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台湾はなにのために戦っているのか---蔡英文総統寄稿の2021年Foreign Affairs記事より

 

 

2015年9月、台湾・嘉義市での選挙集会での筆者 Billy H.C. Kwok / The New York Times

 

今回は昨年の寄稿ですが、蔡英文総統(大統領といったほうがいいのかも)のエッセイをご紹介します。日本人にも台湾の価値を真剣に認識させてくれますね。

台湾と民主主義のための戦い

国際秩序を変えるのは善の力だ

蔡英文

湾の物語は、民主的かつ進歩的な価値を維持しながら、その存在への絶え間ない挑戦に直面している国の回復力そのものである。台湾の成功は、優れた統治と透明性を特徴とする民主主義を断固実践すれば何が達成できるかを示している。

しかし、台湾の物語は、私たち自身の民主的な生活様式を維持することだけを意味するのではない。それは、台湾が地域と世界の安定を守る努力にもたらす強さと責任感についても言える。台湾の2350万人住民は、努力と勇気をもって、国際社会で自分たちの居場所を作ることに成功した。

COVID-19の流行から、権威主義政権は、自分たちの統治モデルが21世紀の要求に民主主義よりも適合していると、かつてないほど確信するに至った。このため、イデオロギーの対立が激化しており、台湾は対立するシステムの交差点に位置する。民主的で西洋的でありながら、中華文明の影響を受け、アジアの伝統を受け継ぐ台湾は、その存在と継続的な繁栄によって、中国共産党のシナリオに対する侮辱であると同時に、地域での野心に対する障害にもなっている。

台湾があきらめず、民主主義を受け入れ、国際機関から排除されても責任あるステークホルダーとして行動する姿勢は、新たなイデオロギーの衝突の最前線に立つ自由民主主義国家としての価値を世界に再認識させている。中国共産党の脅威が認識されるようになった今、各国は台湾との協力の価値を理解する必要がある。そして、もし台湾が没落すれば、地域の平和と民主主義的同盟体制に壊滅的な影響を与えることを忘れてはならない。そうなれば今日の世界的な価値観の対立において、権威主義が民主主義に優越すると示すことになる。

インド太平洋の未来

世界で最も急速に成長中のインド太平洋地域の行方が、さまざまな意味で21世紀を形作る。この地域の出現は、(貿易、製造、研究、教育などあらゆる分野で)無数の機会を提供する一方で、新たな緊張と体系的矛盾をもたらし、賢く対処できなければ、国際安全保障と世界経済に壊滅的な影響が生まれかねない。緊張をもたらす最大要因は、自己主張が強く、自信に満ちた権威主義の台頭であり、これは第二次世界大戦後、国際関係を規定してきた自由民主主義秩序に挑戦するものだ。

北京は台湾への野心を捨て去りはしなかった。しかし、長年にわたる中国軍への2桁投資、台湾海峡および周辺海域での拡張主義的行動により、北京は平和的解決へのコミットメントに代わり、ますます攻撃的な姿勢をとっている。2020年以降、人民解放軍の航空機や艦船は台湾海峡での活動を著しく活発化させており、台湾南部の防空識別圏にほぼ毎日侵入し、台湾と中国大陸の暗黙の中央線(海峡の中央を北東の日本の離島付近から南西の香港付近まで走る)を横断している。

台湾は、自由民主主義と権威主義の世界的な争いの最前線にいるのである。

このような憂慮すべき事態にもかかわらず、台湾の人々は、民主主義は譲れないと全世界に示している。人民解放軍の侵入が毎日のように繰り返される中、台湾は圧力に屈しないが、国際社会の支持を集めても冒険主義に走ることはしない、という両岸関係への私たちの立場は不変である。つまり、地域の安全保障の維持は、台湾の全体的な政府政策の重要部分であることに変わりはない。しかし、現政権が2016年以降繰り返してきたように、平等の精神で政治的前提条件なしに進められる限りは、北京との対話にオープンであることも表明し続けている。そして、北京政権に対する理解を深めるため多大な資源を投入している。これにより、誤解や誤判断のリスクを減らし、両岸政策で正確な意思決定を促進できる。私たちは、脅威と機会の両方を含む外部環境への明確な理解を維持しながら、台湾の課題に対応するため準備を確実に進めることを望む。

同時に、台湾は他の地域のアクターと協力し安定を確保することに全力を尽くしている。例えば、3月に台湾と米国は沿岸警備隊作業部会の設立に関する覚書に調印した。同部会は、米国と台湾の沿岸警備隊間のコミュニケーションと情報共有を改善し、海洋資源の保護や違法・無報告・無規制の漁業の削減など、共通の目標に向けた協力強化を促進するものである。このような理解は、インド太平洋地域の他のパートナーとの非軍事的事項に関する協力拡大の足掛かりとなるはずである。

台湾はまた、現在および将来の課題に備えるため、軍の近代化と再編成に向けた一連の取り組みを開始した。戦闘機などの伝統的なプラットフォームへの投資に加え、台湾は機動性ある陸上対艦巡航ミサイルなど非対称能力の整備にも大型投資を行っている。2022年には「国防総動員局」を発足させ、訓練と装備の整った予備軍が正規軍を確実にバックアップする軍事改革を行う。こうした構想は、台湾の自立と備えを最大化し、負担を支払う意思を示し、安全保障パートナーの支援を台湾が当然視しないことを示すものである。

At a Taiwanese military exercise simulating a Chinese invasion in Pingtung, Taiwan, May 2019

2019年5月、台湾・屏東で行われた台湾軍の演習 Tyrone Siu / Reuters

地域の安全保障に貢献する台湾の取り組みは、これにとどまらない。東シナ海や南シナ海、台湾海峡での武力衝突を防ぐため、近隣諸国と全面的に協力している。台湾は北日本からボルネオ島に至る第一列島線上にあり、この線が武力で断ち切られれば、国際貿易が中断され、西太平洋全体が不安定になる。言い換えれば、台湾防衛に失敗すれば、台湾人にとって破滅的であるだけでなく、70年にわたりこの地域の平和と並外れた経済発展を可能にしてきた安全保障の構造を覆すことになる。

台湾は軍事対立を望んでいるのではない。平和的、安定的、予測可能で互恵的な隣国との共存を望んでいる。しかし、もし台湾の民主主義や生活様式が脅かされれば、台湾は自衛のため必要なことは何でもするだろう。

台湾モデル

台湾の歴史は苦難と達成に満ち、歴史の著者は台湾の人々である。過去数十年間、私たちは逆境と国際的孤立を克服し、近代政治史上最も成功した民主的移行を成し遂げた。この達成の鍵は、忍耐力、機知、プラグマティズム、諦めない姿勢であった。台湾人は地域の微妙なパワーバランスと支援の必要性の両方を理解し、声高に主張したり冒険したりするより、現実的な協力の方が良い場合が多いこと、他者を挑発したり体制を押し付けたりするよりも進んで手を貸す方が良いことを心得ている。

台湾の人々が常にコンセンサスを得てきたわけではないが、時とともに集団としてのアイデンティティが形成されてきた。世界との交流の中で、私たちは自分たちの価値観を吸収し、それを地域の伝統に融合し、自由で進歩的な秩序と台湾人としての新しい感覚を作り上げてきた。

このアイデンティティの核となるのは、民主主義の受け入れであり、これは数十年にわたる権威主義的な支配の末に台湾人が選択し、戦ってきた事実の反映だ。台湾人が一度その選択をしたら、もう後戻りできない。不完全でも、民主主義は私たちのアイデンティティーの譲れない一部だ。この決意が、台湾に21世紀の挑戦に立ち向かう強靭さをもたらし、苦労して勝ち取った民主主義制度を損なおうとする内外勢力に対するファイアウォールを提供しているのである。

北京は台湾に対する野心を決して捨てていない。

この民主主義受け入れの根底には、台湾の将来は台湾人が民主的な手段で決定するものであるという確固たる信念がある。台湾人は、未来がどのようなものであるべきかという点では異なるが、民主主義と、私たちのアイデンティティを損ない、私たちが大切にしている生活様式を変えようとする外部の努力に対抗するための価値と制度へのコミットメントでは、一致している。私たちの大多数は、民主主義が台湾にとって最良の政治形態と考え、それを守るため必要なことを進んで行っている。信念は日々試されているが、台湾の存在そのものが脅かされるようなことがあれば、国民が立ち上がることに疑いの余地はない。

台湾では、市民社会が常に大きな役割を担ってきた。国民党による権威主義的な統治の時代には、檀会運動が戒厳令解除と台湾の民主化を推進し、戒厳令の解除に貢献した後も、政府権力に対する積極的かつ効果的なチェック機能を提供し続けた。今日、台湾の市民社会が統治に果たす役割の大きさは、地域のどこにも例を見ない。これは、選挙で選ばれた議員と市民の間の信頼関係の反映であり、その結果、選挙を通じて、あるいは選挙間の政策に影響を与えている。

台湾の市民社会は、台湾の国際的地位の確立にも不可欠であることが証明済みだ。台湾は国連をはじめとするほとんどの国際機関から排除されているため、孤立する可能性もあったが、台湾は国民の多大な創造力と能力を活用し、中小企業、非政府組織、さまざまな半公的団体を通じ、世界とのつながりを構築することを可能にした。多数国が台湾を公式に承認しないことは、障害となるどころか、非対称的な思考を強いられ、非伝統的なチャンネルを通じて世界との関わりを深めることで、台湾の存在を否定する努力に対抗することになった。

つまり、数十年にわたる孤立にもかかわらず、台湾国民は国際社会に自らの居場所を作ることに成功し、台湾そのものを経済大国に、そしてインド太平洋地域で最も活気のある民主主義国家のひとつに変身させたのである。

 

Getting vaccinated against COVID-19 in Taipei, Taiwan, September 2021

 

2021年9月、台湾の台北でCOVID-19のワクチン接種を受ける。Ann Wang / Reuters

 

ルールの変更

 

台湾は、その存在に対する並外れた挑戦にもかかわらず、自由民主主義国家として生き残り、さらに繁栄することができたが、これは国際関係の一般的なルールにとって重要な意味を持つ。国際社会でより有意義な役割を果たそうとする私たちの試みは、地域政治の変化という背景の下、自由主義的な国際秩序への強い挑戦と、その野心を行動に移す経済力・政治力に支えられて発展しているのである。このような権威主義的な野心がもたらす潜在的な影響に対する認識が高まるにつれ、より多くの国が、台湾との関わりについてこれまで想定し、課してきた制限を再検討することを望むようになってきた。

 

台湾は、経済大国と参加型民主主義国家としての進化を通じて、気候変動や新しい病気、核拡散やテロ、人身売買やサプライチェーンへの脅威など、地球規模で影響を及ぼす新たな課題の解決に貢献しようとしており、多くの意味ですでに役割を担っている。COVID-19の大流行は、世界が相互に結びついており、地球の片隅で病気が発生すれば、数カ月で大流行する可能性があることを示した。多くの場合、新たな緊急事態の発生と拡大のスピードは、国家や既存の国際機関の対応能力を超える。将来の緊急事態に備えるために、国際社会は現在の構造に固執するのではなく、むしろ包括的な方向へと進まなければならない。

 

昨年春にCOVID-19感染者が急増した台湾は、民主的なシステムがパンデミックに効果的に対応できること、人工知能、ビッグデータ、監視ネットワークの力を活用し、収集した情報を責任を持って活用できることを世界に示した。また、パンデミックは、台湾がその経験を世界と共有し、苦労している国々に待望の医療援助を提供する機会にもなった。世界保健機関(WHO)など国際機関から長い間排除されてきた台湾では、国際的なパートナーとの協力やコミュニケーションの方法を独自に開発するほかなかった。国連をはじめとする多国籍機関から排除されていることが、レジリエンスを高め、あらゆる種類の課題や危機に対処するための新しいアプローチに拍車をかけている。

台湾は冷遇されているにもかかわらず、気候変動枠組条約などの国際的なプロトコルを遵守し、国内法を改正し、複雑化する課題に対応するための独自の方式を模索してきた。また、台湾はパートナーと共に地域発展に積極的に取り組んでいる。2016年には「新南向政策」を打ち出し、南・東南アジアの国々やオーストラリア、ニュージーランドとの貿易・投資パートナーシップ、教育・人的交流、技術・医療協力を通じ地域の繁栄を促進している。また、台湾は経済界を通じパートナーに投資を行い、安全なサプライチェーンと地域発展を同時に促進している。

台湾が没落すれば、地域の平和と民主的同盟体制に壊滅的な影響を与える。

実際、台湾はハイテク産業のリーダーであり、教育を受け、グローバル化した労働力を持つことから、半導体、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーなど、国際協力がこれまで以上に必要とされる分野において、安全なグローバルサプライチェーンの構築に貢献できる立場にある。特に半導体産業は、グローバル・サプライ・チェーンを破壊しようとする権威主義政権の攻撃から自国と他国を守る「シリコンの盾」として重要な役割を担う。私たちは、地域のハイエンド生産ハブ構想により、グローバルなサプライチェーンの確保における台湾の役割をもっと強化し、グローバルなサプライチェーンにおける台湾の地位を確固たるものにしようと努めている。台湾はコンピュータ・チップ製造以外にも、高精度製造、人工知能、5Gアプリケーション、再生可能エネルギー、バイオテクノロジーなどの分野で活躍しており、人為的な混乱に耐えうる、より多様でグローバルなサプライ・チェーン構築に貢献している。

さらに台湾は、教育、公衆衛生、医療、自然災害防止など、さまざまな分野の専門知識と能力からソフトパワーを引き出している。これらの分野では、台湾の専門家や機関が地域的な役割を担う。例えば、台湾の大学は、地域の他大学と協力し、中国語教育を展開する用意がある。医療施設では、医療技術や経営に関する専門知識をアジア各地のパートナーと共有している。また、主要国との協力により、途上国へインフラ投資を行い、効率性を高めると同時に、グッドガバナンス、透明性、環境保護を推進する用意がある。同様の取り組みは、米国との協定を通じて、中南米や東南アジアでのインフラ融資、投資、市場開発に関する協力の強化となっている。つまり、台湾は、地域と世界の平和的発展と繁栄にとって重要な力となり得るのである。

民主主義の価値観

台湾は、自由民主主義秩序と権威主義的代案間の争いの最前線に位置し、世界の民主主義を強化する上で重要な役割を担っている。2003年、台湾は地域初の民主化支援・擁護のための民間団体「台湾民主基金会」TFDを設立した。米国の国家民主基金や英国のウェストミンスター民主基金に倣い、台湾民主基金会は国内外の民主的発展や人権を擁護する非政府組織に資金を提供する。また、参加型予算編成などのメカニズムを通じてガバナンスへの市民参加を促進し、毎年開催される「Asia Young Leaders for Democracy」プログラムなどの取り組みを通じ、若者の参加を促す活動も行っている。2019年、TFDは宗教の自由に関する初の地域フォーラムを開催し、台湾政府は宗教の自由に関する初の特命大使を任命した。

台湾は、民主主義、男女平等、報道と信教の自由に関する強力な記録で、アジアでますます厳しくなる環境に直面している、多くのグローバルな非政府組織の拠点にもなっている。国境なき記者団、国家民主主義研究所、国際共和国研究所、安全保障政策ヨーロッパ価値センター、自由フリードリヒ・ナウマン財団などが台湾に地域事務所を開設している。台湾では、当局による監視、嫌がらせ、妨害の脅威に常にさらされず、この地域で重要な活動を継続できる。また、インド・太平洋地域への進出を希望する国際機関にも便宜を図り、台湾を民主主義共同体の利益の推進拠点にしている。

長い間、冷遇されてきた台湾が、世界的な勢力になる準備が整ったといえよう。

一方、台湾、米国、その他のパートナーが共同で運営する「グローバル協力・訓練フレームワーク」GCTFは、世界各国との専門知識の共有を可能にし、法執行、公衆衛生、グッドガバナンスなどの問題に対する創造的な協力を育んできた。最近のGCTFの活動では、台湾が豊富な経験を持つメディア・リテラシーと民主国家が偽情報に対抗する方法に焦点を当てた。

過去5年間に台湾で開催されたGCTFのワークショップには87カ国から2,300人以上の専門家や政府関係者が参加し、今後も台湾と米国を含む世界各国との協力関係を強化するための場として拡大していく予定だ。台湾は、地域の平和と安定のために、多くの問題で米国と緊密に協力している。私たちは、米国や他の有志国と政治的・経済的に緊密なパートナーとして、より大きな責任を担っていきたい。

善のための力

権威主義的な体制がもたらす脅威は、民主主義国家に警鐘を鳴らし、自己満足からの脱却を促した。並外れた課題は残っているもの、世界の民主主義諸国は現在、その価値を守り、硬直化した制度を刷新するため努力している。同盟関係も国際社会の利益のために再燃しつつある。

台湾は領土では小さいかもしれないが、世界的に大きな存在感を示すことができ、この存在感が世界にとって重要であることを証明している。台湾は、存亡の危機に直面しながらも耐え抜き、インド太平洋地域にとって不可欠な存在となった。台湾の人々は、民主主義が永続的な道であり、唯一の選択肢であることを知っているのである。

過去2年間のCOVID-19パンデミック対応、世界各国への支援と協力は、台湾が果たすべき重要な役割と台湾が重要な理由あと示すもう一つの例となった。今後も、台湾のハイテク産業、特に高度な半導体の生産は、世界経済の原動力となることだろう。また、民主的な生活様式を守りつつ、さまざまな国との関係をバランスよく保つ台湾の能力は、この地域の他の国々を刺激し続けることだろう。

私たちは、決して挑戦から逃げなかった。世界は困難な道のりを歩んでいるが、台湾にはかつてないチャンスがある。特に、民主主義諸国が権威主義諸国との交際や貿易の必要性と、自国社会を定義する価値や民主主義の理想を守る必要性との間の適切なバランスを見出そうとする中、台湾が解決の一部とみなされるようになるはずだ。長く、冷遇されてきた台湾は、国際舞台でその能力に見合った役割を果たし、世界的な勢力になる準備ができている。■

Taiwan and the Fight for Democracy

A Force for Good in the Changing International Order 

By Tsai Ing-wen

November/December 2021

https://www.foreignaffairs.com/articles/taiwan/2021-10-05/taiwan-and-fight-democracy?check_logged_in=1&utm_medium=promo_email&utm_source=lo_flows&utm_campaign=registered_user_welcome&utm_term=email_1&utm_content=20220727

 

 

 


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