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2026年7月18日土曜日

PLAAFのJ-20戦闘機は一体何機生産されて実戦配備されているのだろうか。数少ない情報から推測してみた

 How many J-20s does china have?

中国のインターネット/中国人民解放軍空軍

中国はJ-20戦闘機を何機保有しているのか?

How Many J-20 Mighty Dragon Fighters Does China Actually Have?


J-20「マイティ・ドラゴン」は圧倒的な生産規模にで中国人民解放軍空軍(PLAAF)を変革しつつある。

https://www.twz.com/air/how-many-j-20-stealth-fighters-does-china-actually-have

に包まれた中国の次世代戦闘機は、2機の第6世代戦闘機の設計案2024年後半に明らかになって以来、ニュースの見出しを独占してきた。しかし、中国人民解放軍空軍(PLAAF)で最も重要な戦闘機は、間違いなく成都J-20「マイティ・ドラゴン」だと言える。J-20は、PLAAFにこれまで欠けていたレベルの能力を提供するだけでなく、驚くほど大量に配備されている。これは、中国に最も先進的な機体でさえ大量生産できる能力があることを浮き彫りにしている。現在、生産ラインから次々と出荷されているJ-20の数は、中国人民解放軍空軍の変革のペースを浮き彫りにするとともに、「マイティ・ドラゴン」が実際に何機配備されているのかという疑問を投げかけている。

海軍型および陸上型の両バージョンが存在するJ-35中量級ステルス戦闘機を含む、中国の新しい戦闘機設計の登場で、J-20は高いレベルの世間の注目を浴びることはなくなった。これは、2021年の状況と対照的である。当時、本誌は、初飛行から10周年を迎えた同プログラムについて総括記事を掲載していた。

当時、本誌、J-20について「中国の軍用機開発に関して言えば、間違いなく世界的な注目の的とし、中華人民共和国国内でも、『マイティ・ドラゴン』として知られる同機は、急速に台頭する同国のハイテク防衛分野および関連する航空産業の象徴となっている」と述べていた。

2010年後半、成都の大型製造工場の滑走路にJ-20が初めて姿を現した際、黒く塗装された機体は、一部の西側オブザーバーから技術実証機と見なされ、中国初の量産型ステルス戦闘機になる機体ではないと見られていたことを思い出す価値がある。印象的な手作り実験機を飛行させることと、製造が極めて困難なkとで知られるステルス技術を組み込んだ先進戦闘機を、大量生産することは、まったく別の話である。とはいえ、設計上の微調整を経て、J-20は2016年後半に実戦配備され、この機は世界で3機目となる真のステルス戦闘機として運用を開始した。

初期のJ-20試作機の写真。

それ以来、J-20は改良が続けられ、新たな派生型も登場している。この戦闘機に関する最も重要な進展は、量産機に国産エンジンが導入され、従来のロシア製エンジンに取って代わったことだろう。また、2座型も登場しており、これは第5世代戦闘機としては注目すべき新機軸である。さらに、より高度な兵器――そしてその数も増加――や、強化されたエイビオニクスも着実に導入されている。

しかし、最も重要なのは、成都航空機による生産ペースの向上であり、これが中国人民解放軍空軍(PLAAF)の各部隊へのJ-20の普及につながっている。

J-20が初公開され10年近くが経過した2019年末、西側情報筋はJ-20の生産機数を50機程度と推定していたが、この数字には試作機も含まれていた可能性が高い。一方、未確認の中国報道では、年間48機の生産能力があると示唆されていたが、その数字が達成されたことを示す公的な証拠はなかった。

2022年末までに、西側の防衛系メディアは、中国人民解放軍空軍(PLAAF)が少なくとも200機のJ-20を受領したと報じていた。この数字は主に、機体に刻印された製造番号の調査に基づいたものであり、4バッチ分の生産に相当する。一方、中国が2座型の「フランカー」シリーズを基に開発した多用途戦闘機J-16は、240機以上が就役しているとされ、これは11バッチ分に相当する。同じく生産中のJ-10Cの就役数はやや少なかったが、旧型のJ-10A/Bも機体数を補強していた。

YY-20空中給油機が、J-16とJ-20の戦闘機に同時に給油を行っている。中国インターネット

2023年初頭、中国人民解放軍空軍(PLAAF)の近代化推進に関する評価において、英国のシンクタンク国際戦略研究所(IISS)は、慎重な見解を示し、最前線に配備されているJ-20の数は少なくとも150機と推計した。しかしIISSは、過去3年間で「おそらく2倍になった」とされる年間生産ペースに支えられ、同年末までにその機数が米空軍のF-22ラプターを上回ると予測されていると指摘した。

F-22については、米空軍は現在185機を保有しているが、うち戦闘任務に割り当てられているのは143機のみで、残りは訓練や試験・評価活動用だ。一方で相当な機数が整備のために運用停止中となっている。

J-20プログラムの運用状況に関する詳細な分析が、2024年半ばにジェーンズによって発表された。これによると、2023年7月から11ヶ月以上にわたる期間に、中国人民解放軍空軍(PLAAF)はJ-20を70機以上配備し、同機の総数は約195機に達した。衛星画像の分析により、2024年5月時点で、中国人民解放軍空軍はJ-20を配備した航空旅団12個を運用しており、そのうち3旅団は同型機で完全に編成されていたことが判明した。特に重要な点として、地理的基盤に基づいて組織された統合軍事司令部である5つの戦区司令部すべてが、J-20を導入していることも確認された。

複座型のJ-20S(上)、J-20A(左下)、J-20(右下)。中国インターネット経由

2025年に入ると、J-20の生産総数は急速に300機の大台に達した模様である。

その年の秋、長年にわたり中国軍を観察してきたアンドレアス・ルプレヒト(当サイトの寄稿者)は、製造ロット第10バッチに属し、シリアルナンバーから300機目だと判明したJ-20を特定した。

一方、英国に拠点を置くシンクタンク「王立統合サービス研究所(RUSI)」は、2025年末までにJ-20の生産ペースは年間約120機に達した可能性が高く、少なくとも13の中国人民解放軍空軍(PLAAF)連隊で約300機が就役していると推定した。「生産総数はこれより多くなる可能性が高い」と、RUSIはこの件に関する報告書の中で説明している。「というのも、新たに生産された戦闘機の相当数が、まだ各部隊への引き渡しを待っている状態だからだ。」

この傾向を踏まえ、RUSIは今年初めの報告書で、2030年までに全バージョンのJ-20約1,000機(およびJ-16約900機)が中国人民解放軍空軍で運用されるようになると示唆した。「また、全般的に重戦闘機への移行傾向が顕著であり、J-16やJ-20は、以前はJ-11やSu-27/30『フランカー』といった重戦闘機だけでなく、一部のJ-7軽戦闘機やJ-8中戦闘機も運用していた部隊の再装備に用いられている」と報告書は付け加えた。

ルプレヒトは本誌に対し、2026年半ば時点で約500機のJ-20が納入されている可能性が高いと確信していると語った。この見方は、14のPLAAF前線部隊および、混合機隊を運用するさらに3つの飛行試験・訓練基地(FTTB)に同機が配備されている事実によって裏付けられている。14の前線部隊のうち、4部隊は初期生産型のJ-20に代わって、改良型のJ-20Aを導入した模様だ。

興味深いことに、米当局者の間では、米軍と比較してJ-20の能力を軽視する見方が見受けられる。

「それほど心配して眠れなくなるようなことではない」と、太平洋空軍(PACAF)のケネス・ウィルスバック司令官は2022年に述べた。「もちろん、我々は彼らを注視しており、彼らがどのように配備し、運用しているかを確認している。」ウィルスバック大将は、米空軍には「(J-20を)評価する機会が限られていたが、問題なさそうだ」と述べ、自身の発言に留保を付けた。

一方、他の米空軍幹部たちは、J-20が大きな役割を果たしている中国人民解放軍空軍(PLAAF)の急拡大に懸念を強調している。

「我が方は、これまでで最も規模が小さく、最も老朽化している」と、カリフォーニア州エドワーズ空軍基地の第412試験航空団長るダグ・ウィッカート空軍准将は、昨年初めのブリーフィングで自身の部隊について述べた。「中国人民解放軍は、かつてないほど最大かつ最新鋭の規模となっている。それがリスクであり、不確実性だ。」

ウィッカート准将はさらに、2027年までに、国際日付変更線の西側に配備された米軍の戦力に対し、中国が最新鋭戦闘機で約12対1の数的優位(第5世代機では5対3)を確立すると予測していると付け加えた。

同時に、北京がJ-20を何機購入するつもりなのかは不明である。J-20の継続的な開発に加え、一部任務においてより安価な代替手段となり得る地上配備型J-35も今後の展開を大きく左右することになるだろう。さらに、少なくとも2種類の第6世代有人戦闘機の設計案や、様々な連携戦闘機材(CCA)および無人戦闘航空機(UCAV)も、将来の戦力構成に織り込む必要がある。

J-20も課題に直面してきたが、当初は早々に否定する声もあった試作機から、今や中国空軍の主力機へ成熟を遂げた。エンジン、エイビオニクス、兵器、派生型といった面での継続的な進化も重要だが、最も重要な進展は、単に中国がどれだけのペースでJ-20を生産できるかという点だろう。

J-20開発と並行して進められた技術や戦術が、中国の次世代戦闘機に組み込まれるのと同様に、これらの機体も生産能力の向上を活かすことができるだろう。中国は、高度な戦闘機を大量生産する驚くべき能力を有していることが実証ずみのため、新型機は、量産に入れる開発段階に達すれば、一部の予想よりも早く、より多くの数が飛行ラインに並ぶことになるかもしれない。さらに、成都航空機工業集団の量産能力は、中国があらゆる種類の最先端兵器を大量に生産できる能力の高さを浮き彫りにしている。これは歴史的に見て極めて困難な課題であった。

China's growing weapons programs puts pressure on intelligence community.

J-36として知られる中国の新世代戦闘機の正面図。出典:中国のインターネット 中国のインターネット(X経由)

軍事上の観点から言えば、数量そのものが質を左右し、現在の生産予測が正確であるならば、J-20計画は、製造能力が同機のステルス性や性能と同様に戦略的に重要な段階に入ったと言える。■

トーマス・ニューディック

スタッフライター

トーマス・ニューディックはTWZのスタッフライターであり、軍事航空、防衛技術、兵器システム、国際安全保障を専門に取材している。ドイツのベルリンを拠点とし、世界中の紛争、軍事近代化の取り組み、新興の航空宇宙技術について報道しており、特に空軍力と現代戦争におけるその役割に関心を寄せている。彼の報道は、現代および歴史的な空軍力、とりわけヨーロッパにおける深い専門知識に基づいており、欧州全域およびそれ以外の地域における軍用航空、空戦、航空宇宙技術の発展に焦点を当てている。


読者コメント

  • オフ

    J-10およびJ-16の生産ラインはしばらく前から停止している。後者は現在、拡張されたJ-20の生産ラインとなっており、前者は(もしまだそうでないなら)J-35の生産ラインとなる予定だ。

  • オフ

    韓国もまた、KF-21とT/FA-50という2つの第4世代(あるいは、その区分を認めるなら第4.5世代)の生産ラインを稼働させており、これは中国にとって懸念材料となる。

  • オフ

    また、自国の近隣諸国への欧州製戦闘機の輸出についても懸念しなければならない。ラファールは現在、インドとインドネシアの両国に積極的に納入されている。

  • オフ

    それほど驚くことではない。中国共産党が支配するような巨大な製造経済にとって、機体の製造は容易な部分だ。

  • オフ

    しかし、人材育成のパイプラインには非常に長い時間がかかるだろう。彼らには近代的な航空戦闘経験が皆無であり、米国から航空機や部品の設計を盗むことは一つの手段だが、実際に……

  • オフ

    中国共産党が支配するような巨大な製造経済にとって、機体そのものは簡単な部分だ。それは常に最初の仮定だ。中国でハイテク製造を数多く手掛けた者として言えば、大量生産は容易だが、民間企業が所有・運営する企業以外での品質管理(QC)や品質保証(QA)は……そう簡単ではない。共産主義は……

  • オフ

    米国が中国人民解放軍空軍(PLAAF)に対して引き続き明確な優位性を保てる分野の一つは、私の見解ではパイロットやオペレーターだ。

  • オフ

    彼らは本質的にトップダウン型のシステムによって制約を受けており、次の世代のパイロットに引き継ぐことのできる実際の戦闘経験が欠けている。

  • オフ

    私はこれを信用しない。インドの情報源は中国に関する事柄については問題がある(その逆も然り、両国間には深い確執がある――これは、日本の超国家主義者に韓国についてどう思うかと尋ねるようなものだ)。米空軍の関係者は異なる見解を示している。彼らは訓練時間において我々を徹底的に鍛え上げている……




2026年7月6日月曜日

中国空軍は新鋭機を短期間で生産できても熟練パイロット養成には時間がかかるから米国は安心だ―とりあえず今は

 

中国はJ-20ステルス戦闘機を短期間で大量に製造できても、パイロット養成に数十年が必要――それが北京の真の問題だ

China Can Build a J-20 Stealth Fighter in Months. Building a Pilot to Fight It Takes Decades — and That’s Beijing’s Real Problem

中国の航空宇宙産業は、20年前に不可能と思われていたことを成し遂げ、世界最大級のステルス戦闘機部隊を構築した。しかし、J-20の最大の弱点はレーダーやエンジンではない。それはコックピットに座るパイロットで北京が大量生産できない唯一のものだ

https://www.19fortyfive.com/2026/07/china-can-build-a-j-20-stealth-fighter-in-months-building-a-pilot-to-fight-it-takes-decades-and-thats-beijings-real-problem/

J-20ステルス戦闘機の着陸。画像提供:クリエイティブ・コモンズ。

中国の航空宇宙産業は、わずか20年前には不可能と思われていたことを成し遂げた。中国人民解放軍空軍(PLAAF)は現在、世界最大級の第5世代ステルス戦闘機部隊を配備している。成都J-20「マイティ・ドラゴン」は、かつて単なる実験的な珍品に過ぎなかったが、西太平洋における制空権確保を目指す中国の戦略の中核へ進化した。機体そのものも、ますます脅威的な存在になりつつある。


中国のJ-20ステルス戦闘機。画像提供:中国のインターネット。

生産が進むにつれ、改良されたセンサー、エイビオニクス、エンジン、ネットワーク機能が組み込まれてきた。生産は驚異的なペースで続いており、米国が老朽化した機体の更新に苦戦する一方で、中国はステルス機を数百機配備することが可能となっている。

しかし、J-20の最大の弱点は、レーダーやエンジンにあるのではない。その弱点は、機体設計や全体的な工学技術と何の関係もない。弱点はコックピットの中に潜んでいるのかもしれない。

J-20から学ぶ教訓:空軍部隊の整備はパイロット育成すより容易だ

現代の戦闘機は工学上の驚異である。どの機種であれ、どの国のものであれ、これらのシステムはこれまでで最も複雑なプラットフォームだ。十分な資金、産業能力、そして時間があれば、すべての大国は、最終的に有能な航空機を製造することができる。

しかし、エリートパイロットを育成することは全く別の話である。

第5世代戦闘機のパイロットとは、単に高度な航空機を離陸・飛行・着陸させることができる人物ではない。激しい空中戦が予想される状況下で、高度な航空機を操縦しながら、膨大な量の情報を同時に処理しなければならない。こうした技能は、容易に大量生産できない(少なくとも、中国が複雑な航空機を大量生産できるほどには容易ではない)。

第5世代戦闘機の操縦を習得するには、長年の飛行経験が必要だ。これらの機体には、数千時間の飛行経験を持ち、厳格な指導を受け、教義への硬直的な順守より自主性を重視する訓練文化に育まれたパイロットが求められる。そこが、中国が依然として直面している最大の課題である。

筆者の実体験:F-35パイロットたちが語ったこと

約1年前、筆者はアリゾナ州フェニックスにあるルーク空軍基地を訪れ、基地の上級指揮官たちに戦略に関する講演を行った。現地のチームは親切にも、彼らのF-35ライトニングIIの配備状況を見学させてくれた。さらに、基地のフライトシミュレーターでF-16を操縦することさえ許可してくれた。滞在中、F-35プログラムへ移行中のF-16パイロットと面会した。彼らはF-16で数年の、あるいは数十年に及ぶ経験を持つパイロットたちだった。移行中のパイロット全員から、F-35の操縦は、彼らが慣れ親しんだF-16の操縦と大きく異なるとの声が聞かれた。


J-20ステルス戦闘機。画像提供:クリエイティブ・コモンズ。

中国では、中国人民解放軍空軍(PLAAF)がJ-10第4世代戦闘機パイロットを第5世代戦闘機部隊へ移行させている。高度な戦闘機の操縦経験がはるかに豊富な米国のパイロットでさえ、新しい機体に慣れるのに時間を要しているのだから、実戦経験がない中国のパイロットたちは、J-20部隊に適応するまでに、さらに長い準備期間を要することを想定すべきだろう。

経験は作り出せない

何十年にもわたり、米国のパイロットたちはイラク、アフガニスタン、シリア、コソボ、リビア、イラン、そして世界中で継続的に行われている数え切れないほどの作戦(一般には決して知らされないもの――たとえ自身でミサイルを発射した経験のないパイロットであっても、実際に発射経験のある教官から恩恵を受けている)を通じて、戦闘経験を蓄積してきた。

その組織的な記憶は、新しい世代のすべてに受け継がれていく。

現時点では、中国にはこの先進戦闘機プログラムにおける重要な要素が欠けている。中国人民解放軍空軍(PLAAF)は、近代的な空戦を経験したことがない。そのパイロットたちは日常的に高度な演習や、ますます現実味を増す訓練を行っているが、シミュレーション――たとえそれがどれほど優れたものであっても――は、実際の戦闘における混乱、不確実性、そして心理的ストレスを完全に再現できない。

演習は手順を教える。戦闘は判断力を養う。この二つを結ぶ近道は存在しない。

J-20は操縦は容易だが、戦闘は難しい

中国の国営メディアが取材したPLAAFのパイロットによると、第4世代のJ-10から第5世代J-20への移行は、ステルス戦闘機の高度なエイビオニクスと自動化システムのおかげで、ある意味では容易になっているという。現代のコンピュータはパイロットの作業負荷を軽減する。ディスプレイは、以前は手動で解釈しなければならなかった情報を統合して表示してくれる。


中国のJ-20戦闘機。画像提供:クリエイティブ・コモンズ。

しかし、こうした改善は中国のパイロットに新たな課題をもたらしている。

戦闘機の操縦メカニズムと格闘する代わりに、中国パイロットは戦闘情報の流れを掌握しなければならない。すべてがうまくいけば、そのパイロットは優位に立つ。しかし、その結果と、それに伴う複雑さとの間には大きな隔たりがある。現時点では、その隔たりは経験不足に起因している。

中国が従来のパイロット訓練を超えて模索する理由

中国の軍事関連出版物では、精鋭パイロットを対象に、伝統的な気功の呼吸法やコンディショニング技法を活用した実験について記述されている。その目的は、集中力、持久力、ストレス耐性、そして高パフォーマンス飛行中に経験する激しい身体的負荷への耐性を向上させることにある。

これらはパイロットに有益ではあるが(西側の空軍も精鋭パイロットに対して同様の訓練手法を採用している)、いずれも実戦経験を代替するものではない。レーダー画面に複数の視程外(BVR)ミサイルが突然現れたら、パイロットがどのように反応すべきかを、呼吸法は教えられない。同時に、電子妨害で通信が途絶え、味方機が戦術状況図から次々と消え始めたら。

教訓は、苦い経験を通じて学ばれるものだ。

その代わりに「経験」を購入する

北京はこの弱点を認識しており、経験不足を補うため、西側諸国――米国でさえも――から経験豊富な戦闘機パイロットを求めている。実際、米国司法省(DOJ)は、中国軍に違法に防衛サービスを提供したとして元米軍パイロットらを起訴している。捜査当局は、経験豊富な退役米軍パイロットが、中国のパイロット訓練を支援するために採用され、西側の戦術、意思決定、作戦手順に関する知見を提供していたと主張している。

これらの事例が重要であるのは、たった一人の退役パイロットが空軍を一変させられるからではない。それらが重要であるのは、第5世代戦闘機プログラムの有効性に関して、中国が自らに何が欠けていると認識しているかを明らかにしたからだ。

北京がすでに経験豊富な第5世代戦闘機の指導官を十分に擁していたなら、海外から専門知識を求める理由はほとんどないはずだ。それどころか、中国は入手可能な場所ならどこからでも、数十年にわたる組織的な知見を獲得しようとしているようだ。そして、中国と米国が近い将来戦争状態に陥る可能性が高いことを考えれば、まもなく戦うことになる米国の先進戦闘機の戦術や技術について、退役米軍パイロットから学ぶことほど有益なことはあるだろうか?

「ファイブ・アイズ」(米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで構成される諜報同盟)は、中国が西側の元軍人を無節操に積極的に勧誘していると繰り返し警告してきた。

真のボトルネックとは

中国の航空宇宙産業は、驚異的なペースで航空機を製造できる。しかし、パイロットは量産できない。エリート教官パイロットを育成するのには数十年を要する。飛行隊の文化は世代を超えて形成されていくものだ。戦術的な卓越性は、数え切れないほどの失敗、厳格な事後検討、そして場合によっては実戦を通じて培われるものである。

これは、産業能力が限られた助けしか提供できない分野の一つだ。中国は、米国のライバルがF-22ラプターやF-35ライトニングIIといった第5世代戦闘機を製造するよりはるかに迅速に、さらに100機のJ-20を製造することができる。しかし、J-20の教官やパイロットの精鋭グループは新たに育成できていない。

航空宇宙分野での優位性は永続的なものではない

こうした状況から慢心を招くべきではない。中国人民解放軍空軍(PLAAF)は急速に進化している。その演習は年々高度化しており、パイロットの飛行時間は増加している。PLAAFの指揮系統も目覚ましいスピードで近代化が進んでいる。新しい訓練方法が旧来のソ連式手法に取って代わりつつあり、一方で、新世代のパイロットは、前世代よりも優れた教育システムの恩恵を受けている。

つまり、時間は中国に味方している。

さらに、戦闘経験を持つ高給取りの西側諸国の軍パイロットの助言も得て、中国の訓練は格差を縮めつつある(これが、米国司法省(DOJ)が、中国の軍パイロットを訓練していたと発覚した退役米軍パイロットに対して、厳しい措置を講じている理由の一つである)。したがって、米国は、中国の現在のパイロット育成における課題がいつまでも続くと想定してはならない。

刻一刻と迫る時間

J-20は、第5世代戦闘機技術において西側諸国と競う上で、もはや中国にとって最大の負担ではない。同機の性能は向上しており、北京の産業基盤は、他国が追随できないほどのペースで生産を続けている。制約要因は「人的要素」である。

中国は数ヶ月で新たなステルス戦闘機を製造できる――米国が第5世代戦闘機を製造するよりもはるかに多く、はるかに速いペースで――が、増え続けるJ-20を操縦するのに相応しい経験を持つパイロットを育成することは、まったく別の問題である。それには、中国が新型の先進戦闘機を大量に製造するよりもはるかに長い時間がかかる。

これこそがJ-20の真の弱点である。とはいえ、時間の経過とともに、中国はこの課題を克服するだろう。北京は、米国に急速に追いつき、さらには追い越そうとする過程で、他のあらゆる課題を克服してきた。

西側の軍事指導者たちは、中国がこの人的資本の不足で恒久的に足止めを食らうことを期待している。彼らは、この状況が継続する前提で戦略を立てている。これは、「中国の体制はまもなく崩壊する」と想定するのと同じくらい馬鹿げたことだ。

彼らは20年以上もその瞬間を待ち続けている。しかし、北京は強くなるばかりだ。これでは戦略的思考とは程遠い。あらゆる面で中国が米国に追いついてしまったため、これは現実逃避に過ぎない。

この状況が続けば、北京は第5世代機の訓練でも米国を圧倒するだろう。■

著者について:ブランドン・J・ワイチャート

ブランドン・J・ワイチャートは、19FortyFive.comの国家安全保障担当シニアエディターである。また、Substack上の『The Weichert Brief』の運営も担当している。ワイチャートは、Rumbleで『National Security Talk』のホストも務めている。著書には国家安全保障に関するベストセラー4冊があり、最新作は『A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine』(エンカウンター・ブックス)である。



2025年12月29日月曜日

中国ステルス爆撃機H-20に対し実機登場前から性能を過度に恐れていないか―H-20はB-2/B-21の前に性能は及ばない

 

中国の新型ステルス爆撃機H-20はB-2・B-21レイダーの敵ではない

19fortyfive 

ジャック・バックビー

B-21 Raider Bomber U.S. Air Force.2025年9月11日、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地で、第912航空機整備中隊が、試験評価用で2機目のB-21レイダーの準備を行う。(米空軍提供写真/カイル・ブレイジャー撮影)

要点と概要

 – 中国のH-20ステルス爆撃機は現実味を増しており、北京にとって初の真の長距離核搭載戦略爆撃機となる見込みだ。

– 実現すれば、H-20はグアムやハワイに至る米軍基地を脅威に晒し、中国の軍事力投射を第一・第二列島線をはるかに超え拡大させる可能性がある。

H-20ステルス爆撃機のアーティスト・レンダリング。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

– しかし米国は決定的な優位性を保っている。

–  B-2スピリットは数十年にわたり世界規模の作戦、戦術教義、演習を積み重ねており、B-21レイダーも配備されていく。

– ワシントンは技術的優位性だけでなく、深い作戦経験も有している。

中国のH-20ステルス爆撃機が迫る―だが米国のB-21優位性は圧倒的だ

中国との競争が激化する中、西側アナリストや米国防当局者は、かねて噂されていた中国のH-20ステルス爆撃機が現実となり、西側の計画を早急に複雑化する可能性を認識している。

中国人民解放軍空軍(PLAAF)が追求する全翼機は、配備されれば北京初の専用戦略爆撃機となる。これにより中国は太平洋全域の米国同盟国や基地への軍事力投射範囲を大幅に拡大できる。

しかし、中国国営メディアや西側アナリストが10年近い開発期間を経て進展を確認しているにもかかわらず、同機は依然として目撃されておらず、公式公開されたこともない。運用開始まで最良のケースでもあと数年を要する見込みだ。

H-20

中国のH-20ステルス爆撃機?YouTube動画スクリーンショット、

米国が油断できないのは確かだが、B-2Aスピリットは既に運用中で、世界規模配備のステルス爆撃機として成熟している。

さらに、数十年にわたる戦闘経験、広範な訓練インフラ、統合された戦術教義と指揮系統に支えられた次世代B-21レイダーの開発では著しい進展が見られる。中国がこうした領域でまだ追いつけない。

北京は能力と到達範囲の向上を着実に進めているが、米国は決定的な優位性を依然として維持したままだ。

中国の継続的なステルス爆撃機開発

H-20計画は中国の将来の戦略的能力でここ数年懸念の焦点だった。

同機は米戦略爆撃機の基本任務セット——通常兵器と核兵器の両方を用いた深部浸透攻撃——を模倣したと見られ、米情報機関の推計によれば、1万キロメートル超の射程で目標を攻撃可能となる可能性がある。

推計が正確なら、H-20が配備された中国は、無給油でグアムやハワイの米軍基地を攻撃可能となる。

このような能力は、中国の従来の地域攻撃範囲を大幅に拡大し、既存のA2/AD戦略を超えた空軍の行動を可能にし、インド太平洋全域における同盟国の防衛計画を複雑化するだろう。

B-21レイダーステルス爆撃機。

B-21レイダー爆撃機 米国空軍。

米政府当局者は、同爆撃機の予測射程と搭載量、アナリストの解説について広く議論しており、現在の推定では、同機は抑止力を強化し、第一・第二列島線防衛を越えた追加戦力として十分な能力を持つとされている。

ただし、わかっているのはそれだけだ。H-20の飛行試験は確認されておらず、生産開始に関する情報も公開されておらず、運用配備もされていない。

H-20は「幻の爆撃機」に過ぎないという主張もあるが、その論拠は北京が正式に運用準備完了を認める日までしか成立しない。つまり北京が正式に確認しない限り、実戦配備されることはないのだ。

一方、米国ははるかに準備が整っている。H-20の登場は計画を複雑にするが、現行あるいは将来の米国能力を技術的に追い越すものではない。

ステルス爆撃機競争:米国が依然として先行している-複数の面で

ノースロップ・グラマンB-2スピリットは、米国が運用する最先端ステルス爆撃機だ。30年以上にわたり、米国の戦略的抑止力と軍事力投射の中核を担い、争奪空域への侵入や世界規模の複雑な統合作戦への参加を遂行してきた。

高度な防空網を低可視性技術で突破するよう設計されたB-2は、従来型部隊と共に数々の歴史的・注目度の高い戦闘任務に参加している。

B-2は実戦実績があり、米国はステルス爆撃機を孤立したプラットフォームとしてではなく、広範な資産群の一部、さらにはドクトリンの発展を推進するツールとして扱う戦略を開発している。

例えば、近年では、バンブー・イーグルのような大規模演習が、太平洋戦域全体で数万人の米国および同盟軍を、紛争下の兵站、基地防衛、長距離作戦といったシナリオで結集させており、B-2も加わった。

演習を通じて、B-2は、作戦概念や維持管理の実践を洗練し、困難な状況下での同盟国の相互運用性を確保するために試練にさらされてきた。

この意味で、米国は数十年にわたり専用ステルス爆撃機を配備している点で中国を先行しているだけでなく、作戦計画の面でも数十年の差をつけている。

この差は、B-21レイダーが配備されればさらに劇的に拡大する見込みだ。米空軍は少なくとも100機のB-21を配備する計画であり、上層部は同爆撃機が米国の将来の攻撃部隊の中核となるにつれ、最終的な数は大幅に増加する可能性があると繰り返し示唆している。

B-2とは異なり、B-21は新たなソフトウェアアーキテクチャとアップグレード可能性により、持続的な高頻度作戦、連合軍・同盟軍との迅速な統合、進化する防空脅威への適応性を備えて設計されている。

2020年代後半から2030年代初頭にかけレイダーが相当数配備されるにつれ、米国は中国爆撃機部隊に対し優位性を維持するだけでなく、規模と中国が追随できない戦術、中国が配備できない技術を組み合わせることで、優位性を大幅に拡大するだろう。■

著者について:

ジャック・バックビーは、ニューヨークを拠点とする英国の著者、対過激主義研究者、ジャーナリストであり、ナショナル・セキュリティ・ジャーナルに頻繁に寄稿している。英国・欧州・米国を報道対象とし、左派・右派の過激化現象を分析・解明するとともに、現代の喫緊課題に対する西側諸国の対応を報告している。著書や研究論文ではこれらのテーマを掘り下げ、分断化が進む社会への実践的解決策を提言。近著は『真実を語る者:ロバート・F・ケネディ・ジュニアと超党派大統領制の必要性』である。


Forget the H-20: China’s New Stealth Bomber Is No Match for the B-2 and B-21 Raider

By

Jack Buckby

https://www.19fortyfive.com/2025/12/forget-the-h-20-chinas-new-stealth-bomber-is-no-match-for-the-b-2-and-b-21-raider/