今年の環太平洋海軍演習の計画者は、高殺傷力で、作戦を持続できる多国籍軍を作ろうと、大小の海軍に挑戦となるイベントを初めて挿入した。
進行中の演習を指揮する米第3艦隊司令官マイケル・ボイル中将Vice Adm. Michael Boyleは、リムパックの成功は、幅広いメッセージにあると語った。「自国国旗を掲揚するだけで、志を同じくするパートナーであり、自由で開かれた太平洋を目指す戦略的メッセージをもたらす」と、ディフェンス・ニュースのインタビューに答えている。
しかし、演習では戦術的効果を確認すべく革新的な作戦が登場している。
ロジスティクス
ボイル中将によると、今年導入の新作戦に、ロジスティクス関連のものがあるという。
オーストラリアとニュージーランドは、給油・補給船を参加させ、重要な初仕事となった。
ボイル中将は、「戦闘機の生産は簡単だが、維持する方法を考えるのは難しい」と述べた。「ロシアとウクライナの状況を見ると、国境を越えて軍隊を維持するため道路や鉄道が整備されているが、それでも本当に本当に困難だ」「海上で部隊を維持し、紛争環境で活動するということは、私たちだけで兵站能力を持てないことになる。T-AKE、補給艦、C-17、C-130があるし、各国に手段がある。しかし、すべての国が自国の補給手段を持ち込めることが重要なのです」と続けた。
ハワイ諸島沖の環太平洋地域(RIMPAC)2022年でカナダ海軍フリゲート「HMCSバンクーバー」(FFH 331)は、2022年7月22日、ニュージーランド海軍の補助油補給艦「HMNZSアオテアロア」(A 11)と3度目の洋上補給(RAS)を実施した。バンクーバーはカナダ艦船として初めてアオテアロアへRASを行った(Sgt. Ghislain Cotton/Royal Canadian Navy)
また、メキシコ海軍の目標も強調された。メキシコはリムパックのパートナー国の支援を得て、洋上給油方法を学びたいと考えている。
「艦艇が給油船の隣に着き、海上給油するのを当たり前だと思っています。「ずっとそうしてきたし、私たちにとってはチューインガムのようなものだ。でも、その能力がない国もある」。
ボイル中将は、メキシコ海軍のフリゲート艦ベニート・ファレスBenito Juarez艦長と話し、「もし彼らがハイエンド海軍になるつもりならそれができるように向上しならなければならないと断固主張した」と述べた。
ボイル中将は、8月上旬まで行われる演習の終わりまでに、ファレスJuarezが海上給油を行うかはわからないと述べた。しかし、艦艇を不快なほど接近させ、給油完了まで同じ速度と方向で接近航行する海上給油に取り組む予定はあるという。
提督は、フアレス乗組員に海上給油とまではいかなくても、少なくとも油送船との接近をやってほしいと言った。「何かを達成した誇りをもって帰国し、それを活かして、自分たちの海軍に、これはできる、これはできるようにならなければいけない、と言ってほしい」。
殺傷力
ボイル中将は、今回の演習では、海軍統合部隊の殺傷力を高めるため対話や実演も行われていると述べた。リムパックの恩恵として、沿海域戦闘艦タルサを挙げ、その恩恵をリムパック参加国と共有したとボイル中将は指摘した。
LCSは、対艦ミサイルなしで建造された。リムパック2014ではネイバルストライクミサイルを実演し、リムパック2016ではLCSがコンテナ型ランチャーから対艦ミサイル「ハープーン」を撃った。最終的に海軍は、殺傷力を高めるため、LCS全艦にコンテナ型ネイバルストライクミサイルを搭載することに落ち着いた。
「他国と話していると、艦載対地ミサイルが本当に必要なのに、それがないと言うのです。そこで、そういえば、LCSも搭載されていなかったね。でも、今はあるんです、というのだ」とボイル中将は言う。
マレーシア海軍のコルベット「レキール」は7月12日、環太平洋2022演習で、水上標的に対する戦術、照準、実射の習熟を目的とした沈没演習で、米海軍の退役フリゲート艦「ロドニー・M・デイビス」にエクゾセミサイルを発射した。 (Royal Malaysian Navy photo by courtesy asset)
中将は、艦艇の武装化を検討中の国としてペルーの例を挙げ、タルサを訪れ、艦艇にミサイルランチャーをボルトで取り付けるのがいかに簡単であるか、乗組員から話を聞くよう提案した。「この方法で他国に輸出できるはず」。
ボイル中将は、2015年に海軍が推進した「分散殺傷能力」に言及し、リムパックでのタルサは、他国海軍が少ない予算で艦船の殺傷力を強化するために同じ解決策を検討するきっかけになると述べた。
ボイル中将は、敵艦を沈める方法は多数あり、洗練された方法もあるが、リムパック2022の沈没演習はそれらすべてを促進するものだという。「新しいのは、敵艦を標的とする多くのユニークな方法と、ハイエンドとローエンド双方のキルチェーンを同時に行うことです」と、彼は今年の演習内容について述べた。
「ハイエンドとローエンドのキルチェーン統合は、新しい試みだと思います」(ボイル中将)。
退役艦の撃沈演習を7月12日に環太平洋2022で行う前、哨戒飛行隊(VP)10と4の航空兵器担当隊員がAGM-84Dハープーンミサイルを米海軍P-8Aポセイドンに固定した。(MC1 Brandon Vinson/U.S. Navy)
ハイエンドのキルチェーンへ到達するには、優れたネットワークと無人システムの統合が不可欠だ。
ボイル中将は、リムパックの利点の一例として、チリ海軍がNATO開発の安全な無線システムLink 22に移行したことを強調した。
「桟橋でフランスとカナダの向かいに係船していた。フランスとカナダはLink 22の創設メンバーなので、両国がチリにLink 22とその仕組みについて説明しました」(ボイル)。「戦術だけでなく、問題を解決の手助けをすることが重要なのです」。
環太平洋地域(RIMPAC)2022のオーストラリア、カナダ、マレーシア、米国の軍隊は、7月12日、海上での水上標的に対する戦術、照準、実弾射撃の習熟を目的とした撃沈訓練(SINKEX)で、退役した元USSロドニー・M・デイビス(FFG60)に発砲、撃沈した。(U.S. Navy courtesy asset)
適切なネットワークが構築されれば、リモートセンシングやターゲティング能力を持つ無人システムを統合できる。今年のリムパックでは、人道支援から実戦訓練まで、有人・無人のハイブリッド部隊が史上初めて実証を行ったという。
「データをもとにキルチェーンを完成できます。搭載センサーを使わず、いかに生存能力を維持するか。これらは、リムパックで行っている実験であり、最終的に殺傷力を高め、生存率を上げるため行っています」。「レーダーを使わずにキルチェーンを完成できれば、ハイエンド戦で生き残る可能性が高くなります」(ボイル中将)。■
At RIMPAC 2022, new efforts to boost sustainability, lethality of combined force in the Pacific
Jul 29, 05:07 AM
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