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2024年4月4日木曜日

日本の次期大型イージス艦ASEVに搭載予定のSPY-7レーダーが大気圏外目標追尾捕捉能力の実証に成功。2隻の大型艦は2028-2029年にそれぞれ就役予定。

 日本の新ミサイル防衛艦のレーダー、重要な宇宙追跡テストに合格


先が楽しみですね。大型艦となるASEVには護衛艦艇も随行し、いわば打撃群となるのでは。(本ブログでは護衛艦という言葉は使っておりません。DDなので駆逐艦としておりますのでご了承ください)The War Zone記事からのご紹介です。



次期イージス戦闘システム艦は、トマホーク巡航ミサイルも搭載し、乗組員の訓練が先行して始まっている


本が建造するイージスシステム搭載艦(ASEV)用の新型レーダーAN/SPY-7(V)1は、大気圏外の目標を追尾する能力を実証した。ASEVにとって非常に重要な能力である。ASEVにはSM-3対ミサイル迎撃ミサイルが搭載され、弾道ミサイルが飛翔途中で宇宙空間を通過する際に、弾道ミサイルを破壊するように設計されている。巡洋艦に近いASEVは単なるミサイル防衛プラットフォームにとどまらない艦艇となり、日本の要員はトマホーク巡航ミサイル運用の訓練を開始したばかりだ。

 米ミサイル防衛庁(MDA)は本日未明、AN/SPY-7(V)1の試験成功を発表したが、実際の試験は3月28日に行われていた。今回使用されたレーダーは、ロッキード・マーチンのニュージャージー州ムーアズタウンにある製造テストセンターに設置された。MDAによれば、海上自衛隊(JMSDF)の代表と米海軍のイージス艦技術代表も立ち会った。排水量1万2000トンのASEV2隻は、第二次世界大戦後、日本最大の水上戦闘艦となる予定で、それぞれ2028年と2029年に就役する予定だ。建造単価は約27億ドルと予想されている。

 MDAのリリースによると、「追跡イベントの間、...SPY-7レーダーの戦術的なハードウェアとソフトウェアは、宇宙空間で物体を検出し、追跡し、さらに処理するためAWS(イージスウェポンシステム)にデータを渡した」。"物体 "が何であったかは不明である。

 AN/SPY-7(V)1は、米国のAN/SPY-7長距離識別レーダー(LRDR)を縮小したもので、アラスカのクリア宇宙軍基地に設置されている地上型早期警戒レーダーが原型だ。米軍と議会は、LRDR由来の別のレーダーをハワイに設置する計画について、何年にもわたって行ったり来たりしてきた。LRDRは窒化ガリウム(GaN)ベースのアクティブ電子走査アレイ設計で、先進的な軍用レーダーで一般的になりつつあるGaNの使用は、効率と信頼性の向上に役立っている。

 LRDRとAN/SPY-7(V)1はいずれも、富士通が供給するGaNコンポーネントを搭載した、小さなソリッド・ステート・レーダー(SSR)の「ビルディング・ブロック」(LRDRの場合は数千)から成るモジュール設計だ。レイセオンのAN/SPY-6シリーズも、コンセプトはほぼ同様である。

 一般に、モジュール構成のレーダーは、柔軟性や弾力性の向上など、各種利点を提供する。個々のコンポーネントは、基本的にそれぞれがレーダーである。また、何らかの理由でブロック1つ失っても、残りのアレイが機能しなくなることはない。

 日本の防衛省がこれまでに示したレンダリング図に基づくと、ASEVに搭載されるAN/SPY-7(V)1には、4つの固定面アンテナ・アレイが含まれ、未知の数のSSRが艦橋上部の大きな上部構造の周囲に配置される。

 防衛省は以前、ASEV にこのレーダーを採用することで、こんごう級駆逐艦のレーダー更新計画に影響する可能性があると指摘していた。こんごう級駆逐艦に搭載されている主要レーダーはAN/SPY-1の一種で、イージス戦闘システム用に開発された第一世代のレーダーだ。

 AN/SPY-7(V)1は、特に宇宙空間で目標を追跡する能力があり、ASEVの弾道ミサイル防衛任務に不可欠だ。ASEVには垂直発射システム(VLS)が128セル搭載され、その一部には地球大気圏外の標的を攻撃できるSM-3迎撃ミサイルが搭載される。最新型のSM-3ブロックIIAは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけでなく、その他弾道ミサイルの飛行のミッドコースセグメントに対応できる。SM-3はまた、対衛星能力も実証ずみだ。


An infographic with details about the different variants of SM-3. <em>MDA</em>

An infographic with details about the different variants of SM-3. MDA


 ASEVのVLSセルの一部には、SM-6シリーズのミサイルも搭載される。SM-6は、飛行の最終段階で、新型の極超音速兵器を含む、各種脅威と交戦する能力がある。SM-6は多目的な兵器で、地表の標的に対しても使用できる。特に、イランの支援を受けたイエメンのフーシ派武装勢力が、紅海やその周辺にいる外国の軍艦や商船に対する作戦の一環として、対艦弾道ミサイルを定期的に使用するようになった結果、軍艦が局地的な弾道ミサイル防衛能力を持つ必要性が、ここ数カ月で前面に出てきた。

 ASEVは当初、日本がイージス・アショアを国内に建設する計画を中止したため、その穴を埋める弾道ミサイル防衛プラットフォームとして想定されていたが、現在ではより多目的な艦船へ進化している。SM-6が提供する地対地攻撃能力に加えて、これらの艦船は米国製トマホーク巡航ミサイルと12式対艦巡航ミサイルを搭載することができる。艦首には5インチ砲も設置される。

 また、主に無人偵察機に対して使用する高エネルギーレーザー指向性エネルギー兵器を搭載する計画もある。無人航空機が船舶や陸上の標的にもたらす脅威は、ウクライナ戦争やフーシの対艦作戦によって、現実味を帯びてきている。つい昨日も、イラクでイランの支援を受けた民兵が、港に停泊中のイスラエル軍艦を狙ったかのような長距離ドローン攻撃を行った。

 トマホーク導入は海上自衛隊にとって特に重要な意味があり、これらのミサイルはASEVだけでなく、こんごう、あたご、まや級にも搭載される。日本当局は1月、米国の対外軍事販売(FMS)プログラムを通じて、ブロックIV型とブロックV型を混合した約400基のトマホークを購入する計画を推進するための申し出受諾書(LOA)に署名した。木原稔防衛相は先週、米海軍の協力を得て、日本側要員がトマホーク兵器システムの訓練を開始したと発表したばかりだ。

 現在の予想では、日本は2025年度から2027年度の間にトマホークを引き渡される。これは、北朝鮮による脅威の増大や、中国とロシアの軍事協力の増大など、地域的・世界的な安全保障への配慮によるものだと防衛省は述べている。これを念頭に置いて、中国のWZ-7無人偵察機が最近、日本海上空を初めて飛行したことが注目に値する。同機は北朝鮮かロシアの領空を通過して日本海を往復したようだ。

 トマホークは、陸上と海上の標的を攻撃することができるミサイルの一種で、日本にこれまでなかった長距離攻撃能力を与える。このミサイルを使えば、ASEVやその他の日本の艦艇は、1000マイル以上離れた目標を攻撃することができる。その結果、北朝鮮、中国、ロシアを含む、新たな標的を潜在的な危険にさらすことができるようになる。東京の当局者は、表向きは「日本を侵略する勢力を早期に、遠くから混乱させ、打ち負かす」能力に重点を置く日本のスタンドオフ防衛戦略を支えるため不可欠なものだと考えている。

 ASEVは主に日本本土を襲来する脅威から守るために配備され、弾道ミサイル防衛任務を遂行する海上自衛隊のその他イージス艦の需要を減らし、別の任務に回すのに役立つ。ASEVを2隻保有することで、日本は少なくとも1隻のASEVを常時配備可能になる。

 イージスのおかげで、ASEVはセンサー・データを日本の大規模な統合航空・ミサイル・ネットワーク、ひいては米国のネットワークに供給することもできる。このように、将来この2隻を取得することは、ミサイル防衛のカバー範囲という点で、両国に大きな恩恵となる。

 いずれにせよ、高性能レーダーとトマホーク巡航ミサイルを含む多様な兵器を備えた日本の将来のASEV2隻は、10年以内に重要なミサイル防衛と長距離攻撃の双方を提供することになりそうだ。


Radar For Japan's New Missile Defense Ships Passes Critical Space Object Tracking Test

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED APR 2, 2024 2:12 PM EDT



2022年9月9日金曜日

日本が建造する大型イージス防衛艦に興味津々。どんな艦になるのか。帝国海軍の軍艦金剛との意外な共通点とは。

 

Japan Ministry of Defense/KAZUHIRO NOGI/AFP via Getty Images

日本の弾道ミサイル防衛能力は、イージス・アショア・システムではなく2隻の新型艦建造で抜本的に見直される

 

衛省は、陸上イージスシステム導入としてきたこれまでの提案の代替と、巨大な新型艦艇2隻を建造する計画について詳細情報を提供した。まだ名前のないミサイル防衛艦は、標準排水量が約2万トンで、現在のイージス駆逐艦まや型の2倍以上となる見込みで、第二次世界大戦以来、日本最大の水上戦闘艦となる。

2023年度の予算要求の中で、防衛省は新型艦2隻の調達案を示している。日本メディアによる未確認報道では、2隻には71億ドルの価格が付くとされており、イージス・アショア・システム二箇所の43億ドルをかなり上回っている。日本の防衛予算は近年着実に増加しており、軍事に対する重要性の高まりと、北朝鮮と中国から発せられる脅威が急速に発展していることを反映している。

 

北朝鮮のミサイル発射を受け、日本と朝鮮半島の地図を表示したテレビ画面の前を歩く歩行者(2017年11月29日、東京都内で)KAZUHIRO NOGI/AFP via Getty Images

浜田靖一防衛大臣は、ミサイル防衛を担う2隻の大型新型艦を導入することで、既存のイージス駆逐艦は他の重要任務、特に中国の潜在的な海上侵攻に対する防衛に集中できると述べた。

現在、海上自衛隊のイージス艦は、「まや」級2隻、「あたご」級2隻、「こんごう」級4隻で構成されている。最新のまや級は、あたご級の派生型で、こんごう型は米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦の日本での派生型だ。

日本経済新聞記事によると、新型艦は全長約690フィート、幅約130フィートと予想されている。これは、海上自衛隊の最新イージス駆逐艦「まや」級の全長557フィート強、幅73フィートより一層大きくなる。まや級の標準排水量は約10,250トン。

主力イージス艦まや  Japan Ministry of Defense

これまでの報道では、新型艦の大きさは「まや」級にかなり近く、標準的な排水量は9,000トン程度とされていた。そのため、まや級の改造版が建造されるのではないかとの憶測もあった。

新型ミサイル防衛艦の大きさは、現在、海上自衛隊最大の艦艇いずも級ヘリコプタ駆逐艦の全長814フィート弱、幅125フィート前後、空積19800トン、全備27000トンに匹敵するものとなる。

興味深いことに、提案にある新型艦は、第二次世界大戦時の金剛型戦艦と寸法がほぼ同じで、金剛型は全長720フィート6インチ、幅108フィート7インチ、排水量28000トンであった。この数字には相当量の装甲防御が含まれている。

1913年建造の巡洋戦艦金剛は、1929年から31年にかけ改装され、この姿になった。1945年7月まで使用された。 U.S. Naval Historical Center Photograph

これまで発表の数値はあくまで計画案であり、変更される可能性があることにも注意が必要だ。

いずれにせよ、新型艦は米国のミサイル防衛シールドの重要なノードとなるため、その調達は日本だけでなく米国にとっても優先事項となる。

浜田大臣は新型艦について「5年以内に防衛力を抜本的に強化するための極めて重要な取り組みだと考えている」と述べ、開発プロセスを加速させていることを明らかにした。現在の計画では、新型艦の1番艦は2027年後半に就役し、2番艦は2028年後半に就役する予定だ。

しかし、全体として、新型艦の姿は現段階では不明である。日本のメディアは以前、新型艦を「超巨大駆逐艦」と表現したが、最近では、海上自衛隊の現在のイージス艦の設計を踏襲しないのではとの憶測も出ている。

レーダー性能を最大限に発揮するため重要となる安定性を高める双胴船や多胴船をベースにした構想もある。さらに過激な案として、ミサイル防衛アーキテクチャを無動力はしけに搭載することも考えられていた。

現在は単胴型が使用されるようだが、最終的なデザインは、約130フィートという比較的大きな全幅が示すように、従来型駆逐艦や巡洋艦との共通点は多くないかもしれない。いずも型ヘリコプター駆逐艦や少しこぶりのひゅうが型の船体を大きくした案が選択肢になるかもしれない。

浜田防衛大臣は、新型艦の必要性として、北朝鮮の弾道ミサイル兵器が拡大し、能力が向上している点を指摘した。北朝鮮は現在、弾道ミサイルを大量発射できるだけでなく、道路や鉄道を利用した移動式弾道ミサイルの開発により、予想外の発射地点から発射する可能性が高まっている。北朝鮮は潜水艦発射型の新型弾道ミサイルの開発も精力的に行っている。その一方で、性能と飛行プロファイルは迎撃を難しくしている。新型艦には、北朝鮮のミサイル(あるいは他の敵対国が発射したミサイル)を高高度で迎撃する能力が期待される。

弾道ミサイルに加え、浜田大臣は、新型艦は極超音速滑空兵器(中国とロシアが実用化しており、北朝鮮も開発を進めている)の迎撃装備にもなると語った。日本経済新聞によると、極超音速滑空兵器に対抗する能力は「後から追加する」とあるが、それ以外の詳細は明らかにされていない。一般に、マッハ5以上で飛行する極超音速ミサイルへの迎撃ミサイルの実用化は大きな挑戦だ。

新型艦ではその他の主な特徴としては、乗組員数が110人と、まや級駆逐艦の約300人に対し少なくなる。

海上自衛隊の人員問題は、以前から指摘されていた。イージス・アショアを選択した当初の理由のひとつに、艦艇勤務できる海上自衛隊隊員が限られていることへの懸念があった。この問題は非常に重要で、海上自衛隊は現在、人員不足に対応するため、フリゲート艦サイズの多任務型「駆逐艦」「もがみ」級を導入している。

小型マルチミッション型「駆逐艦」新クラスの主力艦もがみ Japan Ministry of Defense

自動化が進み、戦闘任務が防空やミサイル防衛に限定されるなどの要因も乗組員数を減らすのに役立つ可能性がある。

同時に、乗組員の居住空間は充実する可能性が高く、日本本土周辺での長期配備に適したものになる。

新型艦は現在就役中とイージス艦とは似た外観とならなくても、特に弾道ミサイル防衛任務の大部分を担うことになると、防衛省は確認している。

したがって、2隻の新型艦の目玉は、弾道ミサイル防衛用のロッキード・マーチン製AN/SPY-7長距離識別レーダーであることは確かだ。このレーダーは、もともと日本のイージス・アショアシステムに使用される予定だったものと同じだ。

イージス・アショアシステムは、技術的な問題、コストの上昇、国内の批判を理由に、2020年に中断された。後者には、迎撃ミサイルの破片が日本に着弾し、損害や負傷を引き起こす懸念があり、また、イージス・アショアシステムの強力なレーダーが出す放射線が健康に与える影響でも、国民が大きく懸念していた。

ハワイ州カウアイ島にあるイージス・アショアミサイル防衛実験施設にあるメインコントロールセンター。日本のイージス・アショア施設も同様の設計になると予想されるが、レーダーはここで見られるAN/SPY-1の代わりにAN/SPY-7が搭載されている。 KYODO VIA AP IMAGES

搭載するミサイルはSM-3 MkIIA迎撃ミサイルで、現在配備されているSM-3よりも交戦範囲が広く、より幅広いミサイルの脅威に対処できる。同ミサイルを開発した日米コンソーシアムについては、過去に何度か取り上げている。

また、SPY-7の艦艇搭載を決定したのは日本が初めてではない。ロッキード・マーチンはすでに、BAEシステムズの26型フリゲートから派生した将来のカナダ水上戦闘艦や、スペインが計画中のF110級フリゲートに搭載するため同レーダーを供給している。これらの設計は、日本が提案するミサイル防衛艦よりも相当小型だ。しかし、SPY-7は拡張性の高いレーダーであり、弾道ミサイル防衛に特化した設備であれば、大型化も可能だ。

それでも、日本がここまで異例の解決策を選んだのは、少なくとも部分的にコストが理由である可能性がある。日本は、ミサイル防衛で特殊用途艦や海上プラットフォームを研究し、大型駆逐艦に代わる安価な選択肢を検討していた。ハンティントン・インガルスが、既存のサンアントニオ級ドック船型をベースに構想した米国の弾道ミサイル防衛艦(BMD Ship)も同様の発想だった。これは、既存のアーレイ・バーク級誘導弾駆逐艦を大幅に上回るミサイル防衛プラットフォームを提供するのが目的だった。

洋上プラットフォームや、水陸両用強襲揚陸艦の船体を流用したミサイル防衛艦は、対艦ミサイルや潜水艦からの攻撃に弱い欠点がある。また、ミサイル防衛の任務が重視されているため、船体にどのような防衛手段や武器が搭載されるかは不明である。そのため、駆逐艦や潜水艦の護衛が必要となる可能性がある。

しかし、ミサイル防衛艦が汎用プラットフォームになる可能性や、少なくとも北朝鮮のミサイル発射台に対する長距離巡航ミサイル攻撃などの反撃能力を持つ艦になる可能性を示唆する声もある。先月、日本メディアは、12式地対艦ミサイルのアップグレード版で「反撃能力」の追加を検討している可能性を報道した。この射程距離は600マイル以上になる可能性がある。

陸上自衛隊のランチャーから発射される12式地対地ミサイル JGSDF

日本のミサイル防衛艦計画からどんな艦艇が誕生するかは興味深い。ミサイル防衛艦が配備されれば、弾道ミサイルが拡散中のこの地域で、米国と日本の利益を守るミサイル防衛の盾として重要な役割を果たすことが期待される。■

 

Japan Plans Giant Missile Defense Ships, Its Largest Post-WWII Surface Combatantss

BYTHOMAS NEWDICKSEP 8, 2022 5:21 PM

THE WAR ZONE