boeing won the right to produce America's next-gen fighter. This piece goes deep into what it means for the company's future.

By   Valerie Insinna and Michael Marrow

on March 21, 2025 at 1:26 PM


https://breakingdefense.com/2025/03/why-boeings-f-47-ngad-next-gen-fighter-win-was-existential-for-the-company/


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