ウクライナ戦争を強制終了させる:「プーチンを屈服させる」時が来た
How to Finally End the Ukraine War: Time to ‘Bring Putin to His Knees’
プーチンを屈服させる最も有力な手段は、ウクライナによるクリミアの漸進的な締め付けだろう。ロシアの兵士や民間人が半島から逃げ出し続ければ、事実上、ロシアはクリミアを失うことになる
National Security Journal
ロシアの「正統性を欠いた」大統領は、ウクライナへのロシアの戦争を終結させる交渉に応じる用意があるのだろうか? 米国を代表するロシア専門家の一人トーマス・グレアム Thomas Grahamは、そう考えている。ロシアもウクライナも、今後さらに悪化するばかりである莫大な人的・経済的損失を被っていることを指摘し、グレアムは、トランプ政権が仲介する和平合意に向けた好機が現在存在すると主張している。
ウクライナ戦争を終結させる提案
グレアムの論理は説得力があるが、プーチンが平和を望んでいるという彼の理性に基づいた信念は、残念ながら根拠がない。それは、普通で理性的なロシアの指導者であれば、和平合意に関してグレアムと同じ結論に達しないからではなく、プーチンが普通で理性的なロシアの指導者ではないからだ。確かに、米国はグレアムの助言に従い、戦争を終結させようと試みるべきだろう。奇跡は起こるものだ。しかし、プーチンが平和を望んでいるなどとは誰も想像すべきではない。彼は和平を受け入れることを余儀なくされる可能性はあるが、自発的にそれを望むと信じる理由はない。
グレアムの主張は、要するに次のようなものだ。「戦争が続く毎日、未来はますます暗くなる」。その通りだ。「戦争の代償は、最大限の目標を追求するための政治的余地を着実に狭め、交渉による解決の価値を高めている。こうした状況下では、好機を捉えて紛争を終結させるために、集中的な交渉が緊急に必要とされている」。これもまた正しい。
そもそもプーチンは合理的ではない
残念ながら、プーチンはウクライナに関する決定を、自国や国民にとって何が有益かという合理的な費用対効果分析に基づいて下しているわけではない。もしそうであったなら、2022年にウクライナに侵攻することなど決してなかっただろうし、150万人近いロシア兵の犠牲を払って、ウクライナの泥だらけの土地と、正気の人が住みたいとは決して思わないような荒廃した都市群を手に入れるという「肉挽き機」戦略を継続することもなかったはずだ。
プーチンを動かしているのはイデオロギーと自己保存本能だ。彼は、ウクライナがロシアにとって存亡を脅かす脅威であり、「最終解決」によって根絶しなければならないと固く信じている。グレアムによれば、もし戦争が「今日で止まったとしたら……、双方が勝利を主張できるだろう」という。ゼレンスキーは、ウクライナ人にとって最も大切なもの――すなわち独立、主権、そして欧州への志――を守り抜いたと正当に主張できるだろう。プーチンは、ロシアに戦略的敗北を喫させようとする西側の試みを阻止したこと、そして東ウクライナに住む数百万人のロシア人を、彼がキーウの「ネオナチ政権」と描写する体制から『解放』したことの成功を称えることができるだろう。」
正常で理性的な指導者であれば、グレアムの論理に同意するだろう。当然ながら、ゼレンスキーも、そして大多数のウクライナ人もそうである。しかし、プーチンにとって、完全勝利に至らないまま終結することは、自らがロシア人であることを認めようとしない「自称国家」の手による、ロシアにとっての戦略的敗北となる。
グレアムの論理を受け入れることは、プーチンをも破滅させることになる。彼は、自身の政治的存続が完全な勝利にかかっていることを痛感しているからだ。グレアムは、「双方が、戦闘を継続することで交渉上の立場を有利にできると信じているかもしれない」と記している。ウクライナ人はそう信じているかもしれない。しかし、プーチンはそう考えていない。なぜなら、交渉という概念そのものが、ウクライナの存続を前提としているからだ。
プーチンを止める方法
プーチンに白旗を掲げさせるには、何か説得力のあるものがあるだろうか?
そう、敗北だ。
アドルフ・ヒトラーを思い起こしてほしい。彼と熱狂的な支持者たちは、ベルリンが連合軍に占領され、降伏以外の選択肢が(正常で理性的なドイツ人にとっては)もはや想像もできない状況になっても、最後まで戦い続けた。
戦線におけるウクライナ軍の突破はあり得る。特に、プーチンが今秋、やる気もなく訓練も不十分な50万人のロシア人を動員するという意図を固持し続けるならばなおさらだ。ウクライナのドローンに対する彼らの最初の反応は、死ぬよりは逃げる、というものになるかもしれない。
ロシアのエリート層の間で、「ロシアは勝てない」という認識が広がり、150万人の死傷者で十分と考える者が増えてきたことを踏まえれば、ロシアでのクーデターもあり得る。
プーチンを屈服させる可能性が最も高いのは、ウクライナによるクリミアへの漸進的な締め付けだ。ロシアの兵士や民間人が半島から逃げ出し続ければ、事実上、ロシアはクリミアを失うことになる。このような歴史的な大惨事は、ロシアとプーチンに対して戦略的な打撃を与えるだろう。
プーチンの無能さと愚行で弱体化され、屈辱を味わされたロシアのエリートたちは、彼の政治生命に終止符を打ち、グレアムの助言に従って自国の残されたものを救おうと決断するかもしれない。■
著者について:アレクサンダー・モティル博士、ラトガース大学
アレクサンダー・モティル博士は、教授としてラトガース大学ニューアーク校で政治学を教えている。ウクライナ、ロシア、ソ連、ならびにナショナリズム、革命、帝国、理論の専門家であり、著書として、『Pidsumky imperii』(2009年)、『Puti imperii』(2004年)、『Imperial Ends: The Decay, Collapse, and Revival of Empires』(2001年)、 『革命、国家、帝国:概念的限界と理論的可能性』(1999年)、『独立のジレンマ:全体主義後のウクライナ』(1993年)、『右傾化:ウクライナ民族主義のイデオロギー的起源と発展、1919–1929年』(1980年)など、ノンフィクションの著書を10冊執筆している。『ナショナリズム百科事典』(2000年)や『ホロドモール・リーダー』(2012年)を含む15巻の編集を担当し、学術誌や政策誌、新聞の論説欄、雑誌などに数十本の記事を寄稿している。また、毎週更新のブログ「Ukraine’s Orange Blues」も運営している。
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