2026年7月8日水曜日

NATOはE-3後継機にサーブのグローバルアイを採択―これも装備品の米国離れか。最大10機導入し、性能向上によりフリートは削減するというが

 The next NATO airborne early warning and control (AEW&C) platform will be Saab’s GlobalEye, as announced today during the alliance’s summit in Ankara, Turkey. The decision to buy up to 10 GlobalEyes for NATO comes after Sweden, France, and Canada all selected the platform, and amid a flurry of new orders for military equipment as part of a wider alliance defense spending drive.

Saab

NATOの次世代早期警戒管制機(AEW&C)選定

1. 決定の概要と背景

北大西洋条約機構NATOは、冷戦期から約40年間にわたり空中監視の主軸を担ってきた老朽化中のボーイング「E-3セントリー(AWACS)」の後継機として、スウェーデンのサーブが開発した「グローバルアイ(GlobalEye)」を正式に採用すると発表した。トルコのアンカラで開催された加盟国サミットにおいて、マーク・ルッテNATO事務総長が公表したもので、今後サーブおよびNATOサポート・調達エージェンシー(NSPA)との間で、最大10機調達に向けた契約交渉が正式に開始される。

決定は、欧州の安全保障環境の激変に伴う加盟国の防衛費増額と軍備刷新の波、ならびに近年のスウェーデン、フランス、カナダといった主要国による同プラットフォームの個別採用の流れに連動したものである。

2. 調達規模と代替の枠組み(iAFSC)

  • 調達数と機体規模: 最大10機の「グローバルアイ」を共同調達する計画(総額は約45億ドル規模と試算されている)。現在ドイツのガイレンキルヒェン空軍基地を拠点に運用されているE-3は14機(当初は18機)であり、1対1の単純な数量置き換えではない。これは、新システムの能力向上に伴う効率化を反映している。

  • 運用体制: ガイレンキルヒェン基地での新型機運用には、NATO加盟国のうち21カ国から派遣される要員が携わる。

  • リスク回避策: 本選定は、E-3の退役に伴って懸念される空中監視・管制能力の空白期間(ギャップ)を最小限に抑える初期防衛策「初期・同盟将来監視・コントロール(iAFSC)」プログラムの一環として位置づけられている。正式契約が締結されれば、2030年〜2031年頃から順次引き渡し・運用開始が見込まれている。

3. 機体の技術的特徴とマルチドメイン能力

「グローバルアイ」は、従来の大型旅客機(ボーイング707)をベースにしたE-3と異なり、ビジネスジェットを基盤としたコンパクトで高効率なプラットフォームでありながら、強力な最新センサー群を統合している。

  • 機体プラットフォーム: カナダのボンバルディア製ビジネスジェット「グローバル 6500(Global 6500)」を採用。高高度の飛行性能と優れた燃費効率を誇り、11時間を超える長時間の警戒監視ミッションを連続して遂行可能。E-3に比べ、運用コストや維持費が劇的に削減される。

  • 主要センサー(レーダー): 機体背面の「トップハット」と呼ばれる固定式フェアリングに、サーブ製の高性能アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)レーダー「エライアイER(Erieye Extended Range)」を搭載。E-3のような油圧式回転型レーダーとは異なり、空気抵抗を抑えつつ高速かつ高精度な走査が可能だ。

  • マルチドメイン監視と対応脅威: 探知距離は最大550km〜600km以上に及び、空中目標だけでなく、洋上および地上を単一のプラットフォームで同時に監視可能。特に以下のような現代〜次世代の高度な脅威に対する優れた探知能力を有する。

    • レーダー反射断面積が小さい低観測性(ステルス)の脅威

    • 小型の無人航空機(ドローン)の群制御(スウォーム)

    • 弾道ミサイルおよび極超音速ミサイル

    • 激しい電子妨害(ジャミング)や、地上・海上のクラッタ(不要波)が激しい複雑な環境下での目標識別

4. 選定に至る政治的・産業的経緯と競合(ボーイングE-7)との決別

今回の選定は、NATOがこれまで空中監視分野で依存してきた米国製(ボーイング製)プラットフォームからの歴史的な転換点となる。

  • 米製「E-7 ウェッジテイル」計画の頓挫: 当初、NATOはボーイング737ベースの「E-7 ウェッジテイル」の導入を有力視していた。しかし、米国防総省(空軍)が宇宙基盤の監視ソリューション(ゴールデンドーム構想など)やE-2Dへのシフトを理由に、自国内でのE-7調達計画を変更・キャンセルする動きを見せた。これを受け、共同開発プログラムのパートナー国(オランダ、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルク、ノルウェー、ルーマニア、米国など)の間でE-7採用へ懸念と先行き不透明感が広がり、2025年後半までに同案が事実上撤回され、選定作業が白紙に戻った。

  • サーブの勝因: サーブのミカエル・ヨハンソンCEOは、選定の決定打となった3つの柱として「コストの妥当性(Affordability)」「確かな能力(Capabilities)」「納期および引き渡しの迅速さ(Time and Speed)」を挙げている。また、このシステムはスウェーデン(サーブ)の技術、カナダ(ボンバルディア)の機体、そして米国や欧州のコンポーネントが融合したものであり、同盟国内の多国間産業協力の観点からも大きな政治的・経済的意義を持つ。

本計画の始動により、グローバルアイは名実ともに世界の最先端を行く空中早期警戒管制(AEW&C)ソリューションとしての地位を確立することとなる。■

本記事は以下を元に作成したものです。


NATO Picks Saab GlobalEye To Replace Aging E-3 AWACS Fleet

The GlobalEye acquisition comes alongside a raft of NATO capability announcements spanning drones, maritime patrol aircraft, tankers, and airlifters.

Thomas Newdick

Published Jul 7, 2026 12:23 PM EDT

https://www.twz.com/air/nato-picks-saab-globaleye-to-replace-aging-e-3-awacs-fleet


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