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2020年9月7日月曜日

歴史に残る機体(28) F-4ファントムはいまだに供用するところもあるが誕生から60年が経過している

 歴史に残る機体(28)マクダネル・ダグラスF-4

 

 

クダネル・ダグラスF-4ファントムIIは伝説の域に入る機体だ。ヴィエトナム戦争を象徴する機体であり、第三世代ジェット戦闘機の典型となった同機は1960年代に供用開始し、5千機超が生産された大型超音速戦闘機だ。今日でも供用中であり、一部空軍では実戦部隊に配属されている。

 ファントムにはヴィエトナム戦でエンジン推力にあぐらをかいた不器用な乱暴者で使う兵装も旧式だったとの定評がある。

これは公正ではない。

 

 

ファントムの基本欠陥は1970年までに是正され、最近もエイビオニクス、兵装面で現在の水準まで引き上げられている。近代化改修したファントムはトルコ、ギリシアの両空軍で供用中で、F-15と同程度の性能でありながら、はるかに安価に実現している。

 

実戦で洗礼を浴びる

 1958年に登場したF-4は革命的な設計で数々の航空記録を樹立した。

 空虚重量が30千ポンドで大型J79エンジン双発により優秀な推力を実現し、これだけの機体でもマッハ2、時速1,473マイルで飛行できた(できる)。 

 初期のファントムは18千ポンドの爆弾等を搭載でき、これは第二次大戦時のB-17の三倍に相当した。後席の兵装士官が高性能レーダーや兵装運用システムを担当してパイロットは操縦に専念できた。

 さらに、F-4には地上運用型、空母運用型双方があり、米空軍、海軍、海兵隊で供用された。三軍共通機材の例はF-35までなかった。

 ただし、軽量のMiG-17やMiG-21と北ヴィエトナムで空戦に臨むと、ファントムに被撃墜機が発生した。朝鮮戦争では米空軍は一機撃墜されるても敵機6機ないし10機を撃墜していたが、ヴィエトナム戦では2対1程度に縮小していた。(ファントム以外の米軍機全体での数字)

F-4の問題は機体に機関砲が搭載されていないことだった。空対空ミサイルに全面的に頼っていたためで、レーダー誘導方式のAIM-7スパロー、熱追尾式AIM-9サイドワインダー、旧式AIM-4ファルコンを搭載した。

 初期のミサイル性能がひどいことに空軍は気づいていなかった。

 検証したところ、ヴィエトナム時代のAIM-7では45パーセント、AIM-9では37パーセントしか発射に成功あるいはロックオンできず、退避行動をとると撃墜可能性はそれぞれ8パーセント、15パーセントに落ちると判明した。ファルコンに至ってはさらに悪く、その後供用を終了した。

 北ヴィエトナムのMiG-21には機関砲、ミサイルがともに搭載されており、重量が大きいF-4に速力、機動性で勝った。米パイロットが至近距離のドッグファイト訓練は行ってなかったのは、空軍が空対空戦は長距離ミサイル攻撃になると想定してきたためだった。

 さらにファントムのJ79エンジンは濃い黒煙を発し、機体サイズとあわせ空中で発見は容易で遠距離から標的になった。他方で交戦規則により米パイロットは未確認目標が視認距離外にあれば攻撃を禁じられていた。これでせっかくのミサイル性能も発揮できなくなった。

 

改良策

だが、F-4の問題点は解決されていった。空対空ミサイル技術は大幅に向上し、後期型のスパロー、サイドワインダーに反映された。F-4EではついにM161ヴァルカン機関砲が搭載された。.

 それ以前は外部ガンポッドを搭載して対応するファントムがあったが、大きな振動が発生していた。

 1972年、フィル・ハンドレー少佐のF-4がMiG-19を機関砲で撃墜したのが超音速域での銃撃による撃墜事例で唯一のものとなっている。

 空軍はF-4E全機に主翼スラットを搭載し、操縦性を大幅に改良した。新型J79エンジンでは黒煙問題の解決を狙った。

 対照的に米海軍は航空戦闘機動訓練の欠如が原因ととらえ、トップガン訓練を1968年に開始した。海軍パイロットはキルレシオで優秀な結果を残しており、7機を喪失したが40機を撃墜している。 

 空軍のファントム全体では107機を撃墜したが、33機を喪失している。海兵隊は3機撃墜したとする。地上砲火で三軍で474機のファントムを喪失したのはファントムに対地攻撃も担当させたためだ。

 派生型が二種類生まれた。RF-4写真偵察機とワイルドウィーゼルで、後者は敵の地対空ミサイル防空体制の撃破を専門とした。米軍のファントム実戦投入は砂漠の嵐作戦が最後となり、1996年に用途廃止した。ペンタゴンは一部機材を無人標的機QF-4に改修した。

 

中東のファントム

 ファントムは世界中で供用された。特にイスラエルではエジプト、シリアを相手に116機の撃墜記録を達成した。

 1973年のヨムキッパー戦争(第四次中東戦争)ではエジプト空軍のMiG編隊がオフィール航空基地を急襲し、離陸できたのはファントム二機しかなかったが、7機の撃墜に成功した。.

 イスラエルのファントムの第一の標的はアラブ側の地対空ミサイル陣地だった。SAMによりイスラエルはファントム36機を喪失している。

 イスラエルのファントムで最後の奉公となったはレバノン戦で、新型F-15やF-16のエスコートを受けたファントム編隊は一日でベカー警告内のシリア軍SAM陣地30か所を全部撃破したが一機の喪失もなかった。

 イランは革命前に米国より225機のF-4を受領し、イラン戦闘機部隊の中核となり9年にわたり続いたイラクとの戦争に投入した。イランのファントムはイラクMiGに善戦したほか、長距離攻撃も実施した。ただし、空対空ミサイルの成果については疑問の余地がある。

 

21世紀のファントム

ファントムをF-15イーグルと比較してみよう。

 F-15の供用開始は1975年で第四世代戦闘機として今日まで近代空軍力の中心的存在だ。F-15は意図的にF-4とは別の路線の高機動性を誇る機体になっている。

 レバノンでF-15、F-16が初の戦闘投入された1982年にイーグルはシリアの第三世代機80機超を撃墜しながら被撃墜機は皆無だった。

 第四世代戦闘機の優秀性が実証されたのが湾岸戦争で、イラク戦闘機が撃墜に成功した第四世代戦闘機はF/A-18ホーネット一機に過ぎないが、第三世代機では33機を撃墜している。F-4は新しい環境に対応できるのだろうか。

 簡単である。第四世代機で搭載したハードウェアと同じものを搭載すればよいのだ。

 トルコ空軍、ギリシア空軍で供用中のファントムには新型パルスドップラーレーダーが搭載され、「ルックダウン、シュートダウン」攻撃がF-4で可能となった。従来は高高度飛行中はレーダーによる低空飛行中の機体探知は困難な仕事だった。レーダー波が地上に反射してクラッターが発生するためだ田。アクティブドップラーレーダーだと地表クラッターの影響を受けない。

 近代改修型F-4では各種近代装備を運用でき、AIM-120C AMRAAM空対空ミサイル(射程65マイル)、AGM-65マーベリック精密誘導弾、スパロー後期型、サイドワインダーミサイルがそれぞれ搭載可能だ。

 現代の戦闘航空機材はウェポン搭載手段にすぎず、こうした装備を運用できるF-4は第四世代機のF-15、Su-27と同様の攻撃任務をこなせる。

 だが電子装備や計器類は陳腐化しているのではないか。必ずしもそうではない。たとえば、近代化改修型のF-4にはヘッズアップディスプレイ(HUDs)がつき、パイロットは視線を落として計器盤をチェックする必要がなくなった。

 ドイツは改修型F-4Fを2013年まで運用し、将来のため機材を保管している。韓国にはF-4Eが71機があるが、改修は一部にとどまる。日本もF-4EJ改を同数保有し、パルスドップラーレーダーと対艦ミサイルを搭載する。イスラエルはファントム改装をいち早く1980年代に開始し、ファントム2000クルナス(ハンマー)と呼んだ。イスラエル企業はギリシアのピースイカルスファントム41機にANPG-65パルスドップラーレーダーを搭載し、AMRAAMミサイル運用を可能とした。

 イスラエルはトルコにもターミネーター2020事業で協力しており、主翼にストレーカーを追加し操縦性能を向上させている。

 同機改修では配線20キロメートル分を交換し重量1,600ポンドの軽量化に成功した。トルコ向け機材ではセンサー、電子装備も一新している。またぺイヴウェイ爆弾、HARM対レーダーミサイルやポパイミサイル(3千ポンド級、射程48マイル)の運用が可能だ。

 ターミネーター各機は基本的に対地攻撃が任務だが悪評もある。クルド人組織PKKの戦闘員をトルコ国内、イラクで2015年から2016年にかけ爆撃した。RF-4偵察機がシリアで2012年に撃墜され、F-4三機が2015年に墜落しており、トルコ国内では「空飛ぶ棺」と揶揄されている。

 イラン空軍はF-4D、Eの76機とRF-4の6機が作戦投入可能と2009年に述べていた。同国はロシア製中国製の空対地、対艦ミサイルの運用を可能とする改修を実施したようだ。ただし、中古品のAIM-7スパローを今も使っている。イランのF-14トムキャット同様にF-4でも部品入手は密輸に頼っている。

 イランのファントムはイラク国内のイスラム国標的を2014年12月に空爆し、ペルシア湾上空で米軍機との追いかけっこをしている。

 性能強化されたとはいえ改修版F-4は本当に第四世代機と同等といえるのか。21世紀でも供用中のファントムで空対空戦は一回も発生していないが、ギリシアのF-16と撃墜に至らないドッグファイトは発生している。

 また中国のSu-27と2010年の演習で模擬空戦を行い、ネット上の情報ではゼロ対8機と優秀な成績だったという。

 主翼スラットを追加したファントムがきつい旋回をこなし、180度方向展開をする様子を映像で見ると、F-15並みの機体操縦が実現しているが、F-4では旋回完了まで7-8秒かかっているのがわかる。F-15が操縦性では一歩上を行く。

 だからと言って改修型F-4がその後登場した機体より優れた設計であるとの証明にならないが、第四世代機の機体重量と比べ相当大きな重量の機体の飛行制御が可能とわかる。

 ファントムの1958年初飛行時、その60年後にも第一線で活躍している姿を想像できたものは皆無に近かったのではないか。■

 

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

America's F-4 Phantom: Taking On the World's Best Fighters (At 60 Years Old)

 

March 5, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-4 PhantomMilitaryTechnologyWorldU.S.Air Force

by Sebastien Roblin

 


2019年2月20日水曜日

★F-15Xから思い起こされるF-4ファントム改修構想とその顛末

歴史は繰り返すのでしょうか。ファントムが異例の長寿となったのはやはり大型機ならではの余裕が理由でしょう。F-15も同様に長寿機になっていますが、折角出てきたF-15XをF-35支持勢力が抹殺する愚行が起こらないよう願うばかりです。

In the 1980s, Israel Developed a 'Heavy Hammer' F-4 Super Phantom: What Happened?1980年代にイスラエルが『大型ハンマー』のF-4スーパーファントム開発に走ったがその結果は?

Some fighter history you may not know.あなたの知らない戦闘機の歴史がある
February 16, 2019  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarIsraelF-35
2018年の報道記事で性能改修型F-15X戦闘機調達をペンタゴンが検討中と判明した。F-15C制空戦闘機の更新用だがF-35ステルス戦闘機支持派にF-15X導入でF-35調達への影響を恐れる向きもある。ただしF-35はF-15C後継機ではなかった。新型機メーカーが既存機種の改修型の出現を警戒するのは今回が初めてでない。
F-4ファントムは複座ジェット戦闘機の野獣といった存在でマッハ2飛行しながらB-17爆撃機を凌ぐ爆弾搭載量を誇った。高性能レーダーを搭載し、空軍、海軍、海兵隊で1960年代に採用され空対空ミサイルで視界外の敵機を排除する構想だった。
だが初の実戦となったヴィエトナム戦で設計不良と不利な状況が浮かび上がった。初期の空対空ミサイルは信頼性が極めて低く、交戦規則では米パイロットは有視界内で確認を最初に求められた。さらにMiG各機に比べファントムの操縦性は劣り、米パイロットは視界内での空戦訓練を十分受けておらず、ファントムには機銃が搭載されていなかった。
設計上の不良は修正されていった。20ミリヴァルカン砲がF-4Eから搭載され、ミサイル技術も大幅改良された。さらにパイロットも空中戦闘操縦理論で訓練を受け、主翼にスラットが追加され速力を犠牲にしたが操縦性が向上した。ヴィエトナムでは150機撃墜で41機被撃墜の3対1のキルレシオだったがその後のイラン-イラク戦争やアラブ-イスラエル戦で実績を上げていき、150機程を撃墜し地対空ミサイル陣地の排除で成果を見せた。
1970年代中頃から米軍ではファントム後継機として第四世代機のF-15イーグル、F-16ファイティング・ファルコン、FA-18ホーネットの導入が始まった。各機とも効率に優れたターボファンエンジン、フライバイワイヤで油圧式制御を排除し、ドップラー・レーダーで低空を飛ぶ敵機への対応力を上げ、機体とエンジンの組み合わせと速力と操縦性のバランスが改良されていた。
ただしこうした新技術はファントムにも改修で搭載された。1980年代にイスラエル航空宇宙工業(IAI)がファントム近代化をクルナス(大型ハンマー)の名称で三段階で企画した。第一段階はレーダー更新、ヘッドアップディスプレイ、コックピット計器の更新、スタンドオフミサイル運用能力の付与だった。だがIAIは国産軽戦闘機ラヴィ(ライオン)でもっと野心的な性能向上を狙っていた。
1980年にIAIはエンジンにブラット&ホイットニーを選定しF-15用のF100ターボファンを小型化しラヴィに搭載しようとした。ここから生まれたPW1120はF100より小型だが推力はほぼ同じ、部品互換性も70%を実現した。
1983年にボーイングとプラット&ホイットニーが「スーパーファントム」構想を発表しPW1120搭載で燃料消費効率を大幅に改良しファントムが50年代から搭載中のJ79ターボジェットより推力を3割増やすとした。ボーイングのスーパーファントムは機体一体型燃料タンクも備え飛行距離は倍増し主翼吊り下げ型燃料タンクより抗力を改善するとした。ただし米空軍は1984年に同構想の予算手当を取り下げた。
その後1986年7月にIAIがラヴィ開発を進める一方でF-4Eファントム336号機をテストベッドとし、J79エンジン1基をPW1120に換装した。おそらくボーイングが支援したと思われるが、その後PW1120双発になり1987年4月に初飛行した。
すべての面でエンジン換装後のファントムの性能はずば抜けており、F-4Eの推力重量比は0.86から1.04に変わった。(1.0以上で90度の垂直上昇が可能となる)スーパーファントムは上昇性能が36パーセント向上し旋回速度は15パーセント早くなった。これでF-15Eと同程度の性能となった。エンジンが軽量化したこと、燃料消費が改善されたことでスーパーファントムは航続距離も伸びた。
もっと驚くべきことはスーパーファントムでスーパークルーズが可能となったことで、アフターバーナーを使わずに音速以上の速度を維持できた。現時点でもスーパークルーズ可能な戦闘機はF-22ラプターのみである。
1987年のパリ航空ショーでベテランパイロットのアディ・ベナヤがスーパーファントムを操縦しスピンからの脱出を見せつけた。ドナルド・フィンクがAviation Weekに「むき出しのパワーで垂直方向の機体操縦とタイトな高G旋回を見せ、旧式F-4とは全く異なる飛行ぶりを見せた」と評している。
スーパーファントムの航空ショーデビューでIAIがPW1120改修に向かい各国で販売するとの予測が出てきた。だが結局スーパーファントムは販売されず、その理由には物議をかもすものがある。
スーパーファントム改修は非常に高額だったとの指摘がある。一機12百万ドルとされ、エイビオニクス改修、機体構造強化、特殊燃料タンクまで一式とされた。当時のイスラエル空軍機材がその段階で耐用年数が残っていたことも考慮すべきだ。
さらに二ヶ月後にラヴィ戦闘機開発が中止となったのは米国からの圧力も原因で第四世代戦闘機で競争相手を作りたくないとの思いもあった。PW1120が他機で採用されないことも調達コストの底上げにつながった。
とはいえ当時の噂ではファントムの原メーカーたるマクダネル-ダグラスの横槍でIAIのスーパーファントムが同社の新型FA-18C/Dホーネットの邪魔になると妨害されたとも言われる。スーパーファントムはFA-18Cホーネット(29百万ドル)と同水準の性能だったともいわれる。その段階でドイツ、ギリシャ、日本、イスラエル、韓国、スペイン、トルコ、英国で数百機のファントムが供用されていた。
マクダネル-ダグラスがPW1120を搭載したスーパーファントムの認証を拒みIAIは価格面で競争力のある同機販売ができなくなったといわれる。この噂は当時広く出回ったものの確認できなかった。
IAFは55機のクルナス-ファントムでエイビオニクス改修を行い、スロットルと操縦桿の一体化、APG-76ドップラーレーダーの搭載、ポパイ対地攻撃ミサイルの搭載が実現した。クルナス-ファントムは2004年に退役したがIAIは同様の改修をトルコ空軍機材に行いターミネーター2020の名称とした。この機材がシリア上空で活躍している。
日本がライセンス生産のF-4EJを2019年に退役させると、残る運用国はギリシア、イラン、韓国、トルコのみとなりすべて改修型機材だが2020年代まで飛行する。だが結局スーパークルーズ可能なファントムは実現しなかった。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: Wikimedia

2018年12月26日水曜日

歴史に残る機体21 みにくいアヒルの子F-4はなぜ愛される機体になったのか

歴史に残る機体20 F-104の後継機として対照的な機体のファントムを導入した日本が最後まで同機を運用する国になったのはなんとも皮肉です。広く伸びる防空空域を有する日本にとってファントムは使い勝手がよかったのでしょうね。また改修を重ね当初の機体から相当変化したことも大きいですが、そういうところが盆栽に手を加えるような感じでいかにも日本的ではないでしょうか。

Why We Still Love the F-4 Phantom After 60 Years 
誕生60年たつF-4ファントムが未だに愛される理由とは


by Michael Peck
December 22, 2018  Topic: Security Region: Asia  Blog Brand: The Buzz Tags: F-4 PhantomU.S. Air ForceJapanese Air ForceSoviet AircraftMiG

F-4ファントムがなぜ世界中で愛されるのか。

美しい、優雅、美学といった表現と無縁だ。ファントムには「ライノ(サイ)」や「二重に醜い奴」とのあだ名がついた。航空力学原理の実証で稀有な存在とも言われる。「でっかいエンジンをつければレンガも空を飛べる」。


ファントムは高性能機で1958年の初飛行ですぐに世界記録を塗り替えた。だが当時は高性能米製戦闘機各種が空を飛んでいた。F-101、F-102、 F-104、 F-105、F-106やF-111といった具合だ。だが今や各機は書籍の写真でしか見られない。

ファントムは合計5,195機が12カ国の空軍部隊で供用された。とはいえ冷戦時の敵国の成功作の半分にもおよばない。MiG-21(NATOコードネーム、フィッシュベッド)とはヴィエトナム、中東の上空で対決した。

F-4の出自は米海軍向け艦載迎撃機で空母を狙うソ連爆撃機をレーダー誘導ミサイルで撃破する役割だった。F-35同様にF-4は空軍の主力戦闘機となり、海兵隊でも同様だった。米空軍の調達機数は海軍の三倍近い。
ただファントムの欠点を上げればキリがない。複座で機体重量15トンの「鉛製そり」は操縦性が悪かった。双発の大型J-79エンジンは黒煙を吐き、ファントムが飛ぶ場所はすぐわかった。構想時点で空対空ミサイルが優勢となり機関銃は時代遅れの認識があったため、F-4には機銃が搭載されず北ヴィエトナムの敏捷なMiG相手のドッグファイトで何度も悔しい思いをした。
欠点が多いことからファントムがワースト10機材のリストに入ることもあった。だが「空飛ぶレンガ」への愛着も深く、航空自衛隊の航空ショーでF-4の退役前飛行展示でそれがわかる。世界各地からファントムのファンが集結したのだ。
ファントムの魅力なんと言ってもその柔軟性だ。1970年代初頭に機関砲一門が搭載され、MiG相手の空戦技法をパイロットが習得していた。同機は真の多任務機になった。迎撃機、制空戦闘機、偵察機、ワイルド・ウィーゼル防空体制制圧機として。その一部は偶然によるものだ。操縦したパイロットは、アメリカ人、イスラエル人、イラン人ともに十分訓練を受けて柔軟に戦術を選択できたので、相手のアラブ人、ヴィエトナム人、たまにソ連のMiGパイロットよりすぐれていた。また西側機材の例に漏れずソ連製機体よりすぐれた電子装備を搭載していた。
とはいえ愛情に合理性は無縁であり、理屈つきならばそれは愛情ではない。ファントムが愛されてきた理由は成功した機材だったからではなく、もともと成功作をめざしていかったからだと思う。人類は数々の破壊手段を作ってきたがジェット戦闘機は中でも美的に一番洗練された手段と言える。F-16のこじんまりとした優雅さ、ミラージュ5の美しい対照的形状が一例だ。ファントムはあたかも象に翼をつけたごとくである。だがアンデルセンのみにくいアヒルの子ではないがファントムは自らの不評を逆転させたのだ。■



Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .

Image: Flickr.

2016年9月3日土曜日

★米空軍QF-4が最後のフライトから無事帰還 撃墜に忍びなかったのか ミサイルはF-35が発射



米軍では第二次大戦から無人機に改装した戦闘機を使っており、標的機として各種老朽機材を投入しています。F-4もアメリカの空から消える日が来たのですね。日本ではまだまだ現役ですが。国土の違いなのか、財務省の国有財産処分方針の違いなのか日本では無人標的機というものは知りませんが、ここらに無人機への認識の違いがあるのかもしれません。
ちなみにドローンという言葉をマスメディアで根付かせたのはヒラリーでその理由はmanという単語が一部に入っているからです。嫌な女です。

USAF QF-4 Phantom is shot at by an F-35 with two AIM-120s during last unmanned mission (and survives)

Aug 31 2016 - By David Cenciotti

最終フライトで無人ファントムはF-35の標的となりAIM-120ミサイル二発が発射されたが、無事帰還してきた。

  1. 米空軍からQF-4無人機の最終飛行状況の映像画像が公開された。興味深いことに無人標的機の最後のご奉公は8月17日のF-35ミッション支援だった。
  2. 第八十二空中標的飛行隊のロナルド・キング中佐によれば同機へF-35ライトニングIIがAIM-120AMRAAM二発を発射したしたという。兵器テストの詳細な条件やシナリオはわからないが、不調でミサイル発射が失敗したのか、中止になったのか、あるいは命中しなかったのか(命中精度100%のミサイルは存在しない)不明だが、無人ファントムはホローマン空軍基地に無傷で帰還している。
  3. QF-4が撃墜されなかったことからテストがAIM-120ミサイルの命中精度を確かめる内容ではなく、F-35の標的追尾能力とAMRAAM誘導を試したのではないか。ミサイルの命中範囲まで入れば自動誘導で無人機に向かったはずで、わざわざ高価な無人標的機を破壊する必要はない。AIM-120は命中直前に自爆するよう設定できる。
  4. だが一部読者から以前のテストで物議をかもした「不発」事例があったと指摘する向きがあろう。(「無人機は有視界範囲位にありAIM-120Cは命中前に自爆するよう設定されていた」) また別のテストでは(AIM-9X関連など)QF-4やもっと高価なQF-16にミサイル直撃(「発射後、ミサイルは目標を捕捉し迎撃パターンに乗り無人機を破壊、F-35初の空対空戦命中となり、無人標的機撃墜に成功したパイロットが使う無線交信『ブーラブーラ』を発した」
  5. QF-4が今年12月をもって終了する中で8月17日の無人機ミッションは最終フライトとなった。82空中無人標的飛行隊は12月1日にQF-16へ機種転換する。
  6. ホローマン空軍基地(ニューメキシコ)はQF-4が配備された唯一の基地で、第82隊は本拠地がティンドールAFB(フロリダ)でQF-16を2014年以来運用している。
  7. キング中佐はUSAF配信資料で「ほろ苦い気分」と評し、「F-4はヴィエトナム戦で忠実に働き、湾岸戦争まで第一線にありました。退役し飛行機の墓場に行っても国のために役立つことは同機の設計陣、テストパイロット、整備陣がこの長い期間に渡り同機を支えた証であり、同機が偉大な機体であることの証であり、その偉大さは最新機、最新装備のテストにも役立ったことが自ら証明しています」
Image credit: U.S Air Force

映像はここをご覧ください。https://youtu.be/6s7LMuHWQrk