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開戦に向け着々と進む中共の不穏な動き。政局に足を取られる日本の政治機構は有事に機能できるのだろうか。

  

Image: Chinese Internet.

 

 

中国事情に精通するゴードン・チャンの解説。中国は武力行使に向け準備を進めており、いつ有事になってもおかしくない

 

 

 

この記事はKnow Your Enemyにも同時掲載します。

 

産ラインを軍事製品に転用するよう現地当局から要求されたと中国国内で一般消費者向け医療機器を製造する中国人起業家が、筆者に先月語った。共産党幹部は、他メーカーにも同じ命令を出しているという。

 中国の大学が外国人研究者を追放しているのは、敵対行為の準備ではないかと内々で言われている。

 中華人民共和国は戦争の準備をしており、その動きを隠そうともしていない。昨年1月1日施行された国防法改正は、権限を文官から軍人に移譲している。

 改正で国務院の役割を縮小し、共産党の中央軍事委員会(CMC)に権限を移譲した。国務院は人民解放軍の動員を監督できなくなる。

  蘇州大學の曾志平Zeng Zhipingはサウスチャイナ・モーニングポスト紙に次のように語っている。

「中共が国防政策と原則の策定を正式に担当し、国務院は軍支援の単なる実施機関になる」。

 ある意味、改正は粉飾だ。バージニア州にある国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャーRichard Fisherは、同改正が施行された直後、「国務院の権限を弱めた最近の中国の国防法改正は、政治的ポーズに過ぎない。中国共産党とその下部組織である中央軍事委員会は、戦争と平和に関する決定について常に最高権力を握ってきた」と解説した。

 国防法改正をなぜ気にかける必要があるのか。

 フィッシャーは、「今回の改正は、中国が戦争遂行のために『全国民』レベルを軍事動員する野心を示しており、中共が中国のグローバルな軍事介入能力をコントロールする正式な権力を持つようになる」と指摘する。

 共産党の環球時報は、無名の中共幹部の言葉を要約し、「改正国防法は誰もが国防に関わるべきであるという概念を具現化するもの」と報じている。「すべての国家組織、軍隊、政党、市民団体、企業、社会団体、その他組織は、国防の発展を支持し、参加し、国防の義務を果たし、法律に従い国防任務を遂行すべきである」。

 フィッシャーが19FortyFiveに語っているように、「過去40年間、中国共産党は残忍な戦争の準備をしてきたが、今や計画を加速している」。

 中国共産党が戦闘準備をするとき、何もチャンスは残さない。3月、中央組織部は内部通達を出し、閣僚級幹部の配偶者や子供が海外不動産や海外株式を所有することを禁じた。また、海外資産を売却中との情報もあり、禁止令は当局者自身にも適用されるようだ。さらに、高官とその家族は、限られた状況を除き、海外金融機関に口座開設できなくなる。

 この指令は、ウクライナでの「特別軍事作戦」を理由にロシア政府関係者へ制裁を課した直後に出されたもので、制裁と無関係の中国政府関係者向けのものだ。

 さらに、中央政府も制裁対策を講じようとしている。財務省と中央銀行の関係者は4月22日、HSBC含む銀行数十行の代表者と会談し、中国に懲罰的措置が発動された場合に北京ができることを話し合った。

 フィナンシャル・タイムズ紙が報じた「緊急会合」の開催は不吉だ。「当局者や出席者は具体的なシナリオに言及しなかったが、制裁措置の引き金となり得るのは、中国による台湾侵攻だと考えられている 」とFTは指摘する。中国当局者が会議を開いたということは、北京が戦闘行為を計画していることを明確に示している。

 「戦いに備えよ」、香港のサウスチャイナ・モーニングポストは、中国の支配者、習近平の2019年初頭の軍への命令をこう要約している。同年1月、彼は中共で戦争準備をする大演説を行い、演説は全国放送された。

 海外のアナリストは、中国がすぐにでも戦争に突入するのかを議論している。中国の政治体制は時代とともに透明性を低下させており、上級指導者が何を考えているかは不明だ。

 しかし、上級指導者が何をしているかは明らかだ。ラダックの実効支配ラインの下で、ヒマラヤのインド領土をさらに奪取するため、部隊を再前進させる準備を進めている。昨年11月と今年6月には、南シナ海の第二トーマス珊瑚礁にあるフィリピン前哨基地への補給を阻止する試みを繰り返した。7月下旬には、東シナ海の尖閣諸島で係争中の日本領海に4隻を侵入させるよう命じた。2月上旬には台湾領空を侵犯するなど、台湾周辺への挑発を続けた。

 そして、もうひとつ、まぎれもないことがある。習近平以下指導層は、中国国民に戦争への準備をさせている。■

 

China Is Preparing To Go To War - 19FortyFive

 

ByGordon Chang

 

A 19FortyFive Contributing Editor, Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China and The Great U.S.-China Tech War. Follow him on Twitter @GordonGChang

In this article:China, Chinese Economy, featured, Taiwan, War in China, Xi Jinping

WRITTEN BYGordon Chang

Gordon G. Chang is the author of The Great U.S.-China Tech War and Losing South Korea, booklets released by Encounter Books. His previous books are Nuclear Showdown: North Korea Takes On the World and The Coming Collapse of China, both from Random House. Chang lived and worked in China and Hong Kong for almost two decades, most recently in Shanghai, as Counsel to the American law firm Paul Weiss and earlier in Hong Kong as Partner in the international law firm Baker & McKenzie.


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