スキップしてメイン コンテンツに移動

台湾が巡航ミサイルを整備。わずか20発で最も高い抑止効果を狙うには苦労するはず。

 Taiwan

Missile Launcher in Taiwan. Image: Creative Commons.

 

のために?軍人とその政治的主人が自問自答すべき永遠の疑問だ。台湾の場合、武器の政治的使用に再確認の必要がありそうだ。

 The War ZoneのEmma Helfrichによると、台湾の立法院長である游錫堃You Si Kunは今月初め、国産超音速巡航ミサイル「雲峰Yun Feng」を宣伝する演説を行ったという。同ミサイルの長距離型は北京攻撃が可能であり、「台湾は北京を攻撃する能力を有している」と述べたという。

 その狙いは何か。

 北京を威嚇することで、習近平の侵略を抑止したり、PLAを打ち負かすのに役立つのかは疑問だ。国際関係専門家は、ある国が敵対国を抑止しようとする場合、一般的に方法が2つあるという。1つは、武力行使では思い通りにならないと相手の指導者に思わせること。これはIR用語でいうところの「否定による抑止」だ。もう一つは、抑止する側が、侵略への報復は、重大なコストをもたらすと敵対国指導者を説得することである。これは「罰による抑止」だ。どちらの抑止方法も、合理的な敵対者が、その目的が絶望的であったり、経済的な余裕がなければ、身を引くのを前提とする。

 いずれにせよ、抑止力には十分な能力(この場合は精密兵装)を備えることを要求する。侵略者の目的を前もって否定し、あるいは事後的に耐え難い懲罰を与える能力を蓄えなければならない。台湾の防衛産業は「雲峰」を「大量生産」すると言っているが、トラック搭載ランチャー10台に搭載されたミサイル合計20発を運用することを意味しているようだ。いくら「雲峰」の精度と破壊力が高いとはいえ、20発では北京のような巨大都市、ましてや大陸的な規模を持ち、軍事インフラが分散している中国に対しては、大した射撃量にならない。

 そうなると新型ミサイルにはもっと有効な使い道があるはずだ。中国人民解放軍は、台湾を支配下に置くため、海峡両岸侵攻を成功させなければならない。そのため、台湾の軍隊を敗北させなければならない。中国の首都への報復攻撃は、習近平の目的を否定するものでも、台湾征服には反撃による被害を吸収する価値がないと中国の専制君主に思わせるものでもない。習近平は、台湾島に中国の主権を押し付けると、声高に、何度も公約している。習近平は個人の威信と国家の威厳を賭けている。20発のミサイルが首都を襲うかもしれないからと言って、手を緩めることはないだろう。

 むしろ習近平は、こうした攻撃を、中国国民の士気を高める機会として歓迎するかもしれない。怒った民衆は好戦的になるからだ。

 さて、游錫堃発言には有益なテーマがある。両岸の戦争では、海洋地理学が台湾に有利に働くと指摘している。確かにその通りだ。中国共産党が勝利するためには、大規模な遠征軍を台湾海峡に送り込み、禁断の軍事作戦である揚陸作戦を行い、中国共産党の支配を歓迎しない2300万人が住む岩だらけの島を横断して戦う必要がある。どれも簡単なことではない。実際、台湾上陸は、1944年にナチス占領下のノルマンディーに上陸するのとほぼ同じ規模と困難さであると、専門家は指摘している。

 これこそ、台湾を守る側が中国側に植え付けるべきイメージである。

 もし台北が習近平を躊躇させたいのであれば、両岸の攻防が絶望的でないにしても、困難にする能力を蓄積する必要がある。そのためには、兵器の獲得、戦術、戦略など、あらゆる面で重要目標を掲げ、「拒否」による抑止を行わなければならない。もし台湾の司令官が「雲峰」による攻撃を有効活用したいのなら、大陸の都市を攻撃するような軽薄な行為で貴重なミサイルを浪費するより、PLAの侵略艦隊を支える港湾インフラ(埠頭、燃料施設、弾薬供給など)を狙う方がはるかにましだ。あるいは、襲撃の事前警告があれば、台湾の守備側は水陸両用輸送船が係留され静止している間に狙える。

 海上に出れない船は、上陸地点に兵員を送り込めない。

 とはいえ、上記は台北の軍事的思考を反映したものでないのを祈るばかりだ。台湾は中国に対して弱者で、台湾が勝つためには、あらゆる軍事資源を大切にしなければならない。雲峰ミサイル数発を北京に打ち込んでも、中国軍の猛攻を抑止することも、打ち負かすこともできない。雲峰ミサイルで侵略艦隊を打ちのめすことができれば、その両方が可能になる。■

 

 

Attack Beijing or an Invasion Fleet? How Taiwan Should Use Its Cruise Missiles - 19FortyFive

 

ByJames Holmes

 

A 1945 Contributing Editor, Dr. James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.” The views voiced here are his alone. Holmes also blogs at the Naval Diplomat


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ