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2018年2月2日金曜日

★フランスがC-130Jを導入した理由。また、ドイツとの共同運用構想の中身。A400Mはどうするのか。

軍の運用がいよいよ単独ではなく国の枠を超えた形になってきました。これができるのはヨーロッパだけなのでしょうか。そうは思えません。



New French C-130J Not A Blow To Europe’s A400M

フランスのC-130J導入はヨーロッパ大でのA400M導入に水を差すものではない


フランス向けC-130J-30一号機受領式
 

By MURIELLE DELAPORTE on January 31, 2018 at 6:05 PM


編集人より フランス軍やNATOはじめヨーロッパの防衛問題全般をムリエル・デラポルテが記事にしてくれることになった。デラポルテはフランスの戦略や装備導入に詳しく、ワシントンとパリを往復しながらフランス語防衛専門誌Opérationnelsで編集長をしている。
「われら二国はともに最良の成果を追い求め、自由を希求し共通の意思と行動を追い求めている。C-130Jはその体現だ」フランス国防相フローレンス・パルリ、1月19日オルレアン-ビシー航空基地にて
ランス国内の観点では米国製軍用輸送機を新たに導入することは異例な事態に見える。A400Mの失敗を認めるからだ。だが今回のC-130J導入で仏独共同部隊が2021年にエヴロAFBに設置することなり、マグロン大統領とメルケル首相のめざす真のヨーロッパ防衛体制の夢の実現に一歩近づくことになる。
The A400M in low speed tests
 またフランス市場で最短の軍事装備調達になった。FMS契約からC-130J-30初号機の納入までわずか二年間というのは記録となった。C-130J-30初号機は昨年12月にロッキード・マーティンのマリエッタ工場(ジョージア)で引き渡されていた。
 契約では機材支援、予備部品、二年間保守管理遺体に米国内での10か月パイロットとロードマスター訓練も含む。特にロードマスター訓練が重要だ。
 今回の実現を築いたのは前仏防衛相ジャン-イブ・ル・ドリアンとドイツ国防相ウルスラ・フォン・デア・レイアンが2016年4月に取り交わした合意で、その後仏独二国間協力合意が軍部間で2017年10月に取り交わされた。内容は両国で部隊を合同運用し経費を負担するものだ。フランスはC-130J4機を2019年までに調達し、ドイツも同年までに同型機6機を導入する。IOC初期作戦能力獲得は2021年、FOC完全作戦能力獲得は2024年予定。
 経費負担は50百万ユーロ(61百万ドル)でそれぞれスタートし、エブロで新型機運用に必要なインフラの構築にとりかかった。ドイツ側人員が規模未定だが同基地に到着後に機材整備支援にも広げる。
 フランス国内でのドイツ軍隊員の展開はこれが初めてではなくタイガーヘリコプター乗員養成で仏独陸軍航空要員養成スクールが南仏にあるが、今回は機材の共有を超えたねらいがある。訓練にとどまらず両国混成の乗務員による共同運用をめざす。
 両国の軍組織にはそれぞれの経緯があり以前ならこのような構想は冷笑されるのが関の山だったが、二つのトレンドから構想が実現度を高めている。
  • 欧州空輸司令部(EATC)がアインドホーヴェンに2010年に設置され実績を上げている。C-130で各国が飛行時間を融通する制度で参加国が増えてきた。
  • A400Mをめぐりフランス、ドイツ間で経費分担が進み、飛行乗員の訓練がフランスで、補給支援や整備員訓練がドイツで行われている。
 A400Mがフルに機能を発揮する段階になる中でC-130Jでかつてのトランザール(C-160)の精神が復活するかが見どころだ。トランザールはフランス-ドイツ共同開発で1959年にはじまり、名称はドイツ語の“TRANSporter ALLianz” とフランス語“TRANSporteur ALLiance”からとったものだ。C-130J導入の理由もトランザールがドイツで2021年、フランスで2023年にそれぞれ退役するためだ。
 ただし両国がC-130J-30を今回採用した理由はほかにもある。
 フランス空軍では同機を以下のミッションに投入するとしている。
  • CSAR、TRAP、人質・災害退避、救難.
  • 兵力投射、空輸、海外展開
  • 補給、退避、人員物資の投下、地上給油
 KC-130Jが加わればフランス軍のヘリコプターも空中給油を米国の助けを借りずに実行できるようになる。A400Mでこの機能を期待されていたがまだ実現できない。

れぞれ長所がある機材が複数型式あれば軍事作戦上有利になり、厳しい条件での要求にこたえやすくなる。フランス空軍はサハラ-サヘル地区でここ数年作戦を展開しており、シリアやイラクでも対ゲリラ戦に従事している。A400Mならオルレアンからチャドまで30トンを6時間で搬送できるが、C-130H-30では7トン8時間だ。C-130J-30は10.5トンを7時間で運べる。■

2018年1月5日金曜日

北朝鮮の空に投入される米空軍機材は次の5つだ

5 Weapons the U.S. Air Force Will Need for the next Korean

次回朝鮮の上空に米空軍が投入する装備はこの5点

These beasts of war will be needed to take on Kim's regime.

金政権に空からとどめを刺すのは以下の野獣だ

Kyle Mizokami - 5 hours ago



朝鮮に開戦となれば米空軍はおなじみのパターンを踏襲しそうだ。まず、敵戦闘機を一掃する。これは北朝鮮空軍の陣容を見れば容易だ。同時に指揮命令系統や防空装備を機能停止させて近接航空支援と航空制圧作戦で友軍を支援しながら敵地上兵力の所在をあぶりだす。米空軍がこのため必要とする装備は以下の5点だ。

B-2スピリット爆撃機
北朝鮮防空体制は密度こそ高いが老朽化しているとはいえ航空機材は念入りに侵入経路を検討し撃墜を避ける必要がある。
B-2スピリット爆撃機は北朝鮮防空網を恐れる必要はない。ステルス、ペイロード、航続距離の組み合わせで開戦直後にB-2の投入は確実で、DPRK指導部掃討にあたるはずだ。金正恩以下が退避する想定は同国各地を長時間飛行できる同爆撃機を平壌に探知できない。
その中でMOP 大規模貫通爆弾はコンクリート60フィートあるいは200フィート地中を貫通できるといわれ、非核兵器ながら北朝鮮の地下施設攻撃に有効だ。B-2はMOPを二発搭載する。

KC-135ストラトタンカー
北朝鮮から米基地のある沖縄、グアム、日本本土への距離を考えると航空作戦で給油機支援は欠かせない。米空軍給油機は米海軍、海兵隊や韓国機への給油も担当する。
その任務の大部分をKC-135ストラトタンカーが担当するはずだ。KC-135は200千ポンドの燃料で30機に給油可能だ。機体にはブーム(米空軍、韓国空軍用)とドローグ(海軍、海兵隊用)がつき、一部では二機に同時給油可能だ。KC-135は167機が世界各地で任務についている。

C-130Jハーキュリーズ
北朝鮮は侵入が容易でない国で連合軍の地上作戦は北朝鮮国内の飛行場、軍用工区基地の確保から始まり、補給物資や援軍を受け入れるだろう。航空施設が損傷を受けているはずなので空軍のレッドホース工兵隊がまず到着し修復にあたるはずだ。
C-130Jハーキュリーズは短距離離着陸が可能で非整地滑走路でも運用可能なので最前線近くの地点からの運用機材の最右翼だ。半世紀に及ぶ生産で最新のJ型は貨物最大18トン、あるいは兵員128名、降下兵92名あるいは傷病兵74名を運ぶ。

F-16Cファイティングファルコン
第二次朝鮮動乱では近接航空支援や航空制圧任務に多用途戦闘機が必要だ。北朝鮮の防空体制は大部分が旧式な戦闘機や火器で、第五世代戦闘機は航空戦に十分すぎる。第四世代機で対空戦から対地攻撃に迅速に切り替え可能な機材を投入するのが合理的で、MiG-29を撃墜したその足で火砲陣地を爆撃できれば理想的だ。
次回の朝鮮動乱で有用な機材がファイティングファルコンだ。100機近くの米空軍F-16が韓国、日本に展開中でうち二個飛行隊が「ワイルドウィーゼル」で敵防空網制圧(SEAD)任務につく。空軍のF-16にはスナイパー目標捕捉ポッドとJDAMを組み合わせ搭載しさらにレーザー誘導爆弾で地上目標を撃破する。AGM-88HARM対レーダーミサイルで北朝鮮レーダーを破壊し、AIM-9XサイドワインダーとAMRAAMミサイルで空対空戦に臨む。

RQ-4グローバルホーク
第二次朝鮮戦闘でUSAFに必須なのが高高度長時間飛行可能な無人機で北朝鮮の戦略装備の動向、特に地上配備ミサイルとミサイル潜水艦を監視することだ。長時間にわたる情報収集監視偵察(ISR)により米国は移動ミサイル発射装備を追尾し、情報を自軍内で活用する。
RQ-4グローバルホークがこの任務に理想的だ。連続34時間飛行可能な同機はグアムを発進し北朝鮮上空に一日半滞空して帰投するので近隣地の航空施設を使わない。昼夜問わずの監視で敵軍の動きの追尾に有効だ。広く知られていないが、グローバルホークの戦場空中通信中継機能(BACN)で地上部隊と支援機の間に安全な通信リンクが確立できる。■
--- This Story Originally Appeared in The National Interest ---
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami [20].
Image: U.S. Air Force

2018年1月4日木曜日

フランス向けC-130Jの引き渡し始まる

France receives first C-130J Hercules

フランスがC-130Jハーキュリーズ初号機を受領
  
フランス空軍向けロッキード・マーティンC-130J一号機が12月に現地へ搬送された。 Source: Armée de l'Air

 Victor Barreira - Jane's Defence Weekly
01 January 2018


フランス空軍 (Armée de l’Air: AdlA) は発注していたロッキード・マーティンC/KC-130Jハーキュリーズ輸送機・給油機の初号機を12月末に受領した。
輸送飛行隊2/61 ‘Franche-Comté’がオルレアン-ブリシーの第123航空基地でC-130-30初号機を12月22日に受領した。引渡し式典は1月に開く。
C-130J-30ストレッチ型輸送機二機、KC-130J給油機二機の導入は米海外軍事販売(FMS)契約で2016年1月29日に契約し、訓練、予備部品、支援装備並びに二年間の保守管理も含む。
C-130J-30二号機は2018年に到着し、KC-130J二機は2019年に加わる。
フランスは昨年9月に第62輸送飛行団をオルレアン-ブリシーに解説し、ET2/61 ‘Franche-Comté’飛行隊、
エヴルーの第105航空基地にはドイツが導入するC-130J部隊が駐留することになった。これはフランスがドイツとかわした協定によるもので2021年にC-130Jが移動してくる。
フランスのC-130Jは現有のC160Rトランザール(2023年退役)、C-130Hハーキュリーズ、A400Mアトラス、CN235-100M、CN235-300Mの各輸送機に加わる。給油機はフランス空軍のヘリコプターへ給油する。■

コメント フランス、ドイツがともにC-130Jを発注していたのですね。しかもドイツ部隊がフランスに駐留するのですか。時代の変遷を感じます。A400Mがちっとも実用化されないのでC-130J導入に走ったのでしょうか。航空自衛隊もC-130H16機を運用中ですが、J型の導入も検討するのでしょうか。

2017年12月22日金曜日

横田基地のC-130Jが活躍するクリスマスドロップ作戦とは

クリスマスというと海兵隊にもToys for Totsがあり、こちらも恵まれない人に何か与えたいと言うクリスマスの価値観がありますね。誰かに何かをしてあげたい、と思う日本人が減る中で理解するのはちょっと工夫が必要でしょう。C-130Jの呼称はスーパーハーキュリーズですか,、昔のアニメのタイトルみたいですが、日本もH型を頑張って使っていますがどこかで更改を検討すべきでしょうね。


Yokota’s new Super Hercules cargo planes take over Christmas Drop mission

横田基地に新たに配属されたスーパー・ハーキュリーズがクリスマスドロップ任務に活躍している。

ミクロネシア諸島でクリスマスドロップ作戦の貨物二点が投下されている。2017年12月13日。DAVID OWSIANKA/U.S. AIR FORCE

 By LEON COOK | STARS AND STRIPES Published: December 21, 2017

YOKOTA AIR BASE, Japan — スーパーハーキュリーズ輸送機の新技術でクリスマスプレゼントを太平洋諸島の住民向けの空中投下が正確になった。
C-130HからC-130Jに機種変更した横田の第374空輸飛行隊がグアムのアンダーセン空軍基地からクリスマスドロップ作戦に展開している。
同作戦は1952年から行われており、各地の孤立した島民に必需品を空中投下している。今年は特に注目されている。
「機内エイビオニクスにより投下地点を正確に把握し、島民が楽にかつ安全に回収できる地点を割り出せます」とクリスマスドロップに加わる横田基地パイロットのブライアン・デンディ大尉が米空軍発表資料で述べている。

在日米軍司令ジェリー・マーティネス中将はC-130Jを「世界最高の正確、頑丈で戦術面で有益なマシン」と評している。以前より乗員を二名減らし、エイビオニクスを改良し、貨物搭載量が増え、燃料消費効率が向上して航続距離が伸びた。

今年のクリスマスドロップは米、日本、オーストラリア航空部隊が参加し補給品140箱以上を投下している。平均400ポンドの重量でミクロネシア連邦、北マリアナ諸島やパラウ共和国で計56か所の島しょ部分が対象だ。
66回目を迎えた今年のクリスマスドロップ作戦でボランティアが投下品を入れている。アンダーセン空軍基地、グアム、2017年12月9日。
DAVID OWSIANKA/U.S. AIR FORCE

箱の中身は漁網、建設材料、粉末ミルク、缶詰食品、米、衣類、靴、学習用品にくわえもちろんクリスマス玩具だ。

北マリアナ諸島のアグリガン島は現在無人島だがそこで育ったアンディ・ネパイアル(58歳)は小児期のクリスマスドロップの思い出を今も大切にしている。

「飛行機が島上空に来ると興奮のあまり島が二つに割れるようだった」とスターズアンドストライプスに12月21日語ってくれた。

ネパイアルは輸送機が投下地点に煙幕弾を投下して風の状態を見ていたのを鮮明に覚えている。C-130Jではこの計算は電子装備が行う。

「飛行機の後ろから荷物が出てくるのが見えると叫んでいましたよ。『おもちゃが来るぞ』って」

ラリー・ライジェタルも14歳までミクロネシアのラモトレク島に住んでおり、空軍がウェブで公開した映像を見て当時を思い出した。子どもたちの間で荷物を誰が最初に手に入れるかで競走していたという。

「最初だとパラシュートが手に入ります」と防虫ネットにできたのだという。「一番だとパラシュートのひもを切って自分のものにできますから」

ライジェタルによれば荷物の中の玩具を巡って喧嘩が絶えなかったという。「年長者が分配してくれたので運が良ければ自分の欲しいおもちゃが手に入った」「クリスマスドロップには毎回興奮していましたね」


グアムの非営利団体クリスマスドロップオーガニゼーションが現地企業等の協力で投下品を一年を通じ集めている。■

2017年10月17日火曜日

NZ現地紙に見る次期輸送機調達、C-2の存在感なし



C-2/P-1のペアはニュージーランドに本当に売り込みを図っているのでしょうか。この記事からは存在感が伝わりません。一つの理由が現地メディア対応でしょう。英語が不得手ならロビーストを雇えばいいのでは。それだけの予算もかけられないのであればそもそも海外販売をする意欲もないのでしょうね。お分かりのように現地の期待はC-130Jに傾いているようですが、調達規模が少ないからと馬鹿にしていいのか、日本の(本来はメーカーの責任ですが、大使館はじめ本省がかなりピッチを入れているのも問題では)姿勢が問われそうですね。といいつつ日本のC-130Hも早晩後継機調達の話が出そうですね。ニュージーランドの政治情勢というのがよくわかりませんがご存知の方はご教示ください。


New government will have to make a call on Hercules replacement


C-130J Hercules that Lockheed Martin hopes to sell to New Zealand. Photo / Supplied

15 Oct, 2017 7:30pmBy: Grant Bradley
Aviation, tourism and energy writer for the NZ Herald
grant.bradley@nzherald.co.nz@gbradleynz

ニュージーランド新政権がまず手掛けるべき仕事の一つがハーキュリーズ輸送機の老朽化に対応した後継機選定だ。
導入後52年が経過した機材は耐用年数の終わりに近く、メーカーのロッキード・マーティンはニュージーランド防衛軍(NZDF)の5機に残された飛行時間を算定中というが、新型機導入は待ったなしになっている。
国防関係者による詳細な検討内容が年末までに内閣に提出されるが、ニュージーランド第一党の副代表と国防省報道官を兼務するロン・マークRon Markが次期輸送機選択のカギを握りそうだ。
だが本人は近年の国防調達事業に対して鋭く批判している。
ロッキード・マーティンの競合相手はブラジルのエンブラエル、日本の川崎重工でそれぞれ同規模のジェット輸送機を提案している。新型機はそれぞれハーキュリーズより高速だが運用面で実績がない。
ヨーロッパからはエアバスがA400Mの売り込みをかけているが同機はニュージーランドには機体が大きすぎかつ高価すぎる。
ロッキードは自社製品の採用に「慎重ながら楽観的」だ。新型のC-130JはH型と外観こそそっくりだがエイビオニクスを一新し出力は25パーセント強化している。
C130J Hercules aeroplane built by Lockheed Martin. Photo / Supplied
C130J Hercules aeroplane built by Lockheed Martin. Photo / Supplied

ニュージーランドでは南極運用が重要で新型「スーパーハーキュリーズ」には悪天候の場合、マクマード基地まで飛んでも引き返す余裕があるが、旧型機の場合はもっと手前で帰還を決める必要がある。
ロッキードで東南アジアオセアニア地区で営業開発を担当するマイク・ケリーMike Kelleyは情報開示請求(RFI)は2013年だったと語る。NZDFは数回にわたり各社に詳細情報の開示を求めており、正式入札は来年になるとみている。
「政治情勢が影響しそうですが事案を内閣まで持っていければ理論上は入札が来年第二四半期までに出そうです」
現行機の耐用年数が切れる2022年のデッドラインに間に合わせるには翌年に契約を成立させる必要があると見られていた。
「競争入札を覚悟しています。それでも当社は勝てると見ていますよ。機材が優れていますからね」(ケリー)
型が変わっても同じハーキュリーズなので格納庫の改装は必要ないし、パイロットの機種転換もずっと簡単だとケリーは利点を述べる。
P-3オライオンも2020年代に更新時期を迎えるためロッキード・マーティンは海上哨戒機の売り込みも図っている。エンブラエルも同様だ。
ニュージーランドは2020年代に予算10億ドルで輸送機およびVIP機の更新を図る予定だ。■


2017年5月30日火曜日

LM-100Jは十分軍用に転用できるC-130Jの民生用新型機


なるほど複雑で高価格の軍用仕様でなくても十分とする途上国需要をあてこんでいるわけですか。確かに民生用貨物輸送機需要はマーケット規模が限られているのでロッキードの狙いは面白いと思います。日本もC-130Hの後継機で検討してはいかがでしょう。え、先進国のプライドが許さないですか?

Lockheed Martin marks maiden flight of LM-100J

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
26 May 2017

ロッキード・マーティンの新型輸送機LM-100Jハーキュリーズが5月25日初飛行した。
軍用C-130Jの民生仕様機でジョージア州マリエッタ工場から離陸した。機体は2月にロールアウトしており飛行テストが始まり、FAA型式証明取得を目指す。
ロッキード・マーティンはC-130Jの拡販を狙うが、各国の国防予算が縮小気味でとくにペンタゴン予算の落ち込みが痛いところだ。
ハーキュリーズでは以前も民生用L-100が1964年から1992年にかけて115機が生産されたが、LM-100Jでは大型貨物輸送、石油ガス採掘業務、鉱業用補給活動、空中消火、貨物搬送、救急救命、人道救難、捜索救難等を過酷な飛行施設でも行えることをうたう。
民生用とはいうもののLM-100Jは官公庁、軍用用途も狙い、とくに高性能つまり高価格となるC-130Jまでは必要ない層を狙う。民生版では秘匿通信装置、電子戦装備、配線、ラック類はすべて外されており、ロッキードはLM-100J機体価格を60ないし70百万ドルとし、C-130Jの1億ドルより安価だ。また機体重量が軽くなり、燃料経費や整備費用が節約できる。このため同社は同機を軍用用途にも売り込む方針で途上国向けに訴求力があるとみている。
なお、旧型のL-100はアルゼンチン、エクアドル、インドネシア、リビア、ペルー、フィリピン、サウジアラビア、アラブ首長国連合の各国で軍が運用していた。■

2015年5月4日月曜日

米印防衛協力>スコーピオン最初の購入国はインドになりそう ただし商談は高難易度


日米にとってインドは重要な安全保障のパートナーになりそうですが、うーん、インドの官僚制度としたたかな態度に米側も相当苦労している様子ですね。US-2輸出でも日本は相当覚悟するべきではないでしょうか。スコーピオンに関心を示していた亡国とはインドだったのですね。

Carter to offer Scorpion to India under joint development plan

Rahul Bedi, New Delhi and James Hardy, London - IHS Jane's Defence Weekly
30 April 2015

  
Industry sources in India say the US may offer the Textron
アシュトン・カーター国防長官は6月にインドを2日間訪問し、二国間戦略防衛協力のレベルを引き上げるとインド国防関係者がIHS Jane'sに明らかにした
  1. カーター長官は10か年の米印防衛枠組み協定に調印し、防衛貿易技術協力構想Defence Trade and Technology Initiative (DTTI)の早期実施でも合意形成し、二国間共同開発・生産をインドで進める。
  2. DTTIはカーターが国防副長官時代から進めてきたもので、米国はテクストロン・エアランドのスコーピオン軽攻撃偵察情報収集機をインドに提示するものとみられる。同機はインド空軍採用を目指し開発中。
  3. インド空軍司令官アルプ・ラハ Arup Raha 自身がスコーピオンに関心を示したといわれ、複座の同機は中間ジェット練習機(IJT)としても使える。インド空軍(IAF)でIJT機種が不足しているのはヒンドゥスタン・エアロノーティクス・リミテッド(HAL)のシターラ機開発が2005年から進んでいないため。
  4. 2014年のファンボロ航空ショーでテクストロン関係者からIHA Jane’sにスコーピオンの機体単価は20百万ドル未満、一時間当たり飛行費用は3千ドルとの説明があった。あわせて海外向けに2千機の販売目標があると述べていた。ただインドへの販売可能性についてはコメントを避けていた。
  5. バラク・オバマ大統領は1月のインド訪問の際に防衛枠組み合意を共同軍事演習や相互運用性の実現、情報の共有、対テロ対策、海洋監視協力で引き上げると認めていた。
  6. あわせて両国の軍部、防衛関係者高級レベルの相互訪問の頻度を引き上げる。
  7. 駐インド米国大使リチャード・ラフル・ヴァーマ Richard Rahul Vermaによれば両国は77項目のフォローアップをしているという。各項目はオバマ訪印を機にまとめられたもの。「再構成あるいは新規の30項目と別に30項目の対話をしている」というが、詳細は語らなかった。
  8. 関係者によればカーター訪印時にはDTTI枠組みで米国が約束した先行事例4項目の技術内容の進捗を検討するという。
  9. その対象のひとつはエアロヴァイロンメントRQ-11レイヴン無人機の共同開発、共同生産で、ロッキード・マーティンC-130J-30輸送機も対象だという。.
  10. 残る二つは機動性電気ハイブリッド動力mobile electric hybrid power systems (MEHPS)と核・生物・化学戦対応の戦闘服だという。
  11. 今年に入り作業部会がふたつ結成されており、航空機エンジン開発と電磁航空機発進システム(EMALS)が題材で長官訪問の機会に進捗を点検する
  12. カーターからはインド側に総額25億ドルの装備調達契約の早期締結を求める方向で、ボーイングAH-64Eアパッチ22機、ボーイングCH-47Fチヌーク15機がその内容。調達交渉は2013年末にすでに終わっている。.
  13. ボーイングは6月末までは両機種の価格据え置きを認めているがその後は無理との連絡がIAFに入っているとみられる。業界筋によればボーイングが価格据え置きで商談を維持するのはこれで9回目だという。
  14. インドの防衛調達手順Defense Procurement Procedure (DPP)では交渉集結案件で価格改定が発生した場合は入札やり直しとなる。■