2025年11月5日、三亜での就役式典における空母福建。背景には空母山東と075型強襲揚陸艦。画像:中国国営メディア
中国海軍(PLAN)は11月5日、空母3番艦「福建」(18)の正式就役を宣言した。最高指揮官習近平主席含む高官が、海南島にある三亜海軍基地で行われた式典に出席した
就役式典は、上海で建造が確認され約8年に及ぶ同艦建造で頂点となった。新型艦の最初のモジュールは2018年初頭に江南造船所に現れた。同造船所は2022年6月17日に空母を進水させた。海上公試は2024年5月1日に開始された。その後、中国海軍最大の艦艇は8回の海上公試を実施し、今年9月に三亜へ到着した。
就役式典は、台湾と対峙する中国南東部の省名に因んで命名された同艦が、中国人民解放軍南部戦区(STC)隷下で運用される。式典には空母山東、075型強襲揚陸艦(おそらく同型4番艦)や多数の戦闘艦艇も加わった。
「003型」と呼ばれていた福建は、遼寧(16)と山東(17)に続く3番目の空母である。最初の2隻はそれぞれ2012年9月と2019年12月に就役した。福建はまた中国初の超大型空母であり、8万トンを超える空母だ。さらに福建は、中国海軍(PLAN)で初めて電磁カタパルトを装備した艦艇である。これにより中国海軍は米国に次いで電磁式カタパルトを搭載した空母を運用する世界第2の海軍となった。
この就役は、遼寧(旧ソ連空母ヴァリャーグ)が大連の乾ドックに曳航されてから20年目の節目でもある。
新空母の運用開始までにはさらなる作業が必要
就役は福建が正式にPLANで運用を開始する節目である。しかし、この出来事は試験や海上公試の終了を意味するものではない。空母は搭載航空機と、移動式航空基地の機能を支えるサブシステム多数からなる複雑な生態系だ。この最大級の軍艦の性質上、運用能力に至るまでのプロセスには時間を要する。
就役時の艦上に展開した航空団には、J-15T、J-35、KJ-600、Z-20など関連機種が全て含まれていた。Xソーシャルメディア経由、元は中国国営メディア。
中国は最初の2隻の空母で相当な運用経験を蓄積した。しかし福建はクズネツォフ型STOBAR空母から進化し、劇的な技術的向上を遂げている。そのためこの新型超空母は今後数年間、完全な運用能力達成に向け訓練を続けることになる。
今後の試験では、搭載された電磁式発着装置(EMALS)の利用頻度が次第に増加する。その他の側面としては、兵器や燃料供給などの支援システムの認証、運用手順の検証などが挙げられる。
新空母は新たな高性能航空団も導入
本誌は過去において中国の空母計画を詳細に報じてきた。また福建の運用特性についても関連情報を整理してきた。艦体自体に複数の新技術を導入するだけでなく、同空母は根本的に改良された航空団も運用する。
搭載される艦載航空戦力には、カタパルト対応のJ-15T多用途戦闘機、J-15DT電子戦機、次世代戦闘機J-35、そしてKJ-600空中早期警戒機が含まれる。三種類の機種の組み合わせは、前世代の二隻の空母遼寧と山東を大きく凌駕する能力上の飛躍を意味する。カタパルト発射の支援により、各機種は中国海軍の作戦行動範囲、搭載量、状況認識能力を飛躍的に向上させる。
加えて、回転翼航空部隊も大幅な近代化が進み、多用途型及び対潜戦型Z-20ヘリコプターがその顕著な例である。
航空戦力の多様化は、太平洋及び周辺海域への進出を拡大する中国海軍の野心を示している。初の大型空母である福建は、訓練艦としての重要な役割も担う。同艦は、これらの新型兵器システムを活用する中国海軍航空隊のさらなる成長と戦術熟成を可能にする。
次の空母は、時を待たずして登場する
中国の追加空母建造は「実現するか否か」ではなく「いつ実現するか」の問題だ。四号艦は、遼寧と山東の建造を完遂した大連の同名造船所で、表向きは建造中だ。
建造が非常に初期段階にあること、中国当局からの情報提供が乏しいことから、その存在を断定的に証明するものは未だない。福建の建造ペースを考慮すれば、仮称004型の正確な特性については2026年頃に情報が得られるだろう。
武漢にある陸上空母模型。おそらく第四号空母のアイランド配置を示している。同施設では以前、山東と福建の同様の模型も展示されていた。画像提供:Sinodefenceforum
大きな疑問点は推進方式で、原子力推進設計と推測されている。さらに004型は、リスク低減と迅速な開発のため、福建が依然採用するクズネツォフ型船体からより大きく離れる可能性が高い。ただし詳細な特性は、関連する仮説を裏付ける画像が追加されるまで完全な推測の域を出ない。
変貌を遂げた海軍力
福建が現役艦隊に編入された事実は、中国海軍が真の遠洋海軍へと変貌したことを強調している。同海軍は運用する空母の数と艦載航空戦力の運用能力の両面で、米国に次ぐ世界第2位の規模を誇る。この出来事は、PLANの20年にわたる急速な近代化における最も顕著な節目である。
しかしPLANの視点から見れば、この成果はより重大な変革の前兆に過ぎない。特に艦隊規模と関連する作戦行動範囲にさらに大きな変化が及ぶだろう。中華人民共和国が建国100周年を迎える2049年、つまり24年後にはPLANは変革の旅を完結させているかもしれない。■
アレックス・ラック
アレックス・ラックはフリーランスのライター兼アナリストであり、ドイツ軍の近代化、NATO、世界各国の海軍計画、特に中国海軍(PLAN)を専門とする。ドイツ出身で、現在はオーストラリアのブリスベンを拠点としている。
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Published on 07/11/2025
By Alex Luck