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5月, 2022の投稿を表示しています

ハープーン沿岸防衛巡航ミサイルを発注する米海軍。仕向け先はウクライナか台湾か気になる。

  米海軍航空システム本部(NAVAIR)は、ハープーン沿岸防衛巡航ミサイル(HCDCM)の生産について、 ボーイング と協議開始の意向を明らかにした。 2 022年5月30日付の米国一般調達庁の公示によると、海軍航空システム本部の精密打撃兵器プログラムオフィス(PMA-201)は、基本発注契約(BOA)に関しボーイングと単独交渉し、固定価格(FFP)で発注を出す意向とある。   この契約は、パートナー能力構築(BPC)の支援として移動式沿岸防衛巡航ミサイルの設計、製造、試験、納入を提供するものだ。  「本契約は、連邦調達規則(FAR)サブパート6.302-1で実施される10 U.S.C. 2304 (c)(1) の法的権限の下で、単独調達で進められており、供給元は1社のみで、他社では要件を満たさない」。 トラックトレーラーから発射される陸上用ハープーンミサイル。 ハープーンはどの国に納入されるか? 今回の発表には、どの国が沿岸運用ハープーンミサイルを受け取るのかは示されていない。ただ、発注は、「パートナー能力構築」の一環で、安全保障協力を通じあらゆる能力を支援するプログラムだと示されている。  既報の通り、米国国務省は台湾に対し、RGM-84L-4ハープーン沿岸防衛システムおよび関連機器を最大100基、概算費用23億7000万ドルで外資系軍事売却(FMS)する可能性を承認している。  一方、米国はウクライナに対し、ロシアの海上封鎖に対抗するため、ハープーンまたはネイバルストライクミサイルといった新鋭対艦ミサイルで支援する意向を表明している。  第3の顧客の名は出ていないので、おそらく台湾かウクライナのどちらかに用意されるのだろう。Naval Newsでは、この件で進展があれば報告する。 US Navy to order Harpoon Coastal Defence Missiles from Boeing - Naval News Tayfun Ozberk  30 May 2022   AUTHORS Posted by : Tayfun Ozberk Tayfun Ozberk is a former naval officer who is expert in Above Water Warfare especially in Littoral Water

バイラクターTB2は「適正技術」の装備品への関心を各国に高めそう。ハイテク装備でなくともうまく使えば効果的になる実証がウクライナ戦だ。

  ウクライナ空軍のバイラクターTB2 無人機   ウクライナで高い効果をあげている装備品に、戦術的無人航空機システム「TB2」がある。開戦以来、ウクライナ空軍は同機で戦術的心理的に大きな効果を発揮している。     バイラクターTB2の特徴と兵装   バイラクターTB2は、トルコ製の戦術用無人航空機システムだ。中高度・長距離ドローンに分類される。  精密打撃に加え情報収集・監視・偵察(ISR)作戦に特化した戦術無人航空機システムに分類される。  バイラクターTB2は、Rotax 912エンジンで後部にある2枚羽根可変ピッチプロペラを駆動させ、100馬力超の推力を発生する。最大高度約27,000フィート、最大航続距離約93マイル(約150キロメートル)、航続時間27時間以上の性能を有する。  戦術無人機で、時速は80〜140マイルと(時速70〜120ノット)バイラクターTB2は高速でも俊敏でもない。米国はじめとするNATO諸国がウクライナに供与している対空兵器FIM-92スティンガーの対空砲火を受けた場合、バイラクターTB2が生き残る可能性は低い。    弾薬とペイロードに関しては、バイラクターTB2は330ポンド(150kg)の火力を搭載する。MAM-CまたはMAM-L空対地ミサイルも4発搭載できる。MAM-Cミサイルは重量14ポンドで、高爆発弾(HE)と徹甲弾の能力を持つ多目的弾頭を搭載し、必要に応じ敵の分隊や戦車を破壊できる。MAM-Lミサイルは、より重い攻撃力を備え、弾頭重量が48ポンドで、高火力弾や徹甲弾のニーズに対応できる多目的弾頭を搭載できるほか、周囲環境から酸素を吸い高温爆発を起こすサーモバリック弾頭も搭載できる。サーモバリック兵器は致命的でバンカーの破壊に最適だ。  バイラクターTB2は、トルコの航空宇宙防衛企業である Baykar Makina が製造し、単価は約500万ドル。バイラクターTB2は、40万時間以上の総合飛行時間の実績ある戦術ドローンだ。  トルコ軍がバイラクターTB2の主要ユーザーだが、国際的にも成功を収めており、ウクライナ戦争で販売促進は間違いない。このほか、アゼルバイジャン、エチオピア、キルギスタン、リビア、モロッコ、ニジェール、パキスタン、カタール、トルクメニスタンでも使用されている。その他数カ国が導入に興味や希望を表明して

ウクライナ戦に見るインテリジェンス、オープンインテリジェンス優勢に見えるが、秘密はどこまで守れるのか。

      多分不人気のインテリジェンス論です。先に2回掲載した記事を補強する内容ですので、必要なら前の記事もご参照ください。   ウ クライナ戦争前に情報機関が驚くほど目立っていた。アメリカとイギリスはロシアの意図について評価を下し、政策立案者はロシア侵攻に反対する支持を集めるため情報を利用した。また、戦争の口実を作ろうとした疑惑について具体的な詳細を発表し、ロシアの虚構の主張への「前哨戦」としてインテリジェンスを利用した。開戦後も公開情報は続き、毎日要約が発表され、スパイ機関が注目を浴びた。スポットライトを浴びることを受け入れ、陰で働く伝統を捨てたように見える。秘密の世界はもはや秘密でないようだ。      オープンソース情報は、戦争の描写や、一般的な議論でも大きな役割を果たしている。商業衛星画像は、戦場の風景を毎日提供している。ソーシャルメディアは、軍事作戦や戦時中の残忍な行為をクローズアップするプラットフォームになった。オープンソースのアナリストは、画像や映像を文脈から分析している。学術界、シンクタンク、民間情報企業は、戦術と戦略、資源とコスト、敵と味方、勝利と敗北など、戦争に関連するあらゆることについて詳細な評価を行っている。  ほとんどのオブザーバーが、この傾向に価値を見いだしている。指導層が公開情報を有効活用し、秘密の共有に拍手を送っている。情報機関がオープンソースを評価に取り入れたことが、戦前の明確な勝利につながり、情報機関の警告は正しかったと判明した。政策立案者が公の場で情報を活用することで、ロシアに対抗する強固かつ持続的な連合体を構築できた。ロシアのエナジー輸出に依存し、失うものが大きい同盟国もいることを考えれば、これは並大抵のことではない。このような国も取り込み、モチベーションを維持するため、情報の共有が不可欠だった。  ウクライナの経験の意味は明らかだ。パブリック・インテリジェンスは、外交官に限らず将軍の手にも渡る重要なツールだ。情報機関がオープンソースにオープンマインドであればインテリジェンスが機能する。後戻りはできない。秘密主義が王道で、国家が個人情報を保有することが戦略的成功の鍵であった時代は終わった。インテリジェンスに詳しい学者グループは「歴史的にみて、諜報活動の成功は秘密主義と背中合わせだった」「過去50年間のどの出来事よりも、ロシ

ハイテク装備の兵士への電源確保で米陸軍が民間企業と知恵を絞る。熱電能技術が最有力か。

    iStock, Defense Dept. photo-illustration   米 陸軍では、兵士の体熱や、燃料など、各種ソースからエナジーを確保し、移動中の兵士に電力供給する新技術を検討中だ。      将来の兵士はハイテク機器をさらに多く携帯すると陸軍は想定している。  同時に、陸軍は大規模物流拠点から、分散編成への移行を進めている。将来戦司令部 Army Futures Command がまとめた陸軍の作戦エナジー戦略のディレクター、ジョン・ヴィラセナー中佐 Lt. Col. Jon Villasenor は、次のように述べている。 「潜在的なライバルが開発中の戦力を考え、陸軍は大規模集団を解体し、破壊されやすい大型装備は非固定化する必要がある」「分解すると、近代化が必要な事項がたくさん出てくる」  兵士への電力供給は、2022年末に発表される予定の作戦エナジー戦略で扱われ、効率的で多様かつ持続可能な電源で軍の電力利用を最適化する追加行動とともに発表すると中佐は述べた。  一方、産業界では、次世代のエナジーハーベストと発電方法で前進が続いている。企業は国防総省と協力し、技術を成熟させ、最前線で有用な製品に仕上げようとている。  今年4月にテキサス州オースティンで開催された陸軍の VERTEX Energy カンファレンスに産業界が集まり、兵士の電力確保に取り組む軍のリーダーと革新的技術を話し合った。  陸軍にとって潜在的な機会の1つが 熱電能 thermoelectric power だ。シリコンバレーに拠点を置く メイトリックスインダストリーズ MATRIX Industries の最高技術責任者ダグラス・タム Douglas Tham は、以下説明した。  「熱電能は2点間の温度差を電気に変換するもの。M1エイブラムス戦車のエンジンや兵士の皮膚など、温かいものの上に発電機を置くと、電子がデバイスの高温側から低温側へ移動し電流が発生します」。  同社は、微小な温度差を利用して熱エナジーとパワーエレクトロニクスの技術を開発してきた。  「当社の目標は、最新かつ最高のセンサー技術と低消費電力のアルゴリズムで、微小なエナジーハーベスティングでも維持できるまで消費電力を下げることです」。  この技術は、電源として使用されるバッテリーの寿命を向上させたい

ウクライナ戦の最新状況 5月28日現在、南部戦線でウ軍反攻開始。ロシアSu-35を撃墜? リトアニアでTB-2購入の募金活動など。

      ロシアのSu-35を自国のMiG-29で撃墜したとウクライナが主張。   ウ クライナ軍は、ロシアの南方部隊の弱体化をねらい、ケルソン北東部で反攻を開始したと伝えられている。      ウクライナ南部のミコライフとケルソンの間の前線は、両軍による激しい砲撃と空爆にもかかわらず、数週間にわたり比較的安定した状態にある。土曜日の新たな攻勢では、ウクライナ軍がインフレート川を越え、ケルソンの北東約30〜40マイルのビロヒルカ村の近くにまで達したとされる。      同地での進展は、ドニエプル川下流のノヴァ・カホフカ・ダムとケルソンの東側にあるアントノフスキー橋にあるロシア軍保有地の横断を脅かす可能性が考えられる。  ウクライナ空軍は、この作戦で、ケルソン州の標的を攻撃中のウクライナ軍Su-25を護衛する間に、ウクライナMiG-29が、ロシアのSu-35Sを撃墜したと主張している。  2月24日の戦闘開始以来、空対空戦闘の主張はまれであり、検証はさらにまれだ。しかし、テレグラムでは、ウクライナ南部上空の作戦中にSu-35Sが撃墜され、燃える様子を撮影した画像や動画が出回っているという。  Su-35SはウクライナのMiG-29に対して、目視外距離で優れた能力を持ち、ドッグファイトでも優位に立つ。実際、Su-35は3次元推力制御により、低速域で最も機動性の高い作戦戦闘機である。しかし、技術的、性能的な優位性は空対空戦闘の2つの側面に過ぎない。状況認識、センサー能力、パイロットの専門知識、地形、大気の状態、運など、さまざまな要素が絡み合って、シナリオは変わってくる。  しかし、40年前の冷戦時代に設計された戦闘機が、ロシア最新のマルチロール戦闘機を撃墜したのが事実なら、痛快なことこのうえない。ロシアがウクライナ上空で優位にたっていないことを示す、最も明確な例となるだろう。   最新情報  英国国防省の最新の評価では、ロシア軍はドネツ川に架かる主要な鉄道の分岐点であるライマンを占領した可能性が高い。  ロシア軍の前進が続けば、ドネツ川を渡る新たな試みが行われることになるが、これまでは、ロシア軍にとって悲惨なものであった。  ロシア軍が3月末に放棄したキエフ北部の紛争地域では後片付けが続いており、作業員がホストメル空港のAn-225ミーリヤの残骸を引き出した。  同空港