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西側のISRフライトに神経を尖らす中国。カナダ、オーストラリア両国機に露骨ないやがらせ。米空軍はRC-135Uを中国南部沿岸に投入。

 

A US Air Force RC-135U Combat Sent electronic intelligence aircraft photographed at Kadena Air Base on the Japanese Island of Okinawa in 2009.

Toshi Aoki / JP Spotters via Wikimedia

 

戦略性の高い海南島含む中国南方沿岸地方には、防空資産がひしめいている。

 

 

空軍のRC-135Uコンバットセント電子情報機がこの24時間、南シナ海の北端に接する中国南部海岸線の大部分に沿う飛行を行っていた。今回の飛行は、南シナ海地域や太平洋の他の場所で、国際水域を飛行する外国の偵察機や監視機に対する中国戦闘機の嫌がらせが最近増加しているとの報告を受けてのものだ。オーストラリア空軍のP-8Aポセイドン海上哨戒機が中国のJ-16戦闘機から非常に危険な妨害を受けたことが含まれる。

 シリアルナンバー64-14849のRC-135Uは、オンライン飛行追跡データによると、6月6日に海南島周辺とトンキン湾を含む中国南岸地域付近を飛行した。海南島は人民解放軍海軍(PLAN)の主要拠点であり、弾道ミサイル潜水艦すべての母港としての潜水艦基地など、高度な戦略性を有する玉林海軍基地Yulin Naval Baseがある。

 このルートは、2001年に人民解放軍のJ-8戦闘機と衝突した際に、同じく電子情報収集プラットフォームである米海軍のEP-3E Aries IIが飛行したルートと類似している。

 機体は、2機しかないRC-135Uの1機で、6月3日も同様に中国の中部北部の海岸線に接近する飛行を行った。いずれも沖縄の嘉手納基地から出撃した。

 これらの出撃の正確な目的は定かでない。空軍のRC-135Uは、広範囲の信号その他の電子情報を収集する高度に専門的な機体だ。同様の能力を持つRC-135V/Wリベットジョイントと異なり、RC-135Uは主に国家レベルの技術電子情報(TechELINT)要件の支援に使用される。

 

 

RC-135Uの内部を説明する米空軍資料 USAF

2017年ブリーフィング資料にあるRC-135U搭乗員の役割 USAF

 「技術的なELINTは...レーダー、ビーコン、ジャマー、航法信号のような発信源の信号構造、放出特性、動作モード、発信機能、兵器システムの関連性を記述する」と国家安全保障局の公表資料は述べている。「技術的ELINTの主な目的は、航空機を探知する地上レーダーなど、大きなシステムにおいてエミッタが果たす能力や役割を定義できる信号パラメータを取得し、レーダー探知、対策、または対兵器装置の設計につなげることである。対策の運用を含む全体的なプロセスは、電子戦の一部となる」。

 レーダー等の信号発信機の位置を特定し分類することは、敵対国や潜在的な敵勢力の防空能力に関し正確な「電子戦闘命令」を作成するため不可欠だ。また、RC-135Uは、情報データを機内で処理し、ほぼリアルタイムで情報を送信できるため、有事シナリオにおける戦術レベルの作戦支援や、各種試験・評価のために配備されることもある。

 

 

RC-135Uミッションの説明資料。2017年時点。USAF

 

 

 RC-135Uの機数がもともと少ない中で、太平洋でのコンバットセントの飛行は定期的に行われている。過去には、空軍は東シナ海と南シナ海の一部をカバーする出動に、ダイヤモンド・セントとサファイア・セントというニックネームを適用していた。

2010年実施のRC-135Uコンバットセントによる太平洋でのミッション実績が機密解除となった。 USAF via FOIA

 

 昨年6月には、コンバットセント64-14849が中国南東部の海岸線に沿い非常に類似した任務を遂行し、2001年の事件におけるEP-3Eのルートと比較されることもあった。

 中国の海岸線、特に海南の玉林海軍基地周辺には、RC-135Uのような航空機が関心を持ちそうなレーダーやその他の信号発信機が多数あることは確かだ。その他米軍の情報・監視・偵察(ISR)機では、少なくとも1機の米海軍P-8Aポセイドン海上哨戒機に極秘レーダーポッドが搭載され、過去に同様のルートを飛行しているのを追跡されていた。

 このルートは、南方のウッディ島やパラセル諸島の各種中国装備のデータを収集する機会をRC-135Uに与えた可能性もある。中国共産党は近年、南シナ海での能力と存在感を高めるため、ウッディ島やパラセル諸島で施設を積極的に拡大している。同地域には、以前は人が住めなかった浅瀬や岩礁を利用して作られた要塞のような人工的な前哨基地が点在している。北京政府は同海域のほぼ全域を自国領土と主張しているが、国際社会の大多数はこれに異議を申し立てている。

 

 

中国南方部に展開する中国軍事施設の所在を示す地図。2021年1月時点。DOD

 

 

 昨日、北京大学を通じて、飛行船舶追跡を行うSCS Probing Initiativeのツイートでは、RC-135Uが海岸に最近接近したことにより、国内深部の目標に関するデータを収集できたと推測している。

 RC-135Uの最近の出撃のタイミングは、日常的かどうかは別として、いくつかの理由から注目される。

 

 

RC-135U USAF

 

 

 今週末、オーストラリア政府は、5月に南シナ海上空を飛行中のオーストラリア空軍のP-8Aを中国空軍のJ-16戦闘機が迎撃したことについて、危険な状況であったとする声明を発表した。中国戦闘機はオーストラリア機の進路を横切り、照明弾とチャフを発射し、その過程で損害を与えたと報告されている。

 先週、カナダ当局は、今年4月から5月にかけて、カナダ空軍のCP-140オーロラ海上哨戒機が中国戦闘機から危険な迎撃を受けた一連の事例の詳細を公表した。カナダ軍機は、北朝鮮の国連制裁の遵守状況を監視する任務を支援するため、北方へ飛行していた。

 中国が外国のISRやその他の航空機、特に紛争が絶えない南シナ海の国際水域上空を飛行する航空機に嫌がらせをしているという報告は、目新しいものではない。

 RC-135Uの中国沿岸への出現は、先週行われた台湾を狙ったPLAの大規模な武力行使に続いた。5月30日、台湾の防空識別圏(ADIZ)の南西端に、22機の各種戦闘機含む、空中早期警戒管制機、電子戦機、対潜機、ISR機など中国軍機計30機が飛来した。これは、1月23日に39機の中国軍機が台湾のADIZに出撃して以来、最大の出撃回数となった。

 中国政府は近年、国際空域である台湾ADIZに大量の軍用機を送り込んでいる。大規模な飛行は通常、北京政府が反対する台北当局や国際パートナー(特に米国)の行為に対応するため行われる。5月30日の出撃は、ジョー・バイデン米大統領が「米国は大陸当局による台湾の武力奪取のいかなる試みに対しても防衛する」と発言し、中国政府から猛反発を受け、米政府高官が撤回した数日後に行われた。

 米軍関係者や米情報機関のメンバーは近年、中国共産党が少なくとも2027年までに台湾への軍事介入を成功させるため努力していると考えていると発言している。また、米国当局は、必ずしも北京政府がその時期に作戦を急いで開始することを意味するとは考えていないとも述べている。一方、ロシアのウクライナ侵攻に対する国際的な対応から、中国当局が何を汲み取っているのかという議論も盛んに行われている。北京政府は、ロシアの侵略行為に対する制裁措置を批判しているが、そのため、モスクワに対して限定的なことしか言っていないように見える。

 しかし、今回のRC-135U 64-14849の南シナ海における中国沿岸飛行や、以前の北方での飛行は、中国のレーダーや統合防空システムに関する最新かつ詳細な情報を入手することに米軍が明確な関心を持っていることを示している。■

 

US RC-135U Spy Plane Just Surveilled China's Strategic Southern Coast

 

BYJOSEPH TREVITHICKJUN 6, 2022 6:21 PM

THE WAR ZONE



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