
2026年6月15日、共同記者会見で演説する日本の高市早苗首相。日本が直面している最新の通貨問題をもってしても、高市早苗首相の改革が失敗しているとは考えられない。(Shutterstock/Marco Iacobucci Epp)
高市早苗首相には成長重視の政策姿勢を貫くべき理由がある
Why Japan’s Sanae Takaichi Should Stick to Her Pro-Growth Guns
The National Interest
2026年8月10日
高市首相は、批判的な声に耳を貸さず、安倍晋三が掲げた「活力あふれる日本」というビジョンの実現に向け、引き続き取り組むべきである
どうやら米国政府と日本政府の間に隔たりがあるようだ。最近の『日経アジア』の見出し「高市氏の減税案、財政政策をめぐる米国との亀裂を露呈」は、そのような含みを持っていた。
しかし、実際はそうではない。トランプ政権の上層部と、実質的な成長で日本経済を加速させようとする日本独自の試みを推進中の高市早苗首相との間には、意見の相違など存在しない。両国政府の間には緊密な連携と合意が存在している。
当面の課題は、7月31日に米国財務省と日本財務省が、対ドルでの円安の加速を食い止めるために実施した協調措置であった。円安が進めば、日米貿易赤字の拡大や、原油価格の高騰も一因となって日本のインフレがさらに加速する恐れがあった。
2月28日にイラン戦争が始まって以来、ワシントンと東京が介入するまで、円相場は1ドル=164円という40年ぶりの安値まで下落していた。
政治家が、自分たちが好ましくない市場の動きを「投機筋」のせいにすることに対し、一般市民が警戒感を抱くのは当然である。しかし、今回のケースでは、円安は日本の経済見通しに対する評価というよりも、むしろ群集心理の反映であった。円安が進むと、さらなる円売りが誘発され、それがまたさらなる売りを招いた。ワシントンと東京が協調して円買い介入を行ったことで、この悪循環は断ち切られ、為替相場は安定化した。その過程で、日本への売りポジションを取っていたトレーダーたちは痛快なほどに痛い目を見ることになった。
しかし、真の問題は、太平洋の両岸における主流派の声の中に、消費者や経済の供給側(すなわち民間部門)を支援することを目的とした成長志向の政策に対する拒否反応があることだ。こうした政策の追求により、高市とドナルド・トランプ大統領は、先進国では極めて稀な共通の立場に立たされている。
事実上、高市は、2012年から2020年まで第2次首相を務め、退任後に暗殺された、日本に変革をもたらした安倍晋三の遺志を継いでいる。安倍の経済改革は、「3本の矢」――金融緩和、財政刺激策、構造改革――にと特徴づけられた。安倍が成功裏に実施した最初の2つは、長期にわたる停滞状態から日本経済を脱却させるための短期的な取り組みであった。しかし、日本の硬直した経済や企業文化の自由化を含むことを意図していた構造改革は実現に至らなかった。
高市の政策は、財政・金融刺激策の枠をはるかに超えるものとなっている。同政権は、設備投資に対する日本史上最大規模の税制優遇措置を創設した。新たなコーポレート・ガバナンス・コードは、企業に対し、現金を投資、研究開発、労働力へと振り向けるよう促している。
これと別に、同氏の成長戦略では、税制優遇措置、公的資金、公共調達、規制改正を活用して、特にハイテク分野をはじめとする重点分野への官民投資を促進しており、2020年代の終わりまでに累積投資額は2.3兆ドルを超えると予測されている。同政権は長年にわたるガソリン・軽油税の追加課税の撤廃に加え、所得税の非課税枠を約1万1,000ドルとし、主婦を含む追加労働に対する税負担を軽減した。
これは、ガバナンス改革、減税、重点分野への投資、および供給側対策を組み合わせた、民間主導の広範な成長戦略に他ならない。これは複雑なものであり、1980年代にロナルド・レーガン大統領とマーガレット・サッチャー英首相が推進した市場主義改革ほどの規模ではない。当時の改革は経済の近代化をもたらしたが、短期的な失業率を急激に増加させた。
痛みを伴うこのような戦略は、高市が2月に獲得した前例のない政治的信任があっても、日本では受け入れられないだろう。しかし、高市の改革は、日本にとって真の分水嶺であり、安倍の「欠けていた第三の矢」の実現を意味する。トランプ政権第1期に駐日大使を務めたビル・ハガティ上院議員(共和党・テネシー州選出)は、今年初め次のように述べた。「高市氏は実は安倍氏の後継者であり、彼女は安倍氏の政策をさらに前進させている」。
物議をさらに醸しているのは、高市政権が食品に対する消費税率を2年間、8%から1%に引き下げることだ。経済専門メディアの評論家たちは、GDPの200%を超える日本の巨額の公的債務を理由に、こうした措置を批判している。
債務は懸念材料ではあるが、その大部分は他国への投資を行う可能性の低い日本の企業や個人が保有しており、円建てであるため、貧しい国々の債務のような通貨に起因する危機の影響を受けず、平均残存期間は9年と健全で、平均金利もわずか1%にとどまっている。減税は、アメリカ人と同様に日本の有権者をも苛立たせている食料品価格の高騰への対応であり、その高騰はイラン戦争が原油価格に与えた影響に大きく起因している。ほとんどの減税と同様、その実質的な効果は、非生産的な公共部門から生産的な民間部門へ資金を移すことにある。
この考え方は、多くの主流派、特に大きな政府を好む人々にとっては受け入れがたいものである。しかし、これは有権者が直面する現実の問題に対する、真に民主的な対応である。
なぜこれが米国にとって重要なのか。強固で成長を続ける日本は、米国の経済的・軍事的安全保障にとって有益だからだ。日本は米国にとって太平洋地域で最も重要な同盟国であり、近年、防衛費を倍増させている。万が一、中国との全面戦争が勃発した場合、米国と肩を並べて戦うことが確実なのは、日本とフィリピンだけである。日本は米国にとって最も重要な輸出市場の一つでもある。安倍と同様、高市はトランプにとって最も有力な外国首脳の友人であり、後任大統領にとってもそうなる可能性が高い。
東京とワシントンの間に距離があるとする懐疑論者や批判者の主張をさらに退けるように、スコット・ベッセント財務長官は、日本の経済が「高市首相の下で引き続き好調なパフォーマンスを見せている」と述べ、同首相が国の経済基盤を改善するために推進している「強力な政策」を称賛するなど、異例なほど明確に支持を表明している。
評論家とは異なり、実際に資金を投じている投資家たちも同意している。日経225種平均は今年に入って約33パーセント上昇し、より幅広いTOPIXも約13パーセント上昇している。太平洋の両岸における民間部門成長を支持し、強い日本が米国にとっても有益であることを認識している米国人は、高市首相が自らの信念を貫くことを願うべきだろう。■
著者について:クリスチャン・ウィトン
クリスチャン・ウィトンは、ブッシュ(子)政権第2期およびトランプ政権第1期において、国務省の上級顧問を務めた。北朝鮮の人権問題担当副特使を務め、国務長官やその他の高官に対し、広報活動や東アジア問題について助言を行った。2016年から2017年にかけてのトランプ政権移行期間中には、国務長官やその他の国務省高官の承認手続きを支援した。現在は、センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト(Center for the National Interest)のシニアフェローであり、広報・政府渉外コンサルティング会社ロッキーズ・アリアLLC(Rockies Aria LLC)のプリンシパルを務めている。以前はKPMG LLP、フィデリティ・インベストメンツ、オッペンハイマー・アンド・カンパニーに勤務していた。ウィトンは『スマート・パワー:外交と戦争の間』の著者であり、Substackで「キャピタリスト・ノーツ」を編集している。彼はFox Businessに頻繁に出演しているほか、Fox News、BBC、CNN、Newsmax、NHK、Sky News Australia、CNBC、その他数多くのメディアにも出演している。『ザ・ナショナル・インタレスト』に加え、彼の記事は『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『ワシントン・ポスト』、『ザ・オーストラリアン』、Fox News Opinion、『ザ・デイリー・コーラー』などにも掲載されている。ウィトン氏は、チューレーン大学で文学士号を、カリフォーニア大学ロサンゼルス校で経営学修士号(MBA)を取得している。
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