ロシア軍がウクライナで予想外の失態ぶりを示している。侵攻開始から三ヶ月が経過したが、当初の目標はひとつも達成できていない。
プーチン大統領はロシア軍の実力を誇示しつづけて、ウクライナ東部への攻勢をしかける中で各部隊は期待どおりの働きを示していない。
これまでのロシア軍の戦いぶり
紛争の第1段階で、ロシア軍は首都キーウを占領し、ヴォロディミル・ゼレンスキー政権を倒せなかった。ロシア国境に近いウクライナ第二の都市ハルキウも占領できなかった。
そして、現在進行中の第二段階では、ロシア軍はウクライナ東部での産業基盤ドンバス地方の攻略に失敗した。
ウクライナ南部の戦略的港湾都市マリウポルは、ロシア軍が制圧に近づいていると主張できる唯一の主要都市だ。マリウポルに残るウクライナ守備隊は、広大なアゾフスタル製鉄所内にバリケードを築き、同市の完全制圧を阻む唯一の障害になっている。数週間にわたる戦闘で、街は一面破壊されたセメントの山と化した。
国防総省による最新評価は、ウクライナ東部でのロシアの新攻勢が失敗している主な理由として4点を挙げている。
前進に躊躇
まず、ロシア軍が砲兵隊の先に進撃することはない。ロシア軍は相当の長距離砲撃能力を有しており、地上では効果的に使って、絶え間ない砲撃の圧力に耐えかねたウクライナ軍を撤退させている。しかし、ロシア軍機械化部隊は、砲の射程距離を越え前進し、ウクライナ部隊や戦車の標的になるのを躊躇している。
道路外で戦闘不能
第二に、ロシア機械化部隊は、氷と雪が溶けてできた春の泥のため、舗装道路上で立ち往生している。米国情報機関の評価通り、クレムリンは地面が凍結している2月下旬に侵攻を決定したため、ロシア機械化部隊は容易にオフロードを走行することができたはずだ。
しかし、地面が凍結していたのに、ロシア軍はオフロードで戦闘できないことを示した。その代わりに、機械化されトラックで移動するロシア軍部隊は、1車線しかない舗装道路で移動し、その結果は明らかだった。
FGM-148ジャベリン・ミサイルと次世代軽対戦車兵器(NLAW)で武装したウクライナの特殊部隊や通常部隊の小チームは、ロシアの機械化部隊と補給隊に大打撃を与えた。ウクライナ小部隊で、戦車、装甲人員輸送車、歩兵戦闘車両含む大隊戦術グループ全体を阻止したケースもあった。
悪夢の兵站
第三に、ロシア軍はドンバスでの新規攻勢でも補給問題を解決していない。ロシア軍にとって、脆弱で信頼性の低い補給線は、たえず悩みの種だ。補給隊が前線部隊に弾薬や燃料、食糧を供給できず、前進が続かないことがよくある。ロシアの兵站が悪い理由の多くは、2番目にあげた舗装道路の制約に帰結する。しかし、もう一つの理由は、ロシア軍が大規模戦闘に向けた準備ができていなかったからだ。プーチンがウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と呼び続けるように、この作戦は48時間から72時間続く想定だった。
規律の崩壊
第四に、明らかに最も興味深い理由だが、ロシアの一部の部隊で命令不服従が発生している。地上軍に幻滅が広がっているようで、規律も崩壊している。
平均的なロシアの兵士は、契約兵であれ徴兵兵であれ、意味のない戦争のためウクライナで死にたくはないと考えている。そして、指揮官もNATO装備で完全武装したウクライナ軍の牙城に突入することを望んでいない。国防総省によれば、ロシアの前線部隊は命令に従わず、上級指揮官が前線に向かわざるを得ず、その結果、ウクライナ軍に狙われやすくなっている。
ロシア軍がこうした欠点を克服し、ウクライナ東部で具体的な成果を上げられるかは未知数だ。しかし、これまでの実績を見る限り、プーチン及びその顧問団は期待しない方がいいだろう。 ■
The 4 reasons why the Russian military is failing in Ukraine - Sandboxx
Stavros Atlamazoglou | May 16, 2022
Stavros Atlamazoglou
Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.
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