2026年7月8日水曜日

海自「あぶくま」級DEは5隻を順次フィリピン海軍へ譲渡する契約で日比両国が合意したとフィリピン側が正式発表

 

Philippines Confirms Deal to Acquire Five Japanese Abukuma-Class Destroyer Escorts

「ちくま」は「あぶくま」型護衛駆逐艦の5番艦(防衛省提供写真)

「あぶくま」級護衛駆逐艦5隻を日本から取得する契約で合意できたとフィリピンが正式発表

Philippines Confirms Deal to Acquire Five Japanese Abukuma-class Destroyer Escorts

  • Naval News

  • 2026年7月7日公開

  • 高橋幸佑

https://www.navalnews.com/naval-news/2026/07/philippines-confirms-deal-to-acquire-five-japanese-abukuma-class-destroyer-escorts/


フィリピンは、海上自衛隊(JMSDF)から、間もなく退役するあぶくま級護衛駆逐艦5隻を取得することで日本と大筋合意に達した。これは、日本が外国海軍に対して計画している退役海軍戦闘艦の譲渡としては最大規模となり、東京の進化する防衛装備移転政策で新たな節目となる。

ギルベルト・テオドロ・ジュニア国防相は7月7日、マニラで、両政府が合意を実質的に最終決定しており、残りは行政上の手続きのみであると発表した。

フィリピン通信社(PNA)によると「手続き面の詳細は最終調整段階にあり、合意はすでに成立している」とテオドロは記者団に語った。

テオドロは同級の譲渡を、航空監視レーダーシステムやその他の防衛装備品を含むこれまでの安全保障協力と並んで、日本からの「善意の表れ」であると述べた。5隻すべての引き渡しは、2~3年以内に行われる完了する見込みだ。

この数は、マニラが当初目指していた「最低3隻のあぶくま級の取得」という目標から大幅に増加したものである。

フィリピン海軍の戦力強化

「あぶくま級」は、1989年から1993年にかけて就役した駆逐艦型護衛艦6隻で構成されている。沿岸防衛と対潜戦を主眼に設計された同級艦艇は、標準排水量約2,000トン、全長109メートル、最高速約27ノットである。

広域防空ミサイルやヘリコプター格納庫は備えていないが、沿岸作戦に適している。搭載兵器には、76mm OTOメララ主砲、ファランクス近接防御兵器システム(CIWS)、ハープーン対艦ミサイル、ASROC対潜ロケット発射装置、および軽量魚雷が含まれる。

フィリピン海軍にとって、これらの艦艇は艦隊規模を即座に拡大すると同時に、韓国製のホセ・リサール級フリゲートや、最近就役したミゲル・マルバル級フリゲートといった新型戦力を補完する存在になる。

テオドロは、フィリピン軍で供用中の各艦の状態を評価した上で、艦隊への最適な統合方法を決定すると述べた。また、マニラ政府は、新たな艦艇を支援するため、係留・ドッキング施設の追加建設も検討している。

数ヶ月にわたる交渉の集大成

合意形成は、5月にマニラで行われた小泉進次郎防衛大臣とテオドロとの会談を受けて設置された二国間作業部会によるものだ。

両大臣は、2027年度頃に開始される見込みの海上自衛隊からの退役直後に駆逐艦型護衛艦を移管することを目指し、あぶくま級やTC-90訓練機を含む海上自衛隊の装備の移管に関する協議を加速させることで合意していた。

計画通りに完了すれば、この譲渡は、ますます柔軟化が進む防衛装備品移転枠組みの下で、日本が退役した海上自衛隊の水上戦闘艦を海外に譲渡する初の事例となり、志を同じくするインド太平洋地域のパートナー諸国の海上能力を強化しようとする日本の広範な取り組みを反映するものとなる。

また、日本は「公式安全保障支援(OSA)」を通じ沿岸監視レーダーシステム、RHIB(硬質インフレータブルボート)、関連レーダー機器の提供、およびフィリピン海軍へのインフラ支援など、フィリピンとの防衛協力を拡大している。

戦略的意義

今回の合意は、中国の海洋活動の活発化に対応し、日本とフィリピンが安全保障協力を深化させる中で成立した。両国は「相互アクセス協定(RAA)」を通じた防衛関係の強化、二国間および多国間の共同演習の拡大、そしてより広範な防衛協力を進めてきた。

マニラにとって、同国の「リ・ホライズン3」近代化計画の下で新たに建造された艦が順次引き渡されるまでの間、あぶくま級艦は海軍能力を強化する比較的迅速かつ費用対効果の高い手段となる。とはいえ、フィリピン海軍が最近取得した艦艇は主に韓国製が中心であったため、日本製艦艇を統合するには、整備インフラ、兵站、予備部品の供給、乗組員の訓練などにおける調整が必要となる。

日本にとって、今回の譲渡は、退役艦艇が、インド太平洋地域における安全保障協力を強化しつつ、地域パートナーの海上能力向上に寄与できる可能性を示している。また、東京がより積極的な防衛装備品移転政策へ段階的に移行する上で、もう一つの重要な一歩となる。■

高橋幸佑

高橋幸佑は、日本を拠点とする防衛問題専門のライターである。同氏は『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』、『ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル』、モンチ・パブリッシングに寄稿してきた。また、ハフポスト・ジャパンの元編集長であり、朝日新聞およびブルームバーグの元スタッフライターでもある。高橋氏は1993年に慶應義塾大学を卒業し、経済学の学士号を取得した。朝日新聞社およびダウ・ジョーンズ社での勤務を経て、コロンビア大学のジャーナリズム・スクールおよび国際公共政策大学院(SIPA)で学び、2004年にジャーナリズムの理学修士号および国際関係学の修士号を取得して卒業した。1993年に朝日新聞の記者として入社する前は、川崎市の姉妹都市プログラムの一環として、ボルチモア経済開発公社に交換研修生として勤務し、日米間の貿易問題について調査を行った。その功績が認められ、1988年にボルチモア市の名誉市民に選出された。

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