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8月, 2022の投稿を表示しています

米空軍の発想が柔軟すぎる。B-52で貨物輸送し有事の迅速分散運用ACEコンセプト用に専用コンテナBOCSを開発し実証運用が行われた。

  U.S. Air Force photo by Senior Airman Chase Sullivan B-52の爆弾倉に貨物コンテナを搭載した演習で、迅速な展開がより現実的になった   バ ークスデール空軍基地は、B-52Hストラトフォートレスが興味深い役割を演習で担ったと発表した。4機の爆撃機に、爆弾倉に収まる比較的大きな貨物コンテナを搭載し、米空軍の迅速展開コンセプトをテストした実証は、将来の作戦機の展開における物流フットプリントの減少の可能性を示したとある。 バークスデール基地の声明によると、演習に参加した4機のB-52Hは、同基地の第2爆撃航空団の所属機。8月16日から19日にかけて、ワシントン州のフェアチャイルド空軍基地に移動し、ACE(Agile Combat Employment)ミッション関連の演習を実施した。一般にACEミッションは、各地から予測不可能な分散作戦を実践することで、生存能力を高め、前方地域で戦闘力を生み出すことを主眼とする。ACE関連演習は、空軍が遠隔地にある厳しい施設や小規模な物流施設を活用し、柔軟かつ機敏な運用を可能にする一助となることを意図している。特に、ACE作戦では貨物運搬が重要な要素となるため、今回のB-52実証の重要性が際立つ。 今回のACEテストミッションでは、B-52爆撃機を主に使用して、革新的な貨物輸送作戦を模索するとともに、生存性と厳しい環境での作戦を念頭に置いた、有機保守支援の提供方法を実証した。B-52は、BOCS(On-Board Cargo System)という貨物輸送システムにより、爆撃任務以外の役割、つまり貨物支援機としての役割を果たした。 空軍はBOCSを、B-52Hの爆弾倉内のハードポイントに接続する設計の貨物コンテナだと説明している。各B-52はBOCS2つを搭載し、各爆弾倉に1つずつ、最大5,000ポンドの整備・支援機器を搭載し、B-52一機で合計10,000ポンドの空輸能力を実現する。 主に訓練だが、B-52の三個爆撃航空団すべてがBOCSを自由に利用できるようになったという。以前のB-52は、貨物保管庫が皆無に近かった。 BOCSは、少なくともコンセプトとしては、2006年の航空戦域バトルラボで、最も有用な取り組みとして生まれた。The War Zoneは、空軍グローバル・ストライ

新空母USSエンタープライズの起工、空母ブロック購入を続ける米海軍は空母12隻体制の実現に向かう

  .HIIのニューポートニュース・シップビルディングで建設中のUSSエンタープライズ(CVN-80)の艦尾部分。 (Justin Katz/Breaking Defense) 国防総省は、空母のブロック購入で前回は40億ドル節約できたと主張している。今回もそうなるのか? 米 海軍の次期主力艦「USSエンタープライズ」の建造準備が進む中、海軍と元請企業HII、産業供給部門は、さらに2隻の空母の「ブロック購入」の可能性について計算を始めている。  ジェラルド・フォード級建造のプログラム・マネージャーであるブライアン・メトカーフ大佐Capt. Brian Metcalfは、HIIのニューポートニューズ造船所で、「それが最も効率的に建造する方法だ」と述べた。「そして、それは調達に最も効率的な方法なのです」。  エンタープライズ(CVN-80)と続くドリス・ミラーDoris Miller(CVN-81)は、2018年後半に「ブロック購入」された。この表現は基本的に、海軍が両艦建造のすべての物資と労働力を単一契約で交渉したのを意味し、その結果、一括発注と近年の予想以上のインフレを回避したことにより、推定40億ドルの節約になったとペンタゴンは述べている。  海軍の高官、HIIの幹部、そして空母建造に必要な膨大な供給部門の代表者とのインタビューで、海軍がフォード級空母(CVN-82とCVN-83)のもう一組を追求すると決定した場合にこの取引の利点について全員が賞賛していることがわかった。  HIIの最高経営責任者であるクリス・カストナー Chris Kastner は、「ここ数年のインフレで何が起こったか考えてみてください」と言った。「海軍の賢い購入方法です」。  エンタープライズとドリス・ミラーは、初号艦フォードとジョン・F・ケネディに続く3隻目と4隻目のフォード級艦船で、プログラムの当初の4隻となる。しかし、業界が大きな関心を寄せる中、海軍は追加購入を積極的に検討している。  メトカーフ大佐は、海軍はすでに複数のシナリオについて国防総省に情報を提供しているが、2023年度に議員に明確な答えを出す予定だと語った。  「我々が最適と考えるシナリオは、2隻を8年ごとに4年センターで配置することだ。「先進的な調達資金を使えば、2年分確保できる。リードタイムは上昇している。何か発注する

次世代エンジン開発契約をエンジンメーカー以外にボーイング、ロッキード、ノースロップにも交付した米空軍がめざすのは競合状態の活性化か

  ジェネラル・エレクトリックのXA100適合サイクルジェットエンジン。2020年テスト現場で。General Electric   先進エンジン契約を交付された5社のうち3社は、航空機メーカーで、戦闘機用エンジンは製造していない       米 空軍は次世代適応推進プログラム(NGAP)の関連業務で、各最高額10億ドル近い契約を5社に交付した。このエンジンは、次世代航空優勢計画(NGAD)の一環で現在開発中の第6世代の有人ステルス戦闘機含む機体の動力源に期待されている。 ボーイング 、 ロッキード・マーチン 、 ノースロップ・グラマン がNGAPの契約者に含まれていることは、空軍が新しいエンジンサプライヤーに門戸を開いていることを示すとともに、新開発エンジンが搭載される予想の次世代有人航空機の全体設計で競争が続いていることを強調している。   国防総省の契約発表によると、オハイオ州のライトパターソン空軍基地の空軍ライフサイクル管理センターは、8月19日にNGAP契約を締結した。今回の受注額はそれぞれ9億7500万ドル。ボーイング、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマンに加え、 ジェネラル・エレクトリック と プラット&ホイットニー もNGAP契約を獲得した。   NGADとして開発中の第6世代有人戦闘機(これはロッキード・マーティンのコンセプトアート)は、NGAPエンジンを搭載すると予想される . Lockheed Martin   各契約で共通する詳細は、ペンタゴン公示では次のように記載されている。   「設計、分析、リグ試験、プロトタイプエンジン試験、兵器システム統合を通じた技術成熟とリスク低減活動のために、プログラム上限9億7500万ドルの無期限納入/無期限数量契約を獲得した。この契約は、次世代適応推進プログラムの試作段階を実施するためで、将来の航空優勢プラットフォームに能力を実現する推進システムを提供し、推進産業基盤をデジタルに変換することに重点を置くものとする。作業は...2032年7月11日までに完了する」。   ペンタゴン通達にあるNGAPの項目には、NGADや実際の航空機に関する作業については一切触れていない。しかし、現在、戦闘機のエンジンメーカーはジェネラル・エレクトリックとプラット・アンド・ホイットニーだけだ。   ボーイング、ロッキード

ロシア=ウクライナ戦は消耗戦に移行したが、終結へのシナリオはどうなっているのか

    戦争は、一方が他方を軍事的に打ち負かすことで終わるわけではない。     プ ーチン大統領は2022年2月に開始したロシアのウクライナ侵攻で当初は、すぐにゼレンスキー政権を降伏、あるいは崩壊させるのが可能と計算していたようである。しかし、ウクライナ側の激しい抵抗と、欧米(特に米国)の大規模な武器供与により、そうならなかった。 半年がたち、戦争は消耗戦と化している。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が認めたように、ロシア軍はウクライナの約20%の領土を占有している。しかし、欧米の支援を受けたウクライナ軍はロシア軍のさらなる進出を阻止できるかもしれないが、ロシア軍をロシアに押し戻すこともできそうもない。しかも、双方とも停戦の準備が整っていないため、戦争は数カ月、あるいは数年続くかもしれない。  しかし、戦争には終わりがある。この戦争はどうか。ロシアが現在の困難な状況にもかかわらず、事態を好転させ、ゼレンスキー政権を降伏・崩壊させる当初の目的を達成する可能性は残っている。一方、欧米の支援を受けたウクライナ軍が、ロシア軍を以前獲得した領土のすべてとは言わないまでも、大半から追い出すこともあり得る。  しかし、戦争は一方が他方を軍事的に打ち負かすことで終わるわけではない。例えば、第一次世界大戦末期のドイツのように、内部崩壊したり、1980-88年のイラン・イラク戦争のように、長年の戦闘の末に双方とも相手に勝てず、戦争継続のコストが受け入れ難いため停戦に応じたりすることもあり得る。実際、ロシアとウクライナのいずれもが軍事的に優位に立てないとすれば、どちらかが崩壊する、あるいは、それぞれが相手を倒すことをあきらめるまで、戦争は続くことになるであろう。  では、数カ月から数年にわたるロシアとウクライナの消耗戦は、どう展開されるのだろうか。長期紛争において、勝者として勝利することはできなくても、敗者となることを回避する可能性を高めるそれぞれの側の強みと弱みは何だろうか。  これまで見てきたように、ウクライナ人は祖国を守るために粘り強く戦うことを厭わず、国民をリードする大統領を擁している。ロシア軍ほど大規模でも強力でもないが、ウクライナ軍は欧米(特に米国)の大規模な軍事支援の恩恵を受けており、ロシア軍の動きを止め、進撃を妨害できた。しかし、欧米からの継続的な武器供与がなければ、

制裁措置で露呈したロシア防衛産業の弱さ。ロシアは結局中国のジュニアパートナーになってしまうのか。

  Su-34. Image Credit: Russian Military.     ロ シアの防衛産業には、苦労が待ち受けている。自給自足と自称しているが、ロシア産業には西側の部品と支援を必要としていることが判明した。自給率が世界で最も高いロシア産業が、制裁により供給不足に悩まされている。防衛分野で自前主義は不可能なのか。これは安全保障で何を意味するのだろうか。   理論的には、国家は自国の防衛産業基盤に物資を供給するチェーンを注意深く守るべきだ。国家は可能であれば防衛産業を可能な限り内製化することで脆弱性を低減させようとする。もちろん、これはすべての国家で可能なことではなく、海外の防衛産業に一部または全部を頼らざるを得ない国家もある。しかし、特に大国は、防衛において可能な限り自律的であろうとする。   この論理は、数十年にわたる複合工業生産のトレンドと真っ向から対立する。20世紀後半、ほとんどの産業は少なくともある程度までグローバル化し、資源や最終製品の完成部品を国境を越えたパートナーシップに依存するようになった。インフラストラクチャーと投資により、このような統合は自給自足よりはるかに効率的なものとなった。グローバル化の時代、防衛産業は確かに芽を出したが(トランスナショナルな生産と技術革新が西側とソビエト圏双方の防衛力増強で特徴となった)、防衛は主要セクターで最もグローバル化が遅れている。公平を期すため、「バイ・ローカル」の少なからぬ部分は、国内産業(および労働者)向け補助金も含んでおり、同じ論理で正当化されがちだが、完全な自国主義とは言えない。   この逆風にもかかわらず、現代の防衛産業は自国主義を貫けるだろうか。   ウクライナ侵攻でロシアは不完全な国防自給自足体制の問題に直面した。ロシアの防衛産業基盤が欧米と密接に結びついていることは、難しい現実である。ロシア産業が西側諸国の部品に明らかに依存していることにロシア人でも驚いているようだ。ロシアは、高性能兵器を維持するのに十分なチップを調達しようと入念な努力を行っている。ロシア事例は、防衛サプライチェーンの脆弱性を示しており、各国が自国の防衛産業基盤に不可欠な要件の国産化を促しているのだろうか。 ロシアのジレンマに対する簡潔な答えは、少なくとも先端部品に関する限り、防衛分野における自給自足は、第一級の軍事

中国経済が不動産バブル崩壊に怯える中、中国の軍事力整備にこれからどんな影響が出るのか

    2014年1月、中国・西安で取り壊される違法建築の建物  January 2014 Rooney Chen / Reuters   北京の負債が満期を迎える 中国経済を脅かす不動産バブル崩壊   中 国の不動産セクターが揺らいでいる。中国最大の民間デベロッパーが外債をデフォルト(債務不履行)した。ほとんどのデベロッパーは、国内債券の借り換えに苦戦している。住宅価格は過去11カ月間、下落し続けている。新規建設は45%減少した。最も深刻なストレスは、未建設マンションのプレセールで多額の資金を調達したデベロッパーにさかのぼる。しかし、住宅の完成を保証する準備金の積み立てに失敗したところもあり、住宅購入で住宅ローンを組んだ世帯は支払いを止めると脅している。 中国の不動産危機は、金融リスクもあるが、結局は経済成長の危機である。新規不動産の開発・建設は、現在の中国の経済活動で4分の1以上を牽引していると言われており、不動産市場の一時的な低迷が、経済の長期的な低迷につながることは想像に難くない。 中国で国家が支援する金融システムは、大きな損失を出すことができるので、金融崩壊は回避できる。ある国家支援機関が別の国家支援機関に資金を投入することで、破綻した不動産会社向け融資で損失が発生しても、債権者が破綻し債務不履行の連鎖が起こる事態を抑えることができる。中国政府は、国策銀行を通じ資金援助を行い、民間開発業者が放棄した建築プロジェクトを完成させるよう、国策開発業者に依頼できる。政府による介入は経済運営で最適な方法ではないが、資金力のある機関が存在することで、不動産市場向け融資がすべてストップする不安定な事態は避けられる。 その結果、中国は2008年の米国の大不況並の危機を迎えることはないだろう。しかし、だからといって中国経済が安心できるわけではない。中国がこれまでのように輸出を増やすことで経済成長を促進しようとすれば、COVID-19の大流行やロシアのウクライナ侵攻などのショックから立ち直れていない世界各国にも深刻な影響を与える。 キリギリスじゃない、アリだ 金融機関は、中国の不動産開発業者やマンション購入希望者、公共インフラを整備する地方政府などに巨額融資を行ってきた。中国の大手政策銀行は、一帯一路構想の一環として世界各地で建設プロジェクトに融資を行っている。中国の金融シス