ザワヒリ殺害の現場となったカブールの自宅と思われる写真と、アルカイダ指導者、空爆後に上空で目撃されたと思われるドローン via Twitter
アイマン・アル・ザワヒリを殺害した空爆作戦の成功で判明したことと分かっていないことをまとめた。
昨日、ジョー・バイデン大統領は、米政府が無人機による空爆を行い、カブールの隠れ家でアルカイダ指導者アイマン・アル・ザワヒリを殺害したと確認した。バイデン政権高官は、The War Zoneも出席した記者会見で、今回の攻撃とその計画についてさらに詳しく説明した。その他詳細も、他の場所で明らかにされた。
アルカイダ指導者アイマン・アル・ザワヒリが、同団体が2021年9月に9・11テロ事件から20周年を記念し出したビデオに映っている。サハブ/アルカイダ
同高官によると、空爆は現地時間7月31日午前6時18分(東部標準時7月30日午後9時48分)に行われた。機種不明の無人航空機が、3階バルコニーにいたザワヒリにヘルファイアミサイル2発を発射した。バイデン政権幹部は、アルカイダ指導者が殺害されたとき、無人機は中央情報局(CIA)の作戦統制下にあったとの報道を肯定も否定もしなかった。
7月31日にカブールの住宅を米国が攻撃したとタリバンが主張する写真が、昨日からネット上で出回っている。画像には、3階バルコニーに目に見える損傷がある。未確認情報だが、豪華な住宅で、パキスタンのアボタバドにあるウサマ・ビン・ラディンの屋敷に匹敵する。
米政府は、ザワヒリ近親者が住む家を狙った今回の攻撃で、他の犠牲者が出たと評価していない。同高官は、タリバンのシラジュディン・ハッカニ内相の義理の息子とその妻なども空爆で死亡したとする現地報道に異議を唱えた。
ネットに流れた写真で見られた建造物の被害が極めて限定的であること、ザワヒリ以外に犠牲者はなかったという米政府の主張から、従来型弾頭ではなく飛び出す剣のような刃を配列したR9X秘密バージョンなど、巻き添え被害の極めて少ない特殊ヘルファイアミサイルの使用を示唆している。また、ヘルファイアが発射されたという公式発表にもかかわらず、実際には空中発射ロイタリング弾など、専門的で精度の高い別の武器が使用された可能性もある。
また、ホワイトハウスは、米国政府は、空爆で死亡した人物がザワヒリであるというDNA証拠はないが、目視による確認含む各種情報源と方法で身元を確認したと発表した。故アルカイダ指導者を称える他のテロリストによる声明が公開され始めており、死亡を示す新たな証拠となっている。
政権高官によれば、ザワヒリは「米国の個人、利益、国家安全保障に対して活発な脅威を与え続けている」ため、攻撃を決定したという。「バイデン大統領が一貫して述べてきたように、アフガニスタンが米国人に危害を加える可能性のあるテロリストの安住の地となることは許さない。我々は土曜日の夜、その公約を果たした。
「そして、そうすることで、アフガニスタンに米軍が駐留し、危険な目に遭わなくても、指名手配中のテロリストでさえ特定し、居場所を突き止め、排除する行動を取ることができると示した」と政府高官は付け加えた。
同高官は、米情報機関がザワヒリを支援し、隠し続けてきたネットワークについて何年も前から知っていたと明らかにした。アメリカ当局は、昨年アフガニスタンで欧米支援を受けた政府が崩壊し、タリバンが政権奪回した後、アルカイダ指導者がアフガニスタンに戻った兆候を注意深く監視してきた。2021年8月にタリバンがカブールを占領し、米軍の最終撤退とあわせ外国人やアフガニスタン人の国外脱出を支援するための混乱した取り組みが続いていた。
ザワヒリの妻、娘、娘の子供たちが、ハッカーニ・ネットワークに所属するタリバンメンバーが管理するカブールの隠れ家に移されているという情報が今年初め浮上した。2019年時点で、アルカイダの声明によれば、家族はパキスタンの拘束下にあったようで、いつ、どのような状況で解放されたのかは不明だ。
ザワヒリ自身はその後、現地に到着したと評価され、家族やタリバンが彼の存在を隠す措置を取り、屋敷を出ることはなかったと伝えられている。ザワヒリは隠れ家からアルカイダ作戦を指示するビデオを撮影し、米政府関係者は彼の死後、さらなる録音が公開される可能性があると考えている。
米政府高官は、ザワヒリを隠し通す「策略」と表現したが、米情報機関は、攻撃計画に利用するためにアルカイダ指導者の詳細な生活パターンを確立できた。
「また、ザワヒリの家族を含む民間人へのリスクを最小限に抑えつつ、建物の構造的完全性を脅かすことなくザワヒリを殺害する作戦を自信を持って実施できるよう、隠れ家の構造と性質を調査した」と同政府高官は述べている。「我々は独立したアナリストのチームを招集し、隠れ家住人の身元をめぐるすべてのデータを検討した」。
「大統領はいつものように、(7月1日のザワヒリ攻撃案に関する)ブリーフィングに深く関わり、情報に没頭していた。大統領は、われわれが知っていることと、それをどのように知ったかについて詳しく質問した」と同高官は続けた。「重要なのは、情報機関が作成し、この問題のブリーフィングのためにホワイトハウスの状況調整室に持ち込まれたザワヒリの家の模型を綿密に検討したことだ。大統領は、照明、天候、建築資材など、この作戦の成功に影響を与え、民間人犠牲のリスクを減らす要因について説明を求めた。特に、この作戦がリスク最小化のためあらゆる手段を講じているかの確認に重点を置いていた。そして、その評価に自信を持てる根拠を理解したかった」。
作戦計画やその他の情報収集のために縮尺模型を使うことは、よく知られている。有名なのは、アボタバドでの急襲作戦の計画過程の一環として作成されたビン・ラディンの屋敷の模型である。
後のブリーフィングで、「巻き添えや民間人の犠牲を減らすオプションについて再度質問された。彼は、建物の3階にあるドアや窓の奥にある部屋のレイアウトについてもっと理解したかった」。
民間人の犠牲がバイデンにとって大きな懸念であったのは驚くには当たらない。2021年8月、米国の避難・撤退活動の末期に、またしても米国の無人機による爆撃がカブールで標的を完全に誤認し、米国の援助団体の現地職員1人と子供7人を含む9人の民間人が死亡する失態を演じている。2021年12月、ニューヨーク・タイムズ紙は、アフガニスタンだけでなく、イラクやシリアでの空爆による民間人犠牲を正確に評価する調査報告を発表した。このため、米軍が他の紛争地域でも引き起こしたとされる民間人犠牲の事例の調査を求める声が高まっている。
「また、6月と7月の間に、ホワイトハウスの状況調整室で主要人物と補佐官が何度も直接会い、情報状況を確認し、選択肢を十分検討し、リスクやコストをどう軽減するかを考えた」と、この政権高官は付け加えた。
政府高官は、「省庁間の上級弁護士が非常に緊密な連携のもと情報を精査し、作戦の法的根拠を確認した」と述べた。その法的判断、入手可能な情報、ザワヒリを無力化するすべての選択肢とそれに伴うリスク評価に基づき、バイデンの国家安全保障チームが、提案された攻撃の実行を満場一致で支持した。7月25日、バイデンは可能な限り早い機会に空爆を許可し、民間人が犠牲になるリスクを可能な限り最小化するためあらゆる努力が払われた場合のみ作戦を実行するとの具体的な指示を出した。
空爆計画には、他の間接的な要素に対する潜在的なリスクについての議論も盛り込まれた。二次的な影響へのの懸念には、2020年にタリバンが誘拐した米国人土木技師、マーク・フレリックスの継続的な安全についての懸念が含まれていた。また、過去20年間に米軍や米政府の他部門と協力し、現在はタリバンの報復のリスクにさらされているアフガニスタン人を国外に安全に移転させるため進行中の取り組みが中断される可能性や、将来の作戦遂行に必要な関連空域へのアクセスが失われる可能性も考慮された。
空域の確保については、空爆を行ったドローンがどこから離着陸したかは不明だが、アフガニスタンに到達するためには、少なくともパキスタンなど近隣諸国の空域を飛行しなければならなかったはずだ。ビン・ラディン襲撃のように、事前に該当国当局と調整を行わなければ、地政学的な摩擦が別途発生する、あるいはさらに悪化する危険性がある。
この点を考慮すると、政権高官が「カブールの地上には米軍関係者はゼロだった」としながらも、空爆でザワヒリ以外の人物が死亡したことの確認には「別の独立したチーム」が関与しているとした点が興味深い。AP通信は、CIAの地上チーム(現地人だけで構成されている可能性もある)と航空情報、監視、偵察部隊が空爆後の評価に関与していると報じている。
また、アルカイダ指導者が殺害されたと思われる家の写真とともに、無人航空機の奇妙な写真がネット上で共有されている。画像解像度が非常に低く、今回の空爆と関係があるのかは全く不明だが、機体の形状は、中国製の無人機「ウィング・ルーンII」の特徴的な主翼構成にほぼ似ている。パキスタンはWing Loong IIのオペレーターとして知られている。
ニューヨーク・タイムズ紙は2021年6月、CIAがアフガニスタン上空での将来の作戦を支援するため、パキスタン関係者と無人機基地を再整備する可能性を協議中と報じた。パキスタンのドーン紙はその後、同国当局が米国提案をはねつけ、代わりに「テロリストの標的に対する攻撃を実行する無人機の引き渡しを米国に要請した」と報じた。
昨日のブリーフィングでバイデン政権高官は、パキスタンやその他国がこの作戦に何らかの形で関与しているかどうか、またパキスタンの軍事情報局(ISI)がザワヒリ潜伏を助けたかについても言及を避けた。ISIは、タリバンやハッカーニ・ネットワークなどアフガニスタンの過激派やテロリスト集団とつながってきた歴史がある。
さらに、タリバンが、組織レベルで、ザワヒリのカブールでの存在について知っていたか、知らなかったかについて、大きな疑問が残る。バイデン政権高官は、ハッカーニ系のタリバンのメンバーは、空爆後、アルカイダ指導者の死と、彼の家族が建物にいることを隠そうとする措置を取ったと述べている。これは、昨日タリバン報道官が、当時未確認だった米国の無人機による攻撃が、ISISホラサン州またはISIS-Kとも呼ばれるアフガニスタンのISISの地元フランチャイズのメンバーを標的にしていたと示唆した声明とある意味で一致している。
しかし、政権高官はブリーフィングで、ハッカーニ系のタリバンのメンバーがザワヒリ匿護に積極的に関与していると述べただけだった。さらに、未確認情報だが、今は亡きアフガン軍で実質的に最後の指揮官で、現在はメリーランド州に住むハイバトゥラ・アリザイがThe War Zoneに語ったところによれば、アルカイダ指導者について米政府に密告したのは、実はタリバンの中の一派だとアフガン情報筋が伝えてきたという。タリバンが政権復帰して以来、ハッカーニ派を含む小集団間の内紛が報告されており、暴力的に発展している可能性がある。
国防情報局(DIA)のトップであるスコット・ベリエ陸軍中将 U.S. Army Lt. Gen. Scott Berrieは、6月にアフガニスタン復興特別監察官(SIGAR)に、「アルカイダは指導者の再結成に問題を抱えており、ある程度はタリバンがアルカイダの若返りを許さないという約束を守っていると思う」と語ったと、議会監査団が本日発表した報告書にある。ベリエがザワヒリのカブール滞在に関する情報を知らなかったということはありえないようだ。
元米国アフガニスタン特別代表ザルマイ・ハリルザドも「私が取引したタリバンは、彼がどこにいるか知らないと言った」と、2021年10月にCBSニュースに語っていた。さらに、その時点で彼とそのグループのメンバーとの間に信頼関係の欠如のようなものがあったと付け加えている。
アルカイダメンバーや同グループとつながりのある重要人物は、タリバンが支配権を取り戻して以来、アフガニスタンで自由に行動できるようになったことは確かだ。同時に米政府関係者は、「タリバンは、他のグループの過激派の動きを封じ込めるため、治安組織である情報総局(GDI)が主に実施している渡航・居住制限を利用している」「こうした努力は、TTP(Tehrik-i-Taliban Pakistan、別名パキスタンタリバン)やアルカイダなど一部グループに対して機能しているようだ」と見ており、新しいSIGAR報告書に書かれている。
タリバンはまた、2020年にカタールのドーハで米当局と結んだ協定に違反するとして、今回の攻撃を非難している。米政府は、ザワヒリがカブールにいることは、同協定でのタリバンの義務に違反すると言って反論している。バイデン高官は、マーク・フレリヒス解放を確保する努力の継続を含む様々な問題に関して、米国政府は同グループとの継続的な対話を終了するつもりはないと述べた。
バイデン政権は、ザワヒリの死で、米国への攻撃を含む世界的なアルカイダの作戦計画・実行能力を大幅に低下させると考えていると、同高官は昨夜のブリーフィングで述べた。現在、誰がグループのトップになるかは明らかではない。
今回の空爆が、米国のタリバンへのさらなる関与、タリバン内部の問題、そして新指導者を探すアルカイダの将来にどのような影響を及ぼすかは、まだわからない。■
How The CIA's Hit On Terror Kingpin Zawahiri Went Down | The Drive
BYJOSEPH TREVITHICKAUG 2, 2022 12:52 PM
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