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2021年4月6日火曜日

この兵器はなぜ期待外れに終わったのか➂ コンヴェアB-58は時代の変化に対応できなかっただけでなく、開発のシステム思考に問題があった。F-35に教訓は全く生かされず残念な結果が繰り返された。

 


 

 

ンヴェアのデルタ翼爆撃機ハスラーは一歩先を行く機体だった。

 

1956年11月11日、B-58ハスラー一号機が初飛行した。同機は実戦に投入されることはなかった。独特の形状で優雅な同機は高速飛行し核攻撃を行う想定で作られたが、ソ連の防空戦術の変更に対応して開発方針が変わったため経費が高騰し、自ら首をしめることになったが、もともとはB-47ストラトジェットの後継機の想定だった。

 

コンヴェアが開発したデルタ翼のハスラーは超音速爆撃機としてマッハ2.0飛行を実現しB-52ストラトフォートレス、ストラトジェットと一線を画す機体になった。

 

ハスラーは全長95.10フィート、翼幅56.9フィートと爆撃機としては小型機で、これに対しB-52は全長で64フィート、翼幅で128フィートも大きい。

 

ハスラーはスピードが命で、空軍はB53核爆弾(9メガトン)一発あるいはB43あるいはB61核爆弾4発をパイロンに搭載し、迎撃機が対応できない速力と高度でソ連や中国にダッシュ侵入する想定だった。

 

CIAは1964年に同機を迎撃可能な中国機はMiG-21フィッシュベッドのみで、かつ迎撃に成功する可能性は「わずか」と分析した。

 

これはすべてJ79-GE-5Aターボジェットエンジン4基各10,400 ポンド推力で実現したことだ。デルタ翼形状も高速飛行に寄与したが、抗力の発生により機体形状を再設計し、カーブのついた「コークボトル」となった。大型の燃料兵装ポッドを胴体下部に装着した。

 

発熱を抑えるべくコンヴェアはB-58の表面をハニカム構造のファイバーグラスのサンドイッチ構造でアルミ、スチールを一体化し、鋲の代わりに接着剤を使った。この技法がそののちの民生機にも応用されるはずだった。

 

ただし、ハスラーの小型形状がソ連領空進入の面で最大の欠点となった。空中給油なしだと航続距離はわずか1,740マイルとなった。このためハスラーはヨーロッパに配備し、同時に相当数の空中給油機も準備した。

 

航続距離の短さを空軍が懸念したと空軍大佐(退役)エリオット・V・コンヴァースIIIが著した冷戦時の回想録Rearming for the Cold War, 1945-1960にある。

 

戦略空軍のカーティス・ルメイ中将は同機が気に入らず、はやく戦略空軍から除去したかった。

 

同機の機構が複雑なことが状況を悪化させ、多額の費用が発生した。運航経費はB-52の三倍になり、対応が困難だった。機体再設計で「コークボトル」にしたことで開発が遅れ、経費も上昇した。

 

調達数も変更となった。空軍は116機で打ち切り、当初構想の三分の一規模になった。同機の高速飛行に呼応し航法、爆撃用にスペリーがAN/ASQ-42を開発したが、費用も高騰し、厄介な開発となった。

 

J79エンジンも難航した。ブレーキ、射出座席も開発がスムーズにいかなかった。「B-58は数々の速度記録を樹立したが、巨額の開発費用に見合わなかった」とコンヴァースは記している。

 

ハスラーの前途に立ちふさがった二つの事象が決定的となった。まず、ソ連の地対空ミサイル開発が進展し、1960年5月に高高度を飛行中のU-2スパイ機を撃墜するまでになった。この際に使われたS-75ドヴィナ(NATO名称SA-2ガイドライン)はB-58の実用最高高度の数千フィート上空までを有効射程に収めた。

 

対応策として低空飛行があったが、大気密度のため飛行速度が犠牲になる。ハスラーの設計目標に反することとなり、さらに低速度での機体制御が難しくなった。このため相当の機体を喪失した。

 

二番目の問題は米空軍が開発の各要素を同時進行で求めたことで、その後のF-35共用打撃戦闘機と類似している。

 

「システムとして最初から統合した形で構想し、原案をもとにすべての面でシステム形成をめざし、サブシステムや支援施設装備の投入、訓練内容も計画し、すべて同時並行で進めることをめざした」と上述のコンヴァースが述べている。

 

困ったことに一つに問題が発生すると全体の進捗に波及的な影響が生まれた。「B-58で些細な問題が見つかると、システム規模で再設計するか、問題が解決されるまで待つことを与儀なくされた。そのため開発が遅れ、せっかく準備した生産体制を破棄することになり、コストが上昇し、開発全体が遅れた」

 

これは遅延が何度も発生したF-35のようだ。空軍は同時進行開発によりステルス戦闘機は効率よく開発できるとしていたが、そうならず、現実はその反対となった。

 

B-58ハスラーは実戦を見ることなく、非核ミッション仕様にも改装されなかった。1970年1月に同機は用途廃止となった。空軍の核攻撃ミッションは低空飛行をするB-52、B-1、FB-111、ステルスB-2、弾道ミサイルにまかされた。

 

B-58の失敗体験が生かされず、革新的技術を応用する機体を同時進行で開発する危険性が画されてしまったといえる。■

 

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How the Beautiful B-58 Hustler Lost Its Chance at Life

April 4, 2021  Topic: B-58 Bomber  Blog Brand: The Reboot  Tags: B-58MilitaryTechnologyWorldBomber

by Joseph Trevithick

Image: Wikipedia.


2019年3月30日土曜日

F-117が開いたステルス機の歴史と今後の展望

コメントは下にあります。




Sad Stealth: Was the Lockheed Martin F-117 Nighthawk Retired Too Soon? 悲運のステルス、ロッキード・マーティンF-117ナイトホークの退役は早すぎたのか

Or was it too old to be a threat?
March 24, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-117F-35F-117 Stealth FighterMilitary

空軍で今後の戦力構造の検討が進む中、ステルスの進化過程をふりかえるのに意味があろう。はじまりはロッキード・マーティンF-117ナイトホークだった。同機は2008年に退役したが今日でも有効活用できるだろうか。
中程度の脅威として例えばイランが相手なら可能だ。だがハイエンドのロシア、中国相手では疑わしい。技術はF-117の構想時から相当進歩している。
1970年代に開発が始まり、1983年に極秘裏に作戦投入可能となったF-117が新時代の扉を開き、その後数十年にわたる航空優勢を米国に確保した。皮肉にもナイトホークを実現した理論のルーツはソ連論文「ゆがみの物理理論における末端波形」であった。この論文はロシア人ピョートル・ヤコヴレヴィッチが1962年に発表したもののその後忘れられていた。ロッキードのスカンクワークス技術員デニス・オーヴァーホルサーがロシア物理学者の方程式の潜在可能性に着目した。
オーヴァーホルサーからスカンクワークスが絶望のダイヤモンドと呼ぶコンセプトが生まれた。その形状で驚くほどレーダー断面積減少効果があると判明した。そこでペンタゴンはロッキードに即座に契約を交付し、実証機ハブブルーHave Blueを製造させ高度残存可能試験機Experimental Survivable Testbed (XST)の実現をめざした。ペンタゴンはワルシャワ同盟軍による防空体制の突破方法を模索していた。冷戦が第三次世界大戦になればNATO空軍部隊が大損害を被る予想が現実になりそうだったからだ。
ロッキードは絶望のダイヤモンドでフライ・バイ・ワイヤ技術も投入した。その結果生まれた機体は敵レーダー波を反射するべく多様な面がつき、F-117の縮小版の様相で初飛行は1977年12月だった。試作機2機はともに全損したがハブブルーは成功作とされ空軍は次の段階としてF-117開発を決断した。
F-117の初飛行が1981年で供用開始は1983年だ。ロッキードは利用可能な既存部品を使い短期間で機体を完成させた。フライ・バイ・ワイヤはF-16の流用で、エンジンはF/A-18のジェネラル・エレクトリックF404ターボファンからアフターバーナーを外した。さらにF-117では後のステルス機と異なり、航空機用アルミニウムを多用し製造を容易にした。ロッキードはF-117Aを59機、試作用YF-117Aを5機製造した。
F-117の実戦デビューは1989年のパナマだったが成果はぱっとしなかった。だがF-117は1991年の第一次湾岸戦争のイラクですばらしい成果を示した。その後発生した第二次湾岸戦争、イラクの自由作戦にも投入された。空軍はF-22ラプターの予算捻出を優先し2008年に経費節減のためナイトホークは退役した。空軍はF-22ラプターとF-35が加わればF-117は不要となると説明していた。
F-117の供用期間中で喪失機はデイル・ゼルコ中佐操縦の一機だけで1999年3月ユーゴスラビア上空でコソボ紛争に介入した連合国軍作戦の最中だった。ステルスも無敵ではないとの印象が一般国民に広まったが、安全保障専門家はそんな幻想を一蹴した。ただ1990年代に低視認性機材への過信が生まれたのは確かだ。ステルス機も兵装投下することで姿を探知される。ステルスは魔法の透明マントではない。
だが米空軍はステルスが透明、無敵の存在ではないことを常に意識していた。砂漠の嵐作戦では一般大衆の認識と違い、イラクに最初の一撃を加えたのは米陸軍のAH-64アパッチガンシップ部隊であり、F-117ではない。攻撃ヘリはVHF、UHFを使うイラク軍の低周波早期警戒レーダーの排除を命じられた。こうしたレーダーはC、X、Kuの各バンドでステルス機も探知する。アパッチ隊がF-117に道を開き、探知されずにイラク国内奥深くへ侵入できたのだ。
その後登場したステルス機のF-22やF-35は高周波火器管制レーダーに対して有効な設計だ。第5世代戦闘機の設計思想はF-117戦術ステルス攻撃機をそのまま継承しており、敵はなにかいると認識する状況を前提とする。ただし敵は手が出せないという前提だ。だが公表情報と異なり空軍のステルス機は海軍の電子戦機材のプラウラーなどがいない空域には一度も投入されていない。
これに対してB-2のようなステルス戦略爆撃機は潜水艦と同様の運用で存在を全く認知されない。大型爆撃機には「広帯域全方位」ステルス性能があり、低周波レーダーでも探知されず、ノイズやクラッターに隠れる。それでも空軍はロシアや中国が低周波レーダーでB-2も探知する日が早晩来ると見ている。「こちらはB-2機内で防御統制システム(DMS)で相手の脅威を特定だきる」と空軍関係者は述べる。「だがEW(電子戦)の進歩は待ったなしでDMSを向上させないと対応できない」だがB-2は相手側脅威に合わせた性能向上をしておらず、このため空軍はLRS-BとしてB-21新型爆撃機で低周波探知装備に打ち勝つ必要があるのだ。
だが空軍発表ではF-117がハイエンド戦に耐えられないと強調されている。同機は高周波レーダー対策が主で、F-22やF-35のリアルタイム被探知回避や脅威発生源の探知はできない。また一旦探知され対抗手段が向けられれば生存出来るだけの性能がない。
これがF-22やF-35が有するF-117より有利な点だが、ロシアのPAK-FA(Su-57)や中国のJ-20、J-31も同様だ。F-117は脅威対象を回避する自動飛行経路作成能力に完全依存していた。だがF-22やF-35はリアルタイムで脅威源を把握しパイロット関与を不要としており、さらにF-35がラプターより一歩先を行く機体になったのは技術進歩の恩恵を受けているからと言える。
広範囲の周波数各種でのレーダー断面積でラプターがF-35より小さいと空軍は2014年までは説明していた。だが新型機のほうが電子戦装備の進歩で探知特徴をよりよく管理できる。このため航空戦闘軍団司令官を務めたマイク・ホステジ大将が「F-35ではF-22波の高高度性能や速度は出せないが、ステルスではF-22に勝つことが可能だ」とBreaking Defenseに言ったのだろう。「可能だ」と言う言葉が問題だ。現役のACC司令官ホーク・カーライル大将はNational DefenseでF-35は「相手を探知するパッシブ性能と自機の被探知特徴の管理で一歩先を行く」と述べている。
結局のところ、米国が数十年と巨額の費用を投じて養成したパイロットのインターフェイスがロシアや中国が慌てて整備中の対抗策への優位性を実現する。米国は優位性を維持するためにも新しい技術開発を続けてていかねばならない。■

F-117は退役したことになっていますが、西部に飛行隊分の機材を温存しており、ときおり飛行しているところが目撃されていますし、海外に投入されたとの未確認情報もあります。記事の説明にあるように相手によってはまだまだ有効な攻撃手段になるのでしょうが、支援機材が必要で単独投入できる機材でないこともわかりましたね。しかしその機材維持運用費用はどこから出ているのでしょうか。

2018年6月10日日曜日

F-117にみるステルス技術の「神話」と現実

よくあることなのですが、記事のタイトルと内容特に結論が乖離していますね。たしかにF-117は退役後も米国西部にこっそりと温存されていますが、投入できる範囲は限られるでしょう。戦闘機の分類ながら空戦能力が皆無で対地攻撃機に使うのが本領の同機ですがなぜF-117になったのでしょうね。戦闘機と言いながら爆撃機というのはF-105サンダーチーフの例が前にもありましたね。



Could the F-117 Nighthawk Make a 'Stealth' Comeback? F-117ナイトホークが「ステルス」カムバックする可能性はあるのか



June 5, 2018

ッキード・マーティンF-117ナイトホークは伝説の機材だ。2008年に退役したF-117は今日でも有効な戦力になれるのか。
その答えはイランのような中距離程度の脅威を有する国相手なら間違いなくイエスだ。だがロシアや中国と言ったハイエンド脅威国が対象となると怪しくなる。F-117が「ステルス戦闘機」として開発が始まって以来の技術進歩には相当のものがある。
F-117の開発
1970年代に開発が始まり、秘密のうちに供用を開始した1983年、F-117は米国による戦闘の独壇場を開いた機体となった。皮肉にも米国がナイトホークを開発した出発点はソ連でピョートル・ヤコブレビッチ・ウフィムツェフが1962年に執筆した論文だ。折角の構想をソ連は非実用的と無視したが、ロッキードのスカンクワークスのデニス・オーバーホルサーがロシア物理学者の論文に実用的な意義を見出したのだ。
オーバーホルサーの研究からスカンクワークスで絶望のダイヤモンドと呼ばれたコンセプトが生まれた。だがすぐに不格好なダイヤモンド形状がレーダー断面積削減に大きな効果があることが判明した。そこでペンタゴンは直ちにロッキードに契約交付し実証機ハブブルーの作成にあたらせた。これは生存可能試験機(XST)事業の一環だった。ペンタゴンは当時ワルシャワ条約軍の防空体制が実効力を強める中で対策に全力を尽くす必要に迫られ、第三次大戦勃発となればNATO空軍部隊は多大な損害を覚悟せねばならない状態だった。
ロッキードは絶望のダイヤモンド機の設計から辛うじて飛行可能な機体製作に向かった。そこから生まれた機体は多数の面で敵レーダーを無効にする設計でF-117の縮小版の様相で1977年に初飛行した。試作型二機は喪失したが、このハブブルー事業は驚くほどの成功を収めた。このため空軍は後継機としてF-117開発を進めることとした。
F-117は1981年初飛行し1983年に戦力化した。ロッキードがここまで早く作戦機材を開発できたのは他機種の既存コンポネントを流用したためだ。フライバイワイヤはF-16から、エンジンはF/A-18AのジェネラルエレクトリックF404ターボファンからアフターバーナーを省いたものだった。さらにF-117は通常型の航空宇宙用アルミニウム製で、その後のステルス機と一線を画し、製造が容易だった。ロッキードは合計59機のF-117AとYF-117A開発試作型5機を製造した。
F-117の戦歴
F-117の極秘戦闘デビューは1989年でパナマ侵攻作戦だったがその実績は精彩を欠くものだった。ただしF-117は第一次湾岸戦争(1991年)ですばらしい働きをイラクで示し続く第二次湾岸戦争のイラクの自由作戦(2003年)でも同様だった。空軍は予算節約のためとしてナイトホークを2008年に退役させロッキード・マーティンF-22ラプターの予算をねん出した。その時点での空軍見解は航空優勢が主眼のラプターの登場でF-117の出番はなくなったというものだった。
供用期間を通じ機体喪失は1999年3月にユーゴスラビア上空で撃墜されたデイル・ゼルコ中佐操縦の機体一機のみで、コソヴォで発生したこの事件はステルス機といえども無敵ではない、レーダーや赤外線の前にステルス機も探知可能と広く知らしめることとなった。もともと国家安全保障関係者や軍内部でそんな幻想を抱くものは皆無だったが、1990年代から低視認性機の性能を過信する傾向が生まれていた。ステルスは探知追尾を遅らせるだけであり、敵に見つかる前に運んできた兵装を投下するのが基本コンセプトだ。ステルスは機体を透明化にする魔法ではない。
空軍はステルス機が探知不可能であり無敵だとは一貫して考えてこなかった。砂漠の嵐作戦では米陸軍AH-64ガンシップがイラクで初めて戦闘投入されており、そのミッションはイラクの低周波早期警戒レーダーを排除することだった。各レーダーはVHF、UHF帯域を使用していた。こうしたレーダーはF-117の探知追尾が可能だ。アパッチ部隊がステルス機に侵入経路を作りイラク内部へ探知されずに移動できるようにした。同機はC、X、Kuの各帯域でステルス性を発揮できる設計だ。
その後登場したF-22やF-35も高周波火器管制レーダーに有効なステルス性能を有する。第五世代戦闘機はF-117直系といえるが、敵も何かが飛んでいることは察知できる。ただ存在が分かっても打つ手がないはずというのが理論上の説明だ。だが空軍がステルス機を運用する際は海軍の電子戦機がある場合に限っている。
ステルス戦略爆撃機のB-2は潜水艦同様で飛行中に存在を探知されない。大型爆撃機は「広帯域全アスペクト」ステルス機で、つまり低周波レーダーをもってしてもノイズと乱反射に隠れ探知されない。それでもペンタゴンとしてはロシアや中国がここまで早期に低周波レーダーを開発しB-2にも脅威になる事態が来るとは予測していなかった。「B-2の脅威をリアルタイムで予測すべく国防管理システム(DMS)を利用したが、B-2でさえ脅威の進展についていけなく事態が来るとは正直想定できなかった。このため新型LRS-B(B-21)では低周波レーダー対抗を最初から盛り込んでいる」と空軍関係者が述べている。
F-117の限界とF-22を上回るF-35のステルス性能
この空軍関係者の話でF-117が高度のハイエンド戦に対応できないことの説明がつく。亜音速軽爆撃機のF-117が高周波レーダー対策に特化していることはF-22やF-35のようにリアルタイムで脅威発生源を探知したり敵発信の特徴の把握はできないことを意味する。ましてや探知されたり空中で敵に遭遇すれば生き残るのに必要な性能が足りない。
じつはここにF-22やF-35の長所があり、F-117はおろかロシアのPAK-FA(Su-57)や中国のJ-21やJ-31でさえもこの水準に及ばない。F-117の場合は各ミッション実施前に脅威対象を回避するコース設定が必要だった。F-22、F-35では侵入コースがリアルタイムで設定でき、パイロットに情報を提供するインターフェイスが備わる。この関連で共用打撃戦闘機はラプターよりさらに一歩先の性能で、開発時期の差から生じた技術進歩を反映している。
空軍や業界の複数筋からラプターのレーダー断面積はF-35より大きいとの情報があるが、今後の新型機はさらに進歩した電子戦装備のおかげもありステルス性能が向上する。航空戦闘軍団(ACC)司令官を退いたマイク・ホステージ大将がBreaking Defenseに語ったことばを思い起こさせる。「F-35は高度性能がなく速力も劣るが、ステルス性能でF-22を上回る」と述べていた。現ACC司令官ホーク・カーライル大将はF-35のパッシブ性能が優れ自機の出すシグネチャの管理能力は高い、とNational Defense Magazineで述べていた。
そうなるとロシアや中国への優越性はこれまで多額の費用を投入してきた機体とパイロットのインターフェースにかかる。カーライル大将も何年か前に筆者に同じことをペンタゴンで語っている。にもかかわらず米国が技術面で優位性を確保するには新技術の開発に今後も尽力する必要があるのは明らかだ。

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

2018年4月22日日曜日

★★★F-3開発:急浮上したF-22生産再開提案は日本に費用負担大半を求める内容

降ってわいたようなこの話ですが、前からF-22生産再開の話はあり、日本の影もちらちらしていました。虫のいい話に聞こえますが、日本にはF-2事案でも苦い思いをした経験もあり、F-3国産開発で進んできたのですが、いよいよ今年中ともいわれる方針決定の段階で考慮すべき点は多く、以下の内容にも一定の長所はあるように思われます。実現するかは微妙ですが、貿易収支、米国の動向もにらむと可能性が皆無とも思われません。実現するとすればイスラエルも関与すべきと考えますが、皆さんはどう思いますか。


Lockheed Should Restart the Raptor Line If Japan Wants An F-22-F-35 Hybrid  日本向けF-22-F-35ハイブリッド新型機が実現すればロッキードはラプター生産ラインを再開する構えGeopolitical trends, security concerns, and industrial and combat aircraft capability needs, could give birth to an American-Japanese Raptor 2.地政学、安全保障、産業構造、戦闘機ニーズを考慮すると日米共同のラプター2.0が実現する可能性が浮上

BY TYLER ROGOWAYAPRIL 20, 2018
OSAKABE YASUO


ロッキード・マーティンと日本産業界共同でF-35ライトニングとF-22ラプターの長所を組み合わせた準国産戦闘機を開発する構想に関心が日本の関心を集めていいるとのロイター報道にThe War Zoneはさして驚かされていない。
以下ロイター電の抜粋だ。
「ロッキードは日本防衛省と協議を終え日本の情報開示請求(RFI)に対応した正式提案を機微軍事技術公開に関する米政府承認の後に提出する準備に入った。提案内容に詳しい筋から直接この内容が判明した。
高度機密航空機設計内容・ソフトウェアの公開を認める決定が下れば日本は中国軍事力に対する優位性を実現し、ドナルド・トランプ大統領は米軍事輸出政策の見直し約束の試金石となる。
提案の航空機は「F-22とF-35を組み合わせていずれの機体を上回る性能になる」と上記筋は述べている」
日本もラプターに似た次期戦闘機設計構想を進めているが、優秀な運動性能と低視認性を組み合わせてF-22とF-35の特徴を兼ね備えた機体の構想も並行して浮上している。エイビオニクスの改良、ミッションコンピュータの性能向上、センサーの更新のうえ整備性の高い機体表面塗装を施すことだ。The War Zoneはまさしくこの可能性を2016年に予測していた。(以下同記事'Just Allow The F-22 To Be Exported To Japan Already'より)
「日本はF-22取得を切望していた。だがほぼ20年前に米議会が超高性能戦闘機輸出を相手を問わず禁止してしまった。このためF-22取得の夢は日本で消えたが、その後も希望は表明されている。
これに北朝鮮の脅威が加わり、新しい情勢を日本は深刻に受け止める中、既存戦闘機材の性能を改修中だ。
F-22の技術は試験段階をとうに過ぎている。事実、数十年前の代物になっている。輸出もおこなわれるF-35の方が多くの面で技術的にF-22を上回る。この点でF-22の輸出禁止はもはや保護主義の意味しかなくむしろF-35の生産数を増やす効果しかない。
だが400億ドル規模の次期超高性能戦闘機を日本が国内開発あるいは輸入の形で調達しようとしている。三菱重工のX-2技術実証機が飛行したばかりだが、ただ技術実証の域は越えなかった。報道一部にX-2を試作機と誤って伝えるものがあるが、同機が今後生産される保証はどこにもない。同機はYF-22というよりBird Of Preyの存在だ。
米空軍はついにラプター生産ライン再開の検討をはじめたが、実現の可能性はゼロに等しい。なぜなら実現すればF-35へ影響がでるためだ。またF-22が日本の求める400億ドル規模の戦闘機選定で唯一の候補であるとしても、ロッキード、米空軍、米議会が認めないだろう。一方で、日本はF-35導入を決めており、42機を発注中だ。
常軌を逸しているように聞こえるかもしれないが日本にF-22生産再開の費用負担させるのも一策で、USAFがラプター追加調達に踏み切れないのもコストが原因だ。ただし、現実は新型F-22に投じる予算はF-35生産を削ることで実現する。そうなるとUSAF関係者がF-22追加調達を希望する声を上げても政治的にはそのまま実現するとは考えにくい。
とにかくF-35を守ることが最優先なのだ。
では今後どうなるのか。大手米防衛産業企業が日本の鉄の三角形で守られた防衛産業基盤とF-22に酷似しながら完全なコピーではない機材を生産した場合、単純な生産ライン再開より費用が高くなるが、これならF-35の予算を脅かすことなく、USAFやペンタゴン全体としても安心できるはずだ。
似たような事例は前もあった。三菱とロッキードがF-16から準国産と言えるF-2を作り、100機ほどが日本に納入され、機体単価は100百万ドル超となり直接高性能版F-16を輸入した場合の三倍となり、性能面も決して高くない結果になった。
こう書くとおかしな話に聞こえないだろうか。今回はF-22生産を再開し、性能向上版に高性能かつ整備性の高いエイビオニクス他部品を搭載し、おそらく日本側負担で調達する可能性がある。USAFはJASDF発注に便乗し現在183機しかないF-22(このうち実戦仕様は125機のみ)を増やすことが可能となる。こんなにチャンスはめったになく今後二度と発生しない可能性が高い」
時を現在に進めると、F-35開発はもう戻れない段階まで来ており、トランプ大統領は同盟各国向け武器販売拡大を目指している。これを念頭に入れると、今回の提案が成立する確率が増えている。最大の疑問は日本にそれだけの財政負担の余裕があるのかで、特に同国にはほかにも重要な案件があることを考慮する必要がある。イージスアショア弾道ミサイル防衛やF-35Bのヘリコプター空母への搭載だ。
336百万ドルを投じた三菱X-2技術実証機は初飛行後、比較的短い間しか稼働しなかった。技術的な課題に直面したのは明らかで、海外企業との提携がないとステルス戦闘機の配備は困難と日本も学んだはずで、日本企業にも恩恵がある形での提携を模索するのではないか。
新たに判明したのはUSAFがF-22改修版の生産再開時のコスト試算作業を完了した事実だ。主な内容は以下の通り。
-194機の追加生産した場合の総予算は約500億ドル
-内訳に生産再開時の初期コストが70から100億ドル。機体調達コストが404億ドル
-機体単価は206-216百万ドル(F-22最終号機の単価は137百万ドルだった)
この規模ではUSAFもそのまま負担できないが、日本にはF-22性能向上版に近い機材をこれいかの金額で配備することは不可能だろう。ラプター生産再開を米軍のみの想定とする政治判断が撤廃されれば費用も下がりそうだ。
もし日本が自国開発機の代わりに改修型ラプター導入に踏み切れば日米両国に良い効果が生まれる。もし米国がF-22生産再開の一部費用負担ですめば、USAFはF-22機数をテコ入れでき、両国に望ましい結果が生まれそうだ。
ふたたびF-35支持勢力がこの動きを阻みそうだ。たとえF-35の将来が保証されても妨害してくるだろう。戦闘機予算が別の機体に投じられればそれだけ既存機種の予算が減ることになる。だがUSAFがラプター2.0を巨額の初期投入コストや開発費用の負担なしで調達できるとしたら願ってもない機会だ。日本が二百機ほどを購入し、米側も追加購入すれば機体単価も低下するだろう。
日本からすれば単価が下がり、技術移転が行われ、また一部部品の製造元となれれば恩恵は大きい。また機体の輸出が実現すれば効果を上乗せできるが、これにはF-35の海外販売への影響を恐れ米側が抑制するだろう。だがなんといっても既存かつ実証済み機材の導入は日本にとってリスク低下効果があり、米政府、米産業界が全面支援するとあれば恩恵が大きい。
日本が準国産機に高額な費用を喜んで負担するはずがないとは考えるべきでない。F-2は今日のF-35程度の機体単価になったあげく、搭載レーダーには問題が多い。日本はF-16後期型を購入しておけばF-2の三分の一程度で問題は最小限の機体を導入できたはずだ。
だがドナルド・トランプ大統領が安倍晋三首相と極めて親しい関係にあることも考慮すべきだ。日本に「最高性能」の機材調達を許しながら国防大手企業のポケットも潤せるなら大統領には望ましい提案に写るはずだ。日本向け防衛装備輸出ではトランプが安倍の求める装備を喜んで売るはずだ。

もしペンタゴンが賢明なら改修版F-22を日本と生産再開する案を歓迎するはずだし、日本政府が費用の大半を負担する覚悟がありながら、USAFがこの話に乗ってこないとしたら愚鈍といわれてもしかたがない。■

2018年3月17日土曜日

★★F-35採用を主張してクビになったドイツ空軍トップ

これは政治の横暴でしょう。制服組はタイフーンの性能発展性に限界を感じているのに対し、ヨーロッパ第一の考えの政治家がそんな現実には目もくれず目障りな発言を繰り返す将軍を横に追いやったということでは。ではその後を継ぐ空軍トップがやはり同じ発言を繰り返したらどうなるのか、あるいは「忖度」して政治家に取り込まれるのか。戦闘機選定はその後30年に影響を与えますから慎重に検討してもらいたいものです。

Luftwaffe chief dismissed over F-35 supportドイツ空軍トップがF-35をめぐり更迭の憂き目にあう



Sebastian Schulte, Berlin - IHS Jane's Defence Weekly
16 March 2018


ベルリン安全保障会議で展示されたドイツ軍マーキングのF-35。ルフトヴァッフェ参謀総長がトーネード後継機にF-35が欲しいと発言し更迭された。 Source: IHS Markit/Gareth Jennings

イツ空軍制服組トップが更迭される。ロッキード・マーティンF-35ライトニングIIの採用を主張したのが主な理由と判明した。
カール・ミュルナー中将Lieutenant General Karl Müllnerは5月末に退役することになり、その発表はドイツ国防相ウルスラ・フォン・デアレイエンUrsula von der Leyenが二期目就任をしたわずか二日後というタイミングである。
ミュルナー中将はこれまでJSFをトーネード後継機に公然と推す発言をしたのが更迭の原因だったようだ。「ルフトヴァッフェはF-35性能をトーネード後継機選定の基準をするべきであり、空軍に望ましい選択を明確に述べてきたつもり」とミュルナー中将は2017年11月に報道陣に語っていた。

ドイツ空軍参謀総長がJSFを支持して国防省方針とぶつかった形だ。国防省はユーロファイター・タイフーンを後継機にしたいと考えている。■

2018年2月14日水曜日

核武装対応F-35の登場で核抑止力の強化を狙う米戦略

F-35が核武装と聞くと一部の勢力が騒ぎ出しそうですが,核装備運用には特殊改装が必要で何も全部のF-35が核武装可能となるわけはないのですが、今後成り行きを注目する必要があります。また核の小型化もすぐ戦場に投入する構想と騒ぐ傾向がありますが、抑止理論を全く理解できない人たちがあちこちにいるのには辟易としますね。Warrior Mavenの記事です。



Mattis: Nuclear-Armed F-35 Can Change "Deterrence" Equation 

マティス長官:核装備F-35で抑止力の構造が変わる

ペンタゴンはF-35の核攻撃力が今回発表された核戦力整備構想のカギとみている。


By Kris Osborn - Managing Editor - Warrior Maven


ンタゴンが「核武装」型F-35の開発を急ぐのは戦略核兵器近代化でロシア、中国、さらに北朝鮮への対抗が急務であるためだ。同時に世界各地で核兵器の脅威が高まっていることも背景にある。
F-35に核運用能力を追加して核の三本柱のうち爆撃機部分のB-2、B-52さらに今後登場するB-21を補強すれば米核攻撃手段に選択肢が広がり、潜在敵国には今までにない圧力となるだろう。
核抑止力でF-35が浮上したのは最近の下院軍事委員会がペンタゴン発表の核戦力検討案 Nuclear Posture Review (NPR)での聴取でだ。
ジェイムズ・マティス国務長官はF-35を米国・NATOによる核抑止力で不可欠な要素と書面で表現している。
「戦闘爆撃機戦力で核・非核両用能力を近代化する中でF-35戦闘機がNATOの抑止力体制やわが方の前方配備戦力の実効性の維持を果たし安全保障上で必要な事態に対応する」と長官は述べている。
マティス長官はF-35が「核運搬能力」手段に浮上してきたのは米核戦力近代化のペースが世界各地の脅威環境の進展にみあっていないことへの深刻な懸念が背景があるとする。
「過去八年間の核運搬手段の近代化でロシア、中国、北朝鮮に米国が後れを取っており、敵側が新型装備合計34種類を開発したのに対し米国は一種類しかない。つまりF-35である」(マティス長官)
国防長官官房はWarrior Mavenに対しF-35の「核運用型」について長官が書面で言及したと認めた。複数報道が国防総省上層部の発言を引用しており、核武装型F-35は遅くとも2020年代初頭に登場するという。F-35はB61核爆弾を搭載するとAir Force Magazineは解説している。
F-35が米核抑止戦略に関与することは理にかなっている。F-35は太平洋に展開中で朝鮮半島で演習に参加している。搭載する兵装、ISR技術や多機能から攻撃の選択肢が幅広くなる。
速度、操縦性、低高度戦闘能力から核武装F-35は新しい形の脅威として潜在敵国に写るはずだ。戦術面でもF-35に長距離センサーや目標捕捉技術があり移動式発射装置の探知破壊に効果を発揮するほか、その他小型移動目標にも有効対応できるはずだ。
F-35は各種兵装の投下テストを完了しており、IM-9X、 AIM-120、 AIM-132、 GBU-12、 JDAM、 JSOW、 SDB-1、ペイヴウェイ IVの運用が可能となったとロッキード・マーティンは説明。核兵器運用がどうなるのかは不明だが、F-35は兵装3,500ポンドの運用がステルスモードで可能であり、ステルスを捨てれば18千ポンドまで搭載できる。
ペンタゴン高官が個別の事態や攻撃想定を口にしたくないのは理解できるが、NPRでは明確に「抑止力」強化として核兵器を率先して使用する姿勢を見せるとしている。
世界の脅威状況を鑑みてNPRでは核兵器オプション二つを急いで実現すべきと訴えている。ひとつは海軍向け巡航核ミサイルの導入だ。「核巡航ミサイルと一部潜水艦発射弾道ミサイルの弾頭改修で低威力核兵器の選択肢を実現することで抑止効果が高まり、敵勢力は限定核攻撃に踏み切っても有利になれずエスカレーションの意味もないことを悟るはずだ」と統合参謀本部副議長ポール・セルヴァ大将 Gen. Paul Selvaが報道陣に語っている。
ペンタゴン上層部はNPRの提言で新型核兵器開発にむかうわけではなく、核兵器の全体数を増やすわけではないと強調する。NPRの提言通りに整備を行っても米国の核不拡散方針に反するものではないとDoDは強調。
マティス長官はじめ上層部はNPRの戦略アプローチで矛盾が生まれることは承知しているようだ。議会から低出力核兵器を新規投入すれば核戦争の「閾値が下がり」、危険が逆に増すとの指摘がある。マティス長官は議会に対して核攻撃力を増強すれば逆の効果が生まれるとし、核兵器増備で抑止効果が上がるので平和が維持できると主張。
具体的にはマティス長官は潜水艦発射弾道ミサイルを低出力化することがロシアに圧力となりINF条約の違反状態を改善する交渉に応じるはずだとする。
「ロシアのINF違反は把握しており、交渉でロシアに条約順守に戻らせたい」(マティス長官)
こうした戦略面と別にマティス長官はNPRでは核兵器投入は最も極端な事態に限定されていると強調し、「核兵器投入は戦略面を一変させる。核抑止力は慎重に取り扱うべきだ」と述べた。
敵防空装備が急速に高性能化していることをあげて、マティス長官は海から発射する巡航ミサイルが敵に脅威を与えるため必要で空中投下型の低出力兵器の投入が困難な場合に有効な選択肢になると述べている。
「重力投下型爆弾が低出力だと爆撃機は敵防空網を突破する必要があるが、現在の防空網は20年前から大きく変わっている」(マティス)
例としてロシアのS-400さらに登場しつつあるS-500には各種周波数を使い従来より遠距離で航空機探知の能力がある。高速コンピュータ処理とデジタルネットワークで各地の防空装備をつなぎ、広範囲で標的に対応できる。
またペンタゴンが進めたい新型核搭載空中発射式巡航ミサイルの長距離スタンドオフ兵器(LRSO)が注目される。核巡航ミサイルは爆撃機が対応できない敵のハイテク防衛網があっても敵攻撃が期待されるからだ。
LRSO批判派はLRSO導入で核兵器使用の可能性が「不安定化」すると主張。空軍兵器開発部門の関係者はWarrior Mavenに抑止力を強調しながら新型LRSOを追加すれば逆に「安定化」効果が期待できる、つまり敵が先制攻撃をためらう効果が期待できると述べている。
NPR推進派は核戦力強化が必要なのは現在の脅威環境で疑いなく核を投入する武力衝突の可能性が高まっているためと主張。

「敵対勢力の考え方が核兵器で変化していることに懸念しています。核兵器に一層信頼を置き、ロシアの核ドクトリンでは『逆エスカレーションのためにエスカレーションする』と言っています」とジョン・ルード John Rood国防次官(政策担当)が報道陣に語っている。■