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台湾はなぜM1エイブラムズ戦車100両売却を米国に要望したのか---中国の台湾侵攻の可能性は?

Why Does Taiwan Need M-1 Abrams Tanks? 

Is this just a total waste of money or a powerful weapon to stop China if they invade?  

予算の無駄使いなのかそれとも中国侵攻の阻止で威力を発揮するのか
November 23, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: TaiwanAbrams TankU.S. MilitaryChinaWar

はじめに

トランプ政権により台湾への武器輸出が大幅に増えそうです。F-16Vにつづく目玉がM1エイブラムズ戦車なのですが、台湾でなぜと感じた向きもすくなからずあったはずです。あらためて今回の案件の背景を見てみあしょう。

NATIONAL INTERESTによる解説 

米国務省が台湾の要請に応じM1A2Tエイブラムズ戦車108両の売却を承認した。総額20億ドルで、M88A2ハーキュリーズ戦車回収車両14台、120ミリ各種砲弾も含む。
国防安全保障協力庁は今回の売却で域内軍事バランスに変化が生じないと説明。台湾を中央の指示に反した一地方とみなす中国は、猛烈な反発を示している。
 だが本質的な疑問がある。台湾が中国による侵攻から自国防御にあたるのはいいとしても主力戦車がリストのトップに来る必要があるのだろうか。
 まず、台湾は島国である。台湾を武力制圧するため中国は幅110マイルの台湾海峡をはさみミサイル、空爆、揚陸作戦、空挺部隊で圧倒的な威力の攻撃を実施してくるはずだ。台湾に一定の部隊を上陸させても台湾さらに米国の防衛体制にさらされるはずだ。そうなるとM1A2の108両と旧型M60A3、M48の約500両が沿岸地区で反撃に出る。ナチス・ドイツがノーマンデイで悟ったように、防御は用意ではない。攻撃側は奇襲により局地的な優越性を得られるが、防衛側は砲撃爆撃にさらされ、弾道ミサイルも飛来するはずだ。中国には対戦車兵器は余るほどあり、人民解放軍陸戦隊や空挺部隊にも対戦車ロケット砲や揚陸走行車両や軽戦車も配備されている。さらに中国ではミサイル装備無人機の開発が進行中で戦車を狙い撃ちしてくるだろう。台湾に数個師団を上陸させるのに成功すれば、台湾には大災難となる。
 現時点の中国には台湾を本格侵攻する揚陸能力はないようだ。だがこのままで終わらない。中国は揚陸能力増強のため新型075型強襲揚陸艦を9月から運用開始しており、同艦は陸戦隊900名を車両、ヘリコプターとあわせ収容できる。更に垂直離着陸型戦闘機も搭載するだろう。075型はさらに建造が進み、中国は空挺師団3個とヘリコプター強襲連隊数個を展開できる。
戦闘力のバランスを見る限り、中国の台湾侵攻は用意ではない。だが中国の経済力とともに戦力構造がハイテク21世紀型部隊に変貌しつつある現場を見ると、侵攻の実施条件をらくらく満たす可能性も少なからず出てくる。
戦車が役に立たないわけではない。M1A2が100両あれば、米陸軍の装甲連隊戦闘チームの戦力に匹敵し、正しく運用すれば相当の兵力になる。中国の台湾侵攻は楽勝にならない。台湾の地形は平坦でないうえ、台湾空軍さらに米軍の航空機、艦船が防御する台湾海峡が盾となる。
 ただし、台湾が運用する冷戦時の戦車500両では中国侵攻への対抗として不十分なら、M1A2の100両が加われば状況は変わる。台湾に接近阻止力が増強されるからだ。対艦・滞空ミサイル、弾道ミサイル防衛、機雷、潜水艦、航空機により中国の侵攻部隊を阻止、あるいは抑止することになる。台湾の経済力からすればミサイルや機雷は低コスト装備であり、整備に成約はないだろう。
 ノーマンディからフォークランド諸島へ、さらに台湾へと揚陸部隊侵攻の阻止で最善策は侵攻部隊に上陸をさせないことだ。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Creative Commons.

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