スキップしてメイン コンテンツに移動

PLAによる台湾占領は非現実的と判明したCSISによるウォーゲーム結果。

 


CSISはウォーゲームで中国・台湾・米国が衝突した場合に起こりうる結果を探った (Original image of wargame map courtesy of CSIS; original photograph by Ashley Pon/Getty Images)


ワシントンDCのシンクタンクによるウォーゲームの初期結果は、米国は中国から台湾を防衛することで勝利を収めるが、ロシアやイランからの新たな脅威に大きな犠牲を払うと示唆している



湾南部に駐留する米海兵隊沿岸連隊は、台南市付近で水陸両用の侵攻を行う敵対勢力を食い止めている。同連隊の陸上対艦ミサイルは、中国艦隊の進撃をかなり遅らせているが弾薬が不足しており、早急に補給しなければ撃退が困難な状況である。


アメリカは、海兵隊の貴重なミサイルを補給するためにC-17グローブマスターを送り込んだが、中国軍に撃墜された。しかし、米中初の大規模戦争に突入し、何万人もの命が費やされている今、厳しい現実が待っている。誰にとっても後戻りはできない。


ワシントンDCのシンクタンク、戦略国際問題研究所が8月初旬に開催したウォーゲームは楽しい光景ではないが、現実的なものだ。ウォーゲームの目的は、中国が軍事力で台湾を奪おうとしたらどうなるかを見極めることで、アメリカの安全保障体制にとって実存的なものであると同時に、意図せずしてタイムリーなものとなった。

 このシミュレーションはいくつかの重要な仮定を置いているが、これまでのところ、米国が介入すれば、完全な占拠を防ぐか、少なくとも膠着状態に陥る可能性が高いという結果が得らた。しかし、成功しても、艦船、飛行機、潜水艦、そして最も重要な人員で、両陣営が大きな損失を被る。

 「台湾が抵抗し、アメリカが台湾援助すれば、中国の成功可能性は極めて低くなる。しかし、米国は大損失を被る...ゲームで、米国は世界の戦術的航空隊のほとんどすべてを失うことがわかった」と今回のウォーゲームを進めたCSISのマシュー・カンシアンMatthew Cancian述べた。

 CSISは、ゲーム各回で喪失した被害総額を計算し終えていないが、一般的に、プロジェクトのスタッフによると、米国は通常、ゲームごとに約500機の航空機、の水上艦20隻、空母2隻を失ったという。空母の損失だけでも、アメリカは合計11隻しか持っておらず、それぞれ少なくとも5,000人の兵士を乗せているので、海外に兵力投射する国家能力に悲惨な結果をもたらす可能性がある。

 シナリオは、CSISが今年、様々な防衛専門家、退役軍人、元国防総省職員らと22回にわたり試行したもので、12月に公開報告書としてまとめ、国会議員や国防総省に説明する。

 このような実験は、通常、ワシントンDC環状線内の関係者しか関心を持たないが、今回のCSISのウォーゲームは、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)が、北京からの敵意むき出しの発言にもかかわらず台湾を訪問し、世界的に話題になった際に進行していた。ペロシ訪台とその後の中国の反応により、米国が島嶼民主主義国家たる台湾を積極的に防衛すべきかという問題が、緊急性を帯びている。

 8月3日、Breaking DefenseがCSISを訪問した時点で、第17戦の真っ最中で、中国は台南市付近で攻撃を開始したが、内陸部ではなかなか前進できないでいた。一方、アメリカ側はお得意の空中発射式長距離対艦ミサイルが不足していた。その結果、戦局は早くも血で血を洗う戦いになった。

 「結果はゲームによって違うし、初期条件にも大きく左右される。しかし、ほとんど変わらないのは、血みどろの混乱であり、双方がひどい損失を被るということだ」と、この日ウォーゲームに参加したランド研究所上級政策研究員のブラッドリー・マーティンBradley Martinは言う。


ルール 慎重な日本、麻痺した台湾、核兵器は不使用


 ほとんどのウォーゲーム同様に、CSISは、各ゲームのオープニングターンと各チームが自由に使える資産を定義する狭いルールセットをプレーヤーに与えた。各ゲームに登場する兵器、艦船、潜水艦、飛行機は、各国が2026年に利用可能になると公言しているものを反映している。

 ゲーム開始前に、中国は台湾を侵略すると公言し、米国は台湾防衛に介入すると決定した。台湾軍は首都台北に集結したが、最初のターンで麻痺され、中国が紛争開始時に行うと見られるインフラへのサイバー攻撃などをシミュレートし、対応が遅らされた。



CSISのウォーゲームで、米国の損失が拡大していることを示す写真 (CSIS)


 日本軍は米国と基地共有協定を結んでいるが、直接攻撃されない限り積極的に戦争に介入しない。

 1ターンはおよそ3~4日の戦闘に相当し、ほとんどのゲームは6~8ターンで行われ、1ゲームはおよそ3~4週間の戦闘をシミュレートした。

 最後に、核兵器の使用はテーブルから取り除かれた。 報道機関向けに公開されたルール説明の文書では、ゲームデザイナーは、両大国間の紛争における核兵器の重要性を認めた上で、ゲームの範囲を通常戦に限定することにしたとある。

 CSISのウォーゲームに参加し、新アメリカ安全保障センターのゲームラボを率いるベッカ・ワッサーBecca Wasserは、この決定はゲームプレイの観点からは「非常に理にかなっている」と指摘した。

 中国は先制不使用を明言しているが、核兵器を「潜在的な互角戦力を有する敵との対決で活用できる重要手段」と考えており、核戦力増強は軍事的近代化の中心となっているという。

 「このことは、米国にとってこの問題を難しくしている要因の一つでもある。核保有国が2つ集まり、潜在的な対立の中で戦うという事実は、非常に大きなものだ」とワッサーは言う。「CSISは、この問題をテーブルから取り除き、垂直的エスカレーションの機会を減らし、米国ができると感じたこと、中国ができると感じたことをゲームに反映させました」。

 限られたルールにもかかわらず、参加者は通常戦がどのように展開されるかから貴重な教訓を見出した。ランド研究所のマーティンは、ゲームの設定は、中国のような他の超大国との紛争において、消耗率が重要であるかを示していると、Breaking Defenseに語った。

 ゲームは続いているが、先週、Breaking Defenseが参加者と話をするまでに、明確な収穫があった。以下がその主な結果である。


戦闘開始前に、米海兵隊を事前配置できるかは「大きなif」だが、陸上からの艦船攻撃能力が大きな違いを生む

 Breaking Defenseが見たゲームでは、台湾に海兵隊沿岸連隊MLRがいることで、プレイヤーは紛争半ばでの補給任務の難しさに直面した。ゲーム終盤では、MLRの最大の貢献は、陸上対艦ミサイルで中国海軍を撃退することだった。ミサイルが足りなくなると、台湾地上軍を支援して、海岸に援軍のための安全地帯を作ったり、台北に進攻する中国を防いだ。

 同シンクタンクが行った他のゲームでは、米国は開戦前に台湾に海兵隊を配備することも、中国艦隊が台湾を包囲し始めたら上陸できなくなると想定し、台湾防衛で理想的と言えない状況を想定していた。



2022年7月27日、台湾・新北市で行われた中国人民解放軍の侵攻を想定した軍事演習「漢江」で、爆発が起きている。 (Annabelle Chih/Getty Images)


 CSISの上級顧問で、ウォーゲームを監督するマーク・カンシアンは、米国政府が開戦前に海兵遠征大隊MEBを台湾に配備することは「大きなif」であり、開戦後は「不可能だ」と指摘した。(マーク・カンシアンは、このゲームの裁定者であり設計者の一人であるマシュー・カンシアンの父親)。

 ほとんどのゲームでは、「挑発しすぎるから」米国が海兵隊の前線基地を作らない前提でシナリオが組まれている。

 「この24時間から48時間の出来事で、それが良い仮定だと確信した」と、マーク・カンシアンは先週、プレイヤーが地上戦シミュレーションに使う台湾地図を見ながら、Breaking Defenseに語った。「ナンシー・ペロシの台湾訪問が巨大な緊急事態を引き起こしたら...海兵隊旅団を動かすことで何が生まれるだろうか」。


中国侵攻は、台湾軍の配備が薄い南方から始まる可能性が高いが、米海兵隊と同様に、中国も水陸両用軍への補給に困難を感じる

 中国側の視点では、台湾侵攻を開始する上陸地点はプレイヤーの裁量に任された。カンシャン親子によると、台湾軍は北部の台北を守る体制が整っていたため、ほとんどのプレイヤーが南端を好んだ。北から攻め込んだプレイヤーもいたが、すぐ撃退された。

 「台湾は台北の周辺に多くの戦力を抱えているため、中国にとって最適なのは南方からの侵攻だ」と若いカンシアンは言う。

 しかし、南方侵攻も確実な戦略ではない。十数回の対戦で、赤軍が内陸進攻するのが難しかったのは、海戦と空戦が繰り広げられ、必要な補給能力が不足したためだ。

 戦略レベルでは、Breaking Defenseが見たゲームは、これまでのゲーム同様に進行していた。多数の中国の揚陸艦が沈められ、防衛力の低い飛行基地で米軍の数百機が破壊され、結局、アナリストが恐れる長引く血生臭い戦いが始まる素地ができた。


台湾を侵攻するのなら中国は軍隊を全面稼働させなければ、アメリカに圧倒される

 Breaking Defenseが見ていない、同じプレイヤーが参加した別のゲームでは、紛争は素早く、「壮大に」米国に有利に終わった。

 そのシナリオでは、中国は大陸を守るため部隊を保留する一方、台湾攻撃を開始するために限られた部隊を前進させた。問題は、米国が時間をかけずに戦術空軍を使い、可能な限りの水陸両用艦船を攻撃したことだった。



2022年7月28日、台湾・屏東で行われた中国人民解放軍(PLA)の侵攻を想定した軍事演習「漢江」で海を渡る台湾の水陸両用強襲車「AAV7」の操縦。(Annabelle Chih/Getty Images)



 米国が短時間で航空優勢を確保したため、中国の立場は急速に悪化し、米国は迅速な勝利を主張した。

 中国プレイヤーは「本土を守り、(港を)守ろうとした。まあ、中国がそんなことをしたら、顔面から転げ落ちるわけですが...1ターンのプレイで、中国は完全に敗北しました」とマシューは述べてる。


中国の揚陸艦隊が同盟国軍の目標となるのは確実。米国の潜水艦や戦術航空から揚陸艦を守れるかが、成功を左右する

 ワッサーはCNASのウォーゲーム専門家で8月4日にCSISのウォーゲームに参加し、レッドチームの一員として行動した。この演習で中国は、グアムや日本の米軍基地を突如空爆し、台湾へ水陸両用侵攻を開始する攻撃的な戦争計画を展開した。

 しかし、最終的には日米の潜水艦が中国の揚陸艦に反撃し、中国の陸上部隊戦力に影響を与え、台湾を支配しようと戦う地上部隊への補給にも支障をきたすことになった。

 最終的に、日本を攻撃するというレッド・チームの決定は、中国にとって破滅的となったかもしれない。米軍は、高度な能力と訓練された部隊を戦いに提供することを望む同盟国を得た。

 「日本を攻撃すると決めたら、日本全土を攻撃し、徹底的に叩きのめさなければならない。一度だけ攻撃して、自衛隊を投入して暴れさせることはできません」と、マシュー・カンシアンは日本との交戦を選択したことについて述べた。

 このゲームでは、3週間から4週間の戦闘をシミュレートしていているが、ゲーム終了時には、中国が米国の空母打撃群を撃沈し、台湾の約3分の1を保持することに成功し、双方に相当の損失が生まれた。しかし、中国は兵力補給ができず、米国がさらに兵力を地域に投入する構えを見せたため、こうした利益は最終的には短命に終わっただろうとワッサーは考えている。


核兵器は、全員の考え方を変える

 今年、台湾侵攻のシナリオを描いたシンクタンクは、CSISが初めてではない。今回のゲームでは、米国を演じる青チーム5人が、中国を演じる赤チーム5人による台湾占領を阻止しようとする。このウォーゲームは、「Meet the Press」の撮影で一度だけ実施された。

 CSISとは異なり、CNASではプレイヤーに核兵器の使用が認められており、それが両チームの行動を形成する上で強力な役割を果たした。赤チームの最初の動きは、「ウクライナでのプーチン大統領を見習った」もので、西側が台湾に関する「内政問題」に干渉することになれば、中国が核兵器を使用すると脅した。ブルーチームは、米国の核兵器の規模が中国の核兵器使用を抑止すると考えていたが、「中国政権を脅かす可能性のあるターゲットへの攻撃は避けるよう注意した」と、CNASはこのゲームに関する報告書で述べている。

 しかし、青チームはゲームの最後の一手で間違いが証明された。赤チームはハワイ付近で核のデモンストレーションを行い、人命が失われない程度に遠かったが、脅威の信憑性を示すには十分な距離だった。



2022年7月27日、台湾・新北市で行われた中国人民解放軍の侵攻を想定した軍事演習「漢江」で、CM-25装甲車を運転して道路を横断する台湾軍関係者たち (Annabelle Chih/Getty Images)


米国勝利に終わっても、別の場所の戦いで準備不足を露呈する可能性がある

 ゲームの仕組みに重要な違いがあるものの、CSISとCNASのゲームは非常によく似た結論を示しているとワッサーは言う。例えば、元米国インド太平洋軍司令官フィル・デビッドソンなど米国当局者は、中国が2027年までに台湾を侵略する能力を獲得することを望んでいると議員に警告したが、この時間枠で設定したウォーゲームは、中国が軍の近代化を計画通りに進めても、揚陸侵攻を行うことが困難であるのを浮き彫りにした。

 「そのため、2030年、2035年、あるいはそれ以降を視野に入れる必要があるかもしれません」とワッサーは言う。「とはいえ、中国にとって非常に難しい問題なので、おそらくもっと近いうちに、中国が他の形の強制力を行使できる事態を考える必要があります」。

 そのような事態には、台湾封鎖も含まれる。今月初め、中国が実践したシナリオでは、中国の艦艇と飛行機が台湾を包囲し、台湾の周辺海域にほぼ12発のミサイルを発射し、5発が日本の排他的経済水域に着弾した。

 両ウォーゲームとも、バージニア級攻撃型潜水艦を中心とする海中戦力の重要性を強調しており、中国の揚陸艦艇が陸上に兵員を展開する前に排除するために使用されるほか、長距離精密誘導弾を大幅に購入する必要があるとワッサーは指摘している。

 「台湾をめぐり米中が衝突するたびに、アメリカは優先弾薬を使い果たしています。十分な量がないのです」「紛争が長期化する可能性を考えれば、米側が戦闘初期にPGMを消費し、紛争が延々と続けば、我々にとってあまり良いことではないでしょう」。

 そして、その戦いが終わっても、まだ他の戦いが迫っているかもしれないと、マーク・カンシアンは言う。飛行機何百機が撃墜され、艦艇十数隻が沈む可能性があり、米国の前方兵力投射能力は大きく低下する。

 「生産レートが低いため、米国が戦力を再構築するのに何年もかかる。ロシアやイランなどは、米国の弱みにつけこむかもしれない」とカンシアンは言う。「さらに、高価な勝利は、米国国民を第一次世界大戦後のような孤立主義に向かわせるかもしれない」。

 2つのゲームのもう一つの共通点は、最終的な結果だ。中国が台湾全土の占領に成功する可能性は低いとはいえ、米中が長期戦に突入し、開戦後数週間で双方が装備と人員を大幅に失う、第二次世界大戦以降の紛争にはなかった壊滅的なシナリオとなる、という状況だ。

 「互角の戦力を有する相手と戦うのは、イラクやシリアでISISを爆撃し服従させたのとは信じられないほど違う。そして、米軍の作戦方法を変えるだけでなく、米軍のリスクへの考え方も変える必要がある」とワッサーは述べた。「大規模な人命の損失が発生し、海底に沈む船も出てくる。このような事態を目の当たりにする一般アメリカ市民にとっても、軍にとっても、アメリカ人の心理に大きな変化が生まれる」と語った。■


‘A bloody mess’ with ‘terrible loss of life’: How a China-US conflict over Taiwan could play out


By   JUSTIN KATZ and VALERIE INSINNA

on August 11, 2022 at 2:45 PM


コメント

  1. <中国は大陸を守るため部隊を保留する一方
    <本土を守り、(港を)守ろうとした。まあ、中国がそんなことをしたら、顔面から転げ落ちるわけですが...

    これが敵地攻撃能力の効能。何を攻撃したらどう、ではなく敵戦力を守勢に回す事が出来る

    返信削除
  2. ぼたんのちから2022年8月21日 22:37

    過去の非現実的な場面設定の戦争ゲームの結果と異なり、今回のCSISの戦争ゲームは、より現実的であり、ゲームの結果は、進行が未終了であるものの、より参考になると思われる。結果は、PLAの台湾侵攻の失敗であり、米海空軍の重い損害とPLANの壊滅であるようだ。
    米中双方の被害の大きさを見る限り、台湾侵攻は連続した激烈な戦闘になり、このような場面では偶然や想定外の事象により容易に一方が有利になることもあり、実際にはどちらが勝利と言えないと思われる。
    しかしながら、米軍により多くの勝利の機会があるようにも思える。
    米軍の勝利の近道は、戦争不可避の場合の大規模先制攻撃である。つまり、米国が「真珠湾」攻撃を行うことだ。これにより一気に有利な状況を作り出し、圧倒的な勝利を得て、早期終戦が見込めることになる。この攻撃は、中国内陸部深く侵入経路を形成できるかもしれない。
    米軍は、PLAよりもはるかに多い奇襲攻撃の機会があり、それを活かすべきである。正しく「兵は詭道なり」である。
    そして日本もまた奇襲攻撃の機会が多くある。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ