アーレイ・バーク級駆逐艦USS Prebleに搭載された新型レーザー指向エナジー兵器HELIOS(High-Energy Laser with Integrated Optical Dazzler and Surveillance)の外観と、システムのレンダリング。USN / Lockheed Martin
駆逐艦USSプレブルは、小型ボートや無人機などにダメージを与え破壊し、光学系を見えなくするHELIOSを搭載した海軍で最初の艦となった
米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦USSプレブルに、高エナジーレーザー・光学ダズラー・監視統合システム、HELIOSが搭載された。プレブルは、60キロワット級の指向性エナジーレーザー兵器HELIOSを装備した最初の艦となり、HELIOSはイージス戦闘システムに統合された。各種指向性エナジー兵器を装備した海軍艦艇はまだ少ないが増え続けている。
HELIOSの主契約者であるロッキード・マーチンは先週、プレブルへのシステム搭載を発表したが、同艦の公式Facebookページに掲載された写真では、その数週間前に搭載されていたことがわかる。同社は3月、バージニア州ワロップス島の射撃場で陸上試験を完了し、駆逐艦搭載に向けてプレブルの母港であるサンディエゴに輸送中と発表していた。
2022年7月、サンディエゴのUSS Prebleのピアサイド。HELIOSは、主上部構造のすぐ前のプラットフォームに搭載されている
USN
「ロッキード・マーティンと米海軍は、破壊的なレーザー兵器システムを開発提供する共通のビジョンと熱意を共有しています」と、ロッキード・マーティン アドバンスト・プロダクト・ソリューションズの副社長、リック・コルダロRick Cordaroは、8月18日のプレスリリースで声明を発表した。HELIOSは、将来の脅威を抑止し、乗員をさらに保護するため、艦の戦闘システム全体の有効性を強化します」。 「当社は、海軍の優先順位にカスタマイズされた拡張性のあるソリューションを提供する必要を理解しています」。
ロッキード・マーチンは、2018年にHELIOS関連の最初の契約を海軍から交付されたが、同システムは、同社での指向性エナジーの研究開発の長い歴史の上に構築されている。HELIOS含む運用可能なレーザー兵器のアイデア、数十年間ほとんどSFの領域だったを現実のものにしたロッキード・マーティンの成功については、過去のWar Zone特集で詳しく紹介した。
プレブルの新型レーザーは、もともと20mmバルカン砲Mk15ファランクス近接武器システム(CIWS)の搭載用に設計されたプラットフォームを改造し、艦の主上部構造の前方に設置された。Prebleのようなアーレイ・バーク級のフライトIIA派生型はこの位置にCIWSを搭載しなかったが、こうした艦は艦尾にCIWSを搭載している。
HELIOSはその名の通り、多目的システムだ。小型ドローンやボートなど、特定ターゲットにダメージを与えたり、破壊したりするのに十分な威力を発揮する。このように、HELIOSは限定的ながらCIWSの代替品となり、防御層を提供する。
また、このシステムは、敵の艦船や航空機の光学センサーや、飛んでくるミサイルなどの光学シーカーを見えなくしたり、混乱させる「ダズラー」としても機能できる。このように、HELIOSを使用することで、敵の攻撃や、相手の状況認識・監視能力を低下させることが可能だ。
最後に、HELIOSは独自の光学センサーを搭載し、主にレーザーのスポット、トラッキング、キューイングに使用されるが、二次的な監視の役割も担う。
アーレイ・バーク級駆逐艦に搭載されたHELIOSのイメージ図。 Lockheed Martin
プレブルなどのアーレイ・バーク級駆逐艦やイージス戦闘システム搭載艦で、HELIOSが高い能力と柔軟性を発揮することが期待されている。
ロッキード・マーチンの海軍水上作戦システム部長リッチ・カラブレースRich Calabrese は、昨年 The War Zone のインタビューで、HELIOS とイージス艦について次のように述べ ている。
「当社はイージス艦のマルチソースインテグレーション能力を継続的にアップグレードし、新しい武器やセンサーを導入し、ハードキルとソフトキルを協調させる検討をしています。直接エナジー兵器...私たちはすでに、ここニュージャージー州の研究所で、HELIOSレーザー兵器システムとイージス艦兵器システムのCSL(Common Source Library)を統合しています。実際、私たちは... 今レーザープログラムを管理している人... 最近イージス艦のコンピュータプログラムの制御下でレーザーを発射しました。HELIOSウェポンシステムと協力して、自動化された方法で武器の調整やハードキル、ソフトキルの調整を行う能力を構築しているのです」。
ロッキード・マーチンは、アーレイ・バーク級駆逐艦に搭載するため、少なくとももう1基のHELIOSシステムを海軍に納入する契約を結んでおり、最終的に各種艦艇に搭載される可能性がある。ロッキード・マーチンは、将来の能力向上を念頭に置きシステムを設計中で、レーザーの最大出力を150キロワットまで増加させる検討がされているという。
「HELIOSは、堅牢で強力なレーザー兵器システムの能力を段階的に提供するための強固な基盤となっています」。ロッキードマーチン・アドバンストプロダクトソリューションズ副社長リック・コルダロは、先週の声明でこう付け加えていた。
海軍は、HELIOSが、高出力マイクロ波ベースのシステムも最終的に含むよう設定しており、指向性エナジーの野望の一部に過ぎないことを明確にしている。過去には、海軍はこのシステムを、より大規模な水上海軍レーザー兵器システム(SNLWS)プログラム計画のインクリメント1として説明していた。
HELIOSであるSNLWSインクリメント1を含む、海軍の広範な指向性エナジーの野望を示すスライド。USN
海軍の広範な指向性エナジー兵器への取り組みの一環として、USSデューイやUSSストックデール含む他のアーレイ・バーク級駆逐艦では低威力の海軍用光ダズルインターディクタ(ODIN)を搭載している。HELIOSと異なり、ODINレーザーはダズラーとしてのみ使用可能だが、システム全体として二次的な監視能力も備えている。
サンアントニオ級揚陸ドック艦USSポートランドは、レーザー兵器システム実証機Mk2 Mod 0を搭載している。これは150キロワット級システムで、HELIOSに近い能力を持つが、威力はHELIOSが上である。
150キロワット級システムは、低空飛行中の巡航ミサイルや航空機、砲弾ロケットなど、より大型で複雑な脅威と交戦する扉を開く。今年初め、海軍はロッキード・マーチンと共同で、固体レーザー指向エナジー兵器が、亜音速巡航ミサイルを模した標的ドローンを撃墜できることを実証した。
この実験では、LLD(Laser Layered Defense)システムと呼ばれるレーザー兵器が採用され、ニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル発射場で実施された。
HELIOSは、2022年10月1日に始まる2023年度中にプレブルでの海上試験を開始する。HELIOS搭載駆逐艦が、いつ正式に運用能力を獲得することかは不明だ。
いずれにせよ、HELIOSがUSSプレブルに搭載されたことで、少なくとも1種類の指向性エナジー兵器を装備する海軍艦艦となった。■
Here’s Our First Look At A HELIOS Laser-Armed Navy Destroyer
BYJOSEPH TREVITHICKAUG 23, 2022 8:42 PM
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