Fujian, China’s 3rd aircraft carrier. Image Credit: Creative Commons.
今週、中国は最新鋭の空母「003型」を進水させた。「福建」と命名された中国3番目の空母は、数年間の艤装工事を経て、2025年前後に戦力となる予定だ。福建は、ソビエト空母を改修した1号艦や、同じ基本設計をアップグレードして中国で建造した2号艦より大きい。003型はカタパルトを装備し(蒸気駆動ではなく電磁式と言われている)、艦首のスキージャンプで戦闘機を空へと舞い上がらせていた同型艦より重い航空機を扱える。
中国の造船業者と人民解放軍海軍(PLAN)は、空母航空において米海軍と同等に飛躍すると主張してきた。福建には米国の最新空母フォード級に搭載された技術があり、同様に電磁式発艦・回収システムを採用している。また、その規模は、航空機、乗組員、物資・弾薬を満載した場合、8万〜10万トン級と、アメリカの超大型空母に匹敵する。戦闘力だけでなく、国家のプライドを保つためにも、大きさは重要だ。結局のところ、中国はアジアと世界の中心という自称にふさわしく、最大かつ最も多くを持たなければならないのである。
一騎当千の重要性
福建のデビューは、作戦上、戦略上、どのような意味を持つのか。中国の空母、戦術機、艦艇が、米国や同盟国の空母に技術的な面でやや及ばないことに変わりはない。情報専門家が敵対する軍隊の能力を把握するため綿密に調査している機密事項の外で、確かなことを言うのは難しい。しかし、不気味なタイプであっても、物事を正しく理解できる保証はない。平時の兵器システムはブラックボックスだ。ハイテクプラットフォームや兵器、センサーの外観をチェックできても、内部を覗き込み作動原理は確認できない。そのため、平時の航行や作戦、演習でのパフォーマンスを監視することで、能力を推測することになる。
つまり、003型が戦闘でどの程度の能力を発揮するのか、大まかな目安を知るには時間がかかるということだ。福建を中心とした空母機動部隊が実戦でどのように、どの程度機能するかを知るには、PLA海軍自身がフラットトップ、航空団、護衛艦、支援艦を海上に連れ出さなければならない。戦闘艦は、他の工学システム同様に、仮説であり、工学に転写されたアイデアであり、実世界に送り出され、何がうまくいき、何がうまくいかないかを冷静に判断すべきものだ。その他仮説と同様に、中国の新型空母も実地試験で真価を見極めなければならない。
成功は決して予見できない。
フォード級空母、ズムワルト級駆逐艦、フリーダム級およびインディペンデンス級沿岸戦闘艦など、新型プラットフォームに新技術を多くの盛り込むとトラブルを招くというのが、過去20年間の米国海軍が得た厳しい教訓だ。中国の建造部門もこの論理から外れることはない。中国の厳しい報道統制のため、彼らの苦労が表沙汰にならないこともあるが。
技術的な問題はさておき、「福建」は運用開始後、中国海軍にとって重要なマイルストーンになる。空母3隻を保有することで、中国海軍が常に1隻の空母を海上展開するか、または待機することになる。米海軍は、一隻を外国に駐留させるため、何隻の米軍艦艇を維持しなければならないかを予測するため、「駐留経費倍率」という厄介なラベルを使用している。この比率は、訓練、維持管理、大規模オーバーホールのリズムを考慮している。西海岸が拠点の空母が西太平洋に1隻駐留するため、約6隻という途方もない数字となる。しかし、前方展開する空母の場合、1.5になる。つまり、例えば横須賀に空母2隻を配備すれば、1隻は常にパトロールに従事し、米本土が母港の艦艇の助けは必要ない。これなら、はるかに管理しやすい数字だ。現状では、海軍は横須賀母港の部隊を本国よりの部隊で補い、プレゼンスを常に維持するようにしている。
アメリカの基準から判断すると、中国海軍は、最初の空母001型遼寧をフルタイムの訓練任務にはりつけ、002型山東と003型福建で海上パトロールを交代させる余裕が生まれるだろう。中国共産党が最重要視する中国近隣海域に艦隊を「前方展開」する限り、このサイクルを維持できる。そこが最も可能性の高い戦場となる。もし、中国海軍が空母群を定期的に遠洋派遣するようになれば、駐留倍率の厳しさに直面することになる。そうなれば、中国共産党は、米海軍が世界各地で享受しているのと同じ特権を外国拠点で求めることになりかねない
個人的には、福建が西太平洋でゲームチェンジャーになるとは思わない。潜在的な敵に占領された第一列島線という地政学的な課題に直面しているからだ。中国がこの連鎖を断ち切ることができない限り、海洋における中国の展望は限られたものにとどまる。ただし、第一列島線内で、福建機動部隊が何ができるかを考えてみてほしい。新たな能力が新たな戦略的展望を開く。例えば、北京はピカピカの新型空母を自国近海に留めておき、能力の劣る山東を遠征空母として、遠隔地に母港を置くこともできる。あるいは、中国共産党はすでに中国周辺を管理するのに十分な火力を持っているという論理で、福建を遠征空母にすることもできるだろう。
その他
遠征任務部隊はどこに拠点を置くのだろうか。最近、カンボジアと中国が、南シナ海の南部に隣接するカンボジアのリーム海軍基地を改良中というニュースが流れた。カンボジア政府関係者は中国艦船の受け入れを強く否定しているが、これはプノンペン側の単なる前フリかもしれない。タイ湾を拠点とする空母群が中国の海軍司令官に何をもたらすか考えてみてほしい。また、中国海軍の艦船に補給基地ができれば、南シナ海での北京の戦略的地位の向上にもつながる。
要するに、中国の新型空母の出現とカンボジアにおける基地建設を、米国同盟国の情報アナリストが注意深く観察する必要がある。プノンペンや北京の言葉は無視して、真意を見極める必要がある。一つ重要な指標は、リームで行われている浚渫(しゅんせつ)、支援インフラ、その他の改善の度合いだ。整備された施設に喫水の深い軍艦を収容できるかが、アナリストの最大の関心事のはずだ。
大規模港湾施設が整備されれば要注意だ。■
Fujian: China’s New Aircraft Carrier Is Important — But No Game-Changer
A 1945 Contributing Editor, Dr. James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.” The views voiced here are his alone. Holmes also blogs at the Naval Diplomat.
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