2026年7月13日月曜日

原子力の利用は軍事応用で大きな意味があり、浮体式原発構想につながる可能性がある

 

浮体式原子力発電所(FNPP)のコンセプト 三井海洋開発

軍用エナジー利用は浮体式原子力発電所につながる

How the Future of Military Energy Could Lead to Floating Nuclear Power Plants

https://nationalinterest.org/blog/energy-world/how-the-future-of-military-energy-could-lead-to-floating-nuclear-power-plants

浮体式原子力発電所は、米国に軍事的レジリエンス(回復力)を高める新たな手段をもたらすと同時に、ロシアの原子力輸出における優位性に挑戦する可能性がある。

は、緊急時の電力網支援を目的として、米海軍がノーフォーク海軍基地で原子力空母を用いた試験を行う計画を報じている。実証実験では、ジェラルド・R・フォード級空母に搭載された原子炉が艦内のタービンを駆動し、そこで発電された電力を陸上電力網に接続された変電所へ送電する。

この構想は、一見すると奇抜に思えるかもしれないが、防衛や災害対応のために浮体式原子力発電所(FNPP)を活用する考えの検討はこれまであった。さらに、1960年代には、パナマ運河の電力網に電力を供給するためにMH-1A原子炉が配備され、退役艦艇を原子力発電所として活用した事例もある。MH-1AはUSSスタージスに搭載され、同艦は曳航可能となるよう改造された後、運河に定置された。

FNPPに関する国家安全保障上の構想が提唱されているだけでなく、ハン・カオ海軍長官代行の証言は、艦艇への電力供給にとどまらず、原子力エナジーを活用しようとする米軍の広範な取り組みと一致している。プロジェクト・ペレは、従来の化石燃料並みのエネルギー密度と出力を必要とし、再生可能エナジーの供給不安定さを許容できない遠隔地の作戦拠点向けに、移動電源を開発するために開始された。ノーフォークでの試験や「プロジェクト・ペレ」が国家安全保障および防衛を目的としている一方で、可搬型原子力エナジーのもう一つの主要なプレイヤーは、ソフトパワーと商業的側面を重視している。

ロシアの浮体式原子力発電所戦略

ロシアはFNPPとして「アカデミック・ロモノソフ」(AL)の配備に成功しており、同船は2020年以来、遠隔地の鉱業都市ペヴェクに電力を供給し続けている。北極圏にFNPPを配備することで、ロシア連邦はこの技術に関する専門知識を蓄積するとともに、同地域における存在感を確立することに貢献した。ウラジーミル・プーチン大統領は、この地域をロシアの将来に極めて重要であると見なしている。ロシアの国営原子力企業ロサトムは、国内および将来的には海外においても、浮体式原子力発電所の艦隊を拡大することを目指している。

浮体式原子力発電所の開発は、ロシアにとって原子力輸出を拡大する新たな手段となる。ロシアは供給国の中で最も幅広い原子力サービスを提供しているからである。ロシアはすでに原子力技術、サービス、資材の最大の輸出国であり、したがって、あらゆる原子力技術の最前線に立ち続けることが同国の利益となる。こうした原子力関連の輸出は、ロシアの影響力を拡大すると同時に、石油への依存度を低減させることにも寄与している。影響力を拡大し、石油への依存度を低減させることで、ロシアはウクライナに対する戦争を長期化させる能力も強化できる。影響力の拡大は、米国やその欧州の同盟国からの圧力に対するモスクワの抵抗力を高めることになる。ウクライナはロシアの石油インフラに対する大規模なドローン攻撃を開始しているが、原子力施設や関連インフラを攻撃する意思があるかどうかは、まだ不明である。

ロシアがFNPPで得られる可能性のあるその他の利点はいくつかある。簡単に言えば、移動式であるという特性により、はるかに少ないコミットメントで契約を結ぶことが可能となり、新たな顧客を惹きつける可能性がある。FNPPは、土地の確保が困難である一方、エナジー需要が高い沿岸都市に併設することができる。水上への原子力施設の配備は、立地要件を大幅に軽減し、原子力エナジーの生産・建設コストを削減する可能性がある。

こうした追加的なメリットは、ロシア連邦にとって、原子力輸出を拡大し、ひいては経済の多角化や国際舞台における影響力の増大を可能にする新技術の開発ほど重要ではない。しかし、実現されれば米国にとって大きな関心事となるだろう。

浮体式原子力発電所は原子力発電コストを削減できるか?

長年にわたり、特に小型モジュール炉(SMR)で、原子炉の量産化――「初号機(FOAK)」から「N号機(NOAK)」への移行――について相当な検討が行われてきた。NOAK生産を実現することで、規模の経済により原子力発電の建設コストを大幅に削減できるとの期待がある。浮体式原子力発電所(FNPP)は、バージや船舶メーカーの既存のインフラや専門知識を活用することで、陸上型原子炉より早く生産の規模の経済を達成できる可能性がある。

米国にとって、原子力発電の建設・生産コストの削減は、原子力発電量の増加にとって極めて重要であり、これは現政権の目標であるだけでなく、米国がこれまで試みながら苦戦してきた課題でもある。ノーフォーク海軍基地での試験により、FNPPの有用性が十分に実証されれば、米軍はこの技術で十分な規模の顧客となり、同技術をFOAK段階からNOAK生産段階へと導く原動力となる可能性がある。そうすることで、米国は原子力目標の達成に失敗し続けてきた傾向を逆転させることができるかもしれない。■

著者について:エドワード・ジェンナー

エドワード・ジェンナー氏は、TechSource Inc.のプログラムアナリストである。それ以前は、IGCCの技術・国際安全保障分野の博士研究員として、核問題を中心に研究を行っていた。また、テキサスA&M大学ではスタントン核安全保障フェローを務め、供給側からの核拡散について研究を行った。さらに、カリフォーニア大学アーバイン校では、上級原子炉運転士および原子炉監督補佐として勤務した。エドワード氏は、カリフォーニア大学アーバイン校で化学工学の博士号を取得している。

免責事項:本記事で表明された見解や意見は著者個人のものであり、所属先であるTechSource Inc.の見解を反映するものではありません。



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