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歴史に残らなかった機体 B-58ハスラーの不幸な生涯、偵察機としても花を咲かせなかった超音速高高度飛行を狙ったコンベアの失敗作

  U.S. Air Force 米空軍は、マッハ2対応のB-58ハスラー爆撃機を偵察機に転用しようと試みたのだが...   コ ンベアB-58ハスラーは、冷戦時代に米戦略空軍で最も華々しい爆撃機として、今日も広く記憶されている。しかし、核爆弾だけでなく、デルタ翼のハスラーがスパイ機としても採用され、60年前の今月、ポッドに搭載されたレーダー偵察システムでキューバ危機のミッションにも飛行した。 B-58Aハスラー59-2442は、戦略航空軍で使用された後期の代表的な機種。ハスラーは様々な工夫を凝らしながらも、高速偵察機としてのポテンシャルを発揮することはなかった。 U.S. Air Force B-58は最高速度マッハ2.2、高度63,000フィート以上を誇り、戦略空軍の抑止力として核爆弾の自由落下投下を主な任務とし、偵察機としても最適な機体だった。また、「ミッション・ポッド」と呼ばれる、機体中心線上の格納庫に、武器、燃料、防御電子機器、センサーを様々な組み合わせで搭載できるモジュール性も有利な点だった。 YB-58Aハスラー55-0667に2分割のミッションポッドを試験搭載した。B-1-1と書かれた上段には武器と燃料が、B-2-1と書かれた下段に2つの燃料区画が収納され、空になった後に投下すると武器庫が露出し、攻撃時に使用する想定だった。 U.S. Air Force RB-58Aハスラー 58-1011は2種類のポッド構成で、ハンドリングトロリーに2分割のミッションポッドが搭載されているのが見える。 U.S. Air Force B-58の初飛行の7ヶ月前、1956年4月には早くもRB-58A偵察機用ペイロードが提案されていた。当時、RB-58は爆撃機と同様、高高度を無人飛行すると期待され、そのミッションポッドは当時としては著しく先進的なものだった。光学センサーの代わりにヒューズのAN/APQ-69サイドルッキング・エアボーン・レーダー(SLAR)が搭載されることになった。これは50フィートの巨大アンテナを使い、高周波で航空機の側方の地形をスキャンし、詳細な地上画像を提供するねらいだった。 ハスラー用のAN/APQ-69ポッドの研究は1956年9月に開始されたが、サイズが大きすぎ燃料搭載ができなくなり、航続距離が大幅に短縮されると判明した。同時に、このポッドは標

歴史に残らなかった機体 番外編 米空愚がこの戦闘機が正式採用されていたら歴史は変わっていた----消えた5機種を見る。

  F -35共用打撃戦闘機やF-22ラプターの背後に選定に漏れた競合各機があった。米政府は優秀な機体を選択したことはずだが、常に選定は正しかっのだろうか。 過去の選定に漏れた機体は国防総省が対象企業の言う通りの性能の実現を信じられなかった、機体性能がその時点で必要とされた水準に達していなかったため採択されなかった。 理由はいろいろだが、選定に漏れた各戦闘機は生産されなかった。だが、選定されていれば、卓越した、あるいは他に比類なき性能を発揮していたはずの機体がある。では、その5例を見てみよう。 第5位 F-16XL もっと優秀な F-16 F-16ファイティングファルコンは40年超にわたり、米空軍戦闘機部隊の中心だが、F-16供用開始の一年前、F-16をしのぐF-16XLが生まれていた。 同機は技術実証機の域を超えた高性能を発揮し、空軍の求める高性能戦術戦闘機としてF-15Eの有力な対抗策になっていた。 F-16XL (U.S. Air Force photo) だが製造コストと既存システムの利用という点でF-15Eに軍配が下り、同機は敗退したが、今でもF-16XLの優秀性を論じるものが多い。 主張には議論の余地があるが、F-16XLが実現していたら第四世代戦闘機として最高性能を発揮していたのだろうか。 第4位 A-12 Avenger II:米国初のステルス戦闘機になるはずだった (U.S. Navy) 1988年1月13日、マクダネルダグラス=ジェネラルダイナミクス合同チームにA-12アヴェンジャーIIの開発契約が交付された。同機はロッキードがSR-71派生型で武装型となるはずだったA-12とは別の機体だ。実現すればA-12は全翼機形状となり、ノースロップ・グラマンB-2スピリット、同社のB-21レイダー同様の形状ながらはるかに小型の機体となっていただろう。ただA-12アヴェンジャーIIは全翼機形状を採用したが、機体全容は当時開発中のB-2スピリットとは異なる姿だった。 Artist’s rendering of A-12 Avenger II A-12は鋭角三角形形状で、「空飛ぶドリトス」の愛称がついた。A-12開発は問題なく進展している観があったが、突然国防長官(のちの副大統領)ディック・チェイニーにより1991年1月に開発中止とされた。 第3位 YF-12

歴史に残らなかった機体24 ノースアメリカンF-108はマッハ3でソ連爆撃機迎撃を想定したのだが....

  歴史に残らなかった機体24  ノースアメリカンF-108レイピアは長距離ミサイル三発を回転式弾倉から発射しソ連爆撃機を狩る想定だった U.S. AIR FORCE     1 950年代に陽の目を見ることがなく終わった航空機事業は数多くあるが、中でも最も異彩を放ったのが ノースアメリカン XF-108レイピアであったことに異論はないだろう。全天候迎撃機としてマッハ3をジェネラルエレクトリックJ93アフターバーナー付きターボジェット二基で実現するはずだった。同エンジンはXB-70ヴァルキリー戦略爆撃機も搭載し、これもマッハ3飛行を想定する同社の製品だった。XF-108は外観以外に主要部品でもXB-70と共通性があったが、同機だけの特徴としては機内搭載の回転式ミサイルランチャーが一番の機構だった。   今日でこそ回転式兵装発射機構は戦略爆撃機で通常の装備となっているが、それまでこれを実用化した戦闘機は皆無だった。機内に兵器を搭載する工夫は確かにあったし、今日でも技術はさらに開発が進んでいるが、主眼は対地攻撃への応用であり、空対空戦は想定されていない。   U.S. AIR FORCE XF-108の決定設計仕様に基づく想像図   . 航空防衛軍団が一般運用要求(GOR)114として公示した1955年末からXF-108の作業は始まり、実寸大モックアップが空軍へ納入されたのは1959年1月だった。XF-108の回転式ランチャー取り付けを示す写真は明らかに個のモックアップのもので、ツイッターユーザー @clemente3000 がこの洗練された解決策を示している。レイピアは同年末に開発中止となった。 NATIONAL ARCHIVES XF-108モックアップにGAR-9を搭載した回転式ミサイル兵装庫が見られた     同機は長距離GAR-9ミサイル三本をT字形に搭載する想定で大型エンジンと空気取り入れ口の中間に装備するとしていた。兵装庫扉を開くとミサイルを回転させ順次発射させる。抗力を発生させるような扉の突出はない想定だった。   類似した発想ではマクダネルF-101Bヴードゥーがファルコン空対空ミサイル三本ずつを機体内外に搭載したがミサイルは露出したままだった。これに対し、XF-108では機外に露出するのは一本のみだ。 U.S. AIR FORCE     ソ連の原爆

歴史に残らなかった機体23 リバプリックF-103は米大陸に向かうソ連爆撃機を迎撃する、ラムジェット併用の超音速機になるはずだった....

  歴史に残らなかった機体23  リパブリックF-103はもはやミサイルといってよいソ連爆撃機迎撃用の直線番長になっていたはず.... 米 空軍がF-103を実際に配備していたら、超音速の無駄装備に終わっていたのは間違いない。 1954迎撃機の名称は同年の実戦配備を想定していたためで、空軍は提案9通を得てうち三案を初期開発に採択したのだが...   ICBMが出現する前の1950年代にはワシントンやモスクワへの核攻撃手段は高高度を飛行する爆撃機だった。   当時の米戦闘機はF-86セイバーを含め、対応には速力不足が顕著だった。そこで、1949年に米空軍は高高度超音速迎撃機の要求を公示し、高高度を飛ぶソ連の原爆爆撃機を爆弾投下前に排除する構想とした。   1954迎撃機と命名されたプロジェクトは同年の実戦化を想定し、空軍には提案が9社から届き、うち三案を選定し初期開発に回した。 コンヴェア からはその後F-102デルタダガーとなる構想、 ロッキード はその後F-104スターファイターとなった構想、 リパブリックエアクラフト はAP-57を提出し、これがXF-103となった。このうちXF-103が最も先端的な内容だった。リパブリックは時速2,600マイルつまり音速の三倍速を高度80千フィートで実現するとした。1950年代初期には亜音速F-86やMiG-15が時速数百マイルで朝鮮上空での空戦を繰り広げていたが、XF-103はロケットといったほうが適当な存在だった。   設計図面は巡航ミサイルのようだった。高速を稼ぐべくリパブリックは複合推進手段を考案した。ライトXJ-67ターボジェットで離陸し、通常の飛行時に使う想定だった。   ソ連のバジャー、ベア、バイソンの各爆撃機に向かうXF-103で加速が必要となればラムジェットを稼働させる構想だった。ラムジェットは基本的に機体前方から空気を取り入れ燃料を混合し、混合物を後部に排出する。比較的単純な構造だが効果を得るにはマッハ1以上の速力となっていることが必要で空気の圧縮率が高くないとラムジェットに効果が生まれないためだ。XF-103のターボジェットで十分な速力を確保してからラムジェットを始動するはずだった。   XF-103は長距離レーダー、GAR-3ファルコン赤外線またはレーダー誘導空対空ミサイル6本、さらに無誘導マイティマウ