DF-26は最大2,500マイルの射程と4,000ポンドの積載量を有する。衛星照準により、理論上はDF-26は西太平洋全域のアメリカ海軍の軍艦を攻撃できる
中国の「空母キラー」ミサイルは、米海軍の空母を中国沿岸に近づけず、艦載機による中国空爆を困難にする主要兵器として、見出しをここ数年飾っている。
DF-26ミサイル
DF-26ミサイルは、中国が数回にわたり試射し、米軍の空母を破壊する能力を示し、空母を「撃退」するとの不吉な警告を発してきた。DF-26は、中国で最も強力な対艦ミサイルだ。全長46フィート、重量44,000ポンド。
DF-26
ワシントンDCの戦略国際問題研究所は、「DF-26は『モジュール設計』で、ロケットに核弾頭2種類と数種類の通常弾頭を搭載できる」と解説している。
DF-26の射程は最大2500マイル、積載重量は4000ポンドで、衛星で誘導すれば、理論上は西太平洋全域の米海軍艦艇を攻撃できる。「中国内陸部から発射された場合でも、DF-26は南シナ海をカバーするのに十分な射程距離がある」と数年前に環球時報に語る匿名専門家がいた。
しかし、米海軍高官のコメントをよく読むと、議論の余地があるようだ。この種の脅威の深刻さを疑問視する人は確かにおらず、中国の兵器が真剣に受け止められているのは明らかだが、空母と空母打撃群の防御が着実に進歩していることを考えれば、脅威に関する表現の一部は「誇大表現」とされるかもしれない。
「空母キラー」について質問された海軍高官は、この脅威を否定はしないものの、米海軍の空母は「攻撃するために必要な場所ならどこでも活動できる」と極めて明快に述べている。
当然ながら、保安上の理由から、艦船防御に関する多くの具体的な情報は得られないが、海軍は、多くの「層状」艦船防御技術が急速に成熟していると公言している。攻撃用または防御用の艦載レーザーが登場し、飛来するミサイルを追跡して「焼却」または「無効化」することができ、新しい EW アプリケーションで「ベアリングライン」を検出したり、ミサイルの誘導システムの電子署名を追跡してその飛行軌道を「妨害」したりすることができるほか、 MQ-25スティングレイ艦載無人給油機で艦載攻撃機の飛行距離を伸ばす事が可能となる。
海軍のHELIOS(High-Energy Laser with Optical-dazzler and Surveillance)は現在、アーレイ・バーク級 Flight IIA DDG 51駆逐艦に搭載されており、さらに陸上と海上でテストと評価中だ。
また、現在、陸上および海上での試験を実施中で駆逐艦が、敵ドローンを光速で正確に焼却し、衝撃を与え、燃やし、あるいは無力化する能力が実現する。
レーザーは、静かで、低コストで、拡張性があり、正確であるだけでなく、さらに重要なのは、光速で発射される。新技術が海戦の領域に入り、戦術方程式が大きく変化するにつれ、迅速さは海洋戦でますます重要なものとなっている。
HELIOSのようなレーザーは、光学要素も充実しており、センサーとしてターゲットを追跡し、監視任務を支援できる。
レーザーは、甲板上の砲を補い、精密誘導技術で狭い目標エリアをピンポイントで狙うことができるため、場合によっては水上軍艦が敵陣に完全に接近することも可能になる。
ノースロップ・グラマンがSurface Electronic Warfare Improvement Program (SEWIP) Block 3主契約者だ。SEWIP B3は、インバウンド脅威を突き止め、妨害し、混乱させることにとどまらず、敵の通信ネットワーク、データリンク、レーダーシステム、その他の電子ソースに攻撃作戦を可能とする電子攻撃兵器で、高度な攻撃的電子攻撃能力と将来的に電子戦を情報作戦(IO)と統合する能力などを追加することでEW技術を進化させた。
SEWIPブロック3は、現在、海軍のDDG-51クラス駆逐艦への搭載をめざし、今後数年で運用開始する予定であると、ノースロップは説明している。また、海軍の新型フリゲート艦も高度なEWシステムを搭載できる設計だと、海軍関係者はWarriorに語ってくれた。
SEWIP ブロック 3 の EW システムは、アクティブ電子走査アレイ(AESA)集合体16基を使用し、ターゲットに「ペンシル」ビームを放射する。ノースロップグラマンの陸上・海上センサー担当副社長であるマイク・ミーニーMike Meaneyは、SEWIPブロック3開発の初期段階について、Warriorインタビューで、「AESAの利点の1つはペンシルビームを生成できることです」と答えている。「ペンシルビームは狭く、焦点が合っているため、軌道が速く進むにつれて、必要な場所にのみエネルギーを投入できます」と答えた。将来のコンセプトは、IOとEWを合成して、重要な情報収集技術をEW攻撃および防衛システムと接続することだ。そのため、継続的なソフトウェアのアップグレードと脅威の監視が必要だという。
EW兵器は、狭い範囲の信号を発信することで、探知性を大幅に低下させ、その結果、位置を明らかにする可能性を低くできる。当然ながら、電子放射が大きく広ければ、それだけ敵に発見されやすくなる。
これらの要素に加え、よアップグレードされた従来型「キネティック」ディフェンスや迎撃手段の包囲網が、襲い来る攻撃を排除する能力を実現する。迎撃ミサイルは、艦載レーダーや射撃管制装置と連動し、敵の対艦ミサイルや弾道ミサイル、航空機を撃破する設計だ。艦船搭載型迎撃ミサイルは、駆逐艦や巡洋艦の垂直発射システムから発射され、「階層化」防御を実現する。SM-3は最も射程の長い迎撃ミサイルで、長距離弾道ミサイルや最終段階に近づくICBMも追尾でき、特に射程を伸ばし誘導システムを改善した最新のSM-3 IIAで能力はさらに向上する。
SM-3
DF-26は、アメリカのSM-6に対し脆弱となる可能性がある。迎撃ミサイルSM-6は、理論上、発射直後、中国のミサイルが上昇し速度を上げている段階と、DF-26が目標に向かい弧を描いて降下する終末期の2段階でDF-26への攻撃が可能だ。SM-6のソフトウェアがアップグレードされ、「デュアルモード」シーカーが改良されたことを考慮すると、この実現性は高い。同ミサイルは飛翔コースを調整し、機動できるようになり、中国の対艦ミサイルを追跡し、破壊するのに適した能力を実現したといえよう。
また、SM-6は、「NIFC-CA(Naval Integrated Fire Control - Counter Air)」海軍ネットワークシステムにより、「レーダーの地平線の彼方」からくる巡航ミサイルを迎撃できる。このシステムは、E-2DホークアイやF-35などの空中ゲートウェイを「ノード」として使用し、艦載レーダーでは探知できない距離の水平線外から接近する脅威を探知し、脅威データを艦載司令部にネットワーク送信、または送信し、司令部は遠隔地点からSM-6を発射し脅威を除去するのがねらいだ。このシステムは非常に効果的だと証明されており、海軍はNIFC-CAを攻撃用にも開発中である。このシステムは、これまで到達できなかった距離から移動目標を正確に発見し破壊する能力を備える。
また、米海軍艦艇は、ESSM(Evolved Sea Sparrow Missile Block II)迎撃兵器を搭載しており、これは、地表と平行に低空を飛行する巡航ミサイルを迎撃する「シースキミング」モードで作動できる。SM-2、シーラム、ローリング・エアフレーム・ミサイル(RAM)は、接近した脅威を攻撃できるが、一部は大型対艦ミサイルを完全破壊するには不十分だ。しかし、敵の小型ボート、ドローン、ヘリコプター、軍艦、さらには銃弾、ロケット弾、砲弾などを標的にできる可能性が高い。艦船の防御で最も近いのは、近接武器システム(CIWS)で、ファランクス迎撃砲は、1秒間に数百発の小型金属弾を発射し、エリアを抑圧、防御射撃で「包囲」できる。CIWSは1B型にアップグレードされ、飛来する航空脅威を破壊するだけでなく、小型ボートなど水上脅威を排除できる。■
AUG 15, 2022
Kris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven - the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
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