スキップしてメイン コンテンツに移動

Know Your Enemy 「一つの中国」は大嘘だ。台湾問題をCCPの論理で考えるべきではないことに世界が気づきつつある

Know Your Eenmy番外編: CCPが一番触れてほしくないのが「一つの中国」原則です。世界がその虚構に気づきつつある一方で、宥和的態度を取る勢力が今でも中国の代弁をしているのはなぜでしょう。

 

 

The Economist

 

月初め、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官はワシントンのシンクタンクで講演し、中国を安心させようと、台湾に関するジョー・バイデン大統領の即興発言が生んだ混乱を収拾しようと、アメリカの「一つの中国」政策を繰り返した。そうすべきではなかった。




選挙で選ばれたわけでもないスタッフが現職大統領発言を訂正するという見苦しさはさておき、この行為は外国人の間で、バイデンは老人で政権を統率できていないという見方を強めるだけだ。現実には、「一つの中国」という概念は、中国共産党委員長の毛沢東と、国家安全保障補佐官として北京とのデタントを仲介したヘンリー・キッシンジャーの野心から生まれたものだ。

 

サリバンが生まれる4年前、リチャード・ニクソン大統領は上海コミュニケで「一つの中国」構想を容認した。しかし、ニクソンの合意は、北京が主張するような明確なものではなかった。ニクソンは、毛沢東の「中華人民共和国政府は中国の唯一の合法的政府であり、台湾は中国の省である」という発言を明確に支持するのではなく、「米国政府はその立場に異議を唱えない」とし、代わりに「中国自身による台湾問題の平和的解決に関心を持つことを再確認する」と述べていた。

 

台湾が中国の一部だったことはない

率直に言って、この譲歩でもやりすぎだった。アメリカン・エンタープライズ研究所は『Defending Taiwan 』を刊行した。ジゼル・ドネリー、マイケル・ベックリー、ザック・クーパー、アリソン・シュワルツ、ハル・ブランズ、シーナ・チェスナッツ・グレイテン、クロン・キッチン、マッケンジー・イーグレン、ポール・ウォフォウィッツらが寄稿している。筆者も、「台湾は本当に中国の一部だったのか」を深く掘り下げる論考を寄稿した。答えは簡単だ。そうではない。

 

歴史的にも法的にも、「一つの中国」は虚偽である。

 

歴史は重要だ。1894年、日本が清朝の支配から台湾を奪って以来、台湾は中国本土の支配下にはない。別の言い方をすれば、台湾の統治について中国は前世紀半ばまでアジアやアフリカを支配していたヨーロッパの植民地勢力よりも、発言力は弱かったのである。

 

しかし、中国本土が主張する台湾の歴史的所有権はさらに希薄である。清朝は理論的には日本が侵略する前の2世紀にわたって台湾を支配していたが、完全に支配を確立できなかった。数年おきに台湾は反乱を起こした。清朝は名目上、台湾を統治していたが、台湾の原住民や大陸からの移民は事実上の自治権を持っていた。しかし、皮肉なことに、清は漢民族に支配されなかった2番目の王朝である。実際、漢民族は長い間、清を外部侵入者だと主張してきた。事実、中国の民族主義者は、何世紀にもわたり清の「中国人らしさ」を否定してきたにもかかわらず、清の支配を引き合いに出したのだ。さらに、清の支配以前の数世紀には、オランダ人とポルトガル人がこの島を、少なくともアクセス可能な海岸を支配していた。ポルトガル人は台湾を「Isla Formosa(美しい島)」と呼んだが、「台湾」という名称の由来については、中国人が支配していたとは考えにくい「東夷」という中国語が変化したものから、中国人入植者を指す原住民の「外国人」という意味の言葉まで様々な説がある。

 

中国本土の法的主張も同様に微妙である。

 

 

法的神話にすぎない

台湾に関する北京の法的主張の多くは、1943年のカイロ会議が出発点だ。1928年から1975年にかけて中華民国を率い、1949年の毛沢東の勝利後に台湾に亡命した蒋介石は、会議の共同声明に署名し、「満州、台湾、ペスカドール(澎湖諸島)など日本が中国から奪った領土はすべて中華民国に返還する」と宣言している。

 

中国当局者は、北京の「一つの中国」解釈は国連が受け入れていると主張する。故コフィ・アナン国連事務総長は「一つの中国」政策を受け入れたが、国連憲章で彼にそのような権限を与えていない。それは国際条約の領域である。日本との講和を確定した1951年のサンフランシスコ条約は、「日本は、フォルモサ及びペスカドールに対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」と定めている。しかし、この条約は主権を他の国家に移譲していない。このため、中国共産党当局は、サンフランシスコ条約がカイロ宣言に取って代わったにもかかわらず、カイロ宣言を根拠として今も議論している。

 

1936年、毛沢東はジャーナリストで作家のエドガー・スノーのインタビューで、台湾を中国とは別のものとして扱っていた。

 

毛沢東は「万里の長城の下の主権を守るだけでなく、失われた領土をすべて取り戻すことが中国の当面の課題である」と述べた。「しかし、われわれが中国の失われた領土の独立を再び確立し、朝鮮人が日本帝国主義の鎖から脱却することを望むならば、われわれは彼らの独立のための闘争に熱烈な援助を与えるだろう。台湾も同様である」。

 

周恩来首相との最初の会談で、キッシンジャーは宥和的な態度を示した。「もし朝鮮戦争がなかったら......台湾は今日、おそらく中国の一部になっているだろう」と言った。キッシンジャーは歴史上の仮定として恩を着せたかったのだろうが、歴史は共産中国に味方していない。半世紀を経て、サリバンが、繰り返された嘘を喜んで受け入れているように見え、共産党当局がでっち上げた物語を嘘だと訴えていないのは悲劇である。■

 

The One China Policy Is a Lie - 19FortyFive

ByMichael Rubin

 

Expert Biography – Now a 1945 Contributing Editor, Dr. Michael Rubin is a Senior Fellow at the American Enterprise Institute (AEI). Dr. Rubin is the author, coauthor, and coeditor of several books exploring diplomacy, Iranian history, Arab culture, Kurdish studies, and Shi’ite politics, including “Seven Pillars: What Really Causes Instability in the Middle East?” (AEI Press, 2019); “Kurdistan Rising” (AEI Press, 2016); “Dancing with the Devil: The Perils of Engaging Rogue Regimes” (Encounter Books, 2014); and “Eternal Iran: Continuity and Chaos” (Palgrave, 2005).

In this article:China, featured, One China, One China Policy, Taiwan


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...