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2025年10月14日火曜日

極超音速兵器を搭載した駆逐艦と潜水艦がハワイへ再配置される(USNI News)―

 

真珠湾基地の改装が完成すればズムワルト級駆逐艦3隻がそろいます。同級は形こそ変われ当初の構想通り画期的な対地攻撃力を提供し、中国をにらむことになりますね。

USS Zumwalt in Pearl Harbor

2019年真珠湾の埠頭に接岸するミサイル駆逐艦USSズムウォルト(DDG 1000)。(米海軍写真:マスコミュニケーション専門士官2等ジョナサン・ジャン)

真珠湾施設の改修・近代化工事により、ホノルル海軍基地は極超音速兵器を装備したズムウォルト級駆逐艦3隻と最大3隻の極超音速兵器装備ヴァージニア級原子力攻撃潜水艦の受け入れに向け準備している。この動きは、中国との潜在的な戦争を見据えた米海軍の極超音速装備戦闘部隊の大規模な再配置だ。

2028年半ばからハワイを母港とする新型艦艇・潜水艦に対応するため、合同基地パールハーバー・ヒッカム全域で近代化作業が進行中である。

海軍施設建設司令部(NAFVAC)によるパールハーバー・ヒッカム統合基地での建設作業は、ズムウォルト級駆逐艦とヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦の配備・修理に必要な係留スペースと乾ドック能力を整備する。

M1、M2、B26、B24各埠頭の近代化により、2028年半ばに配備されるズムウォルト級水上戦闘艦全艦の収容スペースと電力需要が満たされる。共同基地における乾ドック作業と整備を支援する追加建設も、今後数ヶ月以内に開始される見込みだ。

汎用岸壁1/2は既に、ズムウォルト級に必要な4160ボルト電力供給要件に対応するため電気設備のアップグレードを実施中である。5月には海軍施設工兵・遠征戦術センター(NAVFAC EXWC)の移動式ユーティリティ支援装置(MUSE)変電所が同岸壁に設置された。各岸壁は最終的に恒久設置型の4160ボルト電力供給能力を備える予定である。

2025年4月21日、ハワイ州パールハーバー・ヒッカム統合基地での現地視察において、ハワイ海軍施設工兵司令部(NAVFAC)が、P-8014U埠頭M1/M2陸上電力配電プロジェクトの進捗状況をNAVFAC太平洋司令官ジェフ・キリアン少将に説明している。本プロジェクトの目的は、JBPHHのジェネラルバース・マイク1において、移動式ユーティリティ支援装備(MUSE)への電力供給およびDDG 1000ズムウォルト級駆逐艦などの将来プラットフォームへの陸上電源供給を実現する電気インフラを整備することである。(米海軍写真:アンナ・マリー・G・ゴンザレス)

艦艇支援のための追加工事は2026年3月に開始され、艦艇がハワイに到着する2028年6月の完成を予定している。

「戦時における艦隊即応能力を維持するため、DDG-1000級に十分な信頼性のある電力を供給するには、既存の陸上電源のアップグレードが必須である。DDG-1000級艦は2028年半ばまでに当施設に到着する。したがって、本プロジェクトはそれまでに完了し、使用可能でなければならない。」

米国海軍

NAVSEA(海軍海上システム司令部)は、真珠湾海軍造船所(PHNSY)における3隻のズムウォルト級艦艇の維持管理・近代化・乾ドック入渠を支援可能な請負業者向け情報提供要請書で建設要件を明示した。関連作業は契約締結時期である2026年末に開始予定。請負業者は、同艦級向け予備部品及び調達期間の長い資材を保管する施設の開設・改修を含む。

NAVSEAは、2028年半ばまでに3隻全ての母港変更を支援できる施設と請負業者の整備を求めている。

現在、2隻のズムウォルト級駆逐艦が米海軍の通常弾頭即時打撃(CPS)極超音速ミサイル配備に向け近代化中である。3隻目は2026年にミシシッピ州パスカグーラのハンティントン・インガルズ・インダストリーズ社で近代化作業に入る予定。

先頭艦であるUSSズムウォルト(DDG 1000)の作業は2026年5月までに完了する見込みであり、USSリンドン・B・ジョンソン(DDG 1002)の作業は今年初めにハンティントン・インガルズ・パスカグーラで乾ドック入りした際に開始された。

Hypersonic CPS

2024年1月から10月にかけてUSSズムウォルト(DDG-1000)で行われた極超音速ミサイル統合作業の詳細を示すNAVSEA写真。撮影:筆者

ズムウォルト級駆逐艦は3隻で合計36発のCPSミサイルを搭載し、沿岸陸上攻撃能力を提供する。これは現行の他の兵器システムでは実現できない能力である。対艦能力のための終末誘導装置統合に向けた開発作業は進行中である。

3隻全てに新たな信号情報収集システム、新型海軍データリンクプラットフォーム、領域防空能力のためのSM-6統合が施される。米海軍は同級駆逐艦を「現行能力と比較して、より長射程、より短飛行時間、敵防空網に対する高い生存性を備えた独立した前方展開攻撃プラットフォーム」と位置付けている。

真珠湾はまた、造船所インフラ近代化計画の一環として、2030年までにヴァージニア級攻撃型潜水艦を追加配備する。艦隊によると、パールハーバーに移管される潜水艦のうち2~3隻はヴァージニア・ペイロード・モジュール(VPM)を装備し、各艦に追加で28発のトマホーク巡航ミサイルまたは12発のCPSミサイルを搭載可能となる。

VPMを装備したブロックVヴァージニア級SSNは、合計28発のトマホーク巡航ミサイルまたは12発の通常弾頭即時発射型極超音速ミサイル(CPS)を配備可能となる。

「2030年までに、真珠湾を母港とする潜水艦の大半はヴァージニア級となる見込みだ。母港配備にはブロックVヴァージニア・ペイロード・モジュール(VPM)搭載型潜水艦2~3隻が含まれる予定である」

米海軍原子力潜水艦アリゾナ(SSN 803)は、VPM搭載型ヴァージニア級攻撃型潜水艦の1番艦として2027年の就役を予定している。続いて「バーブ」級(SSN 804)が配備される。「アリゾナ」は1941年の真珠湾攻撃で沈没した戦艦「アリゾナ」(BB-39)に因む。「バーブ」は第二次大戦で大西洋・太平洋戦域で敵艦17隻(太平洋では空母1隻を含む)を撃沈した伝説的潜水艦「バーブ」(SS-220)に因む。

前述の米海軍計画に基づけば、両艦ともハワイを母港とする可能性が高い。

追加のヴァージニア級潜水艦需要に対応するため、米海軍はドック3の近代化とドック5の建設を進めており、これによりヴァージニア級の全ブロック型および次世代攻撃型潜水艦(SSN(X))の整備が可能となる。改修が行われなければ、PHNSYはヴァージニア級攻撃型潜水艦の整備に対応できない。近代化により、真珠湾に配備されるヴァージニア級攻撃型潜水艦の全ブロック型に対し、中間整備およびデポレベル整備の要件を満たすことが可能となる。

2030 年までに、 CPS を装備した艦艇および潜水艦少なくとも 5 隻がハワイに配備されることで、米海軍の主要な時間的制約のある攻撃部隊の大半は、戦時シナリオで中国に対して行動を起こす態勢が整い、サンディエゴを母港とする艦艇や潜水艦に比べ、インド太平洋への移動時間を数日間短縮できる。■


Hypersonic-Armed Destroyers and Submarines are Relocating to Hawaii

  • Published on 11/10/2025

  • By Carter Johnston

  • https://www.navalnews.com/naval-news/2025/10/hypersonic-armed-destroyers-and-submarines-are-relocating-to-hawaii/

  • カーター・ジョンストン

  • カーター・ジョンストンは、ジョージ・ワシントン大学エリオット国際問題大学院の 2028 年卒業予定の 2 年生です。ワシントン D.C. を拠点としています。彼の関心分野は、米国の造船所インフラ、米海軍および海兵隊の継続的な近代化の取り組み、そして国内外でそれらの成功につながる政治です。

2021年12月8日水曜日

真珠湾攻撃から80年。知られざるK作戦は世界初の長距離爆撃に成功したものの、日本海軍の運命を決する結果を生んでしまった。

MAX SMITH/WIKIMEDIA COMMONS

保存展示されている二式大艇(H8K)の威容 

 

本が80年前真珠湾を攻撃し、米国は第二次大戦に参戦を余儀なくされた。以後連綿としてその日の攻撃は米国民の琴線に触れる記憶となっている。

 

1941年12月7日の奇襲で米太平洋艦隊の戦艦部隊は大損害を受けたが、日本帝国はこれで十分とは見ていなかった。知名度は低いが日本は三カ月未満で次の襲撃を敢行し、この際は大型飛行艇川西H8Kを投入した。当時最新鋭の機材を投入し、その時点で最長の爆撃行に踏み切ったのだ。

 

12月7日攻撃直後の効果には大きなものがあり、日本帝国海軍(IJN)は太平洋艦隊の戦艦8隻すべてに打撃を与え、二隻を破壊、残る各艦も当面行動不能にした。物資面の損害以外に米国民2,400名超が殺害された。

 

米国を大戦に巻き込んだ日本はその後もアジアの制覇に乗り出し、米太平洋艦隊は弱体化し、日本の動きを阻止できない状態だった。

 

ただし、真珠湾の海軍基地の損傷度合が限定的なものに留まっていたと急速に判明した。合計21隻の艦艇に何らかの損傷を与えたものの、大部分は修復可能だった。また艦船攻撃に集中するあまり、艦艇整備施設はほぼ無傷で残った。基地内の燃料貯蔵分もそのままで、太平洋艦隊の空母部隊は当時湾内にいなかった。.

 

そこで1942年3月、IJNは二回目の真珠湾奇襲攻撃を実施する準備を整え、K作戦と呼称した。なお、12月7日のミッションはZ作戦とされた。

 

今回の作戦は進行中の基地機能再開と整備作業を止めることにあり、IJNに対抗する米太平洋艦隊にさらなる打撃を与えることにあった。同時に真珠湾の情報収集もめざした。

 

Z作戦の先鋒は空母部隊と大小の潜水艦部隊だった。K作戦はずっと小ぶりで、爆弾搭載の飛行艇を投入した。川西H8K連合軍名称エミリーが選ばれた。

 

航空史家レネ・フランシロンが「第二次大戦中の飛行艇で最も傑出した機体」としたH8Kは最新鋭の機体だった。試作型の初飛行が1941年1月にあったばかりで、同年後半に量産化が決まった。真珠湾第二次攻撃には最適の機材と判断されたのは長大な航続距離のためで、機内に最大4,400ポンドのペイロードがあることも理由とされた。同機を使い、カリフォーニア空襲も企画されたが実施されなかった。

 

真珠湾第二次攻撃では長距離性能が前提で、往復4,800マイルの行程となった。これだけの長距離爆撃を可能とした機体はそれ以前は存在しなかった。成功すれば同様の攻撃で米海軍の戦闘力を削ぐはずだった。

 

H8Kは機体サイズにもかかわらず、敵戦闘機の攻撃を受けても生存する性能をその後発揮した。驚くほどの操縦性があり、かつ防御兵装は強力で、20mm機関砲5門、0.303口径機関銃4門を配置した。

 

当初は8機をK作戦に動員する予定だったが、結局投入できたのは2機にとどまった。横浜海軍航空隊の機体でマーシャル群島ウォッジェ環礁を1942年3月4日離水した。一号機は橋爪寿夫大尉が指揮をとり、二号機には笹生庄助少尉が機長となった。各機には550ポンド爆弾4発が搭載され、真珠湾の艦艇ドック上空から投下を目指した。特筆すべきは同型機が実戦に投入されたのはこれが初めてだった。

 

両機は1,900マイル飛行しフレンチフリゲート礁に着水した。ホノルル北西560マイル地点だ。同地は北西ハワイ群島に属し米国領だったが、遠隔地で無人のためIJNが停泊地に利用していた。ここで飛行艇は燃料補給のため待機していた潜水艦二隻に合流した。日没後に飛行艇部隊は離水しオアフをめざした。

 

実際に12月7日に先立ち、米暗号解読部門は日本軍がフレンチフリゲート礁を利用した燃料補給活動を計画していることをつかんでいた。だが真珠湾攻撃前に入手したその他情報内容と同様にこれも無視された。

 

WIKIMEDIA COMMONS

全行程4,800マイルのマーシャル群島からハワイへの航路

 

日本軍も利用可能な情報の不確かさに直面していた。米側の天候情報は解読でき、真珠湾上空の気候状況は把握できた。だが米側が暗号を変更したことで情報は入手できなくなり、H8K部隊は悪天候の中を飛行せざるを得なくなった。

 

米側に情報面の落ち度はあったものの、ハワイから200マイル地点で飛行艇部隊は米レーダーに捕捉され、P-40戦闘機部隊がスクランブル出撃した。日本機にレーダーは搭載されておらず、敵機の接近を知ることはなかったが、厚い雲と暗闇に紛れ、飛行艇部隊はオアフ上空15千フィートに3月4日早朝に到達した。

 

夜間と悪天候がIJN機を助けたが、同時に搭乗員が投下目標を視認するのに苦労した。月光に助けられたが、ハワイは灯火管制下にあり、あてずっぽうに頼るしかなかった。真珠湾付近にIJN潜水艦イ23を配備し飛行艇を誘導するはずだったが、同艦は消息不明となっており、当日も利用できるか不明だった。

 

飛行艇搭乗員は爆弾を投下したものの、このような状況では運に頼るしかなかった。橋詰機の爆弾はホノルル郊外の山麓に落下し、高校校舎の窓が飛散したが人身被害は発生しなかった。

 

笹尾機の爆弾は水面を叩いたようで、同機は攻撃開始後に一号機と連絡がとれなくなった。

 

爆弾投下後の二機は南西に進路を取りマーシャル群島へ向かった。笹尾機はウォッジェ環礁に帰還したが橋爪機はフレンチフリゲート礁から離水時に損傷を受け、同じくマーシャル群島のジャルート環礁に向かった。

 

空襲は長距離爆撃ミッションとしては成功したといえ、両機は生還できた。このため、日本側は宣伝工作に利用できると考え、真珠湾に大打撃を加え、米側の人的損失も甚大と発表した。

 

だが実際の軍事成果はとるにたらないもので、ミッションは想定したのと反対の効果を生んでしまったのである。

 

次の攻撃が3月10日実行されたが悲惨な結果に終わった。橋爪機はミッドウェイ礁付近で海兵隊戦闘飛行隊VMF-211のブリュースターF2A-2バッファロー戦闘機により撃墜されてしまった。

 

米太平洋艦隊の再建を阻止する狙いと裏腹に、一回目の空襲で米側はハワイの警戒態勢をさらに強化してしまった。IJN強襲部隊は迎撃されなかったが、レーダー解析結果から各機がフレンチフリゲート礁で燃料補給を受けたことが判明した。米海軍駆逐艦が付近を航行中で日本軍の動きを監視するよう指令を受けた。

 

その一か月後に米軍も長距離爆撃ミッションを実施し、B-25爆撃機の16機がUSSホーネットから日本本土を空襲した。1942年4月18日の「ドゥーリトル空襲」の真価は米国が日本心臓部を攻撃したことで日本側に衝撃を与えたことにある。

 

米側が攻勢に転じたことで日本は大きな賭けにでざるを得なくなり、ハワイ群島を占領し、米海軍空母部隊を撃滅し、米軍の侵攻を阻止する決意に出た。

 

ハワイ方面の次の手がミッドウェイ島で、米海軍とIJNは1942年6月に雌雄を決する海戦を展開した。これが太平洋での戦争の転回点となったと一般に見られている。

 

話には皮肉な展開があり、太平洋で戦ったH8Kについてワイアット・オルソンはStars and Stripes記事で、ミッドウェイ開戦に先立ち、同飛行艇が米空母の偵察任務についたが、ハワイ空襲後のフレンチフリゲート礁は米海軍の監視対象となり、飛行艇の利用ができなくなったため、IJNは貴重な情報が入手できなくなったと記した。実施可能ならば、ミッドウェイで待ち伏せる米空母の位置が判明していたはずで、結局米海軍は日本空母4隻全部を沈めることができた。

SAN DIEGO AIR AND SPACE MUSEUM ARCHIVE

陸上に上がったH8K

 

こうして真珠湾第二次攻撃はIJN敗北につながる展開を開始する結果を生み日本帝国の野望は消え去ったが、H8Kは終戦まで投入された。

 

米PBYカタリナ飛行艇や英ショートサンダーランド飛行艇のように生産数は多くなかったが、H8Kは優秀な性能を示した。合計167機が生産されたが、兵員輸送など無駄に性能を使ったのは、戦況が日本に不利になったためだ。

 

今日、軍用飛行艇の姿はアジア太平洋で限定的に見ら得る。新明和工業が現在もUS-2水陸両用機を海上自衛隊向けに製造しているが、同社は川西飛行機のH8Kの流れを受け継ぐ企業だ。

 

米軍ではここにきて水陸両用機への関心が高まっており、80年前には想像できない展開だ。米空軍特殊作戦軍団の高官が岩国基地でUS-2を視察したのは、MC-130輸送機の水陸両用版の実現に同軍団が注力しているためでもある。

 

U.S. AIR FORCE/1ST LT RACHAEL PARKS

海上自衛隊が米空軍特殊作戦軍団副司令、海兵隊岩国基地司令とUS-2の前に並んだ。 November 9, 2021.

 

IJNによる真珠湾への長距離爆撃ミッションを覚える向きは少ないが、広大な太平洋では飛行艇の運用はまだ終わっていない。■

 

Flying Boats Flew Japan's Little-Known Follow-On Raid On Pearl Harbor

 

The second attempted attack on Pearl Harbor indirectly changed the course of the war in the Pacific.

BY THOMAS NEWDICK DECEMBER 7, 2021

 

Contact the author: thomas@thedrive.com