平和をどう守るのか、他国の侵攻で自らの意思文化を否定されないようにどうすべきか、国民はウクライナ事例を見てそれなりに考え、次の選挙で意思を表明するでしょう。70年余変更しないままの憲法をどうするのか、外交だけで平和は守れるとの主張に疑いを感じる国民が益々増える中、7月の国政選挙は大きな転回点になりそうですね。
ロイド・オースティン米国防長官と岸信夫防衛相の二国間会談に先立ち、日米両国の国旗が掲揚された(2021年3月16日火曜日、日本・東京)。(David Mareuil/Anadolu/Bloomberg via Getty Images)
日本で政権を握る自民党が、今後5年間で防衛費を倍増させる提案をまとめた。日本では防衛費をGDPの1%未満としてきたが、2%に引き上げることを目標としている。
同文書では、敵の軍事基地や指揮統制システムを標的とした「反撃」能力の開発を求めている。もし政府与党が同提言に従えば、第二次世界大戦後に軍隊を持つことに消極的だった日本を、自民党が後押しすることになる。自民党がただちに政権を失う可能性は低いようだ。
自民党の構想が、ドイツが第二次世界大戦後の軍事への消極的な姿勢から脱却しつつ変化している中で出てきたことは無視しがたい。ロシアのウクライナ侵攻から、ベルリンはキーウ向け援助を開始し、国防予算を約1130億ドルへと大幅増額を承認したが、こうした動きは数カ月前には考えられなかった。
自民党は、同じ理由で日本でも同様のコミットメントをさせようとしているようだ。自国を守ることに重点を置いてきた日本が、集団的自衛権にシフトしている姿を示すものだ。オーストラリア国立大学豪日研究センターのリッキー・カーステンRikki Kersten名誉教授はインタビューで、同文書には、現在のグローバルな地政学的環境では単独で自国を守れる国はないことをウクライナが示したと書いてある、と指摘する。
「特にドイツが、自国の裏庭で起こった緊急事態にどのように対応を迫られたかを見てください。短期間で予算を大幅に増やさなければならなかったのです。緊急事態を想定して、早く行動しないのは無責任と言われても仕方ない」(カーステン)。
「文書で私が目を見張ったのは、政策の劇的な変更の必要性を正当化するためどこまでウクライナが引き合いに出されているかです。つまり、正当化の理由を見てみると、日本が自国地域で前例のない脅威環境に直面しているだけでなく、自由主義的な国際秩序が脅かされていることがわかる」と言う。
自民党の計画は、支出増の対象として兵器分野の少なくとも1つ、ミサイル防衛、特に極超音速という難しい脅威に対処することを目的としたシステムについて、かなり具体的に述べている、とカーステン教授は言う。
「ロシアのウクライナ攻撃で明らかになったのは、脅威対応に各種手段を必要とする技術が出現していることです。極超音速兵器であり、また、従来の手段で迎撃できないミサイル技術もあります」と述べた。
ここから、日本の対米同盟関係にも影響を与えることになる。自民党文書では、ミサイル防衛以外にも、無人機、人工知能、サイバー、ヒューマン・インテリジェンス、宇宙に触れている。
より広い国家安全保障の観点から、今回の自民党の文書は、日本が12月に発表予定の戦略文書を見越して発表されたと、カーステンは述べた。
自民党の計画は、来る参議院選挙で批判対象となる可能性があるとカーステンは指摘する。しかし、選挙前に支出増に触れたのは、与党が日本の政治と戦略の大きな転換を国民が支持してくれると確信しているからなのだろう。■
Japan's push to double defense spending ties directly back to Ukraine
"What this document says is, we have to anticipate this (Ukraine) emergency. Don't wait till it's upon us," said Rikki Kersten, honorary professor at the Australian National University.
By COLIN CLARK
on May 09, 2022 at 7:04 PM
by COLIN CLARK
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