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ペロシ訪台への反応としてPLAが台湾領島嶼部の占拠に動く可能性。中共は米国が支援に動く可能性が低いと見込むはず。

 

 

Map depicting the Taiwan Strait that separated mainland China from Taiwan [Source: Ohio State University]

 

 

ンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問に対する中華人民共和国の反応は、台北への米国の外交的・軍事的支援拡大に対する北京の怒りの高まりを裏付けるものである。米国の指導者たちが、米国は依然として「一つの中国」政策を堅持しており、台湾独立を支持していないと主張するのと同様に、米国の行動(ペロシの行動はその最新の例に過ぎない)は、そうでないことを示唆している。中国政府は、ペロシが蔡英文総統と会談し、台湾立法府で演説を行ったことに特に憤慨している。

 

米国の連帯表明に反発する中国

今回のエピソードに対して、北京は直ちに対抗措置を取り、安全保障や気候問題での会談やその他二国間協力の取組みを中止または延期した。 さらに問題なのは、中国が台湾を包囲するように空海の大規模「実弾演習」を行ったことである。この演習は以前より規模が大きくなっただけでなく、台湾海岸にかなり接近して行われた。この演習の間、中国軍は台湾近海にミサイルを発射し、少なくとも1回は台湾上空にミサイルを飛ばした。68機の戦闘機と13隻の軍艦が、武力衝突を防ぐための台湾海峡の非公式「中央構造線」を越えた。中国当局は、今回の軍事演習は、米国と台湾の挑発行為が続けば、中国軍が効果的に台湾を封鎖できると確認したものだと主張している。

 今回の中国の対応は、北京の怒りと実質的な行動への決意の両方において、実質的で厄介なエスカレーションを示唆しているが、それでも派手な見せしめとポーズに過ぎない。 しかし、もし中国指導層が、ワシントンや台北が慎重であると確認できなければ、より思い切ったオプションを採用する動機付けになる。最も魅力的なのは、金門(ケモイ)、馬祖の両沖合諸島の奪取であろう。  

 

大胆な行動

このような行動は、台湾独立に向けた大胆な取り組みへのワシントンの支持を阻む北京の本気度と決意を、紛れもない形で伝えている。そのリスクは些細ではないが、過大なものでもない。 しかも、その見返りは相当なものとなる。

 1950年代の台湾海峡では、中国が台湾を占領するのではないかと懸念される大きな危機が2回あった。しかし、米中の軍事力の差は非常に大きく、中国は米国が壊滅的な対応をするリスクを負うことを望まなかった。しかし、今や米中間の軍事力の差は非常に大きく、世界経済における中国の重要性(多くの重要なサプライチェーンに関する重要な役割を含む)を考えると、ワシントンは中国に軍事力の行使をためらうだろう。特に、2つの小島を占拠しただけで介入すれば、それが台湾全面攻撃の前哨戦であることを示す証拠でもない限り、あり得ないことであろう。 

 

米中両国は強力な軍事力を持っている

1950年代以降、あるいは1990年代半ばの台湾海峡危機以降、二国間の軍事バランスは経済バランスと同様に変化している。北京は現在、洗練された一流の軍事力を自由に使えるようになった。特に海戦とサイバー戦における中国の能力には目を見張るものがある。過去数年間に米国防総省などが行った一連の戦争ゲーム・シミュレーションが示すように、米国は西太平洋で中国と空戦・海戦をすれば敗北の可能性が高い。

 金門と馬祖は中国海岸から2マイルしか離れていないため、台湾や米国が侵攻を防ぐことはほぼ不可能である。その後、占領軍を追い払う見込みはほとんどないにもかかわらず、中国軍を攻撃し危機を拡大させるかを決めるのは、米国に任されている。限定的な危機を北京との極めて危険な軍事的対決へ発展させるリスクと大きな潜在的不利益を、米国が受け入れる可能性は極めて低い。中国指導部もその現実を理解しているのだろう。

 中国の台湾に対する軍事的威圧は、台湾海峡や南シナ海にある台湾領有の小島を征服しようとする形で行われる可能性が最も高い。中国指導部は、台湾本体への攻撃は米国との戦争につながる可能性が非常に高いとを理解している。それに比して台湾の周辺領土への攻撃は、はるかにリスクが低い。このような動きは、金門と馬祖の奪取の代わりに、あるいはそれに加えて、プラタスや太平など、より実質的な占拠に向かう可能性がある。しかし、現状では、後者の目標にのみ焦点を当てることの方が可能性が高いと思われる。

 もし北京がそのような方針をとれば、ワシントンの不器用な政策が多くの非難にさらされよう。ペロシ訪台での台湾指導部との注目すべき会合は、一連の不必要かつ思慮の足りない米国の行動の中で最新のものとなった。こうした挑発行為はもはや容認できないと北京が近いうちにワシントンへ示したとしてもおかしくない。■

 

China Could Start A Mini ‘Island’ War With Taiwan

ByTed Galen CarpenterPublished48 mins ago

https://www.19fortyfive.com/2022/08/china-could-start-a-mini-island-war-with-taiwan/

 

Ted Galen Carpenter, a senior fellow in defense and foreign policy studies at the Cato Institute and a contributing editor at 19FortyFive, is the author of 13 books and more than 1,100 articles on international affairs. 


コメント

  1. ぼたんのちから2022年8月6日 19:41

    ペロシ訪台を口実とした、CCP/PLAの意図は、演習方法に象徴されていると考えるべきだろう。それは海空路を断ち、台湾を経済的、軍事的に包囲し締め付けることだ。この手の演習を繰り返すことでも、相当な損失とリスクを台湾や日本に与えることができる。その場合、これは実質的な戦争行為と成り得る。
    また、記事のように台湾周辺や台湾が支配している島嶼をそぎ取ることも十分あり得る。これはロシアが行ったクリミア奪取の手口であり、CCP/PLAの場合、その次は台湾本島と西南諸島かもしれない。
    このようなCCP中国の脅迫的状況のその後の展開を左右する最も重要な要素は、米政権の対応である。日本では力不足である。米国が、経済的か軍事的か強い対応策を採ると、その場ではCCP中国は引き下がるだろう。しかし、バイデン政権がそれを継続して行う保障は全くなく、演習は頻繁に繰り返すことになり、そうなれば台湾は白旗を掲げることになるかもしれない。これは習が狙うところだ。
    老いぼれバイデンは、その弱腰をすっかり習に見透かされてしまったようだ。バイデンが好む「緊張緩和」は、相手側のより強い圧迫手段を取らせることになっている。やれやれ。
    日本は、否応なしに戦争危機に嵌まりつつあることを自覚せねばなるまい。日本が単独で戦争等を抑止できる範囲を越えているのは明らかであり、米国などを引き摺りこんででも、CCP中国を抑止しないと第3次世界大戦は防げないのかもしれない。

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