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ウクライナがHARMをどう運用可能にしたか不明だが、同ミサイルの投入でロシア防空体制への影響は必至。戦況の変化にも繋がりそうな大きなインパクトがある。

 

USAF

 

敵レーダー破壊用のAGM-88HARMミサイルの残骸がウクライナで発見され、同兵器がどう使用されているのか説明を試みる

 

 

国は今のところ、対ロシア戦のため空から発射された「対レーダーミサイル」数量不明をウクライナに供与したと確認しただけだが、ロシアの陣地に見つかった残骸は、AGM-88高速対レーダーミサイル(HARM)だと強く示唆している。そこで、この西側レーダー殺し兵器がどのように機能し、特にウクライナ空軍でどのように使用される可能性があるのか、詳細に見てみる価値がある。

 AGM-88のような対レーダーミサイルは、主に敵の防空システムに属するレーダーアレイから放射される無線周波数に照準を合わせ、それを破壊または無効化する。敵の防空網の扉を破るだけでなく、搭載機や護衛機の自己防衛にもつながる重要なツールだ。

 

 

ドイツ・シュパングダーレム空軍基地で、不活性AGM-88高速対放射線ミサイル(HARM)をF-16ファイティングファルコンに搭載する米空軍兵器搭載クルーチーフ U.S. Air Force photo by Senior Airman Kyle Cope

 

HARMは、テキサスインスツルメンツ(現レイセオン)の一部門が、ベトナム戦争で敵の防空を抑える「ワイルドウィーゼル」作戦の教訓から、第一世代のAGM-45シュライクを開発したのが始まりだ。同兵器は、実用化が早すぎたため、急速に発展するコンピューター技術を活用できず標的の大まかな位置を「記憶」できなかった。  交戦中のレーダーが停止すると、レーダーが復帰しても、シュライクミサイルはコースを外れ弾道弾になってしまった。海軍の地対空ミサイルから開発されたAGM-78 スタンダードARMは、より洗練され、後期型では簡単なメモリー回路を持つようになった。このため、発信源が停止しても目標に飛翔し続けることができた。しかし、AGM-78の欠点は、その巨大さとコストであった。

 

 

東南アジア戦線でF-105Gサンダーチーフが搭載したミサイル。すぐ後ろにあるのはAGM-78スタンダードミサイル。U.S. Air Force

 

 

1980年代半ばに登場したAGM-88HARMは、汎用性を高めるため再プログラム可能な広帯域シーカーヘッドや、レーダーターゲット、特にアンテナへのキネティックキルの達成確率を高めるタングステン合金キューブの爆砕弾頭など新機能を導入した。その名が示すように、速度も重視し、オペレーターがオフラインにする前に敵送信機に命中させる確率を高めるため、速度を利用した。

 ロックオンしたミサイルのシーカーは、敵レーダーの位置を記憶し、敵がレーダーを断続的にシャットダウンしても、ターゲットを攻撃できる。HARMは秒速0.5マイル以上、マッハ2以上の速度で目標に迫り、敵のレーダーオペレーターに反応できる時間は残されない。

 

 

上からAGM-88 HARM、AGM-45 Shrike対レーダーミサイル、AGM-65F Maverick赤外線誘導弾。U.S. Air Force

 

AGM-88は、米空軍のF-4Gワイルドウィーゼルに搭載された後、後継機のF-16CJに引き継がれ、現在も敵の防空の制圧破壊(DEAD)任務に従事している。その他、HARMを搭載した戦闘機としては、A-6イントルーダー、A-7コルセアII、EA-6Bプロウラー、EA-18Gグローラー、F-15Eストライクイーグル、F/A-18ホーネット、スーパーホーネット、EA-18Gグローラー、欧州パナビアのトーネードがある。

 

 

砂漠の嵐作戦でイラクの標的を攻撃し、紅海の空母USSジョン・F・ケネディ(CV-67)に帰還中の米海軍のA-7E3機が砂漠上空を通過している。手前の機体は、外側主翼のパイロンにAGM-88 HARMを搭載している。Records of the Office of the Secretary of Defense, 1921-2008

 

1986年、地中海のシドラ湾上空でカダフィ大佐率いるリビアとの戦闘で、HARMが初めて使用された。

 AGM-88は、全長13フィート8インチ、発進時の重量は800ポンド近くあり、後部固定フィン(最近ウクライナで浮上した残骸に見られたもの)と制御可能な中間セットフィンを備える。機首のパッシブ・レーダー・シーカーは広帯域レーダー周波数をカバーし、レーザー近接信管はターゲットから最適距離で弾頭を爆発させる。オリジナルのミサイルの公称最大射程は、最適高度から発射した場合、約75マイル(約8.5km)ほどだ。

 HARMは地上発射も可能で、これまでも検討されてきたが、昨日、コリン・カール米国防次官(政策担当)Colin Kahl, U.S. Under Secretary of Defense for Policyは、ウクライナに納入したARMは、既存の航空機の一部から発射可能と明らかにした。もともと空中発射が前提の設計のHARMを採用する際のアドバンテージになる。高速飛行する航空機からAGM-88を発射すれば、運動性能が向上する。つまり、長距離で攻撃ができ、より高速で飛行するミサイルは、レーダーが停止する前に交信する可能性が高くなる。また、発射後の軌道を高くすれば、敵防空網がある地域上空でミサイルを最大活用できる。

 空中発射式のARMのもう一つの大きな利点は、高高度から航空機のセンサーとミサイルのシーカーが、脅威の発信源の存在と大まかな方向、場合によっては正確な位置情報を検出できる点だ。

 ウクライナ空軍が長年目指してきた、ロシアの地上配備型防空システムを劣化させる能力を向上させるという点で、ここまでは良い。

 しかし、AGM-88がどのようにウクライナの航空機に搭載されたかは、まだ不明だ(これが関係する兵器であることを示す証拠は確かにある)。ウクライナの戦闘機では、MiG-29フルクラム、Su-24フェンサー、Su-27フランカーなどが候補に挙がる。

 しかし、ウクライナ戦闘機はいずれもソ連時代の機体であり、NATOと互換性のある近代兵器を使用する基本的なバス・アーキテクチャ含む適切なインターフェイスがない。もともと搭載する設計でないプラットフォームに精密兵器を迅速に統合し、ある程度の成功を収めたことが注目に値する。

 私たちは以前、HARMの基本機能は、電子タブレットのような連携インターフェースを活用すれば、ウクライナ戦闘機にも比較的簡単に実装できると推測していた。ミサイルを吊り下げるパイロンさえあれば、この方法で理論的にはソビエト時代の武器インターフェースをバイパスできる。そして、Bluetoothのような接続で、パイロットはコックピットからミサイルを操作できるかもしれない。しかし、HARMを基本モードで使用するためには、その必要さえないのかもしれない。

 オリジナルのHARMは、3つの主要な動作モードを備えているが、すべてのバージョン(AGM-88AからDまで)がすべてのモードを備えているかは、不明だ。

 

編集部注:これは一般的な概要に過ぎない。HARMの機能と使用方法には、基本的なモードの説明を超える複雑さがあり、兵器の世代、使用するプラットフォーム、使用する戦術により異なる可能性がある。

 まず、自己防衛モードだが、これは脅威を検知した航空機がHARMを発射するものだ。通常、敵防空網の近くを飛行しているときに、地上レーダーが出力を増加し、機体や他の友軍機をロックオンしてしまうことがある。通常、航空機は機内の脅威受信機により、敵対的なレーダー信号を警告される。この脅威受信機は、基本的なレーダー警告受信機、F-16 のHARM ターゲティングシステム(HTS)、高度に統合された現代の「デジタル」防御スイートなどの特殊装置である可能性がある。

 

 

第35戦闘航空団所属のアメリカ空軍F-16Cファイティングファルコンが、三沢基地上空を訓練飛行している。このワイルドウィーゼルは不活性HARMを搭載し、エンジンインテークにHTS(HARM Targeting System)を装着している。Photo by Jake Melampy

 

この種のセンサーは、最初の電磁シグネチャーを検出し、位置を特定し、分析し、敵対的か、どのようなレーダーが関係しているかを判断する。AGM-88は、敵防空システムが攻撃を成功させる前に、速度に頼り発信源と交戦するために発射される。

 自己防衛モードは、パイロットに警告を発するNATO標準システムに依存しているため、ウクライナにはこのオプションはないようだ。そして、パイロットがHARMの発射を指示するためには航空機とミサイル間にウクライナにはないシームレスなインターフェイスが必要だ。

 第二に、HARMはTarget Of Opportunityモードで使用できる。この場合、AGM-88のシーカー自体がターゲットを検知し、レーダー放射が脅威と判断されれば、パイロットがミサイルを手動で発射する。

 この方式でも、ミサイルとコックピット内のパイロット間にNATO標準のインターフェイスが必要になるが、ウクライナ空軍の機体には、アップグレード機も、現在のところ存在しないと判明している。とはいえハードアップグレードやタブレットPCのような従来と異なるセットアップで、回避策が展開されている可能性がある。

 

 

2015年、スタロコスティアンティニフでのウクライナ空軍Su-24Mフェンサー。この攻撃機は以前、ソ連時代のARMを使った防御抑制機能を持っていたが、現在もその能力がどの程度あるのかは不明。Chris Lofting/Wikimedia Commons

 

3つ目は最後に、HARMが機体から離れる前に、特定の脅威、あるいは潜在的な脅威、脆弱性のあるエリアまで飛行する「先制モード」だ。

 この先制シナリオでは、ミサイルは「ブラインド」で発射され、通常より長距離で、「ハングタイム」を最大にするためロフト軌道を使用し、飛行中に目標を捕捉することを目的とする。

 その結果、強力な(非常に一時的ではあるが)防護傘を、特に危険な中を飛行する航空機編隊に提供できる。HARM複数を発射すれば、味方攻撃機が防空圏内に入るのと同時に目標上空に到達させることができる。  HARMを間隔を空けて発射すれば、(特に電子攻撃と併用した場合)短時間の防御に役立つが、経済的負担がかかる。2020年、The War Zoneが米国の空中発射弾のコストを調べたとき、最新の(そしてより高度な)AGM-88G Advanced Anti-Radiation Guided Missile-Extended Range(AARGM-ER)の単価は614万9000ドル(約7億円)だった。

 しかし、このような先制的なSEAD戦術は、1991年のイラクに対する砂漠の嵐作戦や、連合軍作戦で広く用いられた。イラク地上防空網の射程内に味方攻撃機がいる限り、防空網が脆弱になるため、優先度の高い攻撃パッケージでこうしたミサイルが大量に発射された。    HARMは、飛来する攻撃機の上に投下され、飛行中に地上のレーダーのスイッチが入ると、それに反応して攻撃できる。HARMの発射は、通常「マグナム」という簡潔なコードで無線で知らされ、敵対するレーダーの多くを沈黙させるのに十分だった。これは、SEADミッションセットの古典的な目標だ。

 

事前ブリーフィングを受けた攻撃では、最も基本的な形態のミサイルは、航空機が地上にいる状態でプログラムでき、シーカーは特定のターゲットタイプに調整され、座標がロードされる。

 HARMがウクライナにとって実用的な選択肢となるのは、まさにこの機能で、必要最小限のハードウェアの改造とコックピットの統合だけでよい。

 欠点は、ウクライナのシナリオでは、コックピットのインターフェイスが充実していないため、ミサイルは地上でのみ目標座標をロードでき、飛行中は座標更新ができないことだろう。そのため、パイロットは急にあらわれる脅威を処理したり、飛行中の状況変化に対応できない。

 一方、事前にブリーフィングを受けた上での攻撃は、ウクライナ空軍に高い生存能力をもたらす。技術的に可能としても、自己防衛モードや機会目標を採用すると、AGM-88を搭載した航空機は、ミサイルの射程距離を優先する事前ブリーフィング攻撃と比較すれば、地上防空システムにより接近する必要があるだろう。電子戦の自己防衛システムが非常に限られるため(これはロシア側によく知られている)、航空機はロシアの防空オペレータの面前で脆弱になる可能性がある。

 

これに対して、先制的なプレブリーフィングモードでHARMを使用すれば、発射機とターゲット間の距離を最大化にできる。このエリアには「ブラインド」で飛行し、シーカーは飛行中に可能なターゲットを探す。適当な標的が見つからなければ、ミサイルは自爆する設定にできる。実際、ウクライナで見つかったミサイルの残骸は、この運命をたどったのかもしれない。

 HARMの新型は、AGM-88Dのように、プレブリーフィングモードなど、他の利点もある。旧型は慣性誘導方式で大まかな目標地点まで飛んでいくが、アップグレード版AGM-88DはGPSがINSナビゲーションシステムと連動している。

 これにより、最終的にはエミッターがない静止ターゲットにも命中させることができるようになる。防衛制圧の観点からは、GPSの搭載で、より正確に目標地点まで誘導し、射程距離内にあるエミッター含む目標に照準を合わせることができるようになる。移動式の地対空ミサイルでも、放射していれば安全とは言えないが、GPSがあれば、静止中の地対空ミサイルでも、放射が止まっていれば破壊できる。これは、プリブリーフィングモードで事前にアップロードされた座標のセットでしか機能しないが、他モードでは、エミッターの明確なジオロケーションがHARMに渡されれば、エミッターが暗転しても攻撃を続行し、移動しない限りそのターゲットに近いところにヒットできる。

 AGM-88E AARGMのようなAGM-88最新型は、性能向上に加え多くの機能を備えている。性能向上の中心は、新しいマルチモード誘導システムだ。GPS支援慣性航法システムにより、目標地域に到達し、ミリ波レーダーで目標が停止し信号を発しなくても正確に位置を特定し、接近できる。つまり、ターゲットが静止中の場合だけでなく、移動中にも、正確に命中できる。

 AARGMは、長射程AARGM-ERとして開発が進められており、地上発射型のベースにもなっている。

 結局、ロシア軍はこれまでウクライナ(およびその国境付近)で、レーダー殺傷専用のミサイルで攻撃される心配はほとんどなに、地上型防空システムを運用できた。

 この地上防空システムは、ウクライナ軍の固定翼機、無人機、ヘリコプターに多大な被害を与えてきたと言われている。このような「キル・ゾーン」にHARMを先制的に撃ち込めば、その地域に向かってくる友軍機、さらには無人機をある程度保護でき、またスタンドオフ・レンジでレーダーをターゲットする方法としても有効であろう。

 AGM-88があれば、ウクライナは前線に近い場所でHARMの有効範囲を確立するなど、空戦でよりリスクを負うことも可能になる。ウクライナ空軍は、時間をかけてロシアの地上防空網の撃退を望んでいるだろうが、それまでは、特定作戦のための防御的なカバーや、既知のエミッターに対する高確率の射撃を目指すと思われる。このような戦術は、前述のウクライナの高度な電子戦自己防衛システムの欠如を考慮すれば、一層重要となる。

 ウクライナがHARMの攻撃目標をどのように見つけるかだが、プレブリーフィングモードを使えば、それほど難しいことではなさそうだ。正確な座標も必要だが、地上防空システムが稼働している大まかなエリアを把握し、そこに向けてAGM-88を発射すれば十分だろう。この場合、HUMINT(ヒューミント)情報があれば十分だろう。

 

航空機、無人機、地上に各種の電子支援装置(ESM)およびレーダーホーミング・警告受信機(RHWR)を配備し、脅威発信源の場所情報の提供も可能だろう。

 また、米国など第三者によるスタンドオフ電子情報により、より広範な標的データが提供されている可能性もあり、特定システムが作動する場所をウクライナ空軍に知らせることも可能だろう。

 ウクライナがHARM攻撃計画中にロシア刺激するため何らかのデコイを使用している可能性もある。

 このように、ウクライナは対レーダーミサイルを受け取っており、それがHARMである可能性が高いことは分かっているが、それがどのように、どれくらいの期間使用されているかについては、多くの疑問が残っている。また、ミサイルを操作するパイロットや地上技術者の訓練の問題や、それがどこで行われたかも不明だ。

 HARMの存在は、ロシア地対空ミサイルシステムで運用方法に変化をもたらす可能性がある。少なくとも、HARMの脅威により、ロシア防空レーダーはより頻繁にオフラインにされ、最終的には、長距離システムは前線から遠く離れた場所に置かれることになるはずだ。

 これまでロシアは比較的自由にウクライナの支配地域まで対空ミサイルの傘を広げ、ウクライナ機に危険すぎる空域を作ったり、超低空飛行を余儀なくさせてきた。HARMの登場は、この状況を覆す可能性があり、ひいては空戦の今後の展開に大きな影響を与えるそうだ。■

 

 

How Ukraine Could've Quickly Put AGM-88 Anti-Radiation Missiles To Use

BYTHOMAS NEWDICK, TYLER ROGOWAYAUG 11, 2022 4:49 PM

THE WAR ZONE


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