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2025年7月30日水曜日

台湾はウクライナではない(National Security Journal) — 習近平はウクライナ戦争から教訓を学んでいるのか、無視しているのか、妄想を抱いたままなのか。台湾は簡単に陥落しないし、中共にとっては悪夢となる。

 



要点と要約 – 中国は、ロシアのウクライナでの残虐な戦争から、長引く侵略が最終的に成功する可能性があると学んでいるかもしれないが、その教訓を台湾に適用すれば「破滅的な誤算」となるだろう

-台湾はウクライナではない。危険な海峡で隔てられた「要塞島」であり、中国軍がこれまで試したことのない物流上の悪夢となる侵攻だ

-攻撃は即座に米国とその同盟国を巻き込み、住民が動員された同島を保持することは泥沼化を招く

ウクライナから中国が無視する残酷な教訓。

「誰もが計画を持っている。口を殴られるまで」。マイク・タイソンの残酷な「知恵」は、ウラジーミル・プーチンのウクライナ戦争の初期計画の墓標となるだろう。そして、それは中南海のすべての机に刻まれるべきだ。

ウクライナ戦争——血塗られ、長期化し、いまだ解決されていない——は、迅速な征服の神話を粉砕した。

北京が台湾の武力行使を真剣に検討しているのならば、ウクライナ戦争の教訓に真剣に耳を傾けるべきだ:侵攻は無駄ではないかもしれないが、戦争計画者が想像するよりはるかに混沌とし、コストが高く、予測不能なものとなる。

ウクライナ戦争:ロシアが残酷な教訓を教える

戦争では、当然ながら、侵略者が勝利する可能性が常に存在する。しかし、ウクライナが私たちに教えてくれることは、現代の世界では勝利は安易でも清潔でもないということだ。勝利は火力の優越性を試すだけでなく、政治的決意、国家の正当性の持続力、スローガンが色褪せた後も出血を続ける意志を試す、長く過酷な戦いの末にしか得られない。ウクライナが本当に突きつけるのは、クラウゼヴィッツが最もよく理解していたことかもしれない:戦争は整然としたものではない。

それは公式ではない。それは、霧、摩擦、そして愚かな幸運によって駆動される暴力的で予測不可能な人間の嵐だ——スタッフ学院や指揮所での指示書に書かれた計画ではない。ロシアの侵攻開始時にキーウは陥落しなかった。NATOは分裂しなかった。そしてウクライナは屈服しなかった。彼らは激しく戦い、西側は少なくとも初期段階では団結していた。

しかし、4年目が迫る今、勢いは変化している。ロシアは兵力、砲兵、工業規模の消耗戦を駆使し、ドンバスとウクライナ南部で前進を続けている。プーチンは初期の屈辱を吸収し、適応し、動員し、持続させた。ロシアはゆっくり計画的に出血を続けながら、残酷な「ピルリク的な勝利」に近づいている。

戦争が最近のように展開し続ければ、クレムリンは勝利を収めるだろう——電撃戦ではなく、純粋な持久力によって。習近平はここに注目し、学んでいる。

台湾の支配を狙う

習近平は台湾がウクライナ同様、中国人民解放軍(PLA)との最初の接触で崩壊しないと結論付けただろう。台湾を瞬時に屈服させる幻想は、まさに幻想であり、妄想に過ぎない。しかし、より暗い教訓が浮上している:北京はロシアのウクライナ侵攻から、侵攻が欠陥を抱えていても、侵攻側が打撃を吸収し、ゆっくりと出血を続け、外部支援が弱まるのを待つ覚悟があれば成功する可能性があることを学んだかもしれない。独裁政権が経済的、外交的、軍事的な打撃を受けても存続できることをロシアが示している。北京は、グローバル市場の混乱、資本の流出、米国財務省への圧力も管理可能だと学んだかもしれない。結局、重要なのは優雅さや速さではなく、どちらが長く生き残るかだ。この論理——醜悪で冷酷で、しかし現実的な——が、北京がウクライナ戦争から学んでいる教訓の一つであるようだ。

しかし台湾はウクライナではない。脆弱な国境を持つ陸地大国ではなく、中国本土から80マイル以上離れた島嶼要塞であり、危険な海峡が堀と盾の役割を果たしている。地理は重要な要素以上に決定的な要因だ。海峡を横断しての侵攻は、1945年以来最も複雑な対抗上陸作戦となる。

中国人民解放軍(PLA)は、そのような作戦を一度も試みたことがんない。ましてや実戦下での実行は論外だ。水陸両用戦は中国の軍事伝統の延長ではなく、兵站と戦術両面で未知の領域への飛躍となる。一方、台湾は静観していない。台湾は、日本からオーストラリア、フィリピンに至る地域パートナーシップの網の目に強化され、武装し、ネットワーク化されている。台湾指導部は冷静で強硬派だ。その国民は、ますます、何が懸かっているかを理解しています。台湾への攻撃は、単なる地域危機を引き起こすだけではない。それは世界的な衝撃となる。ウクライナの場合と異なり、米国は傍観する余裕はない。即座に直接巻き込まれるだろう。

ウクライナ同様、台湾は領土に対する歴史的権利を主張する「復讐主義的」勢力に直面しています。両者は民主主義国家であり、戦略的に重要で、文明的な象徴性を持つ。しかし、表面的な類似点より戦略的な違いが重要だ。台湾の防衛は堅固で、同盟は強固であり、地理的条件も防御に適している。台湾は既に、ウクライナが戦火の下で即興で構築したような、分散型で回復力があり、センサー駆動型の非対称戦争に対応した防衛網を構築している。比較は魅力的だ。しかし、その内容は浅い。戦争が勃発した場合、結果を決定するのはそれらの違いだ。

その区別が習近平に躊躇を促さないなら、台湾侵攻の作戦上の悪夢がそうさせる。ロシアのキャンペーンから最も明確な教訓の一つは、領土を制圧することは単なる始まりに過ぎないということだ。動員され、国際的に支援される住民に対して占領した領土を維持することは、全く異なる課題だ。プーチンは忘れていたが、クラウゼヴィッツが思い出させる:戦争は決して単一の孤立した行為ではない。それは常に「偶然と確率の作用」に左右され、最も精巧に練られた計画にも見えない規律を課す。

北京は、台湾の防衛網を盲目にするべく同時ミサイル攻撃を実行し、制空権を確保し、反撃を抑制する必要がある。そして、米国や日本などが介入する前に、敵対的な海を越えて軍隊、装甲車両、物資を上陸させ、橋頭堡を確立しなければならない。たとえ最初の数日間は計画通りに進んだとしても、その後はどうなるだろう?降伏するつもりがない2300 万人の住民が住む島で陣地を維持することは、反乱、制裁、そして世界的な戦略的反発を招くことにつながる。

地理は台湾に時間を与える。そしてこの場合、時間は中国にとって致命的となる。

戦争計画は失敗するかもしれない

そして、最も首尾一貫した戦争計画でさえ、混乱の影響を受けないわけではないことを忘れてはならない。ロバート・バーンズが、現代の将軍より率直に表現しているように、「ネズミと人間の最善の計画は、しばしば失敗に終わる」のです。PowerPointで完璧に見える計画も、敵の砲火、天候の変化、物流の混乱、国内政治の反発などに直面すると、すぐに破綻してしまう。北京は、そのテンポを台本通りに進め、物語を形作り、結果をコントロールできると信じているかもしれない。その信念は、単に危険というだけでなく、妄想だ。そして、その信念に固執すれば固執するほど、現実はより激しく彼らを打ちのめすだろう。

しかし、中国はより曖昧なシグナルも受け止めている。制裁は必ずしも深い打撃を与えるとは限らない。プロパガンダは混乱を招く。そして、武器や援助には寛大であるものの、米国はウクライナへの地上部隊の派遣は断固として拒否している。北京は、アメリカが再び躊躇し、台湾を外交的に孤立させ、放置すると賭けるかもしれない。

当然ながら、それは破滅的な誤算だ。単純な戦略的事実は、台湾がアメリカのインド太平洋戦略の核心に位置していることだ。その崩壊は、第一列島線を崩壊させ、太平洋を中国の海軍展開に開放し、東京からキャンベラまでのすべての同盟関係を揺るがすだろう。これは民主主義や高邁な理想の問題ではない。冷徹な地政学の問題だ。台湾が陥落すれば、米国の信頼性は崩壊する。海上アクセスは消滅し、前線基地の選択肢は縮小する。抑止と均衡の構造全体が崩壊する。これが米国が撤退しない理由であり、北京が逆の賭けをすれば自らが仕掛けた罠に陥るリスクを冒す理由だ。

また、台湾はウクライナより小さいものの、より準備が整っている点にも注目すべきだ。台湾は「ハリネズミ」戦略を採用し、ドローン、ミサイル、地雷、移動式発射台に投資している。戦闘が始まるのを待たずに防御を固めている。そして、米国、日本、オーストラリア——何が懸かっているかを理解するパートナーたちと共にこれを行っている。

習近平が長期戦を覚悟しても、台湾は容易に屈服しない。失敗の国内政治的代償は計り知れない。プーチンは物語の支配と抑圧で危機を乗り切ったが、習近平の支配は異なる取引に依拠している——秩序、繁栄、国家の再生だ。侵攻の失敗、死体の山、経済の崩壊、国際的な孤立は、その取引を崩壊させる。危険なのは、北京がウクライナから間違った教訓を学ぶことだ:持続性だけで十分だろうか。そうではない。正当性は依然として重要だ。さらに正当性は、軍の撤退より早く崩壊する。

さらに核の問題がある。ロシアと中国は、西側の反応を封じ込めるためにエスカレーションの脅威に依存している。それは一定の効果を上げてきた。しかし台湾ははるかに危険な火種だ。米軍は既に前線に展開されている。日本とフィリピンは条約で結ばれている。台湾をめぐる戦争は代理戦争ではない。核武装した大国同士の直接対決だ。誤算、エスカレーションの連鎖、戦略的破滅のリスクははるかに高く、誤りの余地ははるかに小さい。

ウクライナから中国への教訓

結局、ウクライナは戦争が勝てないことを教えているわけではない。勝利の代償が、ほとんどの政権が負担できないほど高いことを教えている。摩擦が精度を損なうこと。士気が戦いを左右すること。物流はスローガンに勝る。そして、持続力は、まず自分を破壊しない限り機能しない。北京にとっての真の危険は傲慢さではない——それは、ロシアが達成できなかったものを、近接性と忍耐がもたらすという幻想だ。それは戦略ではない。幻想だ。そして幻想は命を奪う。

真の教訓は悲惨だが明確だ:征服戦争が戻ってきた。それは迅速に、または清潔に終わらない。それは広がる。彼らは螺旋を描く。彼らは作り手を計画していなかった場所へ引きずり込む。そして、彼らは常にクラウゼヴィッツの第三の柱——偶然——によって形作られる。どんなに理性的で目的が明確な戦争でも、直線的に展開することはない。

もし習近平が、プーチンと同じ運命を避けるため、より早く攻撃したり、より長く耐え抜いたりすれば、彼は正しいかもしれない。しかし、もし彼が台湾の占領が迅速で外科的かつ戦略的に単純だと考えているならその場合、彼は最も重要な真実を見逃していることになる。最もよく設計された作戦でさえ、戦争の混乱と歴史の皮肉にさらされると崩壊する、という事実だ。

帝国は過大な野望を抱き、防御側は立ち上がり、同盟関係は揺らぎ、現代の戦争は、敵と接触すればどんな計画も無意味になることを改めて示している。■


Taiwan Is Not Ukraine

By

Andrew Lathaml

https://nationalsecurityjournal.org/taiwan-is-not-ukraine/


https://nationalsecurityjournal.org/taiwan-is-not-ukraine/

著者について:アンドリュー・レイサム博士

アンドリュー・レイサムは、ディフェンス・プライオリティーズの非居住フェローであり、ミネソタ州セントポールのマカレスター大学で国際関係学および政治理論の教授を務めています。X: @aakatham で彼の投稿をフォローすることができます。彼は、ナショナル・セキュリティ・ジャーナルに毎日コラムを執筆しています。


2022年7月8日金曜日

FBI, MI5トップが両名で中国スパイ活動への警戒を民間に訴える。さらに台湾侵攻の場合は対中投資が人質に取られるリスクにも触れた。

 

 

FBIと英国内情報機関のトップ両名が、中国が世界各地で展開するスパイ活動を「計画的専門活動」として続けていることが、米英両国の国家安全保障、航空宇宙・通信分野の技術開発、長期的な経済的安定に一層多くの危険を及ぼしていると警告した。

 


「我々は一貫して、我々の経済と国家安全保障に最大の長期的脅威をもたらすのは中国政府であると見ている」と、FBI長官のクリストファー・レイChristopher Wrayは水曜日にMI5ロンドン本部での合同会議で発言した。「『我々』には米英両国以外に、欧州などの地域の同盟国も含む」。

 

MI5長官ケン・マッカラム大将Gen. Ken McCallumは、中国政府による「世界各地での秘密裏の圧力」は、「我々が直面する最大のゲームチェンジ的な挑戦」と述べた。

 

マッカラム長官は、米裁判所で経済スパイと航空分野の企業秘密窃盗の罪で有罪判決を受けた中国情報部員のシュウ・イェンジュンShu Yenjoonのケースを挙げ、広範な意味を持つと指摘した。

 

マッカラムは、「シュウはヨーロッパでも活動していた。航空宇宙産業を標的とした国家保安省の大規模なネットワークの一員だった。MI5は、FBIの活動で両国内の問題が解決されるまで、英国で標的とされた人たちと協力しリスクを軽減してきた」と述べています。

 

マッカラム長官は、5月にMI5が英国の航空宇宙部門を標的とした中国の大規模な活動を妨害したと付け加えた。

また、マッカラム長官は、中国は軍事的に直接的な影響を与える情報の優位性を求めているとも述べた。

「エストニアでは、NATOの海洋科学者が、シンクタンクで働くと称する中国の仲介者に情報を渡し、有罪判決を受けている」(マッカラム長官)。また、中国の航空宇宙企業や通信企業と密接に協力する産業界に警告を発した。

 

説明会には、ビジネス界のリーダーや著名な学者が出席した。

 

レイ長官は米国企業が中国企業と取引する際には、2月24日のウクライナ侵攻に伴うロシア制裁の影響を見て、極めて慎重になるよう警告した。

 

また、中国が台湾を侵略した場合、経済制裁の可能性があることから、中国は自らを守るため動いていると述べた。

レイ長官は記者会見で、中国が台湾を強制的に奪取した場合、「これまでに見たこともない恐ろしい世界規模のビジネスの混乱となる」と警告したとBBCは報じている。   

COVID-19のパンデミックのようにサプライチェーンが影響を受けるだけでなく、欧米の対中投資も武力衝突で「人質」にされる可能性があるという。「彼らの台湾への関心が少しでも薄れたと考える根拠はない」とレイは述べた。

 

マッカラム長官は、MI5での中国活動に関する調査が2018年の7倍に増加していると述べた。「そして、規模だけでなく、リーチも重要です。国際的なパートナーと手を取り合い、新しい方法でデータを共有し、共同作戦を展開することで、各国の総和をはるかに超えることができるのです。中国は「ファイブアイズ」首脳会議の最重要課題で、チームは共通の優先事項に関して緊密に協力しています。ヨーロッパの緊密なパートナーとも同様に取り組んでいる」。

 

「ファイブ・アイズ」とは、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド間の情報共有を指す。■

 

FBI, MI5 Issue Joint Chinese Espionage Warning - USNI News

By: John Grady

July 6, 2022 10:46 PM

 

John Grady

About John Grady

John Grady, a former managing editor of Navy Times, retired as director of communications for the Association of the United States Army. His reporting on national defense and national security has appeared on Breaking Defense, GovExec.com, NextGov.com, DefenseOne.com, Government Executive and USNI News.


2022年3月10日木曜日

主張 中国がロシアにならい台湾侵攻を実行すればロシアと同じ過ちを繰り返す結果になる。中国はロシアの愚かさから教訓を得るだろう。

 

 

 

Ukraine

 

中国は台湾制圧に成功するだろうが、ウクライナでのロシア同様に代償は報酬より高くなる。

 

 

 

 

中国にとってウクライナ侵攻の教訓とは実行は想定より困難になること

ロシアによるウクライナ侵攻は、中国が台湾の奪取のきっかけになるとの議論がある。台湾とウクライナは確かに地政学的に似た位置にある。ともに好戦的で独裁的な隣国から反体制的な領土として扱われている。ともに米国や他の民主主義国に助けを求めているが、各国との正式な同盟関係はない。

 

さらに、両国へ民主主義世界は「戦略的あいまいさ」を示している。ともに民主主義国が助けてくれると確信が持てない。曖昧さが、中国やロシアによる直接的な介入を思いとどまらせるという論理である。しかし同時に、民主主義諸国は、ウクライナと台湾において、強固な国家能力と軍事能力を開発させ、自衛能力を高めることで、ロシアや中国の攻撃を抑止できると期待してきた。

 

抑止力がウクライナで失敗したのは明らかだ。並行してウクライナの失敗に触発され、台湾でも失敗することが懸念される。つまり、ロシアの攻撃から、核兵器によって外部からの軍事介入を排除すれば、自分たちも攻撃できると中国は学ぶだろう。中国メディアによれば、現在の中国メディアはウクライナ戦争を曖昧に伝えている。

 

しかし、実戦の経過から実践的な別の教訓が導かれる。

 

愛国心ある国民が動員され戦う

ロシアがウクライナに勝つ、あるいは中国が台湾に勝つという仮定には、非対称性が根源にある。過去10年間、巨費を投じて近代化を進めてきたロシア軍の規模と技術は、弱く、軍備も中規模の中堅国家を凌駕し、打ち負かすはずだ。プーチンはまさにそれを期待していたようだ。プーチンは電撃作戦、つまり親ロシアかいらい勢力を素早く樹立し、その後迅速撤退するつもりだったようだ。

 

しかし、プーチンの立ちはだかったのは、獰猛な民族主義者の抵抗と奮起を促すリーダーシップの壁だった。ロシア軍は苦戦を強いられ、現在は長距離砲撃に頼っているため、一般市民多数が必然的に死亡し、泥を塗っている。ウクライナ軍は、勝ち目が低いにもかかわらず、粘り強い勇気で世界を魅了している。その情報作戦は見事というしかない。大統領は有名人になった。その大統領が民主的に選出されたことは、国民の正統性と支持を得ていることにほかならない。ウクライナの戦いを支援するグローバルな取り組みが始まっている。

 

台湾でもこうしたことがほぼ間違いなく適用される。

 

閉鎖的な独裁国家の腐敗した軍隊は、お粗末な戦いぶりを示す

 

ロシア軍の戦術作戦の低さは衝撃的であった。特にキエフへの北方攻撃では低い士気と低劣な兵站を露呈した。原因の多くは、ロシア軍の腐敗にある。強力な軍隊でありながら、燃料や弾薬が不足したり、整備不良や装備不足で車両が故障したり、車両を放棄したり、傭兵に依存する傾向が強まっている。

 

ここでも中国と類似点が目を引く。中国にも腐敗が蔓延している。中国軍はかつてよりはクリーンというものの、人民解放軍は、第三世界の軍隊によく見られるように、経済活動に関与している。ロシアが証明するように、見栄えの良い近代化に多額の費用をかけるのは、戦力投射の兵站を備えた専門化した軍隊より価値がはるかに低い。中国の場合、十分な兵力を台湾に上陸させるには、1944年のD-Day以来最も複雑な水陸両用作戦を実施する必要があり、ウクライナ以上に機能的な兵站が重要となる。

 

大規模な制裁措置の反動

最後に、民主主義諸国は激しく反発している。ロシアへの制裁網は驚くべき速さで拡大中だ。ロシアはSWIFTシステムへアクセスを制限され、西側の石油市場を失う可能性があり、通貨は下落し、資本逃避が加速している。プーチン大統領は戦争に勝つとしても、大損害の割に得るものが少ない勝利となるだろう。

 

ロシアは世界経済から孤立し、おそらくプーチンが権力の座から降りるまで、状態が続くだろう。ロシアの経済成長は10年以上遅れる。人的資本の逃避が加速し、資源と技術を持つロシア人が国外に流出する。外国技術にアクセスできなくなる。ロシアは天然資源輸出への依存度をさらに高める。そして、プーチンは、唯一残された大口購入者である中国が、厳しい価格を要求してくるのを目にする。プーチン自身は二度と国外に出られなくなり、戦争犯罪の訴追を受ける可能性さえある。

 

中国が台湾を攻撃した場合、同じ可能性がありそうだ。中国はおそらく勝つだろう。中国軍は、勝つために必要であれば、現在のウクライナ同様に島を砲撃し服従させることが可能だ。しかし、その結果、中国は世界経済から切り離される。ロシア同様に中国も成長を促進し、重要技術を得るため西側市場へのアクセスが必要だ。習近平国家主席は、中国をこうした市場から切り離し、自立した国にしようと努力しているが、いかんせん時間がかかる。新技術や資源が世界中に散在するグローバル経済において、中国が切り離されても成長率を維持できるかは不明だ。

 

その意味で、中国にとってウクライナは、台湾を奪う鈍器になりかねない。しかし、2週間にわたるロシアの失態と、世界経済からロシアが急速に疎外された後、より微妙な教訓を引き出す必要がある。中国は台湾を征服できるかもしれないが、ウクライナでのロシアの惨事のようになれば、その代償は報酬よりはるかに高くつくはずだ。■

 

Russia's Disaster of a War in Ukraine Means China Won't Invade Taiwan? - 19FortyFive

 

ByRobert Kelly

 

Robert Kelly is a professor in the Department of Political Science at Pusan National University in South Korea and a 1945 Contributing Editor. Follow his work on his website or at Twitter.



2019年11月26日火曜日

台湾はなぜM1エイブラムズ戦車100両売却を米国に要望したのか---中国の台湾侵攻の可能性は?

Why Does Taiwan Need M-1 Abrams Tanks? 

Is this just a total waste of money or a powerful weapon to stop China if they invade?  

予算の無駄使いなのかそれとも中国侵攻の阻止で威力を発揮するのか
November 23, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: TaiwanAbrams TankU.S. MilitaryChinaWar

はじめに

トランプ政権により台湾への武器輸出が大幅に増えそうです。F-16Vにつづく目玉がM1エイブラムズ戦車なのですが、台湾でなぜと感じた向きもすくなからずあったはずです。あらためて今回の案件の背景を見てみあしょう。

NATIONAL INTERESTによる解説 

米国務省が台湾の要請に応じM1A2Tエイブラムズ戦車108両の売却を承認した。総額20億ドルで、M88A2ハーキュリーズ戦車回収車両14台、120ミリ各種砲弾も含む。
国防安全保障協力庁は今回の売却で域内軍事バランスに変化が生じないと説明。台湾を中央の指示に反した一地方とみなす中国は、猛烈な反発を示している。
 だが本質的な疑問がある。台湾が中国による侵攻から自国防御にあたるのはいいとしても主力戦車がリストのトップに来る必要があるのだろうか。
 まず、台湾は島国である。台湾を武力制圧するため中国は幅110マイルの台湾海峡をはさみミサイル、空爆、揚陸作戦、空挺部隊で圧倒的な威力の攻撃を実施してくるはずだ。台湾に一定の部隊を上陸させても台湾さらに米国の防衛体制にさらされるはずだ。そうなるとM1A2の108両と旧型M60A3、M48の約500両が沿岸地区で反撃に出る。ナチス・ドイツがノーマンデイで悟ったように、防御は用意ではない。攻撃側は奇襲により局地的な優越性を得られるが、防衛側は砲撃爆撃にさらされ、弾道ミサイルも飛来するはずだ。中国には対戦車兵器は余るほどあり、人民解放軍陸戦隊や空挺部隊にも対戦車ロケット砲や揚陸走行車両や軽戦車も配備されている。さらに中国ではミサイル装備無人機の開発が進行中で戦車を狙い撃ちしてくるだろう。台湾に数個師団を上陸させるのに成功すれば、台湾には大災難となる。
 現時点の中国には台湾を本格侵攻する揚陸能力はないようだ。だがこのままで終わらない。中国は揚陸能力増強のため新型075型強襲揚陸艦を9月から運用開始しており、同艦は陸戦隊900名を車両、ヘリコプターとあわせ収容できる。更に垂直離着陸型戦闘機も搭載するだろう。075型はさらに建造が進み、中国は空挺師団3個とヘリコプター強襲連隊数個を展開できる。
戦闘力のバランスを見る限り、中国の台湾侵攻は用意ではない。だが中国の経済力とともに戦力構造がハイテク21世紀型部隊に変貌しつつある現場を見ると、侵攻の実施条件をらくらく満たす可能性も少なからず出てくる。
戦車が役に立たないわけではない。M1A2が100両あれば、米陸軍の装甲連隊戦闘チームの戦力に匹敵し、正しく運用すれば相当の兵力になる。中国の台湾侵攻は楽勝にならない。台湾の地形は平坦でないうえ、台湾空軍さらに米軍の航空機、艦船が防御する台湾海峡が盾となる。
 ただし、台湾が運用する冷戦時の戦車500両では中国侵攻への対抗として不十分なら、M1A2の100両が加われば状況は変わる。台湾に接近阻止力が増強されるからだ。対艦・滞空ミサイル、弾道ミサイル防衛、機雷、潜水艦、航空機により中国の侵攻部隊を阻止、あるいは抑止することになる。台湾の経済力からすればミサイルや機雷は低コスト装備であり、整備に成約はないだろう。
 ノーマンディからフォークランド諸島へ、さらに台湾へと揚陸部隊侵攻の阻止で最善策は侵攻部隊に上陸をさせないことだ。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Creative Commons.