米空軍は巡航ミサイルを輸送機から発射する体制を2027年までに展開する
The Aviationist
2026年5月10日 午後9時44分
Parth Satam
C-17AグローブマスターIIIから投下される、パレタイズド・エフェクツ・デプロイメント・システム(PEDS)の4パック構成による貨物空中投下。(画像提供:AFRL)
「ラピッド・ドラゴン」プログラム(現在は「ドラゴン・カート」へ改称)は、正式なプログラム・オブ・レコード(PoR)に移行し、2027年までに輸送機からパレット化された巡航ミサイルの展開が可能となる見込みだ
米空軍のラピッド・ドラゴン計画は、正式な「プログラム・オブ・レコード(PoR)」となった。空軍ライフサイクル管理センター(AFLCMC)が2026年4月30日発表した。PoRステータスとは、システムが政府に正式に承認されたことを意味し、予算において議会による資金配分が保証されることを示す。
「ラピッド・ドラゴン」では、米空軍がC-130Jハーキュリーズやその派生型、C-17グローブマスターIIIなど輸送機を用いて、スタンドオフ型対地攻撃ミサイルの「パレット発射」を行う構想だった。プロジェクトは、監督権限が空軍研究開発本部(AFRL)からAFLCMCに移管されたのを受け、「 Dragon Cart ドラゴン・カート」と名称変更された。
同システムは、ミドル・ティア・アクイジション(MTA)-ラピッド・フィールディング・ルートを活用し、2027年までに配備される見込みである。また、AFLCMCは、Extended Range Attack Munition(ERAM)イニシアチブの下で開発された「Family of Affordable Mass Munitions(FAMM)」シリーズのミサイルを、ドラゴン・カート向けの主要兵器として指定した。
ゾーン5テクノロジーズZone 5 Technologiesの「ラスティ・ダガー」とコ・アスパイアCo-Aspireの「迅速適応型低コスト巡航ミサイル(RAACM)」は、FAMM/ERAMプログラムの下で誕生した。前者は、2026年1月と3月にそれぞれ、実弾およびF-16との統合試験の一連の試験を受けた。
FAMMプログラムは現在、「FAMM-Beyond Adversary Reach(BAR)」調達へと発展している。2026年4月20日付のAFLCMCによる情報提供要請(RFI)では、運搬用コンテナ搭載型およびパレット搭載型の両方で発射可能なFAMM兵器を設計・製造でき、米国政府および海外購入者向けに年間1,000~2,000発の生産注文に対応可能な企業を公募している。
「ドラゴン・カート」がPoR(概念実証)段階に
当初の「ラピッド・ドラゴン」パレット化弾薬プログラムは、代替ミサイルおよび実戦配備済みのAGM-158B ジョイント・エア・トゥ・サーフェス・スタンオフ・ミサイル・エクステンデッド・レンジ(JASSM-ER)を用いて、複数回にわたり試験が行われてきた。同軍は、「ドラゴン・カート」が「実験キャンペーンから得られた教訓に基づいて構築されている」と述べた。
AFLCMCは、ドラゴン・カートの強みは、既存の「標準的な空輸在庫および空中投下装備」と、米国政府が所有する戦闘管理システムを活用できる点にあると述べた。これにより、パレット構成のFAMMやJASSMのようなキネティック兵器システムを「輸送機に積み込み、後部から投下し、世界中で空中展開」することが可能になる。
ドラゴン・カートのプログラム・マネージャー、ジアジア・リーは、このコンセプトが「作戦上の曖昧性、敵に対する抑止力、そして作戦効果を最大化するための追加的な指揮オプション」を提供すると述べた。リーはさらに、これにより「輸送機を強力な攻撃プラットフォームへと変貌させる選択肢が得られ、従来の輸送機部隊の運用方法では得られなかった能力を解き放つことができる」と付け加えた。
ドラゴン・カートはまた、他の従来の防衛調達プログラムと異なり、武器データや技術に対する政府の管理が重視されたため、迅速に正式プログラムへ移行した。システムエンジニアリング・プログラムマネージャーのケント・ミューラーは、新たなペイロードに対応するためFAMMの設計を迅速に変更することを可能にする、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)アプローチを強調した。
「当方が設計権を保有しているため、新しいペイロードにわずかに長い発射モジュールが必要となっても、モデルを作成し、荷重経路解析を行い、そのモデルを製造ベンダーに送るだけで済む」とミューラーは述べた。
同局はまた、「実証済みの既存技術を斬新な方法で組み合わせ、デジタルアーキテクチャを厳格に管理することで、プログラム事務局は従来の障壁を取り除き、迅速なスケールアップと将来のアップグレードを可能にした」と説明した。
興味深いことに、空軍は以前、このプログラムの名称が「1000年前の中国軍が設計した弩(ぬ)カタパルトに由来する」と述べていた。この兵器は、単一の引き金操作で複数の弩矢を発射し、極めて遠距離から破壊をもたらすものであった。これらの兵器は「疾龍車(ジロンチェ)」と呼ばれていた。
ラピッド・ドラゴンとパレット式発射
2021年8月にニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル射場で行われたある試験では、C-17AグローブマスターIIIおよびEC-130SJの貨物室からミサイルが放出された。2021年12月にフロリダ州エグリン空軍基地で行われた別の試験では、MC-130J コマンドーIIが、標的データを受信して飛行試験機(FTV)にアップロードした後、FTVと3つの質量シミュレータを含む4セル構成の「ラピッド・ドラゴン」展開システムを空中投下した。
2022年11月9日、ノルウェーのアンドヤ宇宙防衛射場で行われた「ATREUS 22-4」の実弾射撃演習で第352特殊作戦航空団所属のMC-130J コマンドーIIがパレット化された弾薬システムを投下した。(画像提供:米空軍、撮影:ブリジット・ウォルターマイア技術軍曹)2022年11月の第3回試験では、第352特殊作戦航空団(352nd SOW)所属のMC-130J コマンドーIIが、ノルウェー海上空で同様のパレット1基を展開した。JASSM-ERはパレットから正常に離脱し、動力飛行を開始した。
本プログラムの将来性について、4月20日付のAFLCMC RFI(情報提供要請)は次のように述べている。「プログラム事務局は、手頃な価格で適応性が高く、スタンドオフ射程を十分に有する単一の共通空対地兵器を開発することにより、戦場の効率化を図る。中核となるコンセプトは、単一の設計に基づき、主要な展開方法として『パレタイズド(Palletized)』方式を採用するものである: 貨物機からの長距離攻撃。政府はまた、同じ単一設計から、ラッギド方式による二次的な配備方法の選択肢も提示している。これは、戦闘機やその他の航空機での長距離運用を目的としている。」
2021年7月、ニューメキシコ州ホワイトサンズミサイル射場で行われた初のシステムレベル飛行試験における、JASSM-ERの代表試験ミサイル。(画像提供:写真提供)
他の業界大手も、コスト効率に優れ、拡張性のあるパレタイズド発射方式の空対地ミサイルを開発している。これには、空軍が2月にAGM-190Aと指定したレイドスのBlack Arrowや、ロッキード・マーティンのCommon Multi-Mission Truck (CMMT)がある。このうちCMMTには、CMMT-Dと呼ばれる無動力滑空機と、CMMT-Xと呼ばれる小型の動力型バリエーションがある。■
パース・サタムのキャリアは、2つの日刊紙と2つの防衛専門誌での15年にわたる活動に及ぶ。彼は、戦争という人間の活動には、どのミサイルやジェット機が最も速く飛ぶかという問題を超えた、はるかに深い原因と結果があると信じている。そのため、外交政策、経済、技術、社会、歴史と交差する点から軍事問題を分析することを好んでいる。彼の執筆活動は、防衛航空宇宙、戦術、軍事ドクトリンと理論、人事問題、西アジア・ユーラシア情勢、エナジー部門、そして宇宙に至るまで、その全領域に及んでいる。
U.S. Air Force Plans to Deploy Cruise Missiles from Cargo Aircraft by 2027
Published on: May 10, 2026 at 9:44 PM
https://theaviationist.com/2026/05/10/usaf-to-dragon-cart-by-2027/