イランが示した米空軍・海軍を打ち負かす軍事戦略を中国が参照する日がやってくる
Iran Has Created a Military Playbook for China to Copy and Beat the US Air Force and Navy In a War
19fortyfive
https://www.19fortyfive.com/2026/08/iran-has-created-a-military-playbook-for-china-to-copy-and-beat-the-us-air-force-and-navy-in-a-war/
2026年に発生した、奇妙な「始まったり止まったり」を繰り返した米イラン戦争は、注目すべき地政学的結果となった。強大なハードパワーにもかかわらず、米国はイランに対して決定的な決着を強いることができず、ドナルド・トランプ米大統領が、自身が掲げた戦争目標のほぼすべてを排除した戦争終結合意を受け入れる可能性がますます高まってきた。
直接的な原因は、決定的な降伏を強いるための地上侵攻をトランプ大統領が望んでいないこと、そして数ヶ月にわたる決着のつかない空爆の末、ミサイルや迎撃ミサイルといった米国の航空戦力の限界により、選択肢が狭まってしまったことにある。これは米国とその同盟国にとって極めて重要な教訓である。なぜなら、米国は東アジアにおいて中国と戦う際にも同様の戦術を計画しているからだ。
イランが同地域における米海軍の機動の余地を制限するために「アクセス拒否・領域拒否(A2/AD)」技術を用いたのと同様に、中国も同様の行動をとると予想される。具体的には、安価なイランの航空・海上戦力(ドローン、機雷、ミサイル)により、米海軍がホルムズ海峡を開放し、イラン沿岸付近で作戦を行うことはリスクが高すぎた。はるかに豊富な資源と高度な技術を持つ中国なら、間違いなく、はるかに優れた形で同じことを成し遂げることができるだろう。
イランにそれだけの価値はない
言うまでもないことだが、米国はイランとの勝ち目もなく不必要な紛争で、貴重な兵器備蓄を浪費している。空軍力には強制力で限界があり、そのことは再三、再三と研究されてきた。トランプは空軍力のみでイランに勝利を強いることはできない。
もしそれが可能なら、とっくに実現していたはずだ。トランプがイランに侵攻することもないだろう。領土を占領し、政府の機能を破壊することはイランを屈服させるだろうが、トランプはそれを行わない。そのような侵攻が「終わりのない戦争」へ発展する可能性は高い。それは、ベトナム戦争の泥沼がリンドン・ジョンソンの大統領職とレガシーを破壊したように、トランプの大統領職とレガシーを破壊することになるだろう。
トランプが躊躇している理由は明らかだ。イランにそれだけの価値がないのだ。米国にとっての利害関係は小さい。この戦争でイランが勝利したとしても、米国にとって深刻な損失にならない。イランが海峡を支配することで、一部の消費者物価、特にガソリン価格は上昇するだろうが、それだけの話だ。
確かに、米国の現地パートナー諸国にとっては、賭け金は大きい。イスラエル、サウジアラビア、クウェートなどは、この戦争の行方に深く利害関係を持っており、間違いなく米国の勝利を望んでいる。しかし、彼らはアメリカ人ではない。そして、アメリカ大統領であるトランプが、外国人のために(侵攻という)莫大なリスクを冒すことはない。
中国との対決にはそれだけの価値がある
しかし、中国との競争にはそれだけの価値がある。東アジアにおける中国の地域支配は、ペルシャ湾におけるイランの覇権よりも、米国にとってはるかに大きな脅威となる。ニコラス・スパイクマン以来、米国の大戦略は、ユーラシアの両端における覇権国の台頭を阻止することを目指してきた。
これら二つの工業化が進んだ富裕な地域のいずれかが支配的地位を占めれば、米国と同等の規模を持つ強力な競争相手が誕生する可能性がある。その規模は、おそらく海を越えて米国本土を脅かすことさえできるほどになるだろう。したがって、ファシスト国家や共産主義国家がユーラシアを支配することを阻止することは、第二次世界大戦および冷戦における米国の中心的な目標であった。
今日、ロシアは西側において覇権的な脅威ではない。欧州連合(EU)には、ロシアに対抗できる資源がある。しかし東側では、米国の同盟国は数が少なく、規模も小さく、結束も緩い。米国の力は、現地の決意を固め、連携を強化するのに役立つ。
しかしトランプ政権下でこれらの同盟国は米国の能力や決意に確信を持てなくなっている。批准済みの貿易協定に違反する関税措置を含め、トランプによる同盟国への執拗な攻撃は、同盟国に対して、彼が信頼できない、さらには敵対的であるというメッセージを送っている。また、イラン戦争における米国の戦略的敗北は、たとえ決意を固めたとしても、米国には行動する能力がないかもしれないことを示唆している。
中国は、安価で自動化された大量の航空・海上戦力で米国の大型で機動性の低い水上艦隊を撃退または撃沈するという、イランの戦術をほぼそのまま模倣するだろう。中国がこの戦術を実行する能力は、イランを桁違いに上回るだろう。
ペルシャ湾における米国の精鋭戦力の過剰投入は、新形態の低コストなドローン戦争に対処する準備が、米国に欠如している姿を如実に示している。■
著者:ロバート・ケリー博士(釜山国立大学)
ロバート・E・ケリー博士は、韓国・釜山国立大学政治学・外交学科の国際関係学教授である。研究分野は、北東アジアの安全保障、米国の外交政策、国際金融機関に焦点を当てている。『Foreign Affairs』、『European Journal of International Relations』、『The Economist』などの媒体に寄稿しており、BBCやCCTVなどのテレビニュース番組にも出演している。
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